たばこ税に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年一月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 平成二十二年十月一日からたばこ一本あたり三円五十銭の増税が行われた。

近年における増税だけでなく、健康ブームや分煙化、タスポの導入等の様々な喫煙環境の変化によりたばこの需要は減少している。

今後も健康増進や受動喫煙の防止に向けて取り組んでいく必要があるが、一方でたばこは嗜好品であり、たばこ税は国、地方への貴重な安定財源の一つである。また、たばこ産業はそれぞれの産地にとって重要な基幹作物として地域の農業を支えている。安易な増税路線は消費者への負担はもとより、小売店、製造者、たばこ耕作農家とそれを主要産業として生産している地域に及ばす影響は計り知れない。

健康に充分配慮し、関係者や地方への影響を見極めながら今後の税のあり方について慎重な議論が求められている。

 従って、次の事項について質問する。 

一 今回のたばこ税の増税によって、政府は今年度の販売量と税収はどのように変化すると予測しているのか、その見込みについて示されたい。
   関連して、喫煙人口の変化についても、政府の把握する数値を示されたい。 

二 今回の増税はどのような効果を目的にした増税であるのか。健康増進の為の喫煙規制としての増税なのか。値上げによる税収確保の為の増税であるのか。政府の認識を示されたい。 

三 欧州の先進国等では、大幅な値上げによって、結果的に税収減となった例が報告されている。安定的な税収確保の観点からすると、増税による税収増は期待できないのではないか。
 政府が考える将来的なたばこ税のあり方や、税の適正価格はどうあるべきか示されたい。 

四 今回の増税は、たばこ耕作農家にはどのような影響を及ぼしたか、政府の把握する数値を示されたい。

五 今回の増税は、たばこ小売店にはどのような影響を及ぼしたか、政府の把握する数値を示されたい。

六 たばこ耕作農家や小売店に対する支援の必要性について政府の見解は如何。

七 たばこ税の使途について、納税者の理解が得られ、かつ有意義な活用方法とする為に今後どのような使われ方が有益であるのか政府の見解を示されたい。

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
たばこ税に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第019号
平成23年 2月 4日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 たばこ税に関する質 に対する答弁書

一について

 平成22年度の税制改正による増減収見込額(初年度) の計算においては、平成22年10月1日の国及び地方のたばこ税の税率引上げ(以下「今回の税率引上げ」という。) に伴い、平成22年度の製造たばこの課税見込数量については約250億本の減少を見込んでおり、また、国及び地方のたばこ税の税収については836億円の増収を見込んでいる。
 今回の税率引上げに伴う喫煙人口の変化の見通しについては、政府として試算していない。

 

二について

 今回の税率引上げは、「平成22年度税制改正大綱」(平成21年12月22日閣議決定) で示した「たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。」との方針に沿って実施したものである。

 

三について

 平成二十二年度の税制改正による増減収見込額の計算においては、今回の税率引上げに伴い、国及び地方のたばこ税の税収は、初年度にあっては836億円の増収を、平年度にあっては2065億円の増収を見込んでいる。
 将来的なたばこ税の負担水準の在り方については、「平成23年度税制改正大綱」(平成22年12月16日閣議決定) で示した「たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。 ・・・平成24年度税制改正以降の税率引上げにあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断していきます。」との方針に沿って、今後、総合的に検討してまいりたい。

 

四及び五について

 今回の税率引上げがたばこ耕作農家やたばこ小売店に及ぼす影響については、現在、見極めを行っているところである。

 

六について

 「平成23年度税制改正大綱」においては、「平成24年度税制改正以降の税率引上げにあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断していきます。 その過程で、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、上記のたばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします。」としており、その検討の中で判断してまいりたい。

 

七について

 国及び地方のたばこ税の税収については、資源の適正な配分等の観点から、引き続き、納税者の理解を得つつ、一般財源として活用していくことが適当であると考えている。 


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