衆議院 青少年問題に関する特別委員会 会議録 第174回国会 第3号
平成22年4月8日(木曜日)
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【馳浩 質疑部分 抜粋】
○池坊委員長
馳浩さん。
○馳委員
自由民主党の馳浩です。 よろしくお願いいたします。
まず、「こうのとりのゆりかご」について質問をしたいと思います。
まず、この施設の法的位置づけはどうなっているでしょうか。 児童福祉法上、刑法上、適法でしょうか、違法でしょうか。
○香取政府参考人
御答弁いたします。
熊本市の慈恵病院に設置されました「こうのとりのゆりかご」でございますけれども、お子様を病院に置くという行為については、これは一応、遺棄に当たると考えておりますが、施設自体につきましては、病院内に設置されていること、それから、置かれた子どもさんにつきましては、生命身体の危険が生じないような措置が講じられているということから、私どもとしては、設置そのものが直ちに児童福祉法に違反するものではないというふうに考えております。
○馳委員
現地視察でも、熊本県、熊本市当局の説明では、命を救えるのであれば直ちに違法ではないという政府の見解と受けとめておられました。
違法ではないというだけであって、適法であると真っ正面から位置づけることはできないということなんですね。したがって、法的な位置づけが必要だと私は思いますが、大臣、そう思いませんか。
○福島国務大臣
確かにこれは違法ではないわけで、私も、この「こうのとり」の報告書を読んで思ったんですが、本当に皆さんが人道的な観点から始められて、ただ、やはり、本当はこういうものはなくなった方がいい、そういうものがない社会をつくりたいと思って、本当に人道的な観点から努力をしていらっしゃるのだというふうに思っています。
ですから、政府の見解は違法ではないということなんですが、適法か違法、私も、これはもちろん違法ではないと思います。 でも、本当は、こういう「こうのとりのゆりかご」がなくなる社会を政治としてはつくっていかなければならないというふうに思っております。
○馳委員
大臣今おっしゃっていただいたんですが、政府として、「こうのとりのゆりかご」は歓迎すべきではない施設と考えているのか、それとも必要不可欠な施設と考えているのか、あるいはやむを得ない施設として、黙認をし、設置者に感謝をしているのか、どうお考えですか。
○福島国務大臣
そうですね、二と三の間ぐらいでしょうかね。
私は、これを読みまして本当に、やっていらっしゃる方たちの人道的な思いとその努力、それからその後のフォローも含めて、頑張っていらっしゃるというふうに思っています。 ただ、こういう状況は子どもにとってもいいわけではないわけで、それがなくなるために政治は努力をすべきだというふうに思っています。
ただ、私自身は、やむを得ないということに近いのですが、子どもがよく新聞の記事などでも、生まれたばかりの赤ん坊が捨てられているとか、むしろ、亡くなっているという新聞記事に非常に心を痛めて、生きていて、だれかのもとに引き取ることができれば、その赤ん坊は本当に大事な命を全うすることができるわけで、とにかく赤ん坊の命を救いたいというのも私自身は非常にあります。 ですから、やむを得ないというよりも、今の日本の現状では必要とされているものでしょうが、本当だったら、それはなくなるようにと思います。
日本の社会で生まれてきた子どもが、その命をきっちり生かして生きるような社会を全力でつくっていきたいと思います。
○馳委員
現実を見ると、「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもを、地元自治体もできる限りのその子どもの育ちの支援をしている現状があるので、何か対応できないか、ここが、私たちが視察をしてきたときにいただいたお言葉だったんですね。
では、厚生労働省の香取さんに聞こうかな。
「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもを、法的にどのような立場の子どもとして位置づけていますか。
○香取政府参考人
お答え申し上げます。
基本的には、お子様は親御さんがそこに置いていかれたということになりますので、冒頭申し上げましたように、親御さんが子どもを置いていく行為は基本的には遺棄に当たりますので、ぎりぎりどうかと言われれば、虐待の一形態のネグレクトに当たる可能性が高いと考えております。
一応、お子様については、遺棄されたお子さんということでお引き取りをして、基本的には、そういう意味でいいますと、親御さんがいらっしゃらない、あるいは不明の子ということになりますので、通常は、社会的養護の範疇の中で国としてきちんと面倒を見る。 ですから、通常は、一定期間あった後は、県において乳児院なり、しかるべき施設に措置をしてお預かりするということになります。
○馳委員
やむを得ず、そういうふうな法的な位置づけをして対応をしていただいているわけですよね。
そこで、児童虐待防止法におけるネグレクトの一類型と判断することが必要ではないかな、そして児童福祉法上、緊急避難・一時保護施設という位置づけをこの「こうのとりのゆりかご」に与えることが妥当ではないかなというふうに私は現場を視察して思いました。
それで、ちょっと法律をひっくり返してみたんですね。 私、今から読みたいと思います。まず、児童虐待防止法第二条、ここにネグレクトの規定がありますから読みます。「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」。 ここで育児放棄というふうな読み方をし、私は余り遺棄という言葉がなじまないかなと思うんですよ。 なじまないかなというのは、まさしく匿名性だからなんですね。 ここなんですよ。
