菅大臣の経済演説に関する質問主意書


下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年二月四日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 菅経済財政政策担当大臣は、一月二十九日の経済演説において、「デフレの克服に向けて、日本銀行と一体となって強力かつ総合的な取り組みを行ってまいります。日本銀行に対しては、こうした政府の取り組みと整合的なものとなるよう、政府と緊密な情報交換、連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするよう期待します。」と述べている。
 現在のデフレ状況下の日本において、菅大臣の右発言の基本的な方向性は妥当であるとも思える。しかし、「適切かつ機動的な金融政策」の意味するところが具体的でなければ、裁量的金融政策となり、裁量的金融政策はかつて多くの失敗例を生み出してきた。
 従って、次の事項について質問する。 

一 「日本銀行と一体となって強力かつ総合的な取り組み」の具体的な内容について。政府の見解を問う。

二 「適切かつ機動的な金融政策」の具体的な内容について。政府の見解を問う。

三 我が国の九十年代のいわゆる「失われた十年」は、バブル退治のためにベースマネーを急激に減少させ、その後もベースマネーの伸び率の水準を低位のまま放置した日本銀行の金融政策の誤りが主因である。そのような日本銀行に対して、「適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするよう期待」しても実効性がないのではないか。政府の見解を問う。

四 デフレは金融現象であり、その克服のためには日本銀行の金融政策が唯一の方策である。しかし、日本銀行法第二条の「物価の安定」の具体的な内容が解釈次第であるならば、現実から遊離した不毛な解釈論に陥るおそれが高い。日本銀行法第二条を改正し、具体的な数値を明示すべきではないか。政府の見解を問う。

五 四において、具体的な数値を明示する場合、その具体的な数字について問う。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
菅大臣の経済演説に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第77号
平成22年2月12日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 菅大臣の経済演説に関する質問に対する 答弁書 

一について 

 御指摘の菅内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の経済演説における発言は、政府が日本銀行との間で緊密な情報交換及び連携を行いつつ、できる限り早期の景気の回復とデフレの脱却に向けて強力に取り組んでいくことを表明したものであり、政府と日本銀行は、財政政策・金融政策の運営において、政策の方向性についての認識を共有しながら、それぞれの役割を果たしていくこととしている。
 政府においては、昨年12月8日に閣議決定した「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の裏付けとなる平成21年度第二次補正予算及び平成23年度予算を一体として執行していくこと等により、切れ目のない経済財政運営を行ってまいりたい。 

二及び三について

 金融政策の具体的な運営については、日本銀行において、その時々の経済・物価情勢や市場動向を踏まえつつ、適切に行われるものと考えている。
 日本銀行においては、昨年12月1日に、新しい資金供給手段の導入を決定し、期間3か月の貸金を0.1パーセントの固定金利で金融機関に供給するとともに、同月18日には、金融政策運営に当たり、中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率として平成18年3月9日に公表した「中長期的な物価安定の理解」について、「消費者物価指数の前年比で2パーセント以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1パーセント程度を中心と考えている。」 と明確化する等、これまでも金融政策面から我が国経済を下支えするため、様々な施策を実施してきたものと承知している。
 政府としては、引卓続き、日本銀行が適切かつ機動的な金融政策運営により経済を下支えするよう期待している。 

四及び五について

 二及び三についてで述べたように、日本銀行においては、「中長期的な物価安定の理解」について、昨年12月18日に、「消費者物価指数の前年比で2パーセント以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1パーセント程度を中心と考えている。」と明確化したと承知している。 


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