衆議院 法務委員会 会議録

第177回国会 第7号 

平成23年4月19日(火曜日)

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 【馳浩 質疑部分 抜粋

○奥田委員長

 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 自由民主党の馳です。 きょうもよろしくお願いいたします。
 今ほど、あべさんが最後におっしゃった阪神大震災のときの児童虐待の案件というのは、詳しく言うとこういうことなんです。 いわゆる避難所等においての性的虐待が随分あったんですよ。 改めて、今般の東日本大震災、避難所における子供の監護についての対応というものを、やはりしっかりと目を光らせていただきたいということをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 では、質問に入ります。
 まず最初に、現行の親権規定が定められたのはいつのことでしょうか。

 

○原政府参考人

 明治31年に、いわゆる明治民法の第四編に親権に関する規定が設けられております。 その後、戦後、新憲法が制定されまして、昭和22年に、新憲法の理念である個人の尊厳、男女平等の観点から改正が行われて、現行の民法の規定になっているという経緯でございます。

 

○馳委員

 現行の、現在の親権内容をお示しいただきながら、それ以前の親権の内容との違いをお示しください。

 

○原政府参考人

 現行の民法の第四編、親族編を見ますと、その第四章に親権という規定がございまして、第一節が総則、第二節が親権の効力、第三節が親権の喪失、こういう構成になっております。
 第一節の総則では、だれが親権を行使するかという親権行使の主体についての規定が置かれております。 それから、第二節の親権の効力では、監護、教育の権利義務や財産管理などの親権の具体的内容についての規定が置かれております。 それから、第三節、親権の喪失では、親権の喪失や管理権の喪失についての規定が置かれている、こういう体系になっております。

 明治民法と比較しますと、明治民法では、原則として、子と家を同じくする父親に親権があるものとされておりまして、母親に親権がある場合は制限されておりました。 これは家制度の影響だろうと思います。 戦後、先ほども申し上げましたが、新憲法が制定されまして、個人の尊厳や男女平等の観点からの改正が行われましたので、現行民法におきましては、親権は父母が婚姻中は共同で行使する、こういう規定になっております。 それから、親権の効力や親権の喪失の規定は、現行民法と明治民法では基本的には同じ内容だと考えております。

 

○馳委員

 明治以降からの親権規定の流れを踏まえると、今回の改正は、子の利益を軸に、明治時代にはない、戦後認められた親権規定を再構成したものと言ってよいのではないかと思います。 そういう意味での歴史的意義を感じますが、大臣、いかがでしょうか。
 あわせて、文言も、「子の利益のために」ではなくて、子の最善の利益のためにと、もっと明確に改正すべきではなかったのでしょうか。

 

○江田国務大臣

 今、政府参考人から説明がありましたが、明治憲法というのは基本的に家というのを家族の単位にしていまして、戸主がいて、そのもとにずうっと、おい、めいまで含めていろいろな人がそこへ入っていたわけですね。 そうした家の一員としての子。 したがって、例えば、明治民法の中には、未成年の子の兵役出願の許可、こんなものが親権者にあったり、あるいは母の親権の行使については親族会の同意といったものがあったりしたわけです。
 しかし、これは個人の尊厳や、あるいは男女の平等ということからしておかしいということで、戦後の改革で家制度をなくして、そして戸籍というのは夫婦と子供という単位にして今の制度になったわけで、基本的には、私は、その段階で親権というのは子供のために行使するんだということになっていると理解をしたいと思いますけれども、しかし、やはり戦前からの流れがずっとあって、なかなかそこは明確でなかった。

 しかし、今回、国連でもチルドレンファーストという原則を確立しています、子供というのは未来の夢であり希望であるので、やはり子育てあるいは子育ち、これを最重要にして、親権というのはそういうことのために行使するんだということを明確にしたいということで「子の利益」といたしました。
 子の最善の利益というのは、これはもう当たり前でありまして、最善と書かなくても、「子の利益」というのは最善の利益です。 逆に、書けば、最善はこうだけれども次善はこうで三善はこうでとかなったら、それはかえって何か複雑になるだけなので、「子の利益」というのは最善の利益のことなんだ、こう御理解いただきたいと思います。

 

○馳委員

 わかりました。 大臣の、やはり明治時代以来の親権についての社会的な背景を踏まえた流れが今日に至っているということの理解が本当によくあって、私はよかったと思います。
 実は、そうはいいながらも、平成16年に児童虐待防止法を改正したときも、平成20年に改正したときも、いずれも附則に、親権の一部・一時停止はすべきであると、これは議員立法で改正をしましたから、強く強く要請してきたにもかかわらず、それを抵抗してきたのは法務省なんですよ。 何でこんなことになってしまったのかということを今さら言うつもりはありませんが、きょうの質問をさせていただきながら、前に向かった議論をさせていただきたいと思います。
 では、次に行きますが、本改正案の条文で面会と交流が区別して規定されているが、この両者の違いは何ですか。