そこで、私は第三条のところを引っ張ってきたらいいのかなと思っているんです。 第三条を読みますね。 「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。」。 実は、児童虐待防止法をつくるとき、第二条と第三条では、これは相反する考え方なんですよ。 当たり前ですよね。 第二条、児童虐待の定義では、保護者はこういうことをしてはいけませんよと言っておきながら、第三条で、何人もと。
つまり、社会どこにいても子どもは、だれであっても子どもを虐待してはならないよという文言をあえて入れたわけですよ。 まさしく児童の権利利益の擁護という観点に照らせば、社会全体、虐待というのはいけませんよという規定はやはり必要だよなということでここに入れたんです。 したがって、この赤ちゃんポストが匿名性も許されているということを考えると、何人も規定を引用することによって対応できるのではないかな。そこで、児童福祉法の第11条と第12条を私はもう一度読んでみました。 第12条第3項、「児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務を行うことができる。」。ここには、「(前条第1項第2号ホに掲げる業務を除く。)」とあって、そのホの業務というのは、「児童の一時保護を行うこと。」なんですね。 これはできない。
でも、ここは、私が先ほど申し上げたように、緊急避難・一時保護施設という位置づけをした方がいいのではないかな。 したがって、この一時保護の上に緊急避難ということを書くとすれば、第12条の4、ここを読みますと、児童の一時保護施設とあって、「児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。」。 この一時保護施設の緊急避難場所という位置づけを持ってくることによって、何とか、こういった「こうのとりのゆりかご」の法的な位置づけをする。
何で私がここにこだわるか、大臣、わかりますか、法的な位置づけが必要だというのは。先ほど香取さんもおっしゃったように、ここに預けられた子どもはその後どうなるかというと、親が当然判明しない場合があるわけですよ、匿名性を認められていますから。 そうすると、施設に預けられたら措置されますから、国が2分の1、自治体が2分の1、お金を使うことになっていますよね。 この措置費というのは、結構、自治体にとっては負担が大きいはずなんですよ、ふえていますからね、今。
それを考えると、できる限り法的な根拠を用い、国としての関与を強めた方がよいのではないか。 熊本県の方も、熊本市の方も、あるいは医療法人慈恵病院さん、理事長さんも、中途半端なままにしておくことは子どもにとってよくないのではないのか、加えて、やはり負担が大きいので、これは対応できないものだろうか、こういう悩みをおっしゃっておられました。 だから、法的な位置づけ、根拠を設けるべきであり、やはりこれに取り組むべきではないのかなと私は思ったんですよ。
これは、まず香取さんにお伺いをした後、大臣に、私が今申し上げてきたことについての見解をお伺いしたいと思います。
○香取政府参考人
お答え申し上げます。
「こうのとりのゆりかご」に関しましては、私どもも内部で大分議論いたしまして、なかなか議論が難しいなと思っているわけでございますが、今先生お話ありましたように、匿名で預けることができるというところをどのように考えるかということになろうかと思います。
これは熊本県の方の報告書の中でも出てくるんですが、匿名で預けることができるということは、預ける側にしてみますと、自分がそういう行為をしたことを人に知られることがないということで、もしかしたら、そのまま行けば虐待に行ったようなケースをそこで救うことができるという面があるわけですが、他方で、いわば子どもにとってみると、出自のわからない形でだれかに預けられるということに結果的にはなるわけで、そういう、何といいますか、いい面もありますが、メリットのない面もあるということがございます。
一時保護施設は、今先生が条文をお読みになっていただいたように、行政の側で、虐待その他、問題があった子どもを保護して入れる、行政の方でそういう判断をして引き取るという形になるものですので、今のような形で、匿名のままで預けることができて、いわば受け身で行政側が引き取るものを一時保護施設、緊急保護施設というふうに位置づけてしまうと、預け入れを助長する危険があるという議論が一方でありますので、今のままの議論で一時保護施設にしてしまうというのはなかなか難しいのではないかと考えております。もう一つは、今回のケースでいえば病院でお預かりをするわけですが、私どもとしては、先ほどから先生もおっしゃったように、そういうことがないようにする努力をするということを前提として、現実にそういうふうにお預かりした子どもについては、できるだけ速やかにきちんとした措置をして、保護をして、お預かりをするという取り扱いを基本的には県の方とも相談してやっております。
なお、費用負担に関しましては、一時保護で預かった場合でも、措置で入れた場合でも、国2分の1、自治体2分の1という費用負担は同じ形になってございます。
○福島国務大臣
今、香取さんの説明を聞きながら、それは非常に納得できるところなんですが、多分、馳委員の御質問は、冒頭から、これはどういうふうな立場で見ているか、だから、この「こうのとり」を法的にどう位置づけるか、それと子どもの将来ということがやはりリンクしているんじゃないか。
今の話ですと、費用は2分の1、2分の1で変わらないけれども、どうかということでいいますと、今後の課題ですが、確かに、今、厚生労働省から説明がされたとおり、緊急避難的に一時保護が必要だと思って引き受けた場合と、親が匿名で預ける場合と、それはちょっとは違うだろう。多分、厚労省がそこで踏み出さない大きな理由は、やはりそういうのを助長したくないという思いがあるのだと思います。
