財務大臣の「円安誘導発言」に関する質問主意書


下記の質問主意書を提出する。
平成二十二年一月十九日

提 出 者                  馳   浩

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 一月七日、菅直人財務大臣の行った「円安誘導発言」を受けて、翌八日、円相場が下落した。このようなファンダメンタルズに基づかない口先介入の効果は一時的であるだけでなく、今後財務大臣の発言の信憑性が著しく低下し、重要な施策の説明においても効果が疑問視されるというデメリットがある。
 このような財務大臣の発言は、我が国の財政金融政策に重大な支障を生じさせ、国益を損なうものである。
 従って、次の事項について質問する。 

一 口先介入の効果は長続きしないとの見方が市場には根強いが、この見方に対する財務大臣の見解を問う。

二 また、この発言に対しては「市場にゆがみを生み、外国との摩擦の種にもなる」との批判があるが、この批判に対する財務大臣の見解を問う。

三 鳩山首相は「政府としては為替に言及すべきでない」と発言しており、閣内不一致である。この首相の発言に対する財務大臣の見解を問う。

四 現在の円高は、我が国の流動性が余りに過少であるためである。その解消のためには口先介入ではなく、インフレ・ターゲットが有効な方策である。そのようなインフレ・ターゲットに対する政府の見解を問う。

五 政府はインフレ・ターゲット政策を速やかに実施すべきである。政府はインフレ・ターゲットを実施するや否や。また、実施しないとした場合、どのようにして現在の円高を解消するのか、その方策を問う。 

 以上質問する。



衆議院議員馳浩君提出    
財務大臣の「円安誘導発言」に関する質問
に対し、下記答弁書を送付する

内閣衆質174第14号
平成22年1月29日

内閣総理大臣                  鳩山 由紀夫

衆議院議長  横 路 孝 弘 殿

 

 衆議院議員馳浩君提出 財務大臣の「円安誘導発言」に関する質問に対する 答弁書 

一から三までについて

 政府としては、為替レートは、経済ファンダメンタルズを反映するとともに、安定していることが望ましいと考えている。また、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、景気の持ち直しの動きに対して重大な悪影響を与えるものであり、為替市場の動きを厳しく注視していくこととしている。こうした点は、累次の「七か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明」において各国に共有されているところであり、財務大臣の発言はこのような考え方に沿ったものである。

四及び五について 

 現在の我が国経済は、物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。お尋ねの「インフレ・ターゲット政策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、物価安定の下で持続的な経済成長の実現を図るべく、経済財政運営を行っていくことが望ましいと考えており、デフレの克服を目指し、日本銀行と一体となって、できる限り早期のプラスの物価上昇率実現に向けて取り組んでいるところである。  


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