 

○原政府参考人

 面会といいますのは、実際に父または母が子に会うことを意味しております。 交流は、それ以外に、電話による会話とか手紙による意思疎通、こういうものも含む広い概念でございまして、面会を含む広いものとして交流という用語を使っているところでございます。

 

○馳委員

 交流の中にはメールも入りますね。 

 

○原政府参考人

 入ると考えております。

 

○馳委員

 こういうところが時代の違いということだと思います。
 平成8年の法律案要綱では「面会及び交流」となっていました。 本改正案は「面会及びその他の交流」と変わっておりますが、両者の違いは何ですか。 「その他の」を盛り込んだ意図は何ですか。 親子の接触にはその他の交流より面会が基本であると考えてよろしいでしょうか。

 

○江田国務大臣

 面会と交流の重なり部分と違う部分というのは今お答えしたとおりですが、確かに、平成8年の法律案要綱では「面会及び交流」となっていたけれども、これでは面会と交流は別物だという理解になってしまうので、面会が基本です。 やはりそれは親子ですから、メールもいいですけれども、やはり顔と顔が見える関係というのがそれは一番大事。 ということで、面会は基本ですが、しかし、面会だけじゃなくて、広く交流、メールもあるいは電話も手紙もいろいろある、そういう広く交流というものを大切にするんだということで、面会を基本に置きながら、その他の交流というように書き分けているので、ここは概念を正確に表示したということだと御理解ください。

 

○馳委員

 平成6年の要綱試案では「面接交渉」となっています。 「面会及びその他の交流」と「面接交渉」とどう違うんですか。

 

○江田国務大臣

 面接交渉という言葉は以前から使われていまして、面接交渉権というようなことを言われていましたが、何かよくわからないんですね。 面接に行くというと何か、会社の面接もあるし、弁護人の被疑者の面接もあるし、そういうものじゃなくて、もっと人間的な、血の通った関係を意味したいということで面会その他の交流という言葉を使ったので、両者の内容に違いはないと理解をしております。

 

○馳委員

 よりわかりやすい表現としたというふうに理解をいたします。
 本改正案の面会交流の規定は、平成6年の要綱試案の説明に示された内容を踏襲しておりますが、この要綱試案の説明には、「子の養育・健全な成長の面からも、一般的には、親との接触を継続することが望ましい。」と大変大事なことが明確に書いてありますが、この点も本改正案は踏襲しているということでよろしいですね。

 

○江田国務大臣

 委員御指摘のとおり、要綱試案にあります「子の養育・健全な成長の面からも、一般的には、親との接触を継続することが望ましい。」これは本当にそのとおりでございます。
 一般的にはというと、何か例外がいっぱいあるみたいに聞こえるかもしれませんが、例外は少ない方がいいので、よほど特殊な場合を除いては、いろいろな難問があろうとも、やはり親との接触というのは大事なことだと考えておりまして、この考え方を踏まえて今回の立法に至っております。

 

○馳委員

 これを踏まえて、今回の面会交流を特出しして明記した立法の趣旨をお伺いしたいと思います。
 一部流言がありますように、裁判実務で定着している面会交流を確認するというだけなら、これは断じて納得できません。 海外と比べても不十分な面会交流を積極的に推進していくという立法趣旨でなければ、法務省が言う、子の成長に親との継続的接触が望ましいという理念も絵そらごとで終わってしまうからでありますが、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 もともと、民法第七百六十六条第一項の「監護について必要な事項」という中に面会交流が含まれていると解釈されていますし、家庭裁判所の実務もそういう理解には立っている。 しかし、面会交流ということが明確に条文化されていない。 そこで、どうしても、家庭裁判所でこの調整を行う場合に、当事者に条文にこう書いてあるのでというような言い方ができないものですから、ついつい、離婚をする際に明確な定めが行われない場合が出てきていたんですね。
 そこで、監護について必要な事項の具体例として条文の中に明示をする、このことによって、協議上の離婚をするに際して、当事者間でその取り決めをすることを促しているんだ、これが我々国会の意思なんだ、こういうことを家庭裁判所にもよくわかっていただいて、そうした家裁での運用、そして、その運用を通じて、一般に、協議離婚する場合にもやはりそこは取り決めが必要なんだ、そういう社会の常識をつくっていこうと考えているわけでございます。

 これが書かれていないことで、そこまでまだ尋ねられていませんね。(馳委員「どうぞどうぞ」と呼ぶ)これが書かれたことによって、面会交流とか費用分担とかが、別れようとする父親、母親の駆け引きの材料になったりいろいろな紛議のもとになったり、それは違いますよと。 あくまでこれは、お父さん、お母さんが駆け引きの材料なんかに使うことではないんです、子供の利益のために考えることですというので、その後、子供の利益ということ、これもちゃんと法律上書かせていただいたということでございます。

 

