被疑者取り調べに関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年一月二十六日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 民主党をはじめとした与党は、取り調べの過程を録音・録画する「可視化」を導入する法案の今国会での提出に前向きであると承知している。
 しかし、現在の被疑者取り調べに制度的な問題がないか、問題があるとすればその是正を図るのが「可視化」の前提であると考える。
 従って、次の事項について質問する。 

一 身体の拘束を受けている被疑者に取調受忍義務があるか。刑事訴訟法第一九八条第一項但書の解釈について政府の見解を問う。

二 身体の拘束を受けている被疑者は被告人の前身であり、弾劾主義的捜査観の下では被告人は一方当事者である。現在の刑事訴訟法においても、被告人は取調受忍義務を負わないことを踏まえ、被疑者にも取調受忍義務が無いことを明文化するべきではないか。刑事訴訟法第一九八条第一項但書の改正について政府の見解を問う。

三 現在被疑者の多くは代用刑事施設いわゆる「代用監獄」に収容されている。この警察署の施設内部における取り調べにより、自白の強要が行われているとの批判は古くからなされている。
  刑事訴訟法の規定に従って、刑事施設に収容することを原則とするべきではないか。政府の見解を問う。

四 刑事施設の数が過少であるならば、その増設についての見解如何。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
被疑者取り調べに関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第43号
平成22年2月5日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 被疑者取り調べに関する質問に対する 答弁書 

一について 

 逮捕又は勾留されている被疑者は、取調べのために出頭し、滞留する義務を負うと考えている。 

二について

 御指摘の点については、我が国の刑事司法手続において、被疑者の取調べが事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていること等を踏まえ、広く刑事訴訟制度全体の枠組みの中で慎重に検討すべきものであると考えている。 

三について

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年法律第50号)第15条第一項は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号) の規定により勾留される者を、刑事施設に収容することに代えて、留置施設に留置することができる旨を定めており、勾留場所については、裁判官において、個別の具体的事案に即して判断されるものと承知している。 

四について

 現在、刑事施設は、支所を含め全国に188施設が設置されており、各施設により収容の状況は大きく異なるところ、今後も、必要に応じ、刑事施設の増設や改築を行うなどして、適正な収容能力の確保に努めてまいりたい。


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