衆議院 文部科学委員会 速記録(議事速報)

第177回国会
平成23年7月27日(水曜日)

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この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。
後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。
今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。

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馳浩 質疑部分 抜粋

○松宮委員長代理 

 次に、馳浩君。

    

○馳委員

 大臣、お疲れですか、大丈夫ですか。よろしくお願いいたします。
 朝からの議論を聞いていて、一点、放射性物質が原子力施設や管理区域の外にこれだけ大々的に漏れ出てしまったのは我が国始まって以来のことだと言われておりますし、その認識は大臣も変わりませんね。

 

○木国務大臣

 かつてジェー・シー・オーの事故がございましたが、このような発電所サイトにおいて大量にということについては、初めてだと思っています。

 

○馳委員

 そうすると、それぞれの委員会でも指摘が多々あったんですが、そうやって漏れ出してしまった放射性物質をいかにして低減をさせていくか。そして、放射性物質のついた廃棄物など、きょう議論になっておりました土壌や、これは農用地の土壌にもかかわりますよね、こういったものを低減させていく措置が必要だと思いますけれども、それには一定のルールが必要ではないかとこういうふうに言われてきているんですが、その認識は大臣も変わりはないですよね。

 

○木国務大臣

 今、課題としては、そのような放射性物質をいかに除染をしていくのかという、そういう技術の開発が求められております。
 残念ながら今そういうものがありませんので、しかし、ピンチはチャンス、まさにこういうところにこそ我が国の持てる科学技術の結集をしていかなきゃならぬと思います。

 もう一つは、いわゆるそういう汚染されたものを、除去したものをどこに持っていくのか、こういう廃棄物処理のルール、これはまさに今、環境省を中心として、もちろん経済産業省もそうでしょう、私たち文科省もそうです、まさに政府として早急に結論を出すことが求められておると思います。

 そのためには、やはり多くの、もちろんこれは、国の内外を問わずそういった知見を寄せ集めていく、そういうことが必要であろうと思います。

 きのうも、いわゆるIAEAの事務局長が私のところにも来られまして、私からもその点についての協力についてはお願いをしておきました。

 

○馳委員

 この点については、私はきょうは個人的な見解としておさめておきますが、やはり今国会中に、漏れ出してしまった放射性物質、そして、それの付着した廃棄物の処理についてのルール、これはまさしく立法です、新規立法のもとで、今大臣がおっしゃったように、最新の科学技術、除染に関する技術、そういった知見を投入して、ルールづくりと最新の科学技術を活用することを同時並行で進めていかないと、いつまでたっても今避難しておられる福島県の方々は、もとの家に戻れない、生活のめどが立たない、こういうふうになってしまうと思うんですよ。

 こういうようなルールづくり、また、最新の科学技術もどんどん活用していくということについての大臣の認識はあるということ、私の認識と変わらないということでよろしいですね。

〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

 

○木国務大臣

 私も同様な認識でございます。

 

○馳委員

 さて、きょうは、今までの震災関係とちょっと離れまして、古九谷論争について、文化財に関する論争についての質問をさせていただきます。

 十七世紀の中ごろ、我が国の色絵磁器の王者と呼ばれる古九谷が誕生しました。九谷焼のルーツとして、長らく、石川県加賀の九谷で生産されたと信じられてまいりました。しかし、1960年代以降、考古学的発掘が有田、九谷の窯跡で進められ、伝世する古九谷に類似する破片が有田から出土するに至りました。そこで、古九谷は有田で生産されたという古九谷伊万里論が起こり、有力視されています。

 しかしながら、古九谷の伝統技法は、有田ではなく加賀に受け継がれており、名品の多くは加賀に伝世してまいりました。また、加賀の九谷での色絵窯跡の発見など、新事実もわかってまいりました。

 果たして古九谷の産地はどこなのか。この問題は、一部の学者だけではなく、広く陶磁器ファンの間でも関心を持たれ、日本陶芸界の邪馬台国論争として今日に至っております。

 このような観点から、私は、昨年、東京国立博物館を初めとする独立行政法人の国立博物館において、古九谷を伊万里焼古九谷様式として展示していることに関する質問主意書を3月1日、4月15日、10月15日の三度にわたって提出をいたしました。