○馳委員

 大臣、どんどんしゃべっていただいていいんですよ。 なぜかというと、大臣の発言を明確に議事録にし、その議事録を最高裁にちゃんと読んでおいてほしいんですよ、私は。 これまでどれほど、私もそうですが、御党の小宮山洋子さんあるいは公明党の富田茂之さんなどなど、何度も何度もこのことを言い続けながらもはね返されたのが最高裁の壁であったわけでありまして、思うところはどんどんしゃべっていただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。
 そこで、裁判実務で、より面会交流が積極的になるようにするためにも、権利性を正面から規定して明文化した方が立法趣旨をもっと明確にできたのではないでしょうか。 いかがですか。

 

○江田国務大臣

 これはなかなか難しいことで、それは人間と人間との関係は権利と義務の関係にきれいに整理ができるわけですが、しかし、なかなかきれいに整理をしてしまうと身もふたもないというようなこともまた実際にはございまして、子供の利益というのは権利義務とかいうことを超えた崇高な目的だ、そういうように私は考えております。
 面会交流というのは子の権利なのかあるいは親の権利なのか、その法的性質とは何ぞやと、いろいろ法律学者的には議論がありますが、そういう議論を超えて、やはり子の利益のために面会交流というのをしっかりやってください、こういう立法者としての願いがここにこもっているというふうに御理解いただきたいと思います。

 

○馳委員

 極めて現状肯定、現状追認的な答弁だったと思います。
 実は、各国の実情もいろいろ参考に見てみました。 お隣の韓国でも権利としてしっかりうたってありますね。 主要国では正面から権利性をうたっておりますし、我が国が批准をした児童権利条約でも同様です。 つまり、我が国の国民認識が世界標準に追いついていないと言わざるを得ません。
 今回、正面から権利性を規定して、むしろ、国民に対して、子供の利益のために必要なんですよ、こういう発想を啓蒙するという趣旨での改正をすればよかったのではないでしょうか。 そして、過度の権利主張を危ぶむのであるならば、児童権利条約のように子供の権利とすればかなり回避できるのではないでしょうか。 この辺、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 なかなか痛いところをずばりずばりと追及されるので答弁に苦労するんですが、非監護親と子の面会交流について、それがだれの権利なのか、権利ではないのかということについて、これは本当に議論がいろいろありまして、なかなかまとまらなかったのが実情だと私は聞いております。
 そこの議論がまとまるまで待つわけにもいかないので、そこで、まずはこういう面会交流というものをきっちり法律に書き込もう、それは子の利益のためですよということも書き込もうということで書いていますので、今、私が、これは子供の権利でございますと答えると、やや、ここまで議論してくださった皆さん方の議論を踏み越えることになるので答えませんが、しかし、私の言いたいことは恐らく理解していただけると思っております。
 委員が今挙げられました子どもの権利条約その他、国際的ないろいろな水準、そういうものは私もよく承知をしているつもりでございます。

 

○馳委員

 前回の法務委員会の一般質疑のときに、あのときはハーグ条約の話でありましたが、私、こういうことを申し上げたと思うんですね。 離婚をしたら夫婦の問題、離婚をしても、子供にとってお父さんはお父さん、お母さんはお母さん。 私は、そういうふうな観点、まさしく子の利益を優先するという考え方に立って、もうちょっとその権利性を主張し、しかしながら、子の利益のためにも面会交流を制限することもあり得る、こういうふうにしていったらよかったんじゃないかなと思っているんですよ。

 次の質問に移ります。
 本改正案によれば、何が子の利益にかなうかの合理的判断は、第一次的には父母の協議によって行われることになります。 つまり、父母こそが子の利益を判断するのに最適任者だという価値判断が根底にあると思いますが、いかがですか。

 

○江田国務大臣

 これは、やはり子供にとって親は親で、親にとって子供は子供で、その関係というのは社会の一番基礎的な家族関係なんですね。 したがって、子供の利益というのは何だろうと考えるのは、それは第一はやはり御両親なんです。

 家庭裁判所で御両親がいがみ合っていても、そこは、先ほどの質問者にも答えましたが、家庭裁判所の調査官というのはいろいろなカウンセリング能力も持っているので、間に入って、そして本当に調整をしていく。 これは、離婚しない結論に至る場合も、する結論に至る場合にも、ちゃんと調整をして、そして、人間関係のいろいろな、無用なもつれをなくして考えていくわけですが、家庭裁判所が入るに際しても、やはり第一義的に、あるいは第一次的に子供の利益を考えるのは父親、母親だ、この点は、世の中の父親、母親にはよく理解をしておいていただきたいと思います。

 

○馳委員

 しかし、父母の第一次的判断を尊重する余り、監護権のある親が面会交流に強く反対していると、後に家裁が介入することになっても、面会交流は基本的には認められないとの結論となりやすいんです。
 事実、そう明言している審判例があります。 この審判例を紹介いたします。 横浜家裁で平成8年4月30日に出された判例でありますね。 読みます。 「親権者である親が非親権者である親による面接交渉に強く反対している場合においては、特別の事情が存在しない限り面接交渉を回避するのが相当である」、こういう判断基準を示しております。

