衆議院 文部科学委員会 議事録

 平成22年3月5日(金曜日)

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 【馳浩 質疑部分 抜粋

○田中委員長

 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 自由民主党の馳浩です。
 下村委員に引き続きまして、高校無償化法案についての質問をさせていただきます。
 3月1日、北教組の問題で、私も予算委員会で質問いたしましたが、残念ながらその後に逮捕者が出てしまいました。 そのとき、教育公務員特例法の法改正、つまり罰則の適用について必要ではないかと私が指摘をしたことに対して、鳩山総理はこういうふうに答弁しておられました。
 法令遵守というものを徹底させるというのが一つあると思います、その法令遵守で十分にそれが行き届いて改正されるのかどうかということがあろうかと思います、それが必ずしもそれだけでは十分でないというときに、法令の改正というものの必要性があるのかどうかということも、これは川端文科大臣に検討させていく必要があるのではないか、この透明化を図っていくためにもっと徹底して行わなければならないことがあろうかと思いますので、文科大臣に検討させてまいりたいと思いますという答弁を鳩山大臣がなされまして、その場で川端大臣に検討が指示をされたというふうに私は認識をしておりますが、それでよろしいですね。

 

○川端国務大臣

 その後ろに私もおりましたので、そういう認識で結構でございます。

 

○馳委員

 そして、先ほど下村委員も指摘しましたように、逮捕者が出た翌日に北教組から出たコメントが、不当逮捕である、組織弾圧であるという、組織を挙げて徹底的に闘うというコメントであったこと、また、北教組内の一部の支部においては、これまでと変わらぬ活動を継続するという文書が流されております。
 残念ですよね。 せっかく国会で真摯に、総理も大臣も答弁をいただいた、検討が始められようとしているにもかかわらず、私の質問の後に逮捕者が出た、それに対するコメントとして、現場の北教組からは、不当逮捕だ、組織弾圧だという指摘がなされた。 日教組も困っていると私は思いますよ、本音で言えば。 だって、日教組はおわびのコメントを出したんですから。
 したがって、私は、あのときに、原口大臣もおっしゃいました、鳩山総理もおっしゃいました、川端大臣もおっしゃいましたが、法令遵守は当たり前、そして、透明性が必要だという私の指摘について、検討するとおっしゃった。 まさしく今が検討する、そして法改正を視野に入れる段階であり、ことしの7月には参議院選挙が行われます。
 組合ぐるみで資金の面倒を見る、組合ぐるみで動員の面倒を見る、組合ぐるみでポスターを張ったり、戸別訪問をしたり、ポスティングをする、このことの実態が明らかになってきている中で、やはり法改正をし、一定のルールはつくる、こういう姿勢が必要なのではないんですか、そこなんですよ。 私が指摘をし、日教組に引き続き北教組も、これはやはりみずからの活動を改めていかなければいけないという殊勝な、真摯な姿勢が示されれば、私も今これ以上突っ込むのはやめようと思っていましたが、現場は違うんですよ。
 この実態を踏まえて、この国会で一定の、疑惑を指摘され、逮捕者も出した、その団体を今後どう扱っていくかということについて、この国会においてやはり一つの決着を図っていかなければいけないと私は思っていますし、我々自由民主党も法案を準備し、きょうか来週にも提出をするところです。 同じ土俵に乗って議論をいただきたいし、当然、現場を熟知する文部科学省としても、ぜひこの議論に乗っていただきたいと思っているんですよ。 大臣の答弁を求めます。

 

○川端国務大臣

 お答えいたします。
 教育にかかわる団体という意味で、教育現場における、子供たちも含めて、父兄、国民に対して大変な不安と動揺を与えた今回の事態は極めて遺憾なことだというふうに思っております。
 ただ、文部科学省が直接に監督指導するという立場ではないという法的な位置づけがありますから、この団体がどうこう言ったことを今の立場でいいとか悪いとかも申し上げられないことだけは御理解をいただきたいんです。
 今おっしゃいました部分は、そういう意味でも、先ほどから申しておりますが、今回、いろいろな資料もいただきました。 そして、一連の報道での疑惑も報じられております。 したがって、教育現場において教育公務員が法令違反をしているのであれば許しがたいことであるということで、まずはそれをしっかり確認したい。 何となくそうではないかということだけでいろいろな対処をすることは行政の正確性でいえばしてはいけないことだと思いますので、まずそれを要請いたしました。 それを踏まえて、今の教育現場がどうなっているのか、そしてそういうことを起こさないためにはどういう手法が必要なのかという中の一つに18条2項というものも位置づけられるものだというふうに私は理解をいたします。
 ただ、昭和29年でしたか28年以来、さまざまな議論で議員立法で追加をされ、その間もまたいろいろなところで出そうとして出せなかったり、出してうまくいかなかったりという経過の議論もあることも事実でございます。
 目的は、教育現場がいかにより政治的中立、安心して教育が政治的中立の環境の中で行われることが確保できるかという目的であることは一緒でありますので、そういうことを含めて、総理の指示もございますので、検討に着手したところでございます。

 

