衆議院 文部科学委員会 会議録

第174回国会 第10号 

馳浩 質疑部分 抜粋

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 【午後の質問へ】

【午前の質疑】

○田中委員長

 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 おはようございます。自民党の馳浩です。
 法案に入ります前に、最近報道で、また事業仕分けが始まるようでありますが、私は実は心配しているんですね。 今回視察にも参りました日本原研機構、これも研究開発分野の独法ということで事業仕分けの対象には入っておりますが、実際に原研機構が対象になるかどうかはまだ定かではありませんよね。
 この間視察に参りましたときも、理事長の岡崎さんという方は、元科技庁の事務次官として田中眞紀子大臣にもお仕えしたようでありまして、いわゆるガバナンスについても、組織運営について大変物事がわかっていらっしゃって、国内だけではなくて国際的にも大変評価の高い方であります。
 私は事業仕分けを否定しているものではありませんが、ところが報道のされ方等によっては、国がなさなければならない研究開発のリード役、特に基礎研究の推進役といったものは、民間にどうぞやってくださいと言ってもなかなか難しい分野なんですね。 したがって、まだこれから始まるわけでありますけれども、どうでしょう、大臣は何となく審判を受ける立場にあるのではありますが、研究開発分野の独法等の事業仕分けについての御意見があれば、最初にまずお聞かせいただきたいと思います。

 

○川端国務大臣

 ありがとうございます。 基本的な認識は、馳委員と私、共通している認識をしていると思います。
 事業仕分けの観点も、今回の独法に関しても幾つかの観点があると思いますが、一つは、共通して、いわゆるお金の流れが適切であるのか、効率的であるのか、不必要な人がたくさんいないか、あるいは無駄な費用を使っていないかという部分で全体を見ることは大変大事なことだというふうに思っております。
 もう一つの観点としては、独法にもいろいろな種類があるので、それぞれの役割の中で、これは前回の事業仕分けと同じでありますが、民間でできることはもう民営化してやるべきものがあればやったらいい、あるいは地方に任せた方がいいのはやったらいい、逆に、国として要るものは国としてやるべきだろうということの中で議論がされるんだというふうに思っています。
 同時に、刷新会議の中の議論として、別の形で、いわゆる国がかかわる研究というものはどういう形でどういう機能を持ってやるべきかという議論を、一方でしていただいております。

 そういう意味で、国の科学技術の進め方として、今回は我々は、グリーンイノベーション、ライフイノベーションということを柱に、地球環境とそれから命にかかわるものというのを大きな柱にしていますけれども、国としての戦略として、こういう研究テーマを国として、例えば今、山崎さんが宇宙に行かれたけれども、こういうものを重点的にやろうという戦略と、予算をどれだけ確保するのかということと、それをどこが担当するのかということは、科学技術の根幹にかかわる政策、仕組みですので、このことの中で、研究独法というのがそれぞれどういう役割を果たすべきなのかということも、総合科学技術会議の有識者議員の皆さんの御協力を得ながら、今一方で議論をしています。
 そういう意味では、ややもすると、何かばっさばっさと切るのが仕分けというイメージがあるんですが、そうではなくて、これからの特に研究独法に関しては、効率的な、無駄のないお金の使い方に心がけるのは当然のこととしてメスは入れるけれども、本来、国の研究として、例えば原子力も民間でというのは、原子炉を開発して技術移転して民間が商売するのはやっているわけですけれども、根幹の技術研究開発を民間がやることはできませんので、そういう意味では、その根幹だけは間違えない仕組みでしっかりとやっていくことは、私としても当然のことと思っております。

 

○馳委員

 私も全く同感でありまして、ここはやはり民主党政権においても、情報の発信において誤りのないようにやっていただきたいなという期待を持っております。 枝野さんが頑張っておられることは私も高く評価をいたします。
 ただ、例えば独法の人件費の問題とか、また私も午後ちょっと質問しますが、理研の随意契約の問題とか、指摘せざるを得ないところはそれは指摘をいたしますけれども、本来、こういった原子力を扱う研究の推進については、むしろ、より若手研究者の登用とか、また、世界から人材を日本に呼んできて、よりよい、人類の進展に必要となるような研究をしてもらうとか、まさしく地球の根源とは何ぞやという、分子学というか原子学というんですか、こういったことこそ我が国が世界をリードするという、このところは絶対に譲ってはなりませんし、むしろ、事業仕分けの結果、やはりもっと予算も必要だし人材も必要だし、組織としても役割があるんじゃないか、こういう議論を私は期待するものでありますので、そういう事業仕分けになることを願っております。
 視察に参りましたときに岡崎理事長がおっしゃった一言が私も大変印象に残っておりまして、ようやく処分の時代に入ったと。 なるほどな、わかりやすい一言だなと私は思いました。

 原子炉等規制法でクリアランス制度が導入されて、いよいよ、今回の放射線障害防止法の改正でクリアランス制度が導入されるに至って、これは後ほど質問しますが、最終処分も含めて、いよいよ処分をどのように取り扱っていくかということは、間違いなくリスクとベネフィットの関係からいっても必要ですし、マスコミ等に対する広報、国民に対する広報という観点からも必要な問題だと思っておりますので、改めて大臣、副大臣の指導力を発揮していただきたいと御要望申し上げながら、質問に入らせていただきます。
 まず、クリアランス制度の導入についてお伺いをいたします。
 先に質問された先生方とかぶさる部分も多くありますが、そこは御容赦をいただき、御答弁の方、お願いいたします。
 まず、放射線障害防止法で規制されている放射性廃棄物は約25万本と言われております。 現在の保管状態はどうでしょうか。 そして、安全は保たれているのでしょうか。 特に、その廃棄物を保管している現場で働く方々の安全がしっかりと守られているのかどうか、このことをまずお伺いしたいと思います。