ただ、「こうのとり」の果たしている役割は、とにかく今現在であることと、それはやはり、物すごくふえることがいいとは全く思わないが、必要とされるからやむを得なく存在しているということは事実なので、それについての法的位置づけや支援については、子ども担当大臣としてしっかり考えていきたいと考えています。
○馳委員
香取さんの説明は本当にわかりやすく、そのとおりだと私も思いますし、同時に、政治家という立場で大臣がおっしゃったことも、私は全くそのとおりだなと思いました。助長してはならない、けれども現実としてある、ではどうしようか。費用負担は、今のところ、ちゃんと、国、県、2分の1ずつ出しているからいいじゃないかでは済まないところがやはりあるよなと。
そこで、私は、池坊委員長に提案をしたいと思います。
「こうのとりのゆりかご」を国会としても見て見ぬふりをしてはならないと考えます。そこで、青少年特別委員会の理事会において、法的位置づけや制度上の支援、予算措置も含めて、バックアップをするための協議をするプロジェクトチームを組んでいただきたいと思います。
この青少年特別委員会においては、児童虐待防止法を議員立法として成立させ、2回にわたって改正をし、国家として、適切に対応してまいりました。 その伝統を引き継いで、池坊委員長の指導力を発揮されるよう求めるものであります。
池坊委員長の見解を求めます。
○池坊委員長
馳浩さんの今の御提案は、大変大切な問題をはらんでいると思います。 委員長としては、しっかりと受けとめ、理事会で真摯に検討したいと思います。
○馳委員
ちなみに、「こうのとりのゆりかご」に預けられた乳幼児の親権問題はどのように整理されているでしょうか。 匿名性を担保している以上は、出自の確定と、それに伴う戸籍の書きぶり、そして親権の適切な代理行使は重要な問題だと思います。 現状をまずお伝えいただきたいと思います。
○原政府参考人
お答え申し上げます。
「こうのとりのゆりかご」に預けられたお子様のように、出生届の届け出義務者が不明である場合には、そのような子を発見した旨の届け出が市町村長に対してされます。したがいまして、市町村長におきまして、その子に氏名をつけまして、それから本籍を定めて、発見された場所等を調書に記載し、その調書の記載に基づきまして戸籍が記載される、こういうふうになっております。
このようなお子様につきましては、養子縁組がされたり、あるいは未成年後見人が選任されることがございます。 養子縁組がされますと、養父母が親権者となります。 未成年後見人が選任された場合には、未成年後見人は親権者と同一の権利義務を有する、こういう整理になっております。
○馳委員
法務省、原さんにもう一回聞きます。
未成年後見人には個人しかなれないんですか、法人はなれないんですか。
○原政府参考人
お答えいたします。
現行民法におきましては、未成年後見の場合には身上監護が主な任務ということになっておりますので、法人は後見人にはなれないという現状でございます。
○馳委員
ここは私は問題ありと思っています。
個人がなる、これは司法関係者がなるのかな、あるいは、充て職で首長がなるということはまずはないですよね。そうすると、法人という言い方は、例えば児童相談所なり児童養護施設の所長なり、やはり子どもの監護また養育に責任を持つ方が、私は充て職という言い方は余り使いたくないんだけれども、法人という形で、責任を持った施設の代表者がなるということで、法人として未成年後見人になるという道が開かれてもいいんじゃないかなと思うんです。 こういう議論は今までもあったはずだと思うんですが、現行どの程度まで議論が進んでいますか。
○原政府参考人
お答えいたします。
今申し上げましたように、現行制度のもとでは法人が未成年後見人になれないわけですが、この未成年後見人の引き受け手がなかなか確保できないという問題もございますので、法人による未成年後見を認めるべきではないかという御意見がございます。 この点につきましては、未成年後見制度の趣旨や未成年後見人の確保の実情等を踏まえまして、法制審議会において検討が行われるものと承知しております。
○馳委員
検討はいつから行われるのですか。 いつまでに結論を出すのですか。
○原政府参考人
児童虐待の防止等の関連で、親権制度の見直しの議論が今法制審議会で始まっております。親権制度の見直しにつきましては、改正法の附則の規定によりまして、3年以内に必要な見直しをするということになっておりますので、来年の3月までには、必要な調査審議を法制審議会でしていただいて、その中でこの問題についても方向性を出していきたい、こういうふうに考えております。
○馳委員
大臣、今お聞きいただいたとおりなんですよ。平成20年に改正案が施行されて、3年以内に見直し、そこに親権のあり方、そして未成年後見人の、今は個人しかできないけれども、法人も未成年後見人という役割を与えられていいんじゃないか、ここまで議論が進んできているんですね。 したがって、今後一年間、法制審議会の議論にもなり、最終的には法務大臣なのか、当然、厚生労働大臣や福島さんにも、やはり検討の一員として議論がされると思います。
未成年後見人は法人も対象としないといけないのではないか、こういう議論についてどうお考えですか。
○福島国務大臣
法制審議会で今議論中ですし、親権の制限については、以前から馳委員もこの点については非常に熱心に、この問題についても協議をしたり発言をされていることは承知しているとおりです。
私は、親の親権については、ここまで児童虐待が進んでいる中では親権も万全ではなくて、何らかの制限、今よりも制限をしてもいいと実は個人的には思っております。
ただ、未成年後見の点が法人も可能かどうかについては、例えば法人にどういうものがふさわしいか、あるいは、個人ですと個人で判断、未成年後見できるわけですが、法人ですと、その意思決定をどうして、子どもの利益を最善にするときにその法人がベストを尽くせるのか、例えばそこの中での議論が適切に行われるのか、またそういう問題もありますので、子どもの利益を最善に保障するという観点から、法人も後見人になれるかどうかについては、私自身もまた研究しますし、法制審議会の議論を見守りたいと思っております。
