無駄遣い撲滅対策について(案)
平成20年12月24日(水曜日)
自由民主党政務調査会
無駄遣い撲滅プロジェクトチーム----------------------------------------------------------------
【文教部分のみ (p19〜22) 掲載】
(4) 文教・科学技術等
(文部科学省)
○ 教育関連で多数の学校・地域に全額国費負担で事業を行わせるモデル事業(20年度予算:200億円)については、今回の棚卸しを参考にして、そのすぺでの要否を抜本的に見直すべきである。
文部科学省のこうしたモデルは、すでに地域や学校で同様の試みが行われているかどうかの調査がなく、また、モデル事業に関する成功と失敗の基準が明確でないため、各事業の検証が行われていない。
全額国庫負担であるため事業終了後に普及しない、文部科学省による事業の押し付けがかえっで学校現場・地域の負担になっている等さまざまな問題がある。一方、先進的な取組が行われている地域や学校がモデル事業の対象となるとは限らない。
モデル事業のめ予算を抜本的に見直した上で、必要不可欠な事業については、自治体が事業を選べるようにするなど、その財源の半分程度は教育関連のために自治体に配分する仕組みを検討するぺきである。
文部科学省のモデル事業の対象内容については、既に各自治体で自発的に優れた取り組みが行われていることが多く、文部科学省は、優れた取組をホームぺージ・講演等により紹介・周知する活動を積極的に行うべきである。そして、モデル事業の評価を厳格に行い、検証し、効果を施策に生かすようなシステムを確立すること。
○ 独立行政法人・日本学生支援機構の奨学金事業についてもは、滞納が急増し、延滞債権が2200億円にも上っており、滞納分が国費に付け回しされている。平成23年度までに延滞債権の半減を目指し、回収強化すること。まずは、独法職員の人件費、管理運営費を抜本的に見直し、現在非効率性が指摘される独法の回収兼務は民間に委託することなどにより、法人への運営費交付金(20年度予算:76億円)を抑制すべき。
その上で、国の奨学金事業は維持しつつ、5年後(中期計画策定時)を目途に、この独法については機構運営の抜本的改革を行うべき。
○ 独立行政法人・教員研修センター(20年度予算:14億円)については、各都道府県等で行っている教員研修に加えて、国が全国の教員を一カ所に集めて研修を行う必要性は極めて高いが、人件費など運営費、研修事業費についてさらなる経費削減に努めること。施設の稼働率をさらに高めるように目標を掲げて努力すること。
○ 「心のノート」(20年度予算:4億円)については、文部科学省作成の教材を一律に配布する以上は、よりいっそう内容の改善を図り、配布されたノートの活用を推進すること。
○ 全国学力調査(20年度予算:62億円)については、何を調べたいのか明確にし、個々のデータを分析、検証し、学力向上や学習意欲向上に具体的につなげること。そして、必要なデータを国民に明らかにすべき。
○ 予どもの体力向上にむけた全国調査(20年度予算:2億円)は、既に各学校・地域で実施している体力測定もあり、現場の負担軽減、費用対効果の観点から、効率化を図る。
○ 独立行政政人・大学入試センターについては、年一回の試験のために、約100億円の実施経費と約100人の専属職員を投じているが、市場化テストを含めて工夫し、年間5億円の税金投入の縮減を努めるべき。
○ 独立行政法人・科学技術振興機構による「日本科学未来館」については、年間25億円を国費で補填している状態にあり、運営費を抜本的に見直しするとともに、民間委託の拡大等を目指して運営形態の見直しを行うべき。 さらに、都内にある三つの科学関係の博物館の連携協力を進めること。
○ 世界最高水準の研究拠点形成のための「グローバルCOEプログラム」(20年度予算:150拠点、340億円)は、目的と成果をはっきりさせるようにすべき。
○ 大学国際化のための「大学教育の国際化加速プログラム」(20年度予算:250大学、20億円)(21年度は「国際化拠点整備事業」(150億円))など、国立大学を中心とする各大学に対しては、国立大学運営費交付金等に加えて、テーマ別の補助金が多数流されているが、類似・重複する補助金を整理し、ばらまきにならぬよう優れた取り組みを重点支援できるよう対象大学数を極力絞るぺき。