○馳委員

 検討に着手したということで、第一歩として、私は既に大臣に墨消しのないファクスを提出いたしました。 その結果、いかがでしたか。

 

○川端国務大臣

 いただきましたので、3月2日に、その資料を添えて、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会に事実関係を詳細に把握するようにという調査依頼をいたしました。 今、結果を待っているところでございます。

 

○馳委員

 私も、現地調査に行きました折にこれを提出いただいた教員とのパイプがございます。
 違った意味で恐れおののいているということを皆さんにもお伝えしておきます。 組合員が教員としてこういう資料を自由民主党の私に提出するという決意というものがどういうものかというのは、皆さんならおわかりいただけると思います。 同じ職場にいるほかの組合員からどういう仕打ちを受けるのかという恐怖でありますよね。
 したがって、彼が言っていたのは、この程度ならという一言があったことを改めて皆さんにもお伝えしておきます。 つまり、日常的に選挙活動の指示にまでかかわる、まさしく法令違反としか思えないような資料が学校機材を使ってやりとりをされ、勤務時間中に学校施設内で会議が行われている、常態化している、そんな中で、この程度ならということで資料を提出いただいたんです。

 そのことを踏まえて、北海道教育委員会だけではありません、全国の都道府県の教育委員会を通じて、法令違反のないように、法令の遵守、そして教育公務員特例法第十八条に、そして人事院規則にありますように、特定の政党を支持するため、あるいは支持しないために活動することは教育公務員は許されていないんです。 しかし、罰則がないんです。 だから、やりたい放題に現場がなっている。
 そして、組合員も被害者になっています。 上部から指示が来れば従わざるを得ない、従わないと人事にかかわるかもしれない、従わないと部活動の、顧問として部活動を担当していると、対外試合の相手にもなってもらえない、これが現場の教員の私の対する証言でした。 そんなことは、いじめというんですよ。 優越的な地位を使って、支配下にある方に対するいじめというんですよ。 これが教育現場における実態であるということを私はお伺いして、組合活動は法律上認められています。 組合の政治活動も認められています。 しかし、その美名のもとに、いかに多くの組合員が自分の時間、自分のお金を犠牲にして活動させられているのかという、このことに私たちは大きな憤りを持つとともに、是正を求めていかなければいけない。

 そして、その第一歩として、やはり国家公務員並みに、教育公務員も聖職者であるんですよ、道徳心を教え、規範意識を教える立場にある者として、これは是正されなければいけないし、法改正によって罰則も検討されなければいけないんですよと、このことを私は指摘しているんですよ。
 もう一度、大臣の答弁を求めます。

 

○川端国務大臣

 御趣旨は理解をいたしております。
 そういう中で、やはり一番大事なことは、こうした教育公務員特例法が罰則がないからやりたい放題し放題をしているという疑念をお持ちのこともよくわかります。 そして、そういうことを示唆するのではないかという証言や資料も提示をいただきました。
 したがいまして、本当にそうなのかそうではないのか。 今言われたように、非常にセンシティブな状況にあるということも理解をいたします。 そういう中で、厳正中立な立場として、教育委員会において、具体的な指示として、こういう報道があるけれども事実か、こういうオルグとか選挙専従とか、いろいろ御指摘をいただきましたが、個別具体に、こういうふうな指摘があるがそれが事実かどうかというふうにまで指示をして、調査を今させております。
 まずは、その調査の中で具体にどう出てくるのかということを踏まえて、御指摘のように罰則がないのをいいことにやりたい放題という実態なのか、現実にそういうことがどの程度行われていたのか行われていないのか、まずはその事実をしっかり踏まえる中で、先ほど申し上げたように対処してまいりたいというふうに思っております。

 

○馳委員

 資料二をごらんください。
 これは、いわゆる学習指導要領違反であり、職務専念義務違反ということでありまして、12ページもありますから、まず一枚目をごらんください、波線を引いて(一)から(五)まで、ここが私はちょっと気になったところで、今から指摘します。 読みます。
 (一)「学校から「日の丸・君が代」を排除することを基本に」、(二)「「これまでの取り扱いを変えるものではない」との道教委回答を引き出し」、(三)「校長交渉」、(四)「約二割の分会が反対の意志を貫く」、(五)「修礼の排除は前年度を上回る」。 こういう学習資料、そして上部からの指示書を出して、教育公務員としての職務専念義務違反、また学習指導要領に明確に違反することを指示しているんですよね。

 細かく読んでいきますと、極めて巧妙になっていて、物理的な抵抗をしないとか、保護者を仲間にするように配慮するとかですね。 非常にまじめな学校の先生で組合員であるとするならば、このまま従えば、なるほど、元組合員であった教頭、校長と、また元組合員もいる教育委員会の職員ともなあなあでやっているというふうに指摘をせざるを得ない、そういう資料なんですよね。
 渡辺総務副大臣にもお見えいただいております。
 この資料二についてのさらに具体的な指摘は後ほどいたしますけれども、私は原口大臣とも予算委員会でやりとりをさせていただきました。
 こういう組合というのは、地方公務員法において人事委員会に交渉団体として登録されている。
 その登録する要件として、活動の透明性、また法令遵守、これが担保される、これを一言で言うと適格性ですよね。 その適格性を確保するために収支報告書の提出とか、その収支報告書が正しいかどうか監査人を選定しチェックしてもらう。 万が一虚偽があったり、あるいは間違いがあったりした場合に、是正しなさいという勧告とか、あるいは、これはけしからぬよという命令とか、余りにもひどいから登録を一時停止しますよとか、それだけ言うことを聞かないんだったらば登録抹消しますよ、こういう規定がないんですよ。