 最高裁にお伺いしますが、まさか現在の実務においてこのような審判例がリーディングケースになっていないでしょうね。 審判の結果はもちろん別として、このような判断基準、これは否定すべきではないでしょうか。 いかがでしょうか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 面会交流の可否あるいはその態様等につきましては、個々の事案に応じて、家事審判官、裁判所が個別具体的に判断する事項でございます。
 御指摘の審判例につきましては、事務当局としては、個別の審判についての意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、現時点、近時の一般的な実務の取り扱いという観点から申し上げますと、一般的には、子供の健やかな成長、発達のために双方の親との継続的な交流を保つのが望ましいという、子の福祉の観点から判断がされているものと考えており、子供への虐待がある、そういった面会交流を禁止あるいは制限すべき事情が見当たらない限り面会交流が認められ、その態様や回数等につきましては、双方の親の事情あるいは親と子供の関係、あるいは子供に関するさまざまな事情、こういったもろもろの事情を総合考慮した上で回数であるとか方法等について個別的に定められている、そういった実情にあるものと理解しております。
 以上です。

 

○馳委員

 最高裁の豊澤さんという人ですね、家庭局長。
 それなら、私が今紹介した横浜家裁の平成8年4月30日のこの審判例というのは、極めて特異な例、個別の例であり、今現在は余り好ましくないというふうに考えてよいでしょうか。 豊澤さんにお伺いしたいと思います。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 平成8年の時点でこういった理由を付した審判が出ておることは、御指摘のとおりでございます。
 ただ、近時の審判例、二年ほど前に判例タイムズで取りまとめた、これまでの面会交流に関する審判例について調査分析した文献等、そこに引かれている裁判例等を見ましても、大勢は先ほど申し上げたような傾向にあるものというふうに理解しております。

 

○馳委員

 では、改めて私はもう一回言いますね。
 やはり、離婚をしても、夫婦はいたし方ない、子供にとっては非監護親と面会交流を定期的にすることがふさわしい。 しかし、諸般の、それぞれいろいろな事情によって、面会交流はしない方がよいときもある。 これはまさしく個別、特別な事情があってと。 こういうふうな近時の判例だというふうに私は理解しようと思っているんですけれども、それでいいんですね、私の理解で。 もう一回、豊澤さんにお伺いします。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 近時の審判例、あるいは実務の状況、その判断の傾向というのは、先ほど私が申し上げましたとおりの傾向でございまして、今委員の御指摘のような方向にあるものと思います。

 

○馳委員

 だったら、大臣、面会交流権と明確にうたってもよかったんじゃないんですかと私も思っているんですよ。 いかがでしょうか。 改めてお伺いします。

 

○江田国務大臣

 重ねての御質問ですが、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな皆さんの議論を集約してここへ至っているので、私の気持ちは気持ちとして、権利という言葉を使っていない、しかし、あくまで子の利益のために、これは、周辺の皆さんも皆、子の利益のために面会交流はできるだけできるように努力をする義務を負っているんですよという理解をぜひしていただきたいと思います。

 家裁の実務の扱いについてまで私がいろいろ言うことではありませんが、家裁の決定例というのが、リーディングケース、この方向でいくんだよといって登載される場合ばかりではないので、先ほどの横浜家裁の決定例というのは一つの事例だというように御理解いただければ、私としても大変幸いでございます。

 

○馳委員

 家裁の実務については、また後ほど詳しくお伺いいたします。
 そこで、最高裁に調査を依頼したいと思います。 過去10年間の面会交流に関する家裁の審判で、面会交流の是非にかかわる判断基準を示した審判例をすべて書面により公表していただきたいと思います。
 これは、立法府から司法、裁判の独立を侵すとか圧力をかけるというものではもちろんありません。 今後の立法に生かすための活動だというふうに御理解をいただいて、その調査をし、資料を出していただきたいと思いますが、大丈夫ですか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 この面会交流だけに限りませんが、家事事件と申しますのは、御承知のとおり、家庭内の問題や紛争に関するものでございまして、当事者のプライバシーに深くかかわるものでありますことから、その性質上、手続自体が非公開ということにされております。 したがいまして、その結果として、その手続の中で出される判断でありますところの審判等につきましても、その調査、公表には、先ほどの観点からの慎重な配慮が必要であろうと思われます。
 このような観点からの配慮を行った上で、面会交流に関してこれまでに公表された調査研究というものの比較的新しいものとして、先ほどちょっと言及しましたが、平成21年に法律雑誌に掲載された、裁判官と家庭裁判所調査官が執筆したものがございます。 これは、昭和39年から平成18年までの面会交流に関する審判例59件について、その可否や頻度等についての考慮要素などを分析したものでございます。