○馳委員
おっしゃるとおりだと思います。
また、いわゆるその子どもが置かれている、後見人を必要とするような環境にもよると私は思いますし、今現在は個人だけですが、法人としてそれが未成年後見人としての役割を果たせるのかどうかという現状も踏まえて、法制審議会での議論を深めていただきたいと期待を申し上げたいと思います。
さて、次に、また大変難しい質問を大臣にいたします。
「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもが成長したときに、どのように自分の出自を理解させるかは大問題です。 大臣の見解を伺います。
○福島国務大臣
それは、子ども子どもに応じてやはり丁寧に、あなたは、本当にこの社会の中で喜んで迎え入れられて、幸せになる権利があるのだということをしっかり伝えることが大事だというふうに思っております。
おっしゃるとおり、その出自に関して、私はどこから来て、パパはだれでママはだれなのかというのを子どもが知りたいと思う気持ちはよくわかります。御存じのとおり、世界の中では法制は実にさまざまです。スウェーデンの親子に関する法律では、人工授精などを受けた場合に父親を知る権利を子どもに保障している。ちょっとスウェーデンはほかの法制とは随分違うというふうに思っております。 アメリカは、御存じ、人工授精については親との関係を切断して検索ができないようにしているのと、アメリカとスウェーデンは対極にあると思います。
ただ、私は、いろいろな、映画にもなっておりますが、子どもが、自分はどこから来て、自分は何者で、父親や母親を知りたいと思う気持ちは、人間として実は根源的にあるんじゃないかというふうにも思っております。 でも、大事なことは、いろいろな子どもがいますから、その子どもにとって、あなたが幸せになる権利があって、みんながあなたの幸せを願っているということをきちっと伝える中で、どういう形で預けられたのか、父親、母親を明らかにすることも、その父親、母親と相談の上、丁寧になされるべきだと思っております。
○馳委員
次に、「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもには、子ども手当は出せますか。
○香取政府参考人
お答え申し上げます。
現行子ども手当、4月1日から施行しております子ども手当法では、子ども手当は、子どもを監護しておられる親御さんあるいは監護者に出る、お支払いをするという構成になってございますので、今問題になっておりますように、「こうのとりのゆりかご」に預けられたお子さんは、親が不詳、いらっしゃらない、現実に子どもを監護している監護者がいない形になりますので、子ども手当の支給すべき対象者がいないということになりますので、子ども手当は支給されないことになります。
これは国会等でも議論になりまして、そういった方々に対しては、別途、安心こども基金から、お預かりしている施設に対して一定の、子ども手当に相当する措置を講じるということで考えてございます。(福島国務大臣「委員長、ちょっと一つだけ修正させてください」と呼ぶ)
○池坊委員長
福島国務大臣。
○福島国務大臣
済みません。
スウェーデンは、親子に関する法律ではなくて、スウェーデンの人工授精に関する法律です。 訂正いたします。
○馳委員
厚生労働委員会の議論を私は聞いていたんですけれども、どうなんでしょう、未成年後見人とか親権代理者等が明確である場合には、素直に出した方がいいんじゃないですか。 だめですかね。 香取さんにもう一回聞きたいと思います。
○香取政府参考人
現行法制の考え方を前提に申し上げますと、当該お子さんの生計を維持していて、監護をしているということがありますので、実際にそういう形で監護をしている、あるいはきちんとお子さんの生計を見ておられるということが要件ということになりますので、例えば、法定代理人が財産管理についての一定の権限を持っているという構成をとったとしても、現実に監護しているという構成がとれないとすると、なかなかお支払いすることはできないと思います。
考え方を全く変えて、子どもがもらうという構成をして、子どもの財産管理を例えばどなたかが立ててという構成をとると可能ですが、その場合ですと、これは一般的に、ゼロ歳の子どもから含めて財産というか手当の管理をどうするかというちょっと別の問題が発生しますので、お子さんに出すという構成が、恐らく日本以外どこの国もそうですが、なかなか難しくて、親御さんに出しているという構成をとっているとすると、法定代理人だということでお支払いをするという構成をとるのはちょっと難しいのではないかと思っております。
○馳委員
何か余り難しく考えない方がいいんじゃないかなと私は思うんですよ。
先ほどから申し上げてきた親権の中には、身上監護権と財産管理権がある。 その財産管理権を、「こうのとりのゆりかご」という施設に預けられた子ども、その財産管理権を持っている人、そして当然、監護している人、代理、代行している人が素直に受け取るようにしておけばいいだけなんじゃないですか。 そういう法的整理をすれば素直に出せると私は思うんですが、そうはならないんですかね、香取さん。
○香取政府参考人
そこはやはり、例えば親権の制度を見直して、一定の、親権に相当するような義務と責任を持つ、そういう資格とか持たれる方を用意して、その方が現実に監護と生計維持をしているという構成をとるような形をつくって、いわば、まさに親御さんのかわりの義務と権限を持っている方を立てるという構成までとって、実際にその方がやっているというところまでいくと、今でも親御さん以外でも、おじいちゃん、おばあちゃんでも面倒を見ておられれば出すという構成がありますので、そういった前提条件が整備されればそういう議論はあり得ると思いますが、今の法制を前提だと、やはりちょっと厳しいのではないかと思います。