 本日、改めて質問をいたします。
 まず一問目です。加賀や有田のみならず、近年は、地域振興の観点から、文化財が、観光客、とりわけ外国人観光客誘致の観点から注目されています。文化庁も、文化財の活用を推進していると思います。また、国立博物館を独立行政法人化した政策も、国立博物館の持つ文化財の積極的活用を目指したものと思われますが、文部科学省の見解をお伺いいたします。

 

○木国務大臣

 御指摘の古九谷にかかわる問題ですけれども、古九谷にかかわらず文化財については、これは、地域の活性化、観光資源、あるいは振興について大変な役割が認識をされておりまして、その積極的な活用が期待をされております。

 このため、平成23年度の予算においては、新しく、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業というものを計上いたしまして、地域の文化遺産を活用した取り組みを支援することにしております。

 また、これは独立行政法人になりますが、国立文化財機構においても、文化財を活用した歴史、伝統文化の国内外への発信に努めておりまして、私どもとしましては、この文化遺産を活用した地域の取り組みについては、積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

 

○馳委員

 文化財保護法の規定から、文化財の定義を考えてみます。
 この法律には、文化財の定義は記載されているものの、指針となるメルクマールがありません。法律としては不十分です。明確な定義がなくて文化財行政をどう実施、展開するのかと私は思います。

 私は、文化財とは、風土論としても美術論としても歴史論としても、学術的にも民俗学的にも地域の誇りとなるものと考えておりますが、この見解はいかがお考えと思われますか。文化財保護法の文化財の定義とあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

 

○吉田政府参考人

 文化財保護法におきましては、文化財の定義を第二条で定めております。陶磁器などの工芸品につきましては、「有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの」というふうに定めております。

 国として、その有形の文化財のうち重要なものを重要文化財ということで指定をしておりますけれども、その基準として国宝及び重要文化財指定基準というものを定めておりまして、その明確化を図っているところでございます。

 また、文化財保護法第三条、第四条を見ますと、文化財は我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化的発展の基礎をなすものであること、あるいは、貴重な国民的財産であることなどが掲げられております。

 このように重要文化財を初めとした文化財は、学術的、歴史的、あるいは芸術的などさまざまな面で我が国の誇りとなるものであり、また、先生御指摘のように、同時に、それらの文化財をはぐくんできた地域の誇りにもなるというふうに考えております。

 

○馳委員

 ちょっと意地悪な質問を吉田さんにしますね。
 あなたが今から陶芸教室に通って陶磁器をこさえたら、それは国宝になりますか。

 

○吉田政府参考人

 百年後ぐらいであれば可能性があるかもしれません。

 

○馳委員

 百年と言われましたが、まさしく、文化財と指定をされ、まして、それがさらに重要文化財とか国宝となるに至るまでにどのようなプロセスがあったかについての評価、そしてその尺度といったものが明らかにされる、それを学術的に明らかにしていくのが文化庁のやはり仕事であると私は思うのでありますが、私のこの認識でよろしいですね。

 

○吉田政府参考人

 そのとおりだと思います。

 

○馳委員

 では、次の質問に移ります。
 文化財保護法では、文化財のうち、重要なものを重要文化財として指定しています。その一つに古九谷色絵竹叭々鳥文大皿があります。これを重要文化財に指定したときの古九谷とは学術上どのようなものを考えていたのか、お聞かせをください。

 

○吉田政府参考人

 御指摘の古九谷色絵竹叭々鳥文大皿につきましては、昭和27年3月29日に国の重要文化財として指定をしております。指定当時におきましては、一般的に、江戸時代初期に現在の石川県加賀市内で描かれたとされる色絵つきの磁器のことを、古九谷ということで認識をしておったところでございます。

 

