いじめの実態把握及び加害児童生徒に対する学校の措置等に関する質問主意書

下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年一月二十六日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 平成二十一年十一月三十日に、平成二十年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(暴力行為、いじめ等)についてが公表された。いじめの認知件数については、新しい調査方法が導入されると増え、その後は基本的に下がる傾向があり、平成十九年度のいじめの認知件数が十万一千九十七件であったのに比べ、平成二十年度は八万四千六百四十八件と、今回の調査結果でも同様となっている。しかし、都道府県によって認知件数にかなりの差(最小九十件〜最大九千六百九十九件)があり統計として実態を表しているものか、本当にいじめは減少しているのか、実は学校がいじめを認知していないのではないか、いじめの実態が隠ぺいされているのではないかなどの疑問がある。
さらに、いじめの被害をうけた児童生徒が不登校になると、「適応指導教室」に通うことを教育機関側から勧められるが、「適応指導教室」では主要科目の授業すらないので、学校に戻っても授業についていけない等の指摘がある。

従って、次の事項について質問する。 

一 いじめに関する「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果は、実態を反映したものと考えるか。もし実態を必ずしも反映したものでないと考えるなら、より正確に実態を把握するために、いかなる取り組みが考えられるか。

二 平成十八年十二月に北海道教育委員会が行ったいじめ実態調査に対し、北海道教職員組合が道内全二十一支部に、協力しないよう「指導」していたことが『読売新聞』で報道されている。北海道教職員組合本部の書記長は『読売新聞』の取材に対し、調査への組織的な非協力を文書で指導したことを認め、「いじめの実態は学校現場で把握し、対応している。全道一律の調査は必要ない」などと話しているが、文部科学省はこの事実を把握しているか。

三 二において事実を把握している際は、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の実施にあたり、教職員組合等による調査への非協力や実態の隠ぺいなどが行われているのであれば調査の正確は期し難いが、どのような対策を講じているのか。

四 「適応指導教室」で行われている適応指導の実態について。特に主要科目の授業が充分に行われているか。

五 第一に守るべきはいじめの被害を受けた児童生徒であり、加害児童生徒こそ「適応指導教室」に通わせて指導すべきとの考えがあるが、見解を問う。

六 学校教育法十一条には「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」とあり、同法三十五条には「市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。(以下略)」とある。平成九年度〜平成二十年度までに、いじめを理由とする出席停止処分が小学校で〇件、中学校で〇件〜最大七件と、いじめの認知件数に比して著しく低く、加害児童生徒に対する処分が適切に行われていないのではないかとの疑問がある。学校教育法に基づく出席停止処分等の措置の遵守について、文部科学省として都道府県・政令指定都市の教育委員会に通達等を行う考えはあるか。 

  以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出
いじめの実態把握及び加害児童生徒に対する学校の措置等に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第41号
平成22年2月5日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 いじめの実態把握及び加害児童生徒に対する学校の措置等に関する質問に対する 答弁書 

一について

 文部科学省としては、御指摘の 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」 (以下「問題行動調査」 という。) におけるいじめの認知件数については、各学校における認知の状況が反映されているものと考えている。 文部科学省としては、いじめについては、早期発見及び早期対応を行うことが重要であると考えており、都道府県教育委員会等に対し、積極的にいじめの実態把握のための取組を進めるよう指導しているところである。 

二について

 文部科学省としては、御指摘の新聞記事については承知している。 

三について 

 文部科学省としては、都道府県教育委員会等に対し、問題行動調査の趣旨を踏まえ適切に調査を行うよう指導しているところである。 

匹について

 御指摘の 「適応指導教室」は、教育支援センターを指すものと考えられるが、文部科学省としては、教育支援センターにおける具体的な指導内容の詳細については、把握していない。 なお、文部科学省としては、教育支援センターにおける教科の指導について、児童生徒の在籍校とも連絡をとりつつ、児童生徒及び教育支援センターの実情に応じて実施すべきことを都道府県教育委員会等に対し通知しているところである。 

五について

 教育支援センターは、不登校の児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充及び基本的生活習慣の改善等のための相談及び適応指導を行うことにより、学校への復帰を支援し、不登校の児童生徒の社会的自立に資することを基本的な目的とするものである。 

六について

 文部科学省としては、児童生徒の懲戒及び出席停止の措置に関する考え方について、「出席停止制度の運用の在り方について」 (平成13年11月6日付け13文科初第725号文部科学省初等中等教育局長通知) や 「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」 (平成19年2月5日付け18文科初第1019号文部科学省初等中等教育局長通知) 等において示し、都道府県教育委員会等に対し周知を図っているところである。


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