 

○後藤大臣政務官

 25万本の保管状況でありますが、先生方も御視察いただいた原子力研究開発機構等に24万7532本、これは平成21年3月31日現在でありますが、原子力機構に12万5617本、200リットルドラム缶換算であります。 日本アイソトープ協会に11万1147本。 その他、医療、教育関係の事業者の総体で1万768本ということになっております。
 その安全の部分の担保でありますが、これも、御議論いただいております放射線防止法に基づいて、保管等を行う廃棄施設には、地崩れや浸水のおそれのない場所に設置をすること、主要構造を耐火または不燃材でつくること、遮へい壁を設けること等を義務づけております。
 そして、放射性廃棄物を保管施設に保管する場合、外部と区分をするということも決まっておりまして、扉やふた等外部に通ずる部分には、かぎ、閉鎖の施設、施錠をできるような器具を設けることというふうなことになっております。

 いずれにしましても、この廃棄施設については、一カ月を超えない期間ごとに放射線の量の測定、記録を行うということを事業者に求めておりますし、あわせて、これ以外にも、施設の定期検査、記録の定期確認を行いながら、安全な放射性廃棄物の保管ということで確保をしております。
 ここで働く方々についても、先ほども吉田議員の部分でお答えもしておりますが、きちっとした器具をつける等の法的基準を満たす中で、総量を上回らない等の確認を随時事業者個人個人でしながら、安全性については働く方々にとっても万全を期してまいりたいというふうに考えております。

 

○馳委員

 これは現状、その保管場所には何メートル以内に近寄るなとかあるいは監視カメラを置いてあるとか、あるいは働く人は健康診断を特別にやるとか、そういったことは規定されているんですか。

 

○川端国務大臣

 数字まで申し上げることが今できませんが、放射性物質の取り扱いに関しては厳格な法律がございまして、それに基づいてしっかりと管理されています。
 そういう意味で、先生方も御視察に行かれたときにも、多分、代表者の方だけかもしれませんが、バッジをつけて線量をしっかりチェックするというのは、外来者に対してもそこへ立ち入るときはということですので、それぞれの区域がイエローゾーン、レッドゾーン含めて全部区分けされておりますので、これは非常に厳格にやられていると御理解いただいて結構だというふうに思っております。

 

○馳委員

 そうですね。 我々も参りましたときに、田中委員長が代表して、線量検査の何か体温計みたいなものをつけて入られました。
 したがって、法律によって厳格に保管もされているし、作業をされる方々の健康も守られているということ、これは原点でありますので、これからもしっかり対応をお願いしたいと思います。
 それで、放射性廃棄物を廃棄物として処分すると産業廃棄物の処分コストの約3倍から10倍かかると文科省の資料で拝見いたしましたが、では、200リッタードラム缶一本当たり幾らぐらいかかっているのでしょうか。

 

○後藤大臣政務官

 日本アイソトープ協会による平成22年4月1日より適用する価格でありますが、200リットルドラム缶換算で、可燃物については13万4820円、コンクリート、金属は48万9300円というふうになっております。

 

○馳委員

 意外と高いんですね。 これが何万本も処分の対象になっているということは、やはり事業者にとっての大きなコストになっているんだなということ、そしてこれは、民間の事業者にすればより大きな負担にもなっているんだなということがよくわかりました。
 それで、新たにクリアランス制度をつくるのでありますが、そもそもその意義とは何でしょうか。 また、対象物の測定や評価方法の設定に法的根拠を与えるということでよいのでしょうか。 そして、その評価や測定方法は幾つもあるのでしょうか。 お伺いいたします。

 

○中川副大臣

 放射能の影響が無視できるような極めて低レベルの放射性廃棄物については、放射線障害の防止上特段の措置は不要であることから、例えば産業廃棄物として処分したり、あるいは再利用したりすることが合理的であり、処分コストの低減、それから合理的な研究施設等廃棄物の埋設が期待できる点で意義があるというふうなことであります。
 クリアランス対象物の測定それから評価方法については、事業者から申請のあった測定・評価方法について国が認可基準に基づいて審査して、これを認可することとしておるわけでありまして、御指摘の、法的根拠を持つかどうかというのは、これによって法的根拠が持たれる、持つということになります。
 さらに、測定・評価方法については、既に原子炉等規制法において認可実績がある方法、これを基本として、現在、専門家から成る検討会において検討中であります。 例えば、日本原子力学会における代表的な方法というのがここで列挙されているわけでありますが、放射化計算法による評価であるとか、あるいは放射線の測定法による評価、この測定法による評価も三つぐらいに分類がされるようでありますが、こういう形で、この中の適当なといいますか一番適した方法でもってクリアランスの実質的な放射能濃度の測定及び評価方法の基準をつくっていくということであります。

 