○馳委員

 現在、東京国立博物館を初めとする独立行政法人の国立博物館では、古九谷を伊万里焼古九谷様式もしくは伊万里焼として展示しています。これは、かつて石川県で制作されたと言われた古九谷が、すべて佐賀県伊万里、つまり有田で制作されたものと断定してのことと思いますが、こうした伊万里古九谷論争は、器と絵づけ産地の問題も含め、近年の調査研究では反論資料も出てきており、決着していない問題です。

 この問題について国立博物館では断定的な表示を行っていますが、これについてはどのように判断をしておられるのでしょうか。

 

○吉田政府参考人

 一般論といたしまして、独立行政法人国立文化財機構が設置する博物館において展示される文化財の表示につきましては、機構の責任において行われておるものでございまして、国として、それについてはコメントする立場にはないかと思います。

 なお、この点につきまして、機構からは、御指摘の表示については、関係学会における学術研究の成果などを踏まえまして、当時の肥前で焼かれたと考えられるものについては、産地を伊万里とし、分類を古九谷様式として表示したというふうに聞いております。

 

○馳委員

 重要文化財として指定したときは、古九谷色絵竹叭々鳥文大皿なんですよ。それが国立博物館での表示は、伊万里焼古九谷様式となっているんですよ。
 だったら、法律改正して、伊万里焼古九谷様式と指定し直したらどうですか。それとも、学会の説というのは、今後とも、証拠が出てくれば変わり得るとでも文化庁は考えておられるんですか。お聞きいたします。

 

○吉田政府参考人

 先ほど申し上げましたとおり、国立文化財機構が行います展覧会におきましての文化財表示については、その機構の判断において行われるものでございます。
 ただ、先生御指摘の、学術的な成果といったものによりましてそれが文化財の考え方の方にも影響してくるということは、将来的にはあるかと思います。

 

○馳委員

 大臣、今聞いていて、ちょっと答えていないでしょう。私はこう言いましたよね、文化財保護法に従って古九谷色絵竹叭々鳥文大皿と指定されているんです。それが国立博物館では伊万里焼古九谷様式と表示されているんです。
 これは、一々学会の学術的な成果についてコメントしないというふうな逃げの答弁をしておられるというふうに認識を今持ったんですよ。

 私は、だったら、学会の説を、本当にそのとおりなのかということも含めて文化庁が判断する、まさしく文化財としての定義を明確に持つべきではないですか。だからさっき私は、吉田さんがつくった陶芸教室の陶磁器は重要文化財になり得りますかということを、ちょっと意地悪ですけれども聞いてみたんですよ。その基準を文化庁がつくると言ったじゃないですか。

 表示が違うんだから、文化庁として判断されるべきではないですかと思いませんか、大臣。

 

○木国務大臣

 今の、重要文化財の指定が実際の展示物として表示されていないというのは非常にわかりにくいこと、私としては、ちょっと実態把握をしてみたいと思います。

 

○馳委員

 さて、次の質問に移ります。
 我が国の重要な伝統産業である九谷焼を、そのルーツというべき古九谷が石川県産ではないとする伊万里古九谷様式として表示したことの影響について、その後の九谷焼にかかわる産業界に多大なマイナスイメージを与えました。

 また、古九谷表示イコール伊万里焼古九谷様式などという、一般国民にはおよそ理解できない認識を展開する研究者が、学会がですよ、出ておりまして、博物館や美術館での展示表示の混乱を助長しかねない問題に発展しております。このことを文化庁はどのように認識をしておられますか。

 

○吉田政府参考人

 御指摘の点につきましては、独立行政法人国立文化財機構からは、関係学会における学術研究の成果などを踏まえて、当時の肥前で焼かれたと考えられるものについては、その産地を伊万里とし、分類を古九谷様式として示している、こういうふうに聞いております。

 なお、繰り返しになりますけれども、学術的な研究や博物館、美術館での展示表示につきましては、それぞれの設置者の判断で行われるべきものと思います。

 

○馳委員

 ちなみに、私はちょっと意地悪な質問をしますね。
 この佐賀県肥前鍋島藩と加賀前田藩とどのような御縁があるか御存じですか。これは実は大きなポイントなんですよ。どうでしょう。