 原口大臣もこうおっしゃいました。 法令遵守は当たり前です、それが守られていない、透明性がよくわからないという状況であるならば考える必要がある、こういうふうに段階を追っておっしゃいました。
 今までの経緯を渡辺副大臣もお聞きだったと思います。 私と川端大臣のやりとりも。 そして、これはあなたにお聞きをするということは、教職員組合の問題だけではなく、こういった登録団体としての組合活動にも踏み込む大きな社会的な問題であるとも私は自覚をしています。 これを踏まえての現状を御答弁いただきたいと思います。

 

○渡辺副大臣

 3月1日の予算委員会の席で、馳委員と原口大臣がこの職員団体の登録制度の適格性について御議論されたことはよく承知しております。
 当然、職員団体の登録制度は、構成員の範囲ですとか、規約の作成、変更や役員選挙の方法など、適格性を判断する観点から、現状記載をする要件が定められております。
 今、委員と川端大臣のやりとりというのは、私自身もよく認識を共有できるところはあるわけでございますが、総務省の一員として、所管するところではございませんので、なかなかすとんとした答弁ができなくて申しわけないんですけれども、この点については原口大臣の考えもぜひ私自身聞いて、どういう思いで答弁されたんだかということも確認をしたいと思います。
 いずれにしても、透明性を高めるということ、また適格性が備わっているということは当然のことでございまして、また先ほど川端大臣が、今調査を命じているというふうに答弁されておりましたけれども、現状どうなっているかということについても注視をしていきたいなと。 その報告を待って、また川端大臣にも御指導いただいて、現状を把握したいなというふうに思っております。

 

○馳委員

 渡辺副大臣には一言だけ、原口大臣の答弁を申し上げておきます。 法令を破ることは絶対あってはならないと。
 この姿勢で、まさしく政務三役として、法令を破っている現実がある、それを破ってはならないというふうにするためには、まずは活動の透明性が必要であり、それを担保するために、活動するためにはやはり資金が要るわけですから、その出入りが必要であり、その収支報告書、会計帳簿、領収証等、確実なものなのかどうかという確認作業はやはり必要ですよね。 それが特に官公労、公務員の組合である以上は、やはり立場上、政治的な中立は、これは教職員組合ばかりではなくどの組合にも言われるところでありますから、それを担保するためにも、まずは、法令遵守を絶対するためにも、事実関係が国民に対して明らかになっていなければなりませんよね。 私は、原口大臣の答弁のこの一言にはこういう意味が含まれているというふうに理解しているんですよ。
 あなたも政治家として私の指摘はもっともだなと思いますか。

 

○渡辺副大臣

 疑念を持たれるようなことがあってはならない、透明性と公開性をやはり旨としなければいけないということは、まさに原口大臣も私も同じ思いでございます。
 いずれにしても、この登録のあり方については、その趣旨、歴史的な背景を踏まえた慎重な検討が必要でありますけれども、また原口大臣とも、ぜひいろいろ三役の中で認識を共有していきたいなというふうに思っております。

 

○馳委員

 渡辺さんらしくないな。 今まで一生懸命、こういった法令遵守、透明性、あり方、こういうことを指摘したあなたである、また原口さんであるならば、今事件が起きたわけですよ、そして私たちは疑いを持たざるを得ないわけですね、報道によって。 したがって、行政の方みずからがこの法令遵守について、やはりみずから公開性を高めていこうという姿勢を示すことの方が、より民主党らしいと私は指摘して、渡辺副大臣にはもうこれで結構ですから、お引き取りいただきたいと思います。
 さて、高校無償化法案で、きょう私は朝鮮学校の問題について集中的に取り上げさせていただきます。
 まず第一に、ちょっときょうは逐条審査みたいな形になりますが、お許しください。 第一条の目的、「公立高等学校以外の高等学校等の生徒等」に言う「生徒等」は、日本人と外国人と両方含んでいるのでしょうか。

 

○川端国務大臣

 お答えいたします。
 本制度は、高等学校の教育費について、我が国の社会全体を支えることを趣旨としておりますので、我が国に所在する高等学校等に在籍する生徒であって、我が国の社会を構成する者について、国籍を問わず支給対象とすることにしておりますので、第一条の「教育の機会均等に寄与する」とは、日本人及び外国人を対象としております。

 

