地籍調査に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年二月十八日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 現在の土地の現況に関する資料は、明治時代の地租改正の際に作成された成果を基礎とするものが多く、不正確なものも多かった。そのため、土地取引や相続に支障が生じたり、税収の正確性が担保されないといった問題が生じている。
 そのような問題を解決するためには、一筆ごとの土地について、所有者・地番・地目を調査するとともに、土地の境界と面積を測量する地籍調査が重要である。
 そこで、次の事項について質問する。 

一 土地の境界の確定の必要性について、政府の見解を問う。

二 現状において、中山間地における地籍をどの程度把握しているか。

三 地籍の把握が不十分なことによる固定資産税等の税収に対する影響について問う。

四 地籍調査の実施主体は、市町村等の地方公共団体や土地改良区等の団体である。しかし、地籍調査に要する経費のうち五〇%は国の負担であり、また、地籍調査の重要性に鑑み、国としてもできるだけの支援をすべきと考える。その点につき、政府の見解を問う。

五 地籍調査の正確性担保の手段としてGPS等のハイテク利用が考えられる。そのような高価な機器の利用促進に関して、政府の対応を問う。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
地籍調査に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第136号
平成22年2月26日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 地籍調査に関する質問に対する 答弁書 

一について

 御指摘の「土地の境界の確定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土調査法(昭和26年法律第180号)に基づく地籍調査(以下「地籍調査」という。)等により土地の境界の確認を進めることは、土地取引の円滑化、土地資産の保全、災害復旧の迅速化等を図る上で重要な課題であると認識している。 

二について

 地籍調査の進捗状況の取りまとめに当たっては、御指摘のような「中山間地」といった区分を設けておらず、お尋ねについては把握していない。 なお、平成20年度末時点における地籍調査の進捗率は、主として田、畑等が占める地域及びその周辺の地域である「農用地等」については71%、主として山林又は原野が占める地域及びその周辺の地域である「林地」については41%である。 

三について

 土地に係る固定資産税の課税に当たって市町村長が当該土地の価格を決定する際に用いる地積は、原則として、登記簿に登記されている地積によるものとしており、地籍調査の成果により当該地積が変更された場合には、当該土地に係る固定資産税及び固定資産税の評価額を用いて税額を算出する都市計画税等の税収は増減し得ることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 

四について

 国は、国土調査法第9条の2の規定に基づき、地籍調査に要する経費について、地方公共団体が実施する場合には当該費用の2分の1を、土地改良区等が実施する場合には当該費用の3分の2を負担するとともに、地籍調査の円滑な実施を図るため、地籍調査の基礎とするために行う基準点の測量を同法第2条第2項に規定する基本調査として実施してきたところである。 これらの取組等により、引き続き地籍調査の促進を図ってまいりたい。 

五について

 地籍調査における「GPS等のハイテク利用」に関しては、平成8年度に、「GPS」を利用した一部の測量方法について、「地籍調査作業規程準則運用基準」(昭和61年11月18日付け61国土国第488号国土庁土地局長通達)に位置付けたところであり、当該測量に係る費用についても、地籍調査に要する経費として、国土調査法第9条の2の規定に基づき、国がその一部を負担している。


馳浩の質問主意書メニューへ戻る


メールをどうぞ


ホームページへ