○馳委員

 ということは、三つほど分類する方法があるということですが、三つとも審査の段階で採用されるということですか。 そのうちのどれか最適なものを一つだけということでしょうか。
 私は、日本原子力学会として今検討中であるならば、一つにこだわらなくてもいいんじゃないかなという気もするんですよ。 なぜかというと、コストの問題もあるし、やはりできるだけ早い審査というものを求められるときもあるでしょうし、これはどういう仕切りになるんでしょうか。

 

○中川副大臣

 その点については、汚染の状況から、そのクリアランスしようとする対象物に含まれる核種などを考慮して、ケース・バイ・ケースで測定及び評価方法を決めているということでありますから、これを組み合わせたり、その中の一つを使ったり、その核種に適合した形の方法を選んでいくということであると思います。

 

○馳委員

 よくわかりました。
 それで、その法的根拠というのは、現行の原子炉等規制法のクリアランス制度と同様の制度であり、法的根拠となると考えてよろしいのでしょうか。

 

○中川副大臣

 放射線障害防止法に導入予定のクリアランス、この制度については、原子炉等規制法とほぼ同様の制度となっております。
 そして、クリアランス対象物の測定・評価方法が認可された場合には、当該方法については御指摘の法的根拠が与えられたものということになります。

 

○馳委員

 それから、クリアランス制度導入によって、埋設をする放射性廃棄物の量の見込みに影響を与えることに当然なりますが、現在の処分計画や処分場の立地活動はどうなっているのでしょうか。
 クリアランス制度によって見込みに影響を与えるわけですから、埋設する量は半分ぐらいに減ると先ほどからも答弁がありますから、余裕を与えることになります。ここは恐らくスペースのあきが出てくるわけでありますから、こういったところにおいて今後の処分のあり方について余裕が出てくるというふうに考えていいんだろうと思うんですが、私の考えでよろしいでしょうか。

 

○中川副大臣

 これまでの議論で出ておりましたように、放射線障害防止法で規制される放射性廃棄物は、各事業所で合計25万本ということであります。 今後も、原子力の利用に伴って年間6000本のペースで発生するものというふうに見込まれております。 この研究機関あるいは医療機関等から発生する低レベル放射性廃棄物、これについて確実に処分事業を実施していくという必要があります。
 そして、この25万本の廃棄物は、圧縮したりあるいは焼却等で埋設処分が可能な形態、いわゆる廃棄体に加工した上で処分されるということになりますので、実際の処分時には、物量としては大幅に減っていくということが期待をされます。
 このため、平成20年の通常国会において独立行政法人日本原子力研究開発機構法が改正をされまして、原子力機構が研究施設等廃棄物の処分の実施主体になっていくということにされました。
 同法に基づいて、昨年の11月には、原子力機構が今後国内で60年度までに発生が見込まれる研究施設等廃棄物として処分可能な廃棄体約60万本規模の処分場を建設するということになっています。 そういう内容のいわゆる実施計画を策定したところであります。
 現在は、この実施計画に従って、原子力機構が埋設施設の設備仕様、レイアウト等の概念設計を実施しているところでありまして、その結果を踏まえて、公平そして公正な処分場立地を行う、そのための考え方を策定していくということでありまして、これからが一番難しい、そして一番大事なところに入っていくということになります。

 

○馳委員

 よくわかりました。
 報道によりますが、地球温暖化対策で25%マイナスという目標を達成するために、我が国は原子力発電所を13基ほど増設しなきゃいけないのじゃないか、こういうふうな方針が出ておる中で、やはり岡崎理事長がおっしゃったように、処分の時代ですよ。 まさしく今回、このクリアランス制度をしっかりと法的根拠のもとにとっていくということは、必要な問題だと私は思いますよ。
 昔からよく言われるとおり、マンションをつくってトイレをつくらないような、何かそういうふうな我が国の原子力政策じゃないかという指摘を受けてまいりましたので、大いに、中川副大臣の今の御答弁のように、今後やはり計画的な廃棄物の処理のあり方といったことをより一層進めていただきたいと思います。
 そこで、クリアランスレベルの0.01ミリシーベルトの根拠は何でしょうか。 国際的に認められた基準でしょうか。 資料によりますと、一般公衆の線量限度の年間1ミリシーベルトではだめなのでしょうか。 お伺いします。

 

○後藤大臣政務官

 まず、先生御指摘のとおり、このクリアランスレベルの0.01ミリシーベルトというものは、国際放射線防護委員会、ICRPと略称するようでありますが、年間0.01ミリシーベルトを示しております。
 この基準は、被曝した個人にとって無視できるリスクに相当する線量が年間0.1ミリシーベルトのオーダーであることを踏まえ、さらにこれから、現在と将来において規制を外された複数の線源から被曝する可能性も考慮して0.1ミリシーベルトの10分の1の値としたということでございます。
 また、国際原子力機関、IAEAの安全基準においても、クリアランスレベルに係る基準として、個人に対する実効線量が0.01ミリシーベルトとしていることから、この基準は国際的にも認められている基準であるというふうに思っています。
 いずれにしましても、これらの国際基準も踏まえて、放射線審議会において、クリアランスに係る個人線量の基準については年間0.01ミリシーベルトを適用することが望ましいということが結論でございます。

 