○ キャリアパス多様化推進事業(4億円)については、本来市場原理でやるぺきことであり、目標設定もないこうした事業を継続する必要はない。
○ 科学技術の大型プロジェクトについては、総合科学技術会議の評価を踏まえ、実用化に向けたロードマップを国民に対して明らかにし、税金投入額の妥当性を徹底的に検証すべき。
○ GXロケット事業は、市場化の見込みおよび技術的課題の解決の目途をつけつつ、宇宙開発の全体像の中での位置づけを明確化する。
○ 深海ドリリング計画(ちきゅう)は、事業目標・事業期間を明ちかにしたうえで、独立行政法人・海洋研究開発機構の運営体制の効率化などにより各年度140億円かかる経常を検証し、効率的な連用を図る。
○ 21世紀気候変動予測革新プログラム(20年度予算:29億円)は、対象としている高精度の予測が国民の利益にいかにつながるかを明確にする。
○ 次世代スーパーコンピュータは、「世界最速のコンピュータ」を開発するために、平成24年までに約1150億円と多額の税金投入が予定されている。効率のよい運営を図り、国民の利益にいかにつながるかを明確にしていくこと。
○ 法科大学院は各大学の責任において設置されたものであり、高度化事業(概算要求額5億円)については、必要性は必ずしも認められず、さらに検討を加えること。
○ 外国人留学生修学援助費補助金(授業料減免学校法人援助)については、継続し、今後制度のあり方について検討を加えること。
無駄遣い撲滅プロジェクト・チーム報告書 「無駄遣い撲滅対策について(案)」のポイント
○ 本プロジェクト・チームの指摘事項は、21年度予算に反映する。
○ 本プロジェクト・チームとしては、指摘事項の21年皮予算への反映状況を適時適切に検証するとともに、今後とも無駄撲滅に向けて活動を続けていく。
(報告書の概要)
○ レクリエーション経費、タクシー代、広報経費・委託調査費の見直し
・レクリエーション経費は原則全廃。
・タクシー代、広報経費・委託調査費は、21年度予算において、20年度当初予算比で大幅削減。
○ 公益法人の見直し
・国・独法等から公益法人への支出(18年度9,479億円)を3割削減。
・公益法人への競争性のない随意契約を原則として全廃。
○ 独立か政法人の見直し
・整理合理化計画に盛り込まれた改革を確実に実現。
・実物資産、金融資産の保有の必要性を見直し、売却、国庫納付を推進。
○ 各分野における取組み
(1)公共事業
・公共事業の予算科目を見直し、事業費から支出する経費を限定。
広報経費・委託調査費に係る予算執行管理体制を強化し、支出内容を開示。・公用車(連絡用車両)の削減数(▲963台)と車両管理業務の委託台数の削減数(▲1,372台)を決定。 工程表に基づき22年度までに着実に削減。
(2)社会保障
・独立行政法人の見直しとして、私のしごと館について、事業を廃止。
・特別会計の保有する資産について、必要性のなくなった職員宿舎や庁舎の売却を促進。
・公益法人向け支出など35事業について、執行実績や有効性にかんがみ、効率化や合理化などの観点から徹底して見直し。
(3)エネルギー・農業
・委託調査結果の公開、共有化等を進め、各省・各部局問での重複排除。
・独立行政法人が専門性・調査資源を独占し民間機関による対応が困難な分野の調査は独立行政法人の本来業務として運営費交付金で対応することを、その例外となる場合を含め、中期的に検隷。
・外国制度・事例調査は、まず在外公館等を通じた調査の実施を検討。
(4)文教・科学技術等
・教育関連のモデル事業の抜本的見直し。
・業務部門CO2排出抑制事業の推進手法についての抜本的な見直し。
・登記の乙号事務委託入札の適正化。
・国民の権利・義務に関わるものなど重要政策以外の政府広報の廃止。
(5)総務・防衛
・総務省の管理する国家公務員体育センターの廃止、コールセンターやサーバーの運営・管理の統合、委託調査の見直しなど政策棚卸しの推進。
・防衛装備品の調達の効率化や自衛隊病院の抜本的な改革。
自民党無駄遣い撲滅PTの指摘による 21年度予算における無駄削減のポイント
◆ レクリエーション軽費、広報軽費、委託調査費、タクシー代
> レクリエーション経費を廃止 【▲3.5億円】
> 広報経費、委託調査費、タクシー代を3割以上削減 【▲554億円】