○馳委員
今、あなた、親権について義務と責任とおっしゃったんですね。 親権には責任という概念がありましたか。 権利と義務の関係じゃなかったでしたか。 弁護士さん、ちょっと。
○福島国務大臣
親権は、権利と義務です。 ただ、義務の中にも責任が入っているというふうにも思いますが、権利と義務ですね。
○馳委員
では、香取さん、もう一度お願いします。
○香取政府参考人
申しわけありません。ちょっと言い間違えまして、権利と義務でございます。
○馳委員
あえて言葉じりをとらえて言うんじゃないんですが、僕は、親権を考えるときに、義務と責任という考え方も概念として必要なのではないかなと。 言わんとするところは、親としての責任を果たしていないのであるならば、その事実を家庭裁判所において審理、審判をし、親権を段階的に制限していくという考え方なんですよね。
こういう考え方を法的にとっている海外の実例がもしありましたら、民事局。
○原政府参考人
お答えいたします。
委員が今お話しの件は、親責任というお話だと思います。
私どもが承知している範囲内では、イギリスでは、1989年の児童法におきまして、親責任という概念を規定しております。これはどういうふうに規定されているかといいますと、親が子及びその財産との関係で法に基づいて持つすべての権利、義務、責任及び権限を意味する、こういうことが規定されております。
○馳委員
では、原さんにもう一回聞こうかな。
我が国の法制度の中で親責任という概念を持っている法律というのはありますか。
○原政府参考人
私どもが所管しております民法におきましては、先ほどお話が出ていましたように、権利と義務という表現が使われております。 ただ、親権には義務的な側面があるということと、親権行使には児童の権利利益と整合的でなきゃいかぬ、こういう観点から、平成19年の児童虐待防止法の改正におきまして、「児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであ」る、こういう「責任」という言葉が初めて使われたものであります。
そういう意味で、親権には義務のほかに責任の側面もあるということが我が国の法制においても確認されていると考えております。
○馳委員
この平成19年の法改正のときに、我が国の法制度上初めて、親としての責任が一義的にあるということがうたわれたんですよ。 なぜだと思いますか、大臣。
○福島国務大臣
子どもにとって、第一義的にその養育の責任を負っているのが親だからだと思いますし、権利と義務という中に、私、個人的には義務の中に責任も入っているだろうというふうに思っていたわけですが、第一義的責任を持つというふうにすれば、やはり子どもにとって第一義的責任を持つのは親であって、その自覚を持つべきだし、そういう支援もしなければならないという意味で、よりはっきりしたのだと思います。
責任を果たしてほしい、責任が果たせなかったらどうするかという問題が次に出てくるわけで、児童虐待防止法が、責任を持つべき親が虐待をするというところを重く見ているのだと思います。
○馳委員
では、この平成19年の法改正のときに担当していた高井政務官に伺いたいと思います。
なぜ親としての責任を第一義的に親が有すると書き込んだんですか。
○高井大臣政務官
福島大臣がお答えなされたとおり、第一義的に親に責任がある。それが今までの法制度の中でなかったということで、あえてここをきちんと明確にしようということで、立法者の意思としてお書きになられたものではないかと思います。
○馳委員
お書きになられたんじゃなくて、あなたも参加をして一緒に書いたんですから。
ここは、大臣、私たちもそうなんですよ。児童虐待防止法なんという法律、つくりたくなかったですよ、児童福祉法のこんな横出しの法律なんて。でも、2000年に、当時、チャイルドライン支援議員連盟の皆さんがばたばたとおつくりになった 。積み残しがあったので2004年に改正をし、またさらに積み残しがあったので平成19年に改正をし、こういうふうに来て、また今回、親権の問題がまだ積み残しがありますし、社会養護の体制もまだ十分ではありませんねということで、池坊委員長もこの間携わってこられたので、「こうのとりのゆりかご」等の諸問題について整理しましょうよ、こういうふうな流れになってきているんですね。
したがって、先ほど原さんからおっしゃっていただいたイギリスの親責任の問題、多分ドイツにもこういった法体系があったと思います。当時、私たちも勉強させていただきました。 権利と義務の関係は重要だと思います。同時に、一義的に親としての責任を果たしていない、では、だれがそれを判断するのか。 それは、恐らく児童相談所の方々とか、あるいは、司法に持ち込まれた場合には家裁の審判にゆだねられることになろうと私は思いますよ。
したがって、親としての責任を果たしているかどうかということについて、今後、法的に議論の一つの一里塚としていかなければいけないんじゃないかな、そういうふうに思っているということをまず申し上げたいと思いますし、先ほど委員長が、この青少年問題特別委員会の理事会で、今回の「こうのとりのゆりかご」ばかりではなく、万般にわたって意見を積み重ねて、法改正も視野にしていただけるというふうにおっしゃっていただいたので、親責任のあり方についても私は期待したいと思いますし、その責任を果たしていない以上、段階的に親権も制限されていくというようなことはやむを得ないと私は思います。次に、「こうのとりのゆりかご」について最後の質問にしますが、ここに預けられた子どもが18歳を過ぎたら、どうやって自立させますか。それこそ、この責任は社会全体にあるものと考えます。いかがでしょうか。
○福島国務大臣