○馳委員

 国際的に認められたレベルの0.01ミリシーベルト、これをクリアランスの基準にするということでいいんですね。
 そうすると、これは私、急に質問するので泉さんでも藤木さんでもいいんですが、国際社会でいろいろな国が放射線障害防止法を持っているのかどうか、私はよくわからないんですよ。 つまり、今、私は日本国内の話をこうやって法律に基づいてやっているんですが、国際的に0.01ミリシーベルトという基準でクリアランス制度を導入しているんでしょうか。
 これは我が国だけがやりましたと言っても、それはもちろんそれでいいんですけれども、国際的にはどうなっているんでしょうか。 これは、いわゆる放射性廃棄物の処理の問題は国際的なレベルの問題としても考えなければならず、特に我が国はJ―PARCなども通じて国際社会をリードしようとしている立場にもあるわけですから、ちょっと私は理解を深めておきたいんですが、国際社会の中でこういう基準をしてクリアランス制度をとっている国というのはどの程度あるものなのでしょうか。

 

○泉政府参考人

 海外におきましてクリアランス制度を導入している国は、ドイツ、イギリス、スペイン等がございまして、これらの国は、先ほど来御議論になってございます0.01ミリシーベルトを基準として採用しているか、あるいは採用しつつあるということで動いているところでございます。

 

○馳委員

 泉さん、私、今ちょっとしゃべりますから、資料を見ながらちょっと考えておいてくださいね。なぜかって、中国もロシアもアメリカもフランスも入っていないんですか。というか、このクリアランス制度をとっていないんですか。
 これは、もしこういう法律に基づいたクリアランス制度をつくっていないとするならば、もう一回言いますね、中国やロシアやアメリカやフランスや、どうでしょう、原子力政策を推進している国々は、むしろ我が国よりももっと率先してとらなければいけないんじゃないかと思うんですが、どういう状況になっているんでしょうか。

 

○中川副大臣

 手元にはアメリカのクリアランス制度があるんですが、米国は、我が国と同じような様式のクリアランス制度は導入はしていないんですが……(馳委員「いないの」と呼ぶ)はい。
 実は、以前より、規制された区域内で使用したものについて、規制指針、これがRG1.86というマークがついているんですけれども、この規制指針に基づいて規制当局がケース・バイ・ケースで判断することによって対応をしているということ。それから、我が国と同様の考え方、年間0.01ミリシーベルト以下によるクリアランス制度の導入がこれまで検討されてきたんですが、二〇〇五年に、米国原子力規制委員会、NRCは導入を見送った。その導入を見送った理由というのが、2005年に導入を予定された手法では複雑であって、従来どおりのケース・バイ・ケースによる対応で十分満足な対応ができるということ、だから現在やっている対応でいいということ。それから、原子炉の解体等が当初の予定よりもおくれているということもあって、まだこれからのそういう意味では課題でもあるということであります。
 それから次に、フランスでありますが、フランスにおいては、これもやはり我が国で導入するクリアランス制度と全く同じ制度ということではない。 しかし、フランスでは、その汚染の可能性によってゾーニングをやはり設定しておりまして、その区域ごとに一定の条件、例えば一定の厚さを取り除くということなどを設定して、放射性の廃棄物と通常の廃棄物とを区分して管理がなされているということであります。
 その辺の情報が、今、手元にはあります。

 

○馳委員

 中国とロシアはどうなっておりますか。 泉さん、わかればちょっと教えてください。

 

○泉政府参考人

 中国、ロシアにおきましては、このようなクリアランス制度というものは導入されていないというふうに承知しております。
 なお、先ほど私のお答えの中で、諸外国でクリアランス制度を導入している国にイギリスを挙げましたけれども、イギリスの基準は、IAEAやICRPの0.01ミリシーベルトとはちょっと異なった基準になっております。 ちょっと御訂正申し上げたいと思います。

 

○馳委員

 これは、私、ちょっと大きい問題じゃないかなと思うんですよ。 国際的に定められた基準が0.01ミリシーベルト。 我が国も、放射線障害防止法、原子炉等規制法によって、法的根拠に基づいて処分の基準を決めて、処分の方針、計画を今後立てていきますよ、それに必要な予算も使いますよというのは、これは国民性なんですかね。
 いや、私があえて言うのは、アメリカだと膨大な土地があるから、フランスもそうでしょうが、ゾーニングをして、埋設をして置いておけばいいやというだけの判断なのか。 むしろ、今後は、放射性廃棄物の処理の方針ということを考えると、国際社会はもうちょっと足並みをそろえていかないと、まさしく地球温暖化対策で原子力発電所とかはつくっていかなきゃいけない、日本もこれを海外に日本の高い技術レベルを売り込んでいこうとしているときに、廃棄物の処理の話というのは必ずセットになるはずなんですよね。
 こういった分野で我が国も法律をつくって、廃棄物の処理を適正、適法にやっていきますという以上、このことはもうちょっと強く主張していってもよいのではないかと思うんですがね。 中川副大臣、どう思われますか。

 

○中川副大臣

 確かに、どこの国でも、これから歴史が重ねられれば重ねられるほど、こうした特に発電所等々を含めた大規模施設の廃棄ということも課題になってくるわけですから、今の対応だけでいけるということではないだろうということは想像にかたくないというふうに思います。
 そういう意味で、おっしゃるように、日本は非常にかたい数値を基準にしまして、その上でこうしたクリアランスの制度をつくったということでありますので、ここのところを海外に対しても強調しながら、同じような基準レベルで国際的に協力していこうじゃないかという主張、これは十分にすべきことだというふうに思っています。

