菅大臣の経済演説に関する再質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年三月四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 菅大臣の経済演説に関する質問主意書を本年二月四日に提出し、二月十二日に答弁書の送付を受けたが、さらに確認したい点がある。
 従って、次の事項について質問する。 

一 議論の前提としてデフレの定義について、政府の見解を問う。

二 前の質問主意書において、「物価の安定」の具体的な数字を問うたところ、「消費者物価指数の前年比で二パーセント以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は一パーセント程度を中心と考えている。」との答弁であったが、これは日本銀行の考えである。あらためて、政府の見解を問う。

三 また、二の答弁は、政策委員の主観であり、政策委員が替われば基準が変わる可能性があるのではないか、政府の見解を問う。

四 消費者物価指数は統計上一パーセント程度の上方誤差があるので、消費者物価指数の前年比が一パーセント以下のプラスは実際にはデフレ状態である。「消費者物価指数の前年比で」「一パーセント程度」ではデフレ状況を放置することになるのではないか、政府の見解を問う。

五 二〇〇〇年以降、消費者物価指数の前年比がプラス一パーセント以下であった期間について、情報の開示を求める。

六 金融政策が「その時々の経済・物価情勢や市場動向を踏まえ」て行われるならば、その動向を読み違えると、景気の山はより高く、谷はより深くなる。日本銀行政策委員の方々が専門知識を有し、経験豊富であるとしても、人間である以上無謬ではありえない。そのような裁量的金融政策は弊害が大きく、裁量型金融政策からルール型金融政策、具体的には日本銀行法第二条に具体的な数値を明示するインフレ・ターゲット政策へ転換すべきと考えるが、政府の見解如何。 

  以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
菅大臣の経済演説に関する再質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第204号
平成22年3月12日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 菅大臣の経済演説に関する再質問に対する 答弁書 

一について

 政府は、デフレを「持続的な物価下落」と定義しており、昨年11月の月例経済報告以降、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断している。 

二及び六について

 前回答弁書(平成22年2月12日内閣衆質174第77号)で述べたように、日本銀行は「中長期的な物価安定の理解」を明確化したものと承知しており、政府としても、できる限り早期にプラスの物価上昇率が実現されることが望ましいと考えている。
 政府としては、日本銀行との間で、財政政策・金融政策の実施において、政策の方向性についての認識を共有していると考えており、引き続き、日本銀行が適切かつ機動的な金融政策運営により経済を下支えするよう期待している。 

三について

 お尋ねは、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、日本銀行の自主性を尊重する観点から答弁は差し控えたい。 

四について

 御指摘の消費者物価指数の「上方誤差」については、理論上様々な見解があり、また、利用可能なデータの制約もあることから、その大きさを正確に測定することは困難である。
 政府としては、物価の基調判断に当たっては、消費者物価指数だけでなく、他の物価関連指数も踏まえた上で総合的に判断している。 

五について

 平成12年1月から平成22年1月までの期間において、消費者物価指数の生鮮食品を除く総合指数の前年同月比がプラス1%以下であった期間は、平成12年1月から平成20年2月まで、同年4月及び同年11月から平成22年1月までである。


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