インターネットを利用した選挙活動に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十三年一月二十七日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 昨年十一月に行われた金沢市長選挙において、候補者の陣営関係者が、告示後もツイッターを更新し、投票を呼びかけていたことが大きく取りざたされた。

報道によれば、市選管の陣営に対する警告後も、ツイッターの更新が続けられたため、石川県警へ対応を相談。県警は警察庁と協議したが、警告はされなかった。県警関係者からは、ネット解禁が国会で協議されていたこともあり判断が難しいとの声が聞かれた。

公職選挙法では、インターネットを利用した選挙運動は、不特定多数への文書図画の頒布とみなされ、禁止と定められているが、現在のインターネットの普及状況を考えると、時代にそぐわないとの指摘がある。

昨年の通常国会では、インターネットによる選挙運動解禁に向けたガイドラインが与野党の協議により合意されたが、当時の鳩山首相の突然の辞任により、会期内での審議時間不足で、法案提出まで至らなかった。

今やホームページやブログ、ツイッターは政治活動では欠かせないツールとなり、殆どの国会議員や地方議員、首長が活用している。今春の統一地方選挙が迫る中で、このままインターネット選挙への明確な方針が示されない状況が続けば、なし崩し的にインターネットが利用される可能性があり、混乱は避けられない。

立法府の責任として、公平で公正なルールを保つためにも、インターネット選挙活動への早期の対応が求められる。

従って、次の事項について質問する。

 

一 前通常国会で与野党合意が図られたことを踏まえて、政府においてはインターネットを利用した選挙運動の是非についてどのような見解をお持ちか示されたい。 

二 選挙を控える各地域での混乱を防ぐためにも、統一地方選挙前にインターネット選挙運動について一定の方針、方向性を示すことが望ましいと考えるが、政府の認識は如何。 

三 仮に公職選挙法が改正され、インターネット選挙活動が解禁される場合、どの種の選挙(衆院選、参院選、地方選等)からの利用が望ましいか、政府の考えを示されたい。 

四 前通常国会で与野党合意により、取りまとめられたガイドラインではツイッターの活用は自粛の方針であったが、政府は選挙活動でのツイッター利用に対してどのように考えているか見解を示されたい。 

 以上質問する。 



衆議院議員馳浩君提出
インターネットを利用した選挙活動に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質177第017号
平成23年 2月 4日

内閣総理大臣                  菅 直人

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 インターネットを利用した選挙活動に関する質問 に対する答弁書

一について

 公職選挙法(昭和25年法律第100号)第142条に規定する「文書図画」とは、「文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示」をいい、スライド、映画、ネオン・サイン等も全て含まれ、コンピュータ等のディスプレイ上に表れた文字等を用いた意識の表示は、同条に規定する文書図画に該当する。

 したがって、コンピュータ等のディスプレイ上に文字等を用いた意識の表示を掲載する行為であって、選挙期日の公示又は告示の目前にするものは、当該行為によるディスプレイ上に表れた文字等を用いた意識の表示が選挙運動のために使用する文書図画と認められる場合には、同法第129条及び第142条の規定に違反する。 また、コンピュータ等のディスプレイ上に文字等を用いた意識の表示を掲載する行為であって、選挙期日の公示又は告示の日以後にするものは、当該行為によるディスプレイ上に表れた文字等を用いた意識の表示が選挙運動のために使用する文書図画と認められる場合には、同法第142条の規定に違反し、さらに、当該行為によるディスプレイ上に表れた文字等を用いた意識の表示が選挙運動のために使用する文書図画と認められない場合であっても、当該行為が同条の禁止を免れる行為と認められる場合には、同法第146条の規定に違反する。
 政府としては、インターネットを使用した選挙運動について以上のような見解を有しているが、インターネットを選挙運動の手段として認めるか否かについては、選挙運動の在り方の問題であることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

 

二について

 政府としては、本年4月の統一地方選挙に向けて、一についてで述べた政府の見解について、都道府県の選挙管理委員会の委員長等が出席する会議等において周知を図っているところである。

 

三について

 インターネットを選挙運動の手段として認めるか否かについては、御指摘の「どの種の選挙(衆院選、参院選、地方選等) からの利用が望ましいか」という点も含め、選挙運動の在り方の問題であることから、政府としては、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

 

四について

 御指摘のツイッターを始めインターネットを使用した選挙運動についての政府の見解は一についてで述べたとおりであり、インターネットを選挙運動の手段として認めるか否かについては、選挙運動の在り方の問題であることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。


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