 

○吉田政府参考人

 古九谷が生産された当時におきまして、鍋島藩と、大聖寺藩と言っていたかと思いますけれども、その間に縁戚関係がございました。

 

○馳委員

 そうなんですよ、大臣、ここが実はこの論争の一つのポイントでもあって、鍋島藩の娘さんが二人、加賀前田藩の系列である大聖寺藩にお嫁入りしているんですよ。江戸時代における藩同士がお嫁入りをすることの意味、はっきり言いますけれども、まさしく産業的な結びつき、地域としての結びつきというものを否定することはこれはできないんです。

 むしろ、17世紀後半に伊万里から世界に向けてたくさんの陶磁器が輸出される、輸出産業となっていたことともあわせまして、また、この地域において作陶の歴史が営々と伝わってきた、これは朝鮮半島や中国から伝わってきたわけでありますけれども、その歴史と全く無関係ではないということを考えないと、何で古九谷の話と伊万里焼の話と馳さんはくっつけて話をしているのかなというふうに誤解を受けると思うんですが、実は、この両藩の縁戚関係というものは極めて大きな意味合いを持っているということを文化庁もよく理解してほしいと思っているんです。

 きょうの指摘を受けて、もうちょっとその縁戚関係を調べていただけますか。

 

○吉田政府参考人

 縁戚関係があるということは私どもも承知をしておりまして、その点で、いわゆる伊万里と当時の九谷との間の技術的な交流があったということを認識しております。

 

○馳委員

 江戸時代における藩と藩との縁戚関係、わかりやすい言葉で言えば政略結婚、いい言葉で言えば、強力なタッグチームの結成なんです。私は、この意義を産業の側面からもやはりとらえていただきたい。ここに古九谷伊万里論争の一つの原点があるということを実はお伝えしたくてこの話をしているんです。

 次の質問に移ります。
 石川県にある国指定史跡九谷磁器窯跡は、保存と活用を図るべく今後整備が検討されています。近年、この遺跡に追加指定された九谷A遺跡で発見された色絵付け窯跡や青手などの色絵磁器片の存在から、古九谷の生産遺跡であるという趣旨の説明看板などの現地表記を整備に伴い行うべきだと考えております。文化庁の見解をお伺いしたいと思います。

 

○吉田政府参考人

 国の指定史跡でございます九谷磁器窯跡につきまして、管理団体でございます加賀市において、平成24年度から遺跡の保存整備を進める予定と聞いておりまして、その一環として説明板の設置などが行われるものというふうに考えております。

 説明版の表記に当たりましては、現時点では古九谷の生産遺跡であるとの断定はなされていないわけでございますけれども、この文化財指定の趣旨を踏まえまして、適切な表記がなされるものと期待しております。

 

○馳委員

 文化庁所有の国指定重要文化財古九谷色絵牡丹獅子文銚子が、平成19年の文化庁、九州国立博物館主催日本のやきもの展で、重要文化財指定名称とは異なる伊万里(有田)古九谷様式という表示で展示されておりました。これは事実ですか。

 

○吉田政府参考人

 そのとおりでございます。

 

○馳委員

 どうして本来の名称とは違う名称の表示をして展示したのですか。

 

○吉田政府参考人

 御指摘の日本のやきもの展におきまして、その名称の中に産地名や分類名を示す部分が含まれている文化財につきましては、簡潔に、かつ観覧者にとってわかりやすく表示するという観点から、基本的に、これらの産地名や分類名を示す部分を区分いたしまして、別に表示をしたところでございます。

 御指摘の重要文化財についても、これに従いまして、伊万里(有田)古九谷様式というふうに表示をさせていただいたものでございます。

 

○馳委員

 文化庁の主催事業でこうした表示をするのであれば、重要文化財の指定名称を変更した上で実施すべきではありませんか。見解を求めたいと思います。

 