 このほか、法務省が委託して、親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究におきましては、家庭裁判所での面会交流事件の分析のほかに、民間の面会交流支援団体からのヒアリングや当事者からのアンケートが実施されており、現在その報告書が取りまとめ中であるというふうに聞いております。
 法務省の調査研究の結果等も踏まえ、今後とも、家事事件の非公開性に配慮した上での調査研究というものにつきましては、可能な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

 

○馳委員

 るる御紹介いただきまして、では私も参考にして勉強させていただきます。 ありがとうございます。
 さて、そもそも離婚後の監護に関して高いストレス状態にある親に、子の利益を判断する冷静な判断能力があるのか。 しかも、学問的に離婚後の親子の交流が一般論として子供の成長にプラスであるのに、それを知らない、認めることができない親が我が国にはいかに多いかということであります。
 であるならば、家裁が介入しなければならなくなった事案において、子の監護に関して高いストレス状態にある父母の意見に左右されることなく、何が子の最善の利益かを客観的に家裁が判断することが必要ではないでしょうか。 これも本改正案の趣旨の一つだと明言していただきたいのですが、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 委員御指摘のとおり、父母の協議が成立せず家裁が介入しなければならなくなった事案というのは、これは子の監護に関しても父母の間に高いストレスがあるという場合が多いだろうと思います。
 その場合に、父母の方がこんなに子供についていらいら状態にあるのに面会だ、交流だなんてとんでもないというような判断をするのでなくて、やはり、そういう状況であっても親と子というのは大切な関係ですから、面会交流を子の福祉のため、子の利益のためにぜひ実現するように努力をしよう、例外はどんな場合でもありますが、努力をしようというのが家庭裁判所の調停または審判における努力の方向だ、そのことをこの法案は示している。 これはぜひ、そういうふうに家裁でも理解をしていただいて、努力をしていただきたいと私は思っております。

 

○馳委員

 関連をして、一般論として、子が別居親と面会交流することが子の最善の利益にかなうわけですから、監護権のある親が面会交流に強く反対しても、特別な事情がない限り裁判所は面会交流を実現すべきだ、面会交流させることが子の利益と推定されるなどの価値判断が本改正案の趣旨としてあるということも明言できないでしょうか。 いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 そういう、委員が御指摘のような場合は、なかなか困難はあるかと思いますが、それでもやはり、可能な限り家庭裁判所は親子の面会交流ができるように努める、これはこの法律の意図するところだ、こう私は思っております。
 家庭裁判所の調停、審判で、より一層そうした方向で努力がなされることを期待しております。

 

○馳委員

 この問題の根底には、面会交流を家裁が命じても、強制力を家裁が持たないために、家裁の権威のために、命じたくても抑制が働くことに一番の問題があるのではないかと私は見ておりますが、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 私は、裁判官をしたことはございますが、かなり古い時代でございまして、しかも、家庭裁判所に勤務をしたこともあるんですが、すぐお隣の少年事件ばかりやっておりましたので、家裁でそういう傾向が一般的に働くということが言えるかどうかは存じ上げておりません。
 おりませんが、確かに、履行の勧告とかあるいは間接強制とかいろいろあるけれども、実際に、会わせるというのを、それこそ引きずっていって、それ会えといって会わせるのじゃやはりまずいので、そこはその気になって親子が会わなきゃいけないので、そういうその気になるというのはなかなか強制でできるものじゃないので、そういうあたりを考えながら、家庭裁判所というのは、粘り強く、余り行き過ぎてもいけませんが、当事者の心のひだに分け入って、心を解きほぐしながら、いい親子関係ができるように努力をするものだと期待をしております。

 

○馳委員

 ちょっと強烈なことを今から提案しますね。
 家裁の履行勧告に従わなかった場合に、民事執行法百七十二条の間接強制はできますが、現実には余り機能しておりません。 そこで、履行勧告や間接強制を何回も無視したり等、ひどいケースに、児童虐待防止法の虐待事案と認定したり、人身保護法を適用して、人身保護命令を出して、罰則で担保したりすべきではないかと思いますが、いかがですか。
 関連して、不当な子供の連れ去りも虐待と言えるのではないでしょうか。 ここは厚生労働省に聞いた方がいいですね、法務省に聞いてもあれですし。
 私なりにこうしたらどうかと思ってお伺いいたしますが、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 馳委員がそうして一生懸命に、履行勧告に従わなかった場合などの対応についてお考えいただくことは、大変大切だと思っております。
 確かに、残念ながら、面会交流をめぐって、父と母が対立して適切に実現されない事案があるのは事実でございます。 ただ、監護親が面会交流を拒否する、これはやはりいろいろな理由もあって、面会交流の際に子を連れ去られるのではないかという不安があるとか、あるいは、離婚に至った経過の中で強いストレス、葛藤があって、もう顔も見たくもないというようなそういう気持ちもあって、たとえ子供といえども会わせたくもないというような気持ちも強くあったり、あるいはまた、親子の適切な面会交流が、たとえ別れた元夫、元妻との交流であってもやはり子の健全な育成のためには重要だということがなかなか理解されない、そうした事情があるのだと思います。