○馳委員

 私の質問の二番目にも今お答えになりましたね。 議事録に残さなきゃいけないので、私は二点目も言います。
 つまり、第一条の「もって教育の機会均等に寄与する」とは、対象は日本人と外国人と両方含むのですかというのが二番目の質問ですが、今、答弁されました。 含むんですね、国籍を問わず。
 では、三点目にいきます。
 第二条の五、「専修学校及び各種学校」の中に朝鮮学校は含まれるのでしょうか。 4800人の予算の積算根拠の中に含まれているのでしょうか。

 

○川端国務大臣

 お答えいたします。
 予算案においては、専修学校などのうち、高等学校の課程に類する課程を置くものということで、要するに、高等学校の課程に類する課程というものをこの法律の高校の対象として加えるということにしておりますので、専修学校の高等課程とあわせて、各種学校ではあるけれども、制度上、専修学校から適用除外されている外国人学校の高等課程部門を算定の数字として入れました。
 したがいまして、4800人の予算の中には、専修学校の高等課程と各種学校の中の外国人学校の高等課程に該当するものというのを入れて4800名が積算されておりますが、ただ、これは実際に、どのいわゆる外国人学校が対象になるかはこれからの議論でございますので、積算に入れているということが自動的に対象になっているというものではございません。

 

○馳委員

 もう一度言います。
 朝鮮学校は積算根拠の中に入っていますね。

 

○川端国務大臣

 今申し上げましたように、各種学校の中の外国人学校で高等課程に類するものを入れましたので、それに該当する朝鮮人学校は積算の中には入っております。

 

○馳委員

 そこで、同じく「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの」とあります。 省令の基準というものは、私は普遍的であると思っています。 政治状況、外交、安保、社会情勢に、その時々において省令というものがゆがめられてはならないと私は思っています。
 この省令で定めるものは、まだ対象は決まっていませんね。 決まっていますか。 決まっているか決まっていないか、まずこの点を御答弁ください。

 

○川端国務大臣

 省令でございますので、法律成立後に定めるということでありまして、予算委員会のときに下村委員からも議論のたたき台は出すべきということでありますし、また、きょう以降の議論でいろいろと御答弁申し上げたいと思いますけれども、そういう意味でも、国会の議論も踏まえることも必要であろうと認識しておりますので、現時点で決まってはおりません。

 

○馳委員

 そして、私の質問の本質的な部分、やはり普遍的であるべきだ、政治状況、社会状況、外交状況、こういったことに教育の現場が左右されてはならないんではないんですかというのが私のこの質問の本音です。
 普遍的であるべきだと私は思っていますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

 

○川端国務大臣

 私も、この省令で定めるときの基準はたった一つでありまして、高等学校の課程に類する課程ということが基準でありまして、その判断としては、先生御指摘のように普遍的、客観的に評価されるというものであるべきだと思っております。

 

○馳委員

 関連して、朝鮮高校を排除すると鳩山総理や中井大臣が示唆をする発言をしておられます。
 民族教育を差別するおつもりですか。

 

○川端国務大臣

 先ほど申し上げましたように、その学校教育施設が高等学校の課程に類する課程であるかどうかを判断するということだけを物差しとして決めていきたいと思います。
 総理もいろいろな論点があるという中のことを御意見として申されたんだと思いますし、中井大臣は担当のお立場としての思いを述べられたんだと思いますが、所管する立場としては、委員御指摘のとおり、普遍的に、別の言葉で言えば客観的に基準で判断をするものだと思っております。

 

○馳委員

 質問に答えてはおられません。
 我が国の文部科学大臣である川端達夫文部科学大臣は、民族教育を差別しますか、しませんか。

 

○川端国務大臣

 民族教育は、民族それぞれにとっての固有のものであり、それは意味のあることであり、それは、やることを差別することは毛頭考えておりません。

 

○馳委員

 鳩山総理と中井大臣の当委員会への出席を求め、その発言の真意をただしたいと思っておりますので、委員長にお願いをしておきたいと思います。

 

○田中委員長

 その件については、また後日、後に相談をしたいと思います。
 質問を続けてください。

 

○馳委員

 次に、関連して、朝鮮高校を排除するということは、拉致、ミサイル、核問題があるから、外交的に除外をするという方針なのでしょうか。

 

○川端国務大臣

 朝鮮学校を排除するという論点からのお尋ねでありますが、朝鮮学校を排除するという立場でこの問題を検討し、議論していることは一切ございません。 何度も申し上げますように、その学校が高等教育の課程に類する課程であるかどうかということを普遍的、客観的に判断するという立場で決めてまいりたいと思いますので、今御指摘のような問題は判断の対象ではございません。

 

○馳委員

 朝鮮高校を除外するということは、日本と国交がないから除外をするということになるのでしょうか。 私は、これは川端大臣に聞く質問でないということはわかっていて質問しているんです。 だから、こういう発言が公式にマスコミに対してある以上、鳩山総理やあるいは中井大臣をお招きして真意をただす必要があるというふうに思って、あえてこの場で川端大臣が答弁しづらいだろうなという質問を今しているんです。
 いいですか、もう一回言いますよ。 朝鮮高校を排除するということ、これは日本と国交がないから排除し、差別しようとするんですか。 文部科学大臣に答弁を求めます。

 

