時効制度改正に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年一月二十六日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 報道等によると千葉法務大臣は一月十三日、殺人など重大犯罪の公訴時効制度を見直す刑事訴訟法改正案を今通常国会に提出する意向を固めたとのことである。
 犯罪被害者にとって、公訴時効の廃止もしくは期間延長は望ましいことであり、この方針自体は妥当であると考える。しかし、そのために、捜査費用が過大となったり、無辜の民が冤罪で苦しんだりすることがあってはならない。
 従って、次の事項について質問する。 

一 時効制度が存在する趣旨について政府の見解を問う。

二 時効制度廃止もしくは期間延長による捜査費用の増大の見込額について政府の試算を問う。

三 足利事件等の例を踏まえ、DNA型情報の正確性担保の手段について政府の見解を問う。

四 時効制度廃止もしくは期間延長により客観証拠が散逸し、ますます自白偏重に陥るおそれがあるのではないか。冤罪防止のための具体策について問う。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
時効制度改正に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第42号
平成22年2月5日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 時効制度改正に関する質問に対する 答弁書 

一について

 公訴時効制度については、一般に、時の経過により、証拠が散逸し訴追が困難になること、被害者を含む社会一般の処罰感情が希薄化すること、さらに、犯罪後、犯人が処罰されることなく一定の期間が経過した場合には、そのような事実状態を尊重すべきこと等をその根拠とするものと解されている。 

二について 

 現在、公訴時効制度の見直しの具体的内容について検討中であり、お尋ねの 「捜査費用の増大の見込額」 の試算は行っていない。 

三について

 犯罪捜査に係るDNA型鑑定については、現在、警察庁が定めたDNA型鑑定の運用に関する指針 (平成15年7月7日付け警察庁丙鑑発第13号警察庁刑事局長通達別添) に従い、都道府県警察の科学捜査研究所において厳正に行われているものと認識しているところであるが、今後とも、DNA型鑑定に関す る科学技術の進展に応じ、より信頼性の高いものとなるよう努めてまいりたい。 

匹について

 犯罪捜査に当たっては、客観的な証拠を十分に吟味するとともに、自白の信用性について慎重に検討するなど適正な捜査の徹底に努めることが肝要であり、そのことは、公訴時効制度の見直しを行った後についても変わらないものと考えている。


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