 

○馳委員

 次の質問に移ります。
 国による測定・評価方法は、どこで決めて、だれが最終的に認可することになりますか。

 

○川端国務大臣

 お答えする前に、今の前段の議論は大変大事な部分でありまして、日本は世界で一番厳しいということはもう間違いございません。
 そして、例えば放射性物質の、これはクリアランスするかどうかは別にして、その前、クリアランスをしなかったら、要するに廃棄物としてそのままあるんですけれども、これの管理の基準を含めても、廃棄物だけではなくて取り扱いの基準も、日本ほど厳格な国はほかにはないと思います。
 そういう意味では、平和利用の最先端を走る日本がむしろ国際基準をつくって、それをしっかり広めていくということが日本の役割ではないかというふうに思っております。昔、某国が原子力潜水艦の廃炉を海に捨てたという問題がありました。 そういう感覚と、日本では考えられない部分の乖離があることも現実にありますので、それは大変大事な指摘だというふうに思っております。
 そして、今おっしゃいましたことで、先ほど中川副大臣から、専門家による検討委員会において測定・評価方法の認可基準を今議論していると申しました。 それは一応、原子炉等規制法の同様の規定を参考にしながら、今専門家の中で核種ごとにどういう評価方法をどうするのかという基準を議論していただいておりますが、これは最終的には、前もしょっちゅう出てまいりましたが、文部科学省が省令で定めるということになっております。
 その部分で、測定・評価方法の認可基準を国が省令で決める、それに基づいて業者は、自分がこういう物質を取り扱うから、この方法でやりたいからということを認可申請する、それを国が認めるか認めないかという判断をして、そしてチェックしていく、こういう仕組みでございます。

 

○馳委員

 省令と言われたら私も黙っていられないんです。
 つまり、白紙委任はだめよ、基本的事項は決めて、やはり委員会でちゃんと言ってくださいよということなんですよ。 いかがでしょうか。

 

○川端国務大臣

 それで、先ほど中川副大臣から三つほどの方法ということを申しましたけれども、基本は、この基準、評価の方法というのは、やはり原子炉の規制法で同じ仕組みがありますので、基本的にはこれを見習ってやりたい。 そして、RIの方での、原子炉と違って核種が相当多岐にもわたりますので、その部分は専門的により詳細に詰めた形で決めたいというふうに思っておりますので、概略の部分は大体もう既にわかっているというふうに思っております。

 

○馳委員

 そのとおりですね。
 そこで次に、国または登録機関による測定・評価結果の確認はどこでだれがするのでしょうか。虚偽の報告書が出た場合はどうするのでしょうか。 その結果、不法投棄された場合にはどうするのでしょうか。
 虚偽報告は、国民に対する背信行為であり、罰金だけで済ませるのではなく懲役刑に相当すると思います。 こういった厳格な手続が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

 

○川端国務大臣

 認識はおっしゃるとおりだというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど来ありましたように、国が認可した方法で事業者が行ったクリアランス対象物の評価、測定の結果の確認は、国または登録機関がその業者業者の現場に赴いて確認をするということで、万が一にも虚偽の申請がなされないように現地確認をするということで万全を期したいという仕組みにしております。
 それでもまだ、万一、虚偽でやった、虚偽の申請を行い現実にクリアランス対象外のものがクリアランス対象物として世の中に流れたということに対しては、廃棄した放射性廃棄物をまず回収しなさいという命令を法律に基づいて出すということと同時に、告発により違反者の処罰、これは300万円以下の罰金等の対応を行うということで、まずは回収しなさいという命令を出し、罰金も科すように告発する。
 しかし、さらに回収しない、命令に従わないという場合には、これは極めて悪質であるということで、さらに100万円以下の罰金と一年以下の懲役、そしてそれは両方を科すこともできるというふうにして、厳罰で臨むということにして抑止力を働かせるようにしております。

 

○馳委員

 次に、クリアランス制度による経費負担は事業者の新たな負担となるのでしょうか。この経費負担には国の助成制度はあるのでしょうか。
 また、クリアランス制度の導入で、再利用や適正処分する廃棄物の量はどのくらいと想定しているのでしょうか。それによって、事業者のコストはどの程度の負担軽減をできるという見積もりをしておられますか。
 恩恵を受ける研究機関や医療機関や産業界とは、具体的にどういうような機関であり、組織でしょうか。そういう機関や組織に対する事前の十分な広報体制が必要だと思っておりますので、お答えをお願いします。

 

○中川副大臣

 このクリアランス制度を適用した場合のコストについて、今の時点で正確に算定をしていくというのはなかなか難しい部分もあるんですが、このクリアランス対象物の種類等にも依存をしていくということでもありますので、その辺を勘案しながら一定の前提を置いて試算をしますと、クリアランス制度を導入した場合の処分費用は、放射性廃棄物として処分した場合と比較をしまして約3分の1から10分の1となる見込みであります。
 クリアランス制度の導入によって、放射性廃棄物を発生させる多くの事業者がこれで恩恵を受けるということになるわけですが、主な事業者としては、放射性廃棄物を多く保管している先ほど出ました日本原子力研究開発機構、それから高エネルギーの加速器を有する高エネルギー加速器研究機構、そして理化学研究所、放射性同位元素を用いた研究を実施している大学等が想定されます。
 また、医療分野では、非密封放射性同位元素や放射線発生装置を使用する病院等があります。
 そしてまた、産業分野では、トレーサーの利用、これは流量測定とか合金腐食の解析などに使うものなんですが、そういうトレーサーの利用で非密封放射性同位元素を使用している事業者が想定をされます。
 以上のように、多くの事業者が恩恵を受けるため、クリアランス制度の経費負担についての国の助成制度は設けていかないということにしております。