○吉田政府参考人

 重要文化財の名称は、その指定に際しまして、重要文化財を特定するためにつけられるものでございます。
 博物館における重要文化財の展示において、指定した際の名称と異なる表示がなされたとしても、その重要文化財の特定に支障がない範囲内であれば、特段の問題はないものというふうに考えております。

 

○馳委員

 特段の問題はないわけがないんです。
 では、何でそういった名称でもともと重要文化財に指定したんですかというところから始まり、先ほど私が指摘したように、九谷産地の我々石川県民としては、何でなの、ちゃんと説明してよ、だったら文化庁で名前を変えればいいじゃないのと指摘せざるを得ないんですね。いかがですか。

 

○吉田政府参考人

 江戸時代初期に九谷で焼かれた色絵磁器は、少ないながらも存在をしております。現在、古九谷とされております色絵磁器をすべて古九谷様式というふうにすることは適切でないとは思っております。
 ただ一方、古九谷が、加賀産説であるとか、あるいは生地移入説につきましては、これらを実証的に裏づける新たな学術的な知見は現時点ではまだ得られていないというようなことがございます。

 今後、古窯跡の発掘調査などに対しまして、確実に江戸初期に有田で焼かれた生地に色絵を施した磁器と、それから、九谷で焼かれた生地に色絵を施した磁器、そういったものを整理しながら研究を重ねていくということが重要かというふうに思います。

 なお、いわゆる古九谷として指定されました重要文化財は、先ほど名前の挙がりました色絵竹叭々鳥文大皿を含めまして五件ほどございますけれども、これらについてさらに研究を行う必要がございまして、現時点では、その重要文化財の名称変更などを行う段階には至っていないものというふうに考えております。

 

○馳委員

 私はさっきから一言で陶磁器と言っておりますが、古九谷は磁器でありますね。それで、有田の登り窯で色絵の破片が見つかっているんですが、登り窯では色絵磁器は焼けるんですか。

 

○吉田政府参考人

 登り窯では焼けません。

 

○馳委員

 登り窯では色絵磁器は焼けないんです。これが陶磁器界全体の共通した見解なんです。でも、有田の登り窯で四つの色絵の破片、そのうち、陶器が三つ、磁器が一つ、これが見つかったことが、先ほど次長もおっしゃいました古九谷伊万里説の有力な考古学的な証拠になっているんですよ。でも、登り窯では色絵磁器は焼けないんです。

 ということも含めて、さらに今論争が深まっているのが現状なんですね。一応このことを指摘して、私は、きょうは、その登り窯で色絵は焼けないということの追及をこれ以上はちょっとしません。さらに私も関係者から事情聴取した上で再度質問しますから、それまでに吉田次長もよく勉強しておいてください。

 さて、次の質問に移りますが、ここ数十年間、古九谷の名品で、東京国立博物館所蔵の古九谷色絵竹叭々鳥文大皿が一般公開されなかったため、ちまたにさまざまな憶測が流れました。それだけ世間から注目を受けているのが古九谷なんです。この古九谷が、石川県立美術館主催の加越能の美術展に2010年9月から10月の一カ月間展示されることとなったのは喜ばしいことでした。問題の名称表示は、伊万里焼古九谷様式ではなく、文化財指定名称のとおり、古九谷として展示されました。

 先ごろ、この問題に関して政府から国会答弁があり、各博物館で展示する文化財の表示は設置者の責任と判断によるものと認識しているとの見解を示されたところでありますが、文化庁の見解を再度伺います。

 

○吉田政府参考人

 さきの質問主意書に対する答弁書でお答えをさせていただきましたとおり、各博物館において展示される文化財の表示については、それぞれの設置者の責任と判断によって行われるものというふうに認識しております。

 

○馳委員

 まだそんなことを言い続けていますね。このことを本当に我々プライドをかけて石川県民としてさらに追及していきたいと思いますが、古九谷の有田産説と加賀産説とでは随分違います。

 伊万里焼、つまり有田産説では、1644年ごろから1661年ごろまでとしています。古九谷はすべて有田産で、加賀の九谷では一切焼かれていないという主張です。1659年に伊万里焼は大々的な海外輸出期に入るため、国内向けだった古九谷様式は消滅したと考えているわけです。