○川端国務大臣

 そういうことで学校の対象を決める基準にするつもりは一切ございません。

 

○馳委員

 先般、朝鮮学校を視察させていただき、そのときいろいろな方にお声をいただいてまいりましたので、その証言に基づいて質問をいたします。
 在籍する半数は在日韓国人である。 しかし、そのうち何人が朝鮮籍から韓国籍に変更したかということを文部科学省は把握しておりますか。 この事実をどう思いますか。

 

○川端国務大臣

 きのう、御視察いただいた方から、半分半分ぐらいで朝鮮籍と韓国籍がおられるようだというのは、調査の結果として、行かれた委員からは伺いましたけれども、その詳しい中身とか事実関係は承知をいたしておりませんので、国籍をどう変わられたかというのは全く承知をしておりません。

 

○馳委員

 やはり私も、現場に行っていろいろな立場の方にお話を伺って本当によかったと思っていますので、その証言に基づいて引き続き質問をいたします。
 朝鮮学校は朝鮮総連の傘下にあり、朝鮮総連が朝鮮学校の人事権、財政、学校の方針を指導し、主体思想、この方針を現場において教育しているということをどう思いますか。 そして、このことを文部科学省は把握しておられましたか。

 

○川端国務大臣

 事実関係は把握いたしておりません。

 

○馳委員

 朝鮮学校のあり方を判断する上において極めて重要なポイントだと私は思って、この証言をいただきました。
 把握をしておりませんという今ほどの答弁でありましたが、今後こういう問題について把握をしなければいけないと思っていませんか。 それとも、そういうことは把握をすることができないので、把握をする必要がないという答弁をされますか。
 大臣の政治家としてのお考えをお述べいただきたいと思います。

 

○川端国務大臣

 先ほど来申し上げておりますように、各種学校の中の外国人学校、そしてその中の高等課程の学年におられる人の学校が高等課程に類する課程であるかどうかを判断するということでございますので、朝鮮学校の今言われたようなことは、もともと各種学校は都道府県の認可でやられている学校でありますので、調べる立場にないと同時に、我々がその中身をどうこうする、調べる立場でもないと同時に、今回の無償化のことに関して言えば、そういうことは考えておりません。

 

○馳委員

 引き続き、視察でいただいた証言から質問したいと思います。
 朝鮮高校を卒業して、そのうち何%が朝鮮大学に進学をしているのか御存じですか。 そして、朝鮮大学を卒業して、朝鮮総連など北朝鮮の組織の一員となっているのを御存じでしょうか。 したがって、北朝鮮の指導陣の養成学校となっているというこの現状を御存じでしょうか。

 

○川端国務大臣

 事実関係を承知いたしておりません。

 

○馳委員

 事実関係を承知しておられないのは、現状の我が国の法体系から当然だと思っています。
 しかし、今後、こういう問題について、教育の内容あるいは教育の環境整備、こういったことにかかわってくる問題でもあります。
 もう一度、大臣。 知らないはずです、調べようとすることは多分法律上できないと思います。 しかし、このままでよいんですかねということを私は実は、政治家として、政務三役という立場においても、政策の決定権が最終的に与えられている以上、そういう現状のまま、知らぬ存ぜぬのままでよいのでしょうか、このことを大臣に質問したいと思います。

 

○川端国務大臣

 法体系上、制度上、調べる権能もございませんと同時に、そういうことに関心がないのかというお問いかもしれませんが、各種学校として認められた学校においてどういう教育がされるかは基本的には自由でございます。
 私たちは、この法案に関して申し上げれば、くどいようですが、高等課程に類する課程のものであるかどうかというのを普遍的、客観的に判断するという点のみで議論をしてまいりたいと思っております。

 

○馳委員

 では、お伺いします。
 朝鮮学校の教育課程や内容を文部科学省は確認できるのでしょうか。 各種学校として認可している東京都に確認しようと思えばできるのではありませんか。 視察も受け入れているということでありますし、私たちも行ってまいりました。 確認できるのではないですか。 高校段階においては東京都から650万円の補助金ももらっているので、その使い道についての収支報告もしているということでありましたし、これはまさしく、都議会において議論の上、ちゃんと使われているかどうか確認することもできるんですよ。
 したがって、文部科学省は確認しようと思えばできるんじゃないんですか。

 

○川端国務大臣

 もう御承知の上でのお問いでございますが、朝鮮学校を含めて各種学校に関しては、文部科学省としては教育内容を把握する権限はございません。
 東京都から聞けばいいではないかというお話でございましたが、先ほど申し上げておりますように、個別具体の現実をどう把握するかではなくて、普遍的、客観的に高等課程に類する課程を置くものと判断できるという基準を今議論しているところでございます。
 加えて申し上げますと、都道府県は所管庁として、その学校に対しての、書類の提出を受けているという仕組みになっておりますけれども、先ほどと同じですが、提出をしなかったときの罰則規定はございません。 立ち入りの調査権限もございません。 したがって、例えば東京都から手に入れたとしても、それが制度的にまさに普遍的、客観的に担保されているものではないということに結果としてはなるのではないかと思いますが、基本的にそういうことを想定いたしておりません。