それはおっしゃるとおりです。 児童養護施設を卒業した後、大学に行く子どももいらっしゃいますが、その数は、御存じのとおり、まだまだとても少ないです。ですから、この社会の中で、親がいればいいんだけれども、そうでない、真っ裸で社会に出なくちゃいけない子どもたちが多いことも理解しておりまして、この「こうのとり」の、巣立っていく子どもたち、それから、児童養護施設やそういうところで社会に出る子どもたちへの支援を強化しなければならないと思っていますし、その立場で頑張ってまいります。
○馳委員
これは、「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもばかりではなく、児童養護施設に在籍する子どもすべての問題であります。
これは質問通告してあったと思いますが、地方自治体ごとに、こういった児童養護施設を18歳で出なければならない子どもたちについて、具体的にいろいろな支援メニューが取りそろえられているはずなんですね。もしそのメニューがありましたら、実例等もお知らせいただきたいと思います。
○香取政府参考人
養護施設から18歳で出ていかれるお子様たちにつきましては、まず、国の制度としては、進学に際しまして、大学等進学支度費ということで、約77000円の加算をいたしております。国として、就学支援の加算、それから支度金というのを出しておりますけれども、それ以外に、国のそういった基準に加えまして、各自治体でそういった加算でありますとか、あるいは、外へ出て御自分でアパート等を借りる場合の敷金、礼金の支援でありますとか、そういったものをしていらっしゃいます。
今ちょっと言いかけましたが、国の支度金が77000円なんですが、例えば、神奈川県ですとこれに28000円の加算をする。 あるいは、福岡市ですと45000円の加算をする。 あるいは、神奈川県は同様に、家賃補助ということで、敷金、礼金の支援ということで12万円程度の資金を出すというような形で、それぞれ国の施策に上乗せをしたさまざまな手当てをしてくださっております。
○馳委員
これは、本人の立場になってみましょうよ。 18歳になったら、残念ながら、法的に外にほうり出されてしまうわけですよ。
では、泉さんに聞こうかな。あなたが18歳になったら家を追い出されて、何もなく、自立するとしたら、何があればいいなと思いますか。
○泉大臣政務官
それは、やはり最初は衣食住を整えなければいけませんので、住む場所、そして着るもの、食べるものという意味での最低限の生活費。 その後に、職を見つけなければいけないなというふうに思いますので、仕事先。 また、その仕事先を見つけるに当たってのいろいろな準備も必要だというふうに思いますので、そういったものからまず必要になるのかなというふうに思います。
○馳委員
やはりそうですよね。仕事ということを考えたら、資格。 資格の第一歩は運転免許かな。 あるいは、専門的な職業につくのであるならば、理容、美容、調理人、あるいは介護等、そういった資格を取れるような専門学校あるいは大学等への進学もしたいところですよね。 しかし、どの程度の財産を持っているのかということを考えれば、先ほどおっしゃったような7万円とか、あるいは10万円とか20万円で済む話じゃないというのは、これはだれが考えてもわかりますよね。 したがって、18歳を過ぎて社会にほうり出される前段階というのは必要ではないのかなというのが私の指摘なんですよ。
香取さん、あなたが、もし、18歳を過ぎて、高校を卒業してほうり出されたらと思いながら、ちょっともう一度、こういう支援がさらに必要だと思いますと答弁してくださいよ。
○香取政府参考人
なかなか立場上答弁しにくいのでありますが。
先生御案内のように、自立支援ホームというのがございまして、18歳で卒業した後のお子さんたちの自立の支援をしている施設がございます。 私も幾つか回ってお話を聞いたんですが、私ども、先ほど申し上げたように77000、あるいは親御さんがいらっしゃらないと20万円近いお金を出しているんですが、実は、金銭的な支援のほかに、アパートを借りる、あるいは、就職するときにやはり身元保証をしてくれということを結構言われて、残念ながら、そこはきちんとした制度上の手当て、先ほど来未成年後見の話もございましたが、実は余り手当てがされていなくて、現実には、養護施設の施設長さんですとか、そういう方が個人で保証して子どもを出していく、あるいは自立支援ホームの方がそういった形で保証するという形になっております。
それについては、私ども、何か事故があったときの損害保険のようなものに入っていただいて、それに助成をするということをとっておりますが、実際は、今の日本の社会ですと、今、アパートを借りるにも身元保証人が要りますので、実は一つはそういうことがもうちょっと本当は必要なのではないかというふうに思っております。
○馳委員
そうなんですよ。 私、実はここに結びつけたかったんですよ、さっきの未成年後見人制度の話も。
個人には、今香取さんがおっしゃったようなことは物すごく負担がかかるわけですよ。 そうした場合に、法人として責任を持ちますよというふうな、まさしく未成年後見人制度でありますから、これは、18歳で出た後、19、20、まあ2年間のことかもしれませんが、この2年間というのは自立に向けての助走期間として極めて重要な期間だと私は思うんですね。 私は、そのことを実は指摘したかったんですよ。
大臣、そのことの関係でありますか。
○福島国務大臣
今ので、馳委員がなぜ法人を未成年後見と言って、今、18から20までの身元保証人を法人でやったらどうかということを御提案なさったかがわかりました。
私は、ドメスティック・バイオレンスに取り組んできて、とりわけ、参議院ではDV防止法をつくり、衆議院では児童虐待をやり、当時、そういう関係があったわけですが、女性に関しては、各都道府県に配偶者暴力相談支援センターをつくり、また、極めて財政難の折、厳しいけれどもNPOも結構できて、シェルターができたりしているわけです。