 加賀産説では、1655年ごろから1700年ごろまでとしています。色絵を含め、17世紀前半の有田の窯業技術を学んだという考えで、有田、九谷双方で焼かれたという主張なんです。伝世品には、伊万里素地に加賀で絵つけした古九谷があるとの学説も唱えられています。

 この古九谷伊万里論争にはまだまだ未決着の部分が多く、古代史のロマン、邪馬台国論争に似たところがあります。学術論争は大いにすべきでありますが、国がいずれかの説に圧力をかけたり、どちらかの説を優位に採用したりとすることはすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

 

○吉田政府参考人

 御指摘の、関係学会等におきます学術研究の内容につきましては、国としてこれを判断する立場にございませんので、国として、いずれかの説に圧力をかけたり、あるいは優位を持たせたりというようなことは一切考えておりません。

 

○馳委員

 むしろ、この論争を生かして、有田及び九谷の窯跡などの文化財整備と連動した文化財の実効性ある保存と活用を図り、陶磁器を好む中国人などの観光客誘致に生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

○吉田政府参考人

 我が国は、その地域の風土や人々の中ではぐくまれ、他国の文化との交流などを通じて形づくられ、現在まで守り伝えられてきました文化財が各地域で多様に、豊かに存在をしておりまして、このことは、我が国の誇り、それぞれの地域の誇りでもございます。

 各地に伝わる文化遺産の活用は、地域経済の活性化や雇用の増大の切り札ともなり得るものでございまして、文部科学省といたしまして、平成23年度予算において、新たに、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業を計上し、史跡整備や博物館活用のための取り組みも含めまして、地域の文化遺産を活用した観光振興、地域活性化の総合的な取り組みを支援することとしております。

 文部科学省としては、今後とも、文化遺産を活用した観光振興、地域活性化の取り組みを支援してまいるつもりでございます。

 

○馳委員

 経済産業省にお伺いをいたします。
 有田焼や九谷焼などの伝統工芸品の商標登録等、文化財名でもあるブランドの保護はどうなっているのかをお伺いいたします。
 特に中国や韓国では、まがいもののなんちゃって有田焼やなんちゃって九谷焼が登録をされているということはありませんか。お伺いいたします。

 

○橋本政府参考人

 ブランドについてお答えいたします。
 まず、有田焼、九谷焼ともに中国で第三者により登録されているという事実が確認されておりまして、特に有田焼につきましては、その登録商標の存在により、有田焼の名称を使用した商品を、実際の有田焼を焼いた方が展示会に出展できないといった被害があったと承知しております。
 なお、韓国においてはそのような被害は聞いておりません。

 経済産業省では、こうした伝統工芸品を含む中国などにおける日本のブランド保護に関しまして、海外での法的対応のマニュアル、これを作成、配付する、あるいは自治体、関係団体へ支援する、それから、中国政府への働きかけなどによって対応策を実施してきたところでございます。
 このような中国政府への働きかけによりまして、近年、中国側は、例えば日本の地名などにつきましては厳格に審査するということを約束するなど、この問題に対する姿勢が変わりつつございます。

 経産省、政府としても、引き続き中国政府との協議、情報交換等を行い、我が国の自治体、関係団体等に対する支援策の充実を図っていく所存でございます。

 

○馳委員

 その姿勢はわかったんですが、この有田焼は、撤回させて損害賠償を請求したんですか。
 お伺いいたします。

 

○橋本政府参考人

 お答えします。
 私どもの今の調査では、有田焼につきましては、中国側の制度によりまして、例えば、商標登録をされますと公告という制度があって、その三カ月以内は異議申し立てが可能、あるいは取り消しの審判が可能ということでございますけれども、本件は、残念ながら既に法的な期限を過ぎてございまして、したがって、この通常の手続ができない。