 

○馳委員

 だからこそ、こういう委員会審議をして、あなたに参考にしてもらいたいと思って私は現場の話を言っているんですよ。 つまり、教育内容とか教育環境についてとか、そういった教育条件についてとか、把握しておく権限が文部科学省にあった方がよいのではないですかということを私は今あなたに質問しているんですよ。 権限は今ないんですよ。 皆さん、改めて言います、今ないんですよ。 調べることはできないんですよ。 調べることを文部科学省ができないんだから払うことはできないというふうな論法をあなたにとってほしくはないから、私はこういう嫌らしい質問をしているんですよ。
 教育内容について、あえて言いましょう、今回対象とする専修学校や各種学校について把握できるようにしておく権限を持てばいいじゃないですか。 そしたら、私たちは何にもこんなことで、朝鮮学校に対して、私はきょうは非常に失礼な質問をしていると自分でも思っているんですよ。 ここまで、現地視察に行って、保護者から話を聞いて、公開の場であなたに対してこういう失礼なことを質問することはないんですよ。
 権限を持てばいいんじゃないんですか。 ましてや、今回、高校無償化は政府の責任において、そして対象とする私学等々は、これは代理受領となりますけれども、お出しをする話でありますから、そんなことで負担を都道府県や自治体や学校法人に与えてはならないと私は思っていますよ。
 だから、わかるようにしておけばいいじゃないですか。 今、権限ないんですよ。 大臣の答弁を求めます。

 

○川端国務大臣

 お答えいたします。
 失礼な質問とは思っていませんので、どうぞお気にされずに。
 何度も申し上げますが、高等課程に類する課程とみなせるということをどう判断するかということにかかっているんだというふうに思います。
 そういう部分で、この委員会の議論も踏まえながら、先生おっしゃるように、どういうふうにしたら客観的、普遍的に判断できるのかということも含めて、今、皆さんの議論も踏まえながら我々も検討しているところでございますので、御理解をいただきたい。 全部を、全く排除するために何かをやっているのではないかということではなくて、真摯に議論をしておるということだけは御理解いただきたいと思います。

 

○馳委員

 二つ言います。 私は、視察をした証言のもとに質問するというのは、やはり大臣に対してもちょっと失礼かなという部分と、もう一つは、朝鮮学校の経営者や朝鮮総連の皆さんに対しても失礼かなと思いながらも、でも、現場の話だからこれはちゃんとお聞きしなきゃいけないなと思っていることをまずお伝えします。
 高等学校の課程に類する課程を置くものとして今あなたは最終的に判断されようとしていますが、そのためにも、もう一回言いますよ、公開性、透明性が必要ではありませんか。 今、文部科学省には、私が指摘したようなことについての、理解する、調査する、あるいは報告を求める権限がないんですよ。 あった方がいいと思いませんか、なくてもいいと思いますか。
 もう一度言いますよ。 あった方がいいと思いますか、なくてもいいと思いますか。なくてもいいなら、ないままに、高等学校に類する課程、これについての判断をされますか。 私は、それはやめた方がよいなと思っていますよ。 権限を持って、公開性、透明性のある中で最終的にこの省令を決定し、その判断を、普遍的な基準を国民に対して国会の場においてお示しいただくことの方が私は丁寧な法律のつくり方だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○川端国務大臣

 後段の、客観的、普遍的に判断基準があって、そこで現実に審査をされて判断するということが国民の納得のできる仕組みであるということを目指していることは、全く私も同感でございます。
 ただ、そのときに、国が調査権限を持つということは、これは専修学校あるいは各種学校を含めた学校教育法における学校等々の位置づけの中でいうと、それぞれの認可の地位と、それに基づく管理監督権限というものが今はっきりと明示されておりますので、それを、このことだけをもってそこだけは調査できる権限を持つということは極めて体系的には難しい問題だというふうに認識をしております。

 

○馳委員

 では、調査という言葉を私は撤回しましょう。 報告を求める、そして透明性、公開性を高めるということは必要なのではないんですか。

 

○川端国務大臣

 調査でなくて報告も、すべて法の体系のもとにやることは極めて難しいと思っております。

 

○馳委員

 現地視察でいただいた保護者の言葉をお伝えいたしたいと思います。
 現在、朝鮮学校に学ぶ保護者の本音としては、一部には、朝鮮総連の組織の支配下にあることに不信を持っている、このことを御理解ください。
 例えば、本当の在日の民族学校としようとして、言語や文化や歴史を教えるための教育改革活動がかつてあり、今現在もあるということを御理解ください。 その過程において小中学校においては、教室の前面に、金日成前主席、金正日現主席の肖像画を外したんですよ。 今、高等学校においてもこの議論があるということをまずお伝えしたいと思います。
 そして、朝鮮学校でチュチェ思想を教えていることについて、校長先生は強制ではなく学問として教えていると証言されましたが、このチュチェ思想こそが北朝鮮の政治体制、社会体制を支えているんじゃないんですか、そのことに保護者の一部が疑問を持っているということもお聞きをいたしましたので、この場で改めてお伝えいたします。
 このことについて文部科学省はどのように考えるのか。