 ただ、こうした事情があるときに、それに強制力でもって臨むことが本当にいい人間関係をつくっていくのかというと、強制力というのはまたこれは一つのストレスになっていくわけでありまして、強制ではなくて説得で、やはりそこは納得でこの交流ができるようにしていくことが非常に重要だと思いますので、やはり、別れた後も父は父、母は母なんですよということの理解とか、あるいは、連れ去られるような心配はない、こういうやり方で会わせるんですからとか、そういうさまざまな説得の工夫は私はたくさんあると思うので、そうした努力を精いっぱいやることが大切だと思います。

 それから、人身保護も、人身保護というのはある人を拘束しているのを引き離して裁判所に連れてくるという制度で、監護親が子供を監護している状態が人身保護に言うところの拘束に当たるかというのは、大変判断は難しいだろうと思います。
 いずれにしても、納得が大切と思っております。

 

○石井政府参考人

 なかなか難しい御質問をいただきまして、また、かつて児童虐待防止法というのはまさに先生方がおつくりになった法律でございまして、そこにどう適用するかという御質問であるわけでございますが、一応、前提としまして、家裁の履行勧告に従わないというスタート地点がありますし、大変著しい、ひどい場合だという前提があるんだろうと思います。

 個別具体的なケースを見ていかないと、なかなか、本当にこれが児童虐待の定義に当てはまるのか、一概にこの判断は難しいところがございますが、ただ、先生御案内のとおり、児童虐待の定義のございます第二条、その第四号の中に、「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、」そして「その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動」、これが児童虐待に該当するということでございますから、まさにこれに該当するような極めてひどいケースについては、当たり得るということだけは申し上げることができるかと思います。

 

○馳委員

 まさしく、定義の特出しということになると難しいんですね。 実は我々も虐待防止法改正案をつくったときに、例えば、子供に対しての直接の虐待じゃないんだけれども、親同士が激しい争いをしているということを見せることは虐待に当たるよというふうな概念を定義の中に入れたんですよ。 したがって、まさしく石井さんがおっしゃったように、議員同士の議論の中で、私が今申し上げているのはこういうことですね、一方に全く無断で勝手に連れ去って、会わせない、それが子供の利益にとってどういう影響を及ぼすのか、これはやはり虐待の事案の一つとして認めてもよいのではないかという議論が煮詰まれば、これはまた特出しの書き方を、あるいは改正をすることもあり得べしなのかなと私は思っているということを申し上げさせていただきます。

 ちなみに、平成20年に児童虐待防止法を改正したときの附則、二つ、いろいろありましたよね。 一つは親権の問題で、今回実現いたしました。 もう一つの、社会的養護の問題を充実するということもあります。 したがって、児童虐待防止法についても、時代背景を踏まえて三年ごとに改正していこうじゃないかと。
 我々の想像、理解を超えるような虐待事案というものが出てくる以上はそれには対応すべきではないかという議論は、これは超党派の勉強会の中でもされておりましたので、ぜひ厚生労働省としてもその辺の理解を進めておいていただきたいと、まずお願いを申し上げます。

 さて次に、面会交流を支援する民間団体の取り組みを公的に支援する体制をしっかりと構築すべきではないかと思います。 面会交流を渋る同居親の気持ちに寄り添って、不安を取り除いたり、面会時の安全を確保したりすべきであると思いますが、いかがでしょうか。 将来的には、全国の家裁がある地域にすべて公的な面会交流センターを設置して、専属の専門員を配置すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 まさに、子の利益の観点から、離婚後も適切な親子の面会交流が行われることは極めて重要だというふうに認識をいたしているところでございます。
 厚生労働省では、平成19年度から養育費相談支援センターを設置いたしまして、ここで養育費のみならず、面会交流の相談にも応じておるところでございます。 その相談実績も、まだ数は少のうございますが、年々ふえてきている、そういう状況にございます。 また、都道府県などを単位に設置をされました母子家庭等就業・自立支援センターにおきましても、ここでは専門の相談員を配置し、養育費や面会交流の相談支援に応じておりまして、ここも相談実績は上がってきております。

 今後とも、まだまだ専門の相談員を配置していない母子家庭等就業・自立支援センターがございますので、そこでの配置を進めるとともに、相談員の人材が大切でございます。 その人材養成のための研修や関係機関との連携など、面会交流に関する相談支援体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

○馳委員

 わかりました。 さらに進めていただきたいと思います。
 家裁の負担の軽減も重要です。 例えば、最近、現役弁護士を家事調停などの非常勤裁判官として採用しておりますが、仕事がない弁護士の活用の点からも、より推進すべきではないかと思いますが、いかがですか。

 