 ただし、不正手段によって取得された登録につきましてはまだ主張できる可能性がありまして、そういう可能性はございます。
 それから、商標を使っておりませんと不使用取り消しという制度がございますので、もし使っていなければ、そういった形での取り消しの審判の請求ができるということになってございます。

 

○馳委員

 取り消しの審判ができるというだけで、していないんですかということを私は聞いているんですよ。
 これは、きょうは大臣に問題意識を持ってもらった方がいいと思うんです。敵もさる者というか、中国もひどいことをやりますよね。結局、有田焼という名前を先に登録しちゃって、それで商品をつくって売りさばいているんですよ。有田焼です、有田焼ですと言えば、日本から中国に観光客で行った人、あるいは世界的に、柿右衛門の話などをしてもいいと思いますが、ああ、これはそれに違いないと言って、有田焼というブランド名になっていると言って買い求める人はそれはいます。これは明らかに我が国の有田焼に対する越権行為甚だしいものでありますよ。

 私は、こういう問題は速やかに、中国の法律に従って云々ではなくて、我が国の威信をかけて撤回をさせ、謝罪を求め、こういったことのないように真正面から外交上の問題として、産業上の問題としても取り上げるべきだと思いますし、ましてや、重要文化財として指定される筋合いの我が国の財産じゃないですか。

 それについて私はちょっと腰が引けているなと今の御答弁を聞いていて思いました。大臣いかがされますか。

 

○木国務大臣

 馳委員の非常に見識豊かなお話をお聞きしておりました。
 私も、北陸に旅するときには九谷焼を拝見する機会もありますし、また、地域的には、佐賀の有田焼祭りにもたびたび出かけたことがございます。今お話しのように、加賀の前田藩と肥前佐賀の鍋島藩の関係についてはよくわかりました。

 その上で、やはり文化財ですから、我が国の希少な伝統文化、焼き物にしても、これがおかしなレッテルで散乱するといいますか放置されることは、これは我が国にとってもよくない。我が国よりもむしろ、世界でそういう文化財遺産を大事にする方々にとっても理解できないことだろうと思っております。

 私としては、しっかりきょうの議論を、もう一回実態の把握に努めてみたいと思っております。気持ちとしてはそのようなことで対応しなきゃならぬと思っております。

 

○馳委員

 きょうのあの特許庁の方の説明によって事態が明らかになったわけなんですよ。これは吉田さん、次長の一つの責任というか、問題意識の持ち方にもよると私は思うんですよ。なぜならば、重要文化財として文化庁が指定をしているこの伝統工芸品の有田焼について、登録商標として中国が取っちゃって、それを使っているわけですよ。

 本家本元の日本の有田焼の立場を考えてください。それを重要文化財として指定している文化庁は、もうちょっと気合いを入れて抗議して撤回させ、謝罪をさせ、賠償を求めるぐらいのことをしてもいいんじゃないんですか。それとも、今までこのことは知っていて知らんぷりしていたんですか。吉田さんに伺いたいと思います。

 

○吉田政府参考人

 私どもの方でも、そういった商標登録が中国でなされているということについては私も知っておりましたけれども、商標権の設定の問題ということでもございますので、それについては私どもの方は静観をしておったところでございます。

 ただ、先ほど大臣もおっしゃられましたように、また何ができるのかということについては、特許庁などとも相談してみたいと思います。

 

○馳委員

 静観をしていたという日本語というのは、結構都合のいい表現ですよ。静観をしていた、私が言ったように、知っていて知らんぷりしていたというのと同じじゃないですか。我が国の国益を守るためにも、文化財的な見地から、文化庁はもっとやはりびしっと怒るべきですよ。すぐに行動に移すべきであります。

 きょうはほかにも質問を用意してきたのではありますが、きょうは時間となりましたので、日を改めてたっぷりとまたこの問題について指摘をさせていただきたいと思います。
 もしそのときまでに何も吉田次長がしなかったら、きょうみたいなことでは許しませんよ。ちゃんとしっかりと行動することをお願い申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。


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 平成23 年07 月27 日 衆議院文部科学委員会速記録(議事速報) 

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