ふっと思うと、子どもはやはりどうしてもとても弱い。 それで、例えば高校ぐらいで親に虐待を受ける、性暴力を受ける、逃げたいと思って、そういう子どもたちが行く場がない。 子どもは経済力がないので、子どものためのシェルターとか子どもの家というのはないんですね。 ですから、これはちょっと壮大な、大きな、将来的な話ですが、子どものためのシェルターや子どもの家というのはやはり必要だと思っています。
カリヨンというNPOの家を紹介いたしましたが、そういうものがもっとふえ、そこは全く援助は受けていないんですが、そういうものを援助できる仕組みができればと思います。
○馳委員
私が言おうと思っていたことをビンゴでおっしゃったので。
実は、たまたまきのう、高齢者虐待防止法の見直し勉強会をして、埼玉県の行田市の福祉課の皆さん方に来ていただいて勉強していたんです。 全国で唯一、埼玉県の行田市は、高齢者虐待、児童虐待、障害者虐待の条例を平成17年におつくりになって、その支援体制をつくっているんです。 DVも含めれば、まさしく家族に対する支援。 私たちも、児童虐待防止といいながら、要は、虐待しているのは親であり、保護者であり、家族の問題として総合的に取り組んできているんですよ。そう考えると、埼玉県行田市の条例として一括して取り組んでいるという問題は、よく考えれば、全部これを担当しているのは、幾ら私たち国会で法律をつくっても、市町村の現場なんですよ。 ところが、市町村の現場で、司法関係者、医療関係者、福祉関係者、教育関係者、みんな同じような人にばらばらに各個別事業に基づいて予算が割り振られて、仕事が割り振られて、仕事が与えられる方は、児童虐待もやらなきゃいけない、DVでお母さんの審判で行かなきゃいけない、障害者の対応も、障害者はより専門性が必要なので、都道府県が一義的にはやはりそれは責任が多いんですが、でも、現場は、走っていくのは市町村の職員ですよ。
こうなったときに、今大臣がおっしゃった子どもの家、女性の家というよりも、そういったシェルター的な、家族として支援できるような場所というのは今後必要になってくるんですね。
ちなみに、ある意味でいえば、我が国の地域の実情を考えると、そういう役割は公民館とか、もっと昔々でいえばお寺さんとかお宮さんとか、そういうところが果たしてきていますよね。 私は、ここはなかなか難しい議論をしているつもりなんですけれども、やはり受け皿も、その法的根拠も、我々国会において考えていかなければいけないんじゃないのかなと思っているんです。
だから、法務省の原民事局長もいろいろな事案を分析しておられる立場にありますが、私は、まさしく児童虐待というのは、事案を分析した上で、調査だけではだめで、分析した上で、全体としてどう取り組んでいくかという姿勢が必要だと思うんですよ。 改めて大臣の見解を求めたいと思います。
○福島国務大臣
おっしゃるとおりです。虐待の問題も子どもの人権問題も、親支援だったり家族支援でないとやはりこれはできないというふうに思っています。 それも、地域で応援する必要がある。
それで、今、実は、子ども・若者ビジョンをつくる過程の中でいろいろなところに出かけているんですが、だんだん議論が収束してきて、どうやってつくるかというと、子どもオンブズパーソンのところでもそうですし、カリヨンの取り組みもそうなんですが、子どもを真ん中に置いて、例えば弁護士、保健師、ソーシャルワーカー、学校の先生、場合によっては警察、いろいろな大人が周りでチームを組んでその子どもがおっこちないように助ける、その家族を支援していく。 そのとき、一人だけが背負うのではなくて、やはり専門家チームがいることがいいと。
兵庫県川西市は、オンブズパーソンが教育関係と心理学と弁護士だったんですね。 やはり専門家が、専門というか、それぞれスキルのある人が取り囲むことが大事で、そういうのが地域でやれたらいいというふうにも思っています。 そのための仕組みづくりをどうしたらいいかを、今、子ども・若者ビジョンを書き込むに当たって考えている途中です。
でも、馳委員がおっしゃったように、虐待があって、では分離すればいいとか、処罰すればいいという話ではなくて、虐待に行きそうなところや、ついうっかりとか、あるいは明らかに問題を抱えているところを、オンブズパーソンなんかもそうですが、関係をつくり直すことが早期に専門家の力もかりながらやれるかということを、やはり仕組みづくり、しかも実質的な仕組みづくりを、新しい公共という概念とも一緒にやっていきたいと思っています。
○馳委員
私も、まだ埼玉県行田市を見習いながら、早く障害者虐待防止法もつくりながら、最終的にはDVも含めて包括的に対応していくべきであり、これを支えることこそ新しい公共の姿であろうかなというふうに思います。
済みません、最後、残り、放課後児童クラブの話をして終わりますが、これは結論から最初に言います。私は、学童保育推進基本法のようなものが必要だと強く強く昔から思っているんですよ。
大臣、どう思いますか。
○福島国務大臣
法的必要性も含めて、しっかり検討してまいります。
私も、娘を学童クラブに入れるために引っ越しました。小一の壁、小三の壁という言葉もあります。保育園は皆さんよくわかるのですが、子どもが小学校に入って、学童クラブというのは今まで議論がまだ少なかったと思います。御存じ、学童クラブで働く人たち、女性も多いですし、非常勤で給料が安かったり、いろいろな点で、ガイドラインもなかったり、極めて不十分です。
すぐ法律ができるかどうかはわかりませんが、学童クラブは保育所と同じぐらい重要政策として子ども担当大臣としてやっていきたいと思っていますし、予算の獲得も今回40億プラスをしました。今後は、ガイドラインをつくったり、法律も視野に入れて頑張ってやっていきたいと思います。
○馳委員