 修学旅行には平壌だけに行っているそうです。
 ソウルに行ったことのある朝鮮学校はありません。
 民族教育であるならば、ソウルにも行ってもおかしくありません。 韓国からの助成金はありません、あったらいいのにな、こういうふうな保護者の声であったということもお伝えいたします。
 こういう指摘が、現地調査の結果、証言としていただくことができました。
 そこで、大臣、朝鮮学校は北朝鮮本国においてどういう教育体系の中にあるのか。 そして、それを文部科学省は確認することができますか。

 

○川端国務大臣

 事実を承知しておりませんし、確認する方法はございません。

 

○馳委員

 何度も言いますね。 確認する方法がないんですよ、皆さん。 ないんですよ。
 確認する方法があった方がよいと思いませんか、大臣。

 

○川端国務大臣

 あった方がいいか悪いかということではなくて、現実にないというのが事実としてあるということでございます。

 

○馳委員

 今、田中委員長がなぜちょっとお笑いになったのか、私は意味はわかります。
 私は今、この法案を審議する過程において、政治家として、政治家である川端大臣、また行政の長である大臣に提案しているんですよ。
 今、権限はないんですよ。 わからないんですよ。 私も知っていて質問しているんですから。 だから、高校無償化法案、これに基づいて国民の税金が、日本人、外国人、分け隔てなく配分されようとしている今こそ、国民の税金の使い道についての透明性、公開性という観点からも、どういうところに出すんですかということを、政府の政策として出すわけですから、これを承知しておく。 この外国人学校、教育体系は本国においてどうなのかということを把握するようにしておいた方がいいんじゃないんですか。 確認できるようにしておいた方がよいんじゃないんですか。 今、できないんですよ。
 では、あなたは、私の指摘に対して、確認できなくてもよい、確認できないんだから絶対しない。
 今ちょっと貧乏揺すりしましたね。 動揺したんじゃないんですか。 大臣にお聞きいたします。

 

○川端国務大臣

 事実として確認できないというのは御承知のとおりだというふうに思います。 そして、いつの日か日朝が国交正常化ということになれば確認できるという事態になることも事実だというふうに思います。 そういう中であるというのが現実としてあります。
 ただ、先ほど来先生が何度も御主張されているように、客観的に、普遍的に、そして透明性を持って国民に対して説明できるような制度設計にするべきであるという認識は、私も同感であります。
 ですから、確認できないのに、確認すること自体ができないのが現実の中で、どういう基準でどういう判断をしたらいいのかを検討していると同時に、こういう場での、きょうの御議論も大変参考になりますけれども、踏まえて判断をしていきたいと思っているところでございます。

 

○馳委員

 今ぽろりとおっしゃいましたね。 日朝国交正常化するまでは難しいなと思っておられますか。

 

○川端国務大臣

 いや、確認する手だてはないというのが現実であるときに、ちょっと正確に忘れましたけれども、先生の方から、確認する準備をしたらどうかというふうな趣旨の御発言があったので、それは、そういう状況になったらこのルート自体は間違いなくできるという一般論を申し上げたわけでありまして、高校の無償化の制度にダイレクトに結んでお答えしたわけではございません。

 

○馳委員

 私は、日朝国交正常化すればという大臣の一言は委員会審議において極めて重いということをまず指摘したいと思います。
 では、それ以外の方法で高校の教育課程に類するものかどうか判断する材料として、私はひとつお聞きしたいと思いますが、朝鮮高校の卒業生は日本の大学を受験できますね。 受験を受け入れている大学は、現在何校ありますか。

 

○川端国務大臣

 大学入学資格は、学校教育法第九十条に基づいて、高等学校を卒業した者、または、文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者というふうになっております。
 そういう中で、学校教育法の中の文部省令として、大学の個別資格審査により大学入学資格を付与する制度という、大学が個別に資格を審査して認めてもいいという制度を省令でつくっております。 そういう中で、各大学の判断で実施される個別資格審査により、朝鮮学校の卒業者が日本の大学を受験することは可能であります。
 受験を受け入れている大学は現在何校かということでありますが、朝鮮人学校に限りませんので、この制度という意味で申し上げますと、平成19年度入試で、個別資格審査の制度を導入している大学は、国立79校、これは全体の95%です、公立56校、76%、私立313校、56%、合計で448校、全体の大学の中で62%という状況でございます。
 それで、何人がこの資格で合格したかというのは、ちょっと調査として今数字をつかんでおりません。

 

○馳委員

 私は、これは質問通告してあったので、こういう具体の数字は局長にでも聞いた方がいいのかな。 でも、これは初中局長じゃわからないよね。 大学教育担当じゃなきゃわからないですからね。
 もう一回言いますね。 つまり、今現在、朝鮮学校を卒業した、そしてそれを大学受験の資格として個別に認めて大学受験を受け入れている国公立、私立の大学は幾つありますか、こういうふうに私はお聞きしたんですね。 そのことは把握しておられないんですか。
 もう一回言いますね。 日本の大学を受験できる、学校教育法第九十条に基づいてできますよね、その、受験を受け入れている、朝鮮学校卒業生も大学受験、うちの学校を受験していいですよと、受かるかどうかは別ですけれども、その大学は現在何校ありますかという質問です。