◆公益法人の見直し
> 公益法人への支出(対18年度比▲41.4%) 【▲3,928億円】
> 公益法人の基金を見直し、不要額を国庫返納 【歳入:654億円】
◆特別会計の見直し
> 特別会計の見直しの対象とすべき歳出を削減。 【▲1兆2,400億円】
◆独立行政法人の見直し
> 独立行政法人向け財政支出を削減。 【▲1,377億円】
> 独立行政法人保有資産の不要額を国庫納付。 【歳入:304億円】
◆政策の棚卸し
> 政策の棚卸しについては、既存の事業等について、必要性、有効性、効率性等の観点からゼロベースで見直し。【一般会計:約5,500億円】 【特別会計:約3,300億円】
(注1)上記の項目の反映額等には、重複がある。
(注2)公益法人への支出は、支出先の法人形態変更等によるものを除くと▲38.5%、▲3,651億円。
(注3)このほか、随意契約の見直しで約▲180億円。
各分野における取組の例
◆ 公共事業
> 国土交通省としては、公益法人への支出について、事務事業の必要性等の観点から見直しを行い、ほぼ4割の削減を達成。【21年度予算への反映額:1,028億円】
> 広報経貴、委託調査費、タクシー代について、予算科目の見直しによる明確化を図り、3割以上を削減。【21年度予算への反映額:193億円】
◆社会保障
> 特別会計が保有する、必要性のなくなった資産(宿舎、保養所等)を売却する。【21年度予算への反映額:44億円(見込み)】
> 労災病院の増改築については自主財源で行うこととし、そのための施設整備貴補助金は廃止した。【21年度予算への反映額:83億円】
◆エネルギー・農業
> 広報経費については、18〜20年度実施事業の必要性等を悉皆的に見直し、出先機関独自の広報誌を廃止するとともに、一者応札の解消のため競争入札手法を改善する等の見直しを実施。【21年度予算への反映額:45億円】
> 公益法人向け支出については、同一法人が3つ以上の複数受託をしている場合に少なくとも1事業廃止すること等により、大幅に削減。【21年度予算への反映額:1,338億円】
各分野における取組の例
◆文数・科学技術等
> オンライン登記申請システムについて、オンライン利用の拡大による事務の効率化を踏まえた人員配置を行い、人件糞を削減。【21年度予算への反映額:7億円】
> 奨学金の延滞債権の縮減〜新規貸付財源の確保
延滞債権約2200億円を平成23年度までに半減させることを目標として、回収の民間委託、信用情報機関の活用等の回収強化策を講じ、より多くの回収金を新規貸付財源に充てること等により、予算額を増やさずに新規貸付対象者を拡充。【21年度予算への反映額:▲60億円】
>教育関連のモデル事業の見直し
モデル事業について、内容の見直し、対象学校・地域数の削減を行い、20年度189億円→21年度125億円と総額を3割以上削減。【21年度予算への反映額:▲64億円】
◆ 総務・防衛
> 総務省の管理する国家公務員体育センター等(約10万平米)について、利用実態等を踏まえて、廃止を決定。【21年度予算への反映額:0.6億円】
> 防衛装備品の仕様の見直し、民生品の活用、短期集中契約の推進等、調達の改革によるコスト縮減。
例:戦闘機F−15近代化の集中的整備(868億円縮減) 【21年度予算への反映額:約2,800億円(暫定値)】
(注)数字は、後年度の負担の縮減を含めた契約ベース
(参考)取組ごとの反映額一覧
○レクリエーション経資 ▲3.5億円
○タクシー代 ▲24億円
○広報経費 ▲208億円
○委託調査費 ▲323億円
○特別会計の支出 約▲1兆2,400億円
(うち、地方道路整備臨時交付金の廃止によるもの約6,800億円)○随意契約の見直し ▲180億円
○公益法人への支出(18年度支出実績比) ▲3,928億円
(支出相手先の法人形態の変更等によるものを除くと、▲ 3,651億円)○公益法人の基金の見直しによる国庫返納 654億円
(21年度歳入計上額)○独立行政法人への財政支出 ▲1,377億円
○独立行政法人の不要資産の国庫納付 304億円
(独立行政法人改革法案の成立により可能となるもの。21年度歳入計上額)○政策の棚卸し等 一般会計:約5,500億円 特別会計:約3,300億円
(※計数精査中。それぞれ重複あり)