余り勢い余って、一応政権は足並みをそろえておいた方がいいと思いますが。
これは、児童福祉法において、1997年でしたか、放課後児童クラブという位置づけがなされて、それまでは単なるエンゼルプランといった形で支援してきたんですが、それでは済まないよねという社会状況が起きてきたわけですよ。
基本的な数字をお伺いしますが、全国に今、学童保育、放課後児童クラブ、何カ所ありますか。プラス、高井さん、文科省が所管する放課後子ども教室、何カ所ありますか。 まず、香取さんの方からお伺いします。
○香取政府参考人
お答え申し上げます。
放課後児童クラブ、21年5月現在で、全国で1万8479カ所ということになってございます。
○高井大臣政務官
平成21年度、昨年度において、全国8719カ所でございます。
○馳委員
単純に足し算をして2万7000カ所ですね。 2万7000カ所もありますよね。
では、何人の子どもがそこに在籍しておりますでしょうか。 まず、香取さんから。
○香取政府参考人
今在籍しているお子様の数は約80万人でございます。
○高井大臣政務官
済みません、ちょっと今、箇所数だけしかなくて、数がちょっと出ませんので、調べられれば報告をいたします。
○馳委員
数はどう考えてもたくさんいるということを私は言いたかったんですよ。 たくさんいるんです。
そして、文科省の事業であったとしても厚労省の事業であったとしても、放課後の児童の居場所は、教育ですか、福祉ですかという線引きはなかなかしづらいんですよ。 だから、法的根拠を持った上で、そろそろ社会全体で子どもたちの放課後の居場所、そして教育であろうと保育であろうと、いや、単なる居場所にいて友達と一緒に騒いでいたっていいんですよ、安全であれば。
では、聞きますよ。 放課後児童クラブの事故は、厚生労働省、過去5年間どういう推移であったか、そしてどういう分析をしているか、ちょっと報告してください。
○香取政府参考人
放課後児童クラブの事故ですが、私どもの方で全国的な統計というのはとれていないんですが、国民生活センターの方で調査をしていただいた数字がございまして、直近3年で申し上げますと、平成18年が9857、19年が1万2832、20年が1万1034となってございまして、そのうち、複数回答ございますが、先ほどの一番直近の数字でいいますと、全体の半数は、クラブの中で遊んでいて転んでけがをしたとか、子ども同士ぶつかってけがをしたとか、そういうけが、事故のものがほとんどでございます。
○馳委員
それはやはり子どもの居場所ですから、安全確保について、制度としてある以上は、国が把握をし、もちろん把握するための実態調査、そして市町村、都道府県から国に報告が上がり、それを分析し、そうならないように対応していく、それが一番大事なんじゃないですか。
だから、法的根拠を持たせた上で、もちろん、指導員の給与の問題とか施設の安全性もあります。 また、障害児を受け入れているところもあれば、障害児はだめよと敬遠しているところもあります。 つまり、全部現場に、そしてほとんど民間にお任せのような現実があるから、ここはそろそろ法的根拠を持った方がいいんじゃないんですかということを私は主張しているんです。1997年の児童福祉法の改正で放課後児童クラブと位置づけられただけで、飛躍的に厚生労働省は予算づけも、また指導の方も、丁寧にやっていただけました。それによって、本当にそれによって、自治体関係者の意識も格段に改善されたんですよ。 放課後児童クラブ、学童保育、そんなの家で面倒見ればいいじゃないか、そんなことを言う自治体の首長さんとかいっぱいいたんですよ。 今、ほとんどそういうことはなくなりましたよね。
だから、私は野党だからという意味じゃないんですけれども、絶対にこの学童保育を法的根拠を持った上で推進していく政府としての姿勢が必要だなと思っていて、ずっと申し上げてきましたが、最後に大臣の見解をお伺いして終わります。
○福島国務大臣
学童クラブ、放課後児童クラブについて質問していただいて、非常に感謝しています。 これは、子ども・子育てビジョンでも、30万人ふやすということを掲げております。
私も全国の学童クラブを見ますと、親が自然発生的に一生懸命つくって、民営化してアパートに入れているとか、ですから、今まで本当に、なかなか、行政の支援もとても足りなかった部門です。
香取さんから言っていただきましたが、消費者庁担当なんですが、先月、3月に国民生活センターが学童クラブについての調査報告書を出しました。そこにもやはり事故や保険がどの程度適用されているかなどがあります。
おっしゃるとおり、これから保育所も応援しなくちゃいけないけれども、学童クラブ、放課後クラブをしっかり子育て支援の中に位置づけてやっていきたいというふうに思っておりますし、子ども・子育てビジョンでも、その位置づけをちゃんとやっております。 今回も予算を大分ふやしました。
今後、おっしゃるとおり、どう位置づけるかという法的なことも、皆さんと相談しながら、視野に入れて、しっかり検討していきたいと思います。
○馳委員
遅いな。 検討はもっともっと早くにやっておくべきだったと思いますが……(福島国務大臣「それは自民党政権のときに。これからちゃんと、すぐやります」と呼ぶ)それは言いっこなしだから。
なぜかというと、関係省庁がお互いにやはり知恵を出し合うのも必要だし、同時に、関係省庁の議論も参考にしながら議員立法でやるというのも一つの、スタート地点はえいやっとやることも必要なんですよ。
委員長、私が先ほど言ったように、児童虐待防止法の改正もそうですが、学童保育基本法というのを衆議院の青少年問題特別委員会で超党派でつくるというのも一つのテーマだと私は思いますので、この検討も理事会にお願いをして、私の質問を終わります。
以上です。
※詳しくは衆議院 会議録議事情報 会議の一覧 をご覧ください。
(特別委員会 → 青少年問題に関する特別委員会の会議録 → 4月8日 第3号 )