○江田国務大臣

 最近、弁護士になっても就職先がないなどといういろいろな声があって、悲鳴も聞こえるんですが、こういう皆さんに仕事の場をもっとふやす努力、これを私どももしていく必要はあると思っております。

 今委員御指摘の家事調停官でございますが、これは、弁護士になっても仕事がないという者にすぐなってくれといっても、そうはいきません。 というのは、弁護士で五年以上その職にあった者の中から日本弁護士連合会の推薦を受けて最高裁が任命する非常勤の裁判所職員ということでございますので、五年間は弁護士をやっていただかなきゃならぬわけです。 しかし、そういう皆さんに、原則として週一日、所属裁判所で家事審判官と同等の権限で調停事件を処理していただいているというのが現状でございまして、この制度を活用することによって、裁判官の給源が多様化される、裁判官のなり手を多様化するとともに、調停手続の紛争解決機能を一層充実強化していくことはできると思っております。
 ただ、残念なことに、これが平成21年、再任を含んで11人、平成22年、再任を含んで30人。 もっともっとふえてほしいと思っております。

 

○馳委員

 大臣、いい答弁をしていただきました。 もっともっとふえてほしいと私も思いますし、弁護士になって5年たっても仕事のない弁護士というのはいっぱいいるんじゃないんですか。

 

○江田国務大臣

 仕事のないという、そのとらえ方ですけれども、私は、弁護士になって仕事がないなどと言うなと。 世の中、いっぱい仕事は、それこそ今、被災の現場へ行ったって、法律相談に乗ってほしいと思っている人はいっぱいいるんですよ。 なぜ避難所に行かないのか。 いや、行っていますと弁護士さんはおっしゃるかもしれません。
 いずれにしても、そういう思いで、これは公務員も、中央でも地方でも、あるいは企業にもあります。 いろいろな、スラムといいますか貧困の地帯もあります、田舎もあります。 弁護士の仕事は本当に、実は掘り起こせば幾らでもあるので、5年たっても仕事がないなどと弁護士さんに言わないでほしいと思いますが、現実には、5年たってまだ仕事がないという弁護士さんもおられるかもしれません。

 

○馳委員

 この問題については、また別の機会にゆっくりと追及をさせていただきます。
 関連して、子供代理人制度の創設も提案をしたいと思います。
 離婚時の審判等で子供が親同士の紛争に巻き込まれた場合に、子供の利益を代表する代理人を創設するものですが、いかがでしょうか。

 例えば、15歳未満の子供が、本当は別居親と会いたがっていても、同居親に嫌われたくないから、会いたくないと調査官に話したりしております。 このような場合に、しっかりと子供と寄り添って信頼を受け、その子供の本心を聞き出したり、何がその子供にとっての最善の利益かを考えて公的に表明してくれる人が必要だと思いますが、いかがですか。

 

○江田国務大臣

 重要な御指摘をいただいたと思います。
 両親が紛争の渦中にある、その場合には、子供の心情を思いやるゆとりがなくて、子供の心情、子供を取り巻く環境を酌み取る手だてがやはり必要だと思います。
 現状はどうなっているかといいますと、親権者の指定や面会交流等の審判をする場合に、家庭裁判所は、家裁調査官による調査などで子供の心情や子供の環境等を把握して、審判するに際して配慮しておりますが、しかし、今委員御指摘のような、子供自身が自分の利益を手続の中で主張するとか、あるいは子供の代理人の制度が、これはできておりません。

 しかし、ここから先が重要なんですが、今国会に家事事件手続法案というものを提出いたしました。 きょうから参議院の委員会で審議を始めていただいているところですが、いずれ当委員会に来ると思っております。
 この法案では、家庭裁判所は、未成年者である子供がその結果により影響を受ける事件においては、これは、子供の陳述の聴取あるいは家庭裁判所調査官による調査その他の方法によって子供の意思を把握するように努めろ、そして、子供の年齢や発達の程度に応じて子の意思を考慮しなきゃいけないということにしておりまして、子供の意思を尊重する旨を明文で規定して、より子供の利益に配慮するということにいたしました。

 さらに、自分の気持ちや意思を的確に述べることができる子供については、親権者の指定や面会交流の審判の手続に参加をすることが可能になる、あるいはまた、裁判所は、親権者の指定あるいは面会交流などに子供を参加させた上で、弁護士を手続代理人に選任することも可能とする、こういう規定にしておりますので、こういう法制定ができましたら、委員御指摘の趣旨は実現されるものと思っております。

 

○馳委員

 法律の成立を望むものであります。
 さらに、離婚後の子供との交流断絶が子供に長期的にどのような影響を与えているかという学問的追跡調査が海外にはありますが、日本には余りにも少ないんです。 ここはしっかりと公的支援をして調査をさせるべきではありませんか。 いかがですか。

 