 

○馳委員

 わかりました。
 それで、このクリアランス制度の結果、それでも残る放射性廃棄物の最終処分はどうお考えでしょうか。

 

○中川副大臣

 ここについては今、前の議論でも出ましたように、最終的にどこに立地を定めて、どういう形でこれを最終処分していくかということについて、法律によって計画を立てて、それが具体的に立地のできる努力を重ねていくというところでありまして、そこのところが原子力行政全般で一番大切なところになっていくというふうに思っています。

 

○馳委員

 引き続き、最終処分に向けての政府としての検討を強く求めるものであります。
 次の質問を最後にして、私はまた午後に質問をさせていただきますが、放射化物への規制についてお伺いします。
 どうして現行のガイドラインでの対応ではだめなのでしょうか。そして、今回の法改正で、どのような放射化物の規制をするのでしょうか。 その実効性をどうやって担保いたしますか。
 さらに、法律の規制によって安全を確保するためにも、事業者や一般公衆への広報、周知徹底が必要だと思っています。 法の成立後、どうやって国民に対して周知徹底を図るのでしょうか、教えてください。

 

○中川副大臣

 これまでは、出力の低い放射線発生装置が多くて、放射化物が発生することは本当にまれで、出力の高い装置を取り扱う事業者そのものが限られていたという事情がありました。 なものですから、ガイドラインということであったんですが、近年、例えばBファクトリーとかJT60あるいはJ―PARCなど、放射化物が生じる可能性のある出力の高い放射線発生装置が増加をしてきました。 恐らく、これからもそういうことになっていくんだろうと思うんです。
 放射線防護上の安全確保の必要性がこれによって高まってきたということでありまして、現実に、その中のJT60については解体が現実化をしておりまして、Bファクトリーについても次にそれが想定をされるという状況になってきたということ、このことによって、法定化をしてクリアランスをはっきりさせていくということが必要になったということであります。
 もう一つは、ガイドラインによる対応には、違反した者に対して罰則をかけるということもできなかったということでありますので、これについても法的拘束力をかけるということによってそれが可能になって、このクリアランス制度の導入とあわせて法規制の対象とすることが望ましいという判断をいたしました。(馳委員「周知徹底」と呼ぶ)
 そこは一番大切なところだと思っておりまして、関係事業者、それから、廃棄物を産業廃棄物として最終処理していく事業者に対しての、いわゆる事業者間の周知徹底と同時に、一般国民に対しても、原子力行政全般にわたって、日本の将来にとって必要なものなんだと。 その中で、最終処分ということについて同時に協力をしていただけるような、そういうことを図っていく広報活動といいますか、そんなものをさらに工夫していく必要があるというふうに思っております。

 

○馳委員

 済みません。 質問の区切りになりますので、一たんここで終わって、私はまた午後質問させていただき、公明党の富田委員に譲ります。
 ありがとうございました。


【午後の質疑】

○田中委員長

 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 共産党の宮本さんはああいうふうにおっしゃいましたが、私は一定のルールを責任を持って国家が構築をするという、一歩前進ということで、この法案には賛成したいと思っております。
 ちょっと息抜きという意味で、先ほど川端大臣に眼鏡ふきをおすそ分けいただきまして、何で私におすそ分けいただいたのかなと思ったら、論語の一節がプリントされているんですね。 馳君、もっと人格的に勉強しなさいという思いが込められているのかなと思いながら読んでみたら、あれっと思ったんです。
 これは高校の漢文の授業で一番最初に取り上げる文章ですね。 「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。朋あり遠方より来たる、亦楽しからずや。」ところが、その次の一番大事な文章が入っていないんですよ。
 大臣、今読み上げた文章の次に来る文章はどんな文章か知っていますか。(発言する者あり)

 では、ちょっと漢文の授業を。
 これは実は、ここの後に来る文章が、孔子が一番言いたかった部分なんですね。「人知らずして慍らず、亦君子ならずや。」
 「人知らずして慍らず、」というのは、他人が自分の本当の価値を認めてくれなくても、「亦君子ならずや。」というのは、これが君子という、人としての生き方ではないかということなんですが、実は、ここで終わってしまっては、漢文の授業で終わってしまうんですよ。
 私も国語の教員をしておりましたが、そこで授業を終わるのではなくて、次にこういうことを子供たちに投げかけるのが本来の国語の授業なんですね。 つまり、他人が自分のことを認めてくれるように努力をしましょうねというのが一つの段階、さらに次の段階は、人から認めてもらうことばかりに気を持つんじゃなくて、あなたは他人を認めようとするそういう気持ちを持っていますか、さあ、高校生の諸君、あなたはどうですかと、ここまでいくのが、実は、漢文を習いながら、国語の授業として人生観を養う高校生の授業、こういうふうになるんですね。
 では大臣、感想をどうぞ。

 

○川端国務大臣

 馳先生に漢文だけではなくて人間の生き方をお教えいただいて、改めて、単なるサンプルを差し上げただけですけれども、御活用いただいたことと、大変含蓄のあるお話だというふうに思いますし、勉強になりました。 ありがとうございました。

