中学校での武道・ダンスの必修化に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年一月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 平成二十四年度から中学校の保健体育で武道・ダンスの必修化が実施される。

 新教育基本法の理念を基本として、伝統と文化を尊重し、豊かな人間性を持った、国際社会で生きる日本人の育成を目標として導入された。

生徒の体力向上は勿論のこと、武道に取り組むことで、日本の伝統や文化を正しく理解し、礼節や思いやりの精神の醸成によって、心身ともに健全で健康な育成が期待される。

一方で、インフラ面で武道導入の受け入れ態勢が充分でないことは当初より指摘されてきた。安全性の確保の面からも、早期の武道場や用具の整備、教諭の指導力などハードとソフトの両面からの環境の整備が必要とされる。

従って、次の事項について質問する。

一 武道必修化は、子どもたちに対して、どのような教育上の効果があると期待しているか、政府の認識を示されたい。 

二 現在の全国の中学校の武道場と用具の整備状況について示されたい。 

三 武道未経験の教諭が多い中、本格実施までの期間内で、指導者の育成・人材確保が喫緊の課題である。また、武道の精神や伝統文化の大切さを子どもたちに教えるには、指導者の役割は大きい。指導者育成への対応として、全国それぞれの地域で特色を活かした、研修会や講習会等を活用し、育成強化に取り組んできていることは承知している。
 導入期間が迫る中での、指導者養成状況に対する政府の現状認識は如何。 

四 武道はコンタクトスポーツであるため、万が一の事故の危険に対する安全面への配慮が不可欠である。事故予防対策について政府はどのような認識をお持ちか示されたい。 

五 充実かつ円滑な授業の実施に向けて、地域の武道指導者との協力体制や学校間の交流による情報交換など、地域との交流や連携が期待される。現在でも、武道導入に向けて既に取り組んでいる地域も少なくない。一方で、学校関係者の消極的な姿勢や双方の受け入れ態勢が充分でない例も報告されている。
 政府の武道の必修化に対する、地域との交流・連携に関する見解を示されたい。

  以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
中学校での武道・ダンスの必修化に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第024号
平成23年 2月 4日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 中学校での武道・ダンスの必修化に関する質問 に対する答弁書

一について

 中学校における武道の学習は、技能を高めるだけではなく、我が国の伝統や文化を尊重するとともに、自らを律し、相手を尊重する態度等を養う上で重要であると認識している。

 

二について

 武道場を設置している中学校の数は、平成22年5月1日現在、国立学校が45校、公立学校が4825校、私立学校が412校(併設校に設置される武道場を使用している学校の数を含む。)である。 武道用具の整備状況については、把握していない。

 

三について

 武道の必修化に当たっては、指導者の養成及び確保が重要であると認識しており、文部科学省においては、武道関係団体等と連携して教員に対する講習会を実施しているほか、各学校の武道の授業における外部指導者の活用等を進めており、また、都道府県教育委員会等においても、教員に対する武道の講習会等を実施しているところである。 文部科学省としては、引き続き指導者の養成及び確保のための取組を進める必要があると考えている。

 

四について

 武道を行う上で事故防止は極めて重要であると認識している。 このため、文部科学省においては、武道の授業を安全に実施できる指導者の養成及び確保、安全性の高い施設の整備等を進めるとともに、都道府県教育委員会等に対し、事故防止について文書の発出や各種会議を通じて注意喚起を行っているところであり、今後とも、武道の授業が安全に実施されるよう取り組んでまいりたい。

 

五について

 武道の必修化に当たっては、地域の人材を活用するなど、地域との連携を進めることが重要であると認識している。 このため、文部科学省においては、地域の指導者等と連携した武道指導の充実を図るために、「中学校武道必修化に向けた地域連携指導実践校」の事業を実施しているところであり、今後とも、地域の理解と協力を得つつ武道指導の充実を図るための取組を進めてまいりたい。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