 

○川端国務大臣

 朝鮮人学校の、例えばA校とかB校とかあったときに、A校の人は受けていいですよという制度にはなっておりません。 個々人です。
 ですから、個々人が、例えば朝鮮人学校あるいはほかの外国人学校を出る見込みの生徒が、A大学を受験したいというときは、資格審査をしてくださいという手続から始めなければいけない。 高校と認定されていない学校はですよ。 ということでありまして、そういう制度を導入している大学は合計で448校あるというのが先ほど申し上げた数字であります。 平成19年度入試ではそうでした。 そして、国立大学は、現在82大学全部、個別資格審査の制度、要するに、個別資格審査を受け付けますよという意味では国立大学は全部今はなっております。
 そして、それを経て、試験を受ける資格ですから、受けて合格するかどうかはまたその本人の勉強次第でございますが、その中で、これは平成19年度入試で、実際に入学した大学は国立7校、公立2校、私立28校の37校、入学した学生数は国立で23名、公立3名、私立212名、238名でありますが、内訳として朝鮮人学校かどうかは把握をしていないというのが実情でございます。

 

○馳委員

 ありがとうございます。
 そうなんですよ。 制度としてそうなっているので、大学側も受験資格を認めて朝鮮学校も受け入れることができるわけですよ。 そうですね。 だから、朝鮮高校は日本の高校の教育課程と同等と認められるという判断材料の一つになるんじゃないんですかということを私は指摘しているんですよ。
 だって、学校教育法は、大臣、省令も含めてあなたが判断しているわけでありますから。 大学受験を受け入れているわけですから、日本の高校の教育課程と同等と認めているという、その根拠にはなるんですよ。 このことをまず指摘し、時間もないので、最後の指摘をして終わりたいと思います。

 第四条第一項、「日本国内に住所を有する者」とありますが、どうして在外日本人には認めないんでしょうか。 国内の外国人には認めて海外に在住する日本人に認めないのはおかしいんじゃないんですか。 教育基本法第四条第一項の理念、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」とあります。 在外邦人の高校生には、残念ながら認められない法律立てになっているんですよ、第四条第一項。 もう一回言いますよ、「日本国内に住所を有する者」。

 そもそも、教育基本法の精神からすれば、この高校無償化法案をつくるときに日本国内に住所を有する者という限定をしたことは間違いではありませんか。 これは、在外の邦人にとってみれば、何か置いてきぼりになったような気になると思いますね。
 教育基本法の理念、もう一回しつこく言いますよ。 「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」という理念であります。 どうして、最初から在外の日本人をこの高校無償化の法案の対象としなかったんですか。 同じ日本人なのに、国内の外国人は対象とし、国外の日本人は対象としていないんですね。
 お伺いします。

 

 ○川端国務大臣

 法の仕組みはそうなっております。
 現在、高校相当の在外教育施設としては7校あると承知をしております。 基本的には、この制度は、いわゆる学校教育法に基づく一条校、高等学校と、それの課程に類すると思われるものを対象とするという形で応援をするという法体系になっておりますが、海外の教育施設に関しては、いわゆる日本の法令に基づかないという立場になっておりまして、いわゆる国の公の関与ができないという中でありますので、法律的にこのように整理をさせていただきました。

 

○馳委員

 一言だけ指摘して、終わります。
 海外の日本人学校は日本の国の教育基本法やこの高校無償化法案の適用が及ばないということを、今大臣はおっしゃったんでしょうか。 とするならば、在外の日本人の教育についての機会均等とかまた条件整備について、文部科学大臣は、法律の及ばないところにあるから財源にしてもまた教育条件についても関知しないと言っているに等しいような発言だったんじゃないかなと私には受けとめられました。
 この点について、ちょっと指摘をし、また、この法案審議は今後とも続きますので、こういった細部についても、今後私は大臣にも御理解をいただけるように、私が御理解をいただけるように求めるのはおかしいんですが、私が理解できるように大臣から答弁をいただけるようにしたいと思っております。
 もし答弁がありましたら、お伺いをして、私の質問はこれで終わります。

 

○川端国務大臣

 先ほど申し上げましたように、いわゆる教育施設としては法の関与の及ばないところになっているということであることは御理解いただけると思います。
 そういう意味で、ただ、在外子弟の教育は同じく日本人の教育にかかわる問題でありますから、いわゆるそういうところへの教師の派遣とかいろいろな教材の提供とか、そういう支援は今までも幅広く可能な限りやってきておりますので、そういう制度としては教育上大事だと思っていることは、そのとおりでございます。 が、今回の法体系では、いわゆる高等学校というふうに認定するということに関しての学校教育法上の枠の中という整理をさせていただいたので、結果としてこういう形になっていることは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 

○馳委員

 終わります。


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 平成22 年03 月05 日衆議院文部科学委員会速記録(議事速報) 


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