 

○馳委員

 やはりこうやって、この文章も特に、漢文というのは韻を踏んでおりまして、小学生のころから、耳になじむ形で読んで覚える、覚えて理解をする、理解をした上で自分を振り返る、こういうふうな教育というものの進め方が大事なんじゃないかなと思って、私も急に昔のことを思って、つい申し述べさせていただきました。
 では、本題に入りたいと思います。
 廃止措置の強化についてお伺いをいたします。
 放射性廃棄物を完全に廃棄しないまま虚偽の報告をし、廃止措置を終えた事件が発生したということですが、具体的にどういう事案だったのでしょうか。 そして、この事件でだれか処罰を受けたのでしょうか。 そして、この事件での放射性廃棄物はだれがどうやって処分をし、その費用はだれが負担をしたのでしょうか。 この件についてお伺いをしたいと思います。

 

○後藤大臣政務官

 先生お尋ねの、放射性廃棄物を完全に廃棄しないまま虚偽の報告をし、廃止措置を終えた事件が発生したという事案につきましては、平成八年に、千葉県野田市にある夜光塗料会社が、放射性同位元素の使用を廃止し、すべての放射性廃棄物を処分したとの報告を行ったが、実際はラジウム等を用いた自発光塗料の放射性廃棄物が野外に放置されている事実が平成20年に判明したことだというふうに承知しております。
 この際、この部分で言えば、平成20年に文科省として、直ちに、周辺住民の安全を確保するため、応急の安全対策を実施するとともに、同社に対して安全確保措置の実施と放射性廃棄物の撤去等の措置命令を行いましたが、履行されないため、行政代執行により文科省が安全確保措置を実施したものであります。
 措置命令が履行されなかったということで、同社及び同社の代表者を措置命令違反として告発を行い、同社の代表者が罰金30万円の処罰を受けております。
 ただし、この会社は平成21年の1月28日に破産手続という部分になりまして、文科省が代執行に要した費用のトータルで599万円のうち、破産法に基づいて一部だけ、304万円が回収できていますが、それ以外は文科省が負担をしたというふうになっております。

 

○馳委員

 その代執行の命令をしたときの大臣が塩谷大臣なんですね。
 当時、罰金30万円だった、ところが最終的に、会社の経営が思わしくなく、行政代執行せざるを得なくなった、そしてそれが599万円かかり、ところが、当社が破産したので300万円ほどしか、多分、財産は差し押さえしたんでしょうね。
 こうなると、今回、廃止措置を強化することによって、こういう事案がまた起こった場合に的確に対応できるのかなという心配があるんですよ。
 したがって、だから私も先ほど申し上げたように、法改正した以上は、業者も含めて、やはり関係者に対する周知徹底をしっかりしなければいけませんよねということを改めて申し上げたんですが、後藤政務官が今おっしゃったような事件が悪い意味で理解されたら、まあ少々罰金を払えば、あとは国がやってくれるから逃げ切ろう、そういうふらちな事業者もないとは限らないわけですよ。
 今回のこの改正で廃止措置が強化されます。これで本当に大丈夫なんでしょうかということを改めて私は問わなければいけないんですが、いかがでしょうか。

 

○後藤大臣政務官

 先生がおっしゃるように、この廃止措置、クリアランス制度が導入されて、いろいろな負担増にできるだけならないようにということは、当然のことながら、事業者みずからが、クリアランス制度を活用した方がいいのか、それとも現行のまま保管をするのがいいのか、そういう意味で、選択制にしたというのは先生御案内のとおりであります。
 あわせて、廃止措置についても、30日ルールというのを基本的には見直すことにしております。
 ただし、昨今の経済環境の中で、先生からお尋ねの千葉県野田市の夜光塗料会社の事案についても、この廃止措置を終えた事案が発生し処罰をされたという事実には適用されますが、やはり経済環境全体がどうなるかによって、その部分の、先ほど大臣もお答えをしたように、本当に不届きな方がいらっしゃれば、それにどう法の網をかぶせるかというのは、まさに罰金刑ということで、むしろ強化をしたという部分も今回ございます。
 そのある意味では法律の新しい仕組みと経済環境も含めたもののバランスというのが、多分、非常に大切になってくると思いますし、ある意味での、これから手数料の具体的に政省令で決める案件につきましても、事業者の方に過度の負担にならないような形というものは配慮してつくっていかなければいけないというふうに考えております。

 

○馳委員

 それで、この法律の条文の一番最後を読むと、この法律の施行期日は、何と2年以内となっているんですね。これは、平成16年から改正に向けて議論が始まり、今回のクリアランス制度とその他改正案、強化されることになったわけなんですが、準備期間に2年もかかるんですか。 もちろん、2年以内となっておりますから半年かもしれませんが、この2年という期限を区切った根拠は何なんでしょうか。 それだけの準備期間がかかるんだと思うんですけれども、どういうことがかかるのかなと。
 法改正をして施行するまで準備期間が2年、この意味をちょっと教えていただけますでしょうか。

 

○後藤大臣政務官

 できる限り早く法施行をお願いしたいというふうに思っておりますが、一点目は、先ほども大臣、副大臣からも御答弁を申し上げているように、ある意味では、放射化物も含めたたくさんの対象があるという、その個別個別に基準を策定しているということと、あわせて、放射化物に対する規制が新たに法規制として導入をされることになります。 その場合、新たな施設、例えば汚染を検査する部屋とか廃棄設備等の新たな施設整備が必要になることが想定されます。 そういう意味で、放射化物の施行というものは、2年以内の政令で定める日というふうになっております。
 ただし、廃止措置の強化であるとか罰則の強化というのは、ある意味では、先ほど来御議論がありますように、放射化物の放射能が減衰するものを一定の確認という行為を経て放射線汚染防止に関する規制から除外する制度も新たに設けていかないと、被規制者に過剰な規制を課し続けることになります。 そういう意味で、規制の強化を行う放射化物への規制の導入や廃止措置の強化、罰則強化という、ある意味ではセットで行うということで、十分な時間ということで、2年以内の施行ということで現在国会の方で御審議をお願いしているということで御理解を賜りたいと思います。

 

○馳委員

 2年を待たずに法が施行されるように、準備の方を万般よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、きょう、ずっと法案審議という形でさせていただいてきて、やはり大事だなと思ったのは、放射線を取り扱う、要は人の問題ですから、人材育成について、この問題というのはやはり残るなと思いました。 放射性物質の取り扱いには極めて透明性の高い手続が必要だと思います。 同時に、取り扱いに精通した専門的な人材が欠かせないと思います。 人材育成についての文部科学省の見解をお伺いいたします。
 放射線業務従事者の育成は現状どうなっておりますでしょうか。 原子炉の建設、原子炉の保守点検ができる人材は足りているのでしょうか。
 また、海外の需要を踏まえ、原子力産業が日本の成長戦略の一つであることを考えると、トップレベルの研究者の育成や海外の人材育成も手がけていくことが重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 さらに、人材育成の受け皿となる原子力関係の学部や大学院が少ないのではないでしょうか。 昭和59年度では、学部レベルで10大学、大学院レベルで9大学だったのに、平成20年度では、学部レベルで2大学、大学院レベルで5大学と激減をしております。 そう考えると、別に拠点をふやせと私は言うつもりはありません。 むしろ、拠点校に対して予算配分の集中と選択が必要であると思いますし、特に、海外の人材を育成していく姿勢が政府にも求められるのではないかなと思いますので、このことをお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○川端国務大臣

 原子力政策、そして産業を進めるのに人材も中核であることは言うまでもありません。そういう意味で、国としてのいわゆる放射線取扱者主任制度という部分で、一定の技術レベルを持った人をしっかりと国家資格として位置づけるということでの放射線取扱者主任制度ということでやっていると同時に、この認定の試験は当然毎年やっているんですが、主任者になってからの定期講習等々含めて、いわゆる原子力を扱う、放射線を扱うという者の主任制度というのをしっかりと維持するというのが一つの制度であります。
 そして、現場で働く人、指導者、監督者等々もこれまた大変大事な、要するに運転も含めた大事な人材でありますので、これは放射線障害防止法に基づいて、こういう人たちをしっかり安全を確保するということと教育と訓練が義務づけられておりますので、こういう人材もしっかり確保していくことをやっております。

 さらに、先生おっしゃいました、高度な技術者ということでの取り組みの中で、御指摘のように、大学において、昔は原子核工学科とかいうのは私の学生の時代は花形の一つでありました。 私も大学院のときに、工学部の工学研究室の中の化学工学科という学科だったですが、専門講座は原子核化学工学専攻という、全部忘れてしまいましたけれども、という名前の講座もありました。 しかし、ほとんどなくなったというところから、やっと最近は、関係各位の御努力の中で、大学の中にも原子力あるいは原子核、原子という名前のつくことが復活してまいった状況にありますが、そういう中で、先生御指摘のように、やはり重点的にしっかりと応援をしながら、そこで拠点として育つようにという政策も講じているところでありますので、大学に対しての支援プログラム等々もやっておりますので、そういうことで応援をしていきたい。
 海外も、先ほど成長戦略とおっしゃいましたけれども、これから安全性を確保する中での原子炉の建設、運転というのが世界で広まっていくという中で、それを運転する人材を共通的に一緒にトレーニングしていくという制度も、各般の協力で、大勢の人の教育訓練を受け持つと同時に、技術者の派遣もやっております。 そういうことを通じて、原子力の平和利用の拡大のための人材育成と、それを通じた日本の役割を果たすということに引き続き各方面の努力をしてまいりたいと思っております。

 

○馳委員

 これは私は川端大臣を応援する意味で申し上げますが、平成22年度の予算で、新規の国際原子力人材育成イニシアチブ、これは大変すばらしいと思います。 国内で不足する原子力人材の供給、優秀な研究者、技術者の国際的集積、そして、信頼性の高い我が国の技術移転と安全の確保、特にアジアの人材育成に我が国がリーダーシップを持つことは重要であり、この新規の事業は今後ぜひ拡充をしていってもらいたいと思います。
 そういった意味で、今般の法改正に、岡崎理事長がおっしゃったように、いよいよ処分の時代に入った、そういう意味では政策の前向きなステップアップの時代に入ったという認識のもとで政府一体となって取り組んでいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

  ※詳しくは衆議院 会議録議事情報 会議の一覧 をご覧ください。
(常任委員会 → 文部科学委員会の会議録 → 4月9日 第10号 ) 


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