○江田国務大臣

 日本でも、最近、面会交流の子供への影響についての関心が高まってきており、活発に議論されるようになってきていると思っております。 法務省としても、このような議論の推移を見守っていきたいのですが、見守るというだけでは、これはやはり、単に拱手傍観と言われても仕方がない。
 そこで、そうではなくて、親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究、これを委託いたしまして、現在報告書が取りまとめられているところでございます。 この調査研究では、家庭裁判所での面会交流事件の分析のほか、民間の面会交流支援団体からのヒアリングなど、あるいは当事者からのアンケートなども実施をいたしております。

 

○馳委員

 せっかく最高裁が来ておるので、聞きますね。
 裁判所が、監護、親権等、こういう決定をした後の子供の追跡調査に関する行政文書というものがありますか、ありませんか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 家庭裁判所で調停が成立し、あるいは審判が出されて、その後、それに従った形で履行がちゃんと当事者間でうまくいっているかどうかということに関して、履行勧告の申し立てがあれば、それらの件数については統計上把握はいたしておりますが、それ以外に、最終的に家庭裁判所での調停、審判の結果を受けて、その後当事者間でどういうふうに事態が推移しているかに関して、裁判所の方で把握しているということはないと思います。

 

○馳委員

 そうなんです。 ないんです、大臣。 これは私は、すごく大事なポイントかなと思っているんですよ。 せっかく裁判所の方で監護について、親権についての審判が下った後の追跡調査ということについては、これは最高裁の仕事ではないとは私は思うんですが、これは研究の対象として、その動向を探り、そしてやはり、その審判が子の利益にとってよかったのかどうかという検証を含めた調査というのは必要なのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 これはなかなか難しいことで、裁判というのはあくまで受け身の国家機能でございまして、何か訴えられればそれに対して答えはする、しかし、答えをした後々、その答えがよかったかという追跡は、裁判所にやってもらうというのは大変困難だと思います。 これが刑事事件ですと、有罪判決になった場合のことですが、刑務所でずっと後、見ていくとか、あるいは保護観察所で見ていくとか、一定程度のことはできますが、そうでない場合にはなかなか困難。 

 ただ、私が思うのは、裁判所も、地裁は確かにそういうことですが、家庭裁判所というのは、手続においてもあるいは性格においても社会化されている営みなんです。 社会の中に分け入っていろいろな紛争を解決していくようなところがあって、したがって調査官もいますし、いろいろなことをやるので、そして少年事件の場合も家事事件の場合も、そこに今のいろいろな病理現象のケースがいっぱいたまっていて、そこから現場へ行って初めて見出すいろいろな解決の種が、宝庫がそこにあるというのは事実だと思うんですね。 

 したがって、もちろん個人のプライバシーいろいろございますから、そうした事件を全部事件ごと社会に明らかにするというのは大変困難ですが、いろいろな形でそうしたケースの累積の中にある宝物を探り出して、そしてすばらしい世の中をつくっていくための素材にしていくということは、何か私たち考えなきゃならぬと思っております。

 

○馳委員

 実は私も、この辺がすごく気になっているんですよ。 我が国の家族法に関する法改正の歩みというのがちょっとやはり遅いというか、悪い言葉で言えば鈍感というか。

 私も国会に参りましてもう17年目に入るんですが、ちょうど平成10年前後ぐらいからですか、DV防止法とか、そして児童福祉法の特出しとして児童虐待防止法、また私自身も、高齢者虐待防止法や、今現在、障害者虐待防止法などの立法にずっと取り組んでまいりました。 何か社会的な、身も凍るような事件が起きた、それが相次いだ、その根源的なものは何だろうな、やはり家族のあり方が変わってきたよね、こんなこと昔はなかったよね、そういう事例が積み重なって、よっこいしょと重い腰を上げて国会が動いている、あるいは法務省が動いているというふうな印象を私も受けてまいりました。

 したがって、今大臣がおっしゃったことはすごく大事なことで、家裁の調査官の皆さんはいろいろな事案、事例に取り組んでおられます。 確かに忙しいというのは私はよくわかっていますよ。 しかしながら、私は、そういう意味では、調査研究、検証、分析、こういった業務もやはり重要な、日本社会を支える大事な業務なんじゃないかなと思っているんですね。 それがまさしく立法に生かされたとしても、その立法が後追いになってしまっては余り意味がないんですけれども、でも、そういう体制は整えておく必要があるのではないかなと思って申し上げたんですが、改めてコメントを求めたいと思います。

 

○江田国務大臣

 立法が先に出ていかなきゃいけない、出ていくのがいい場合もございます。 しかし、世の中というのは生き物ですから、この生き物の世の中が先に動いて、それを後から立法でしっかり定着させる、支えるといった立法もあるかと思います。

 我が国の家族についてのあり方が大きく変わってきておる。 核家族というのが一般化し、最近は、もう核家族を離れて、シングルマザー、シングルファーザー、これも別に不思議じゃないというようなことになって、そうしたことに対する社会的なある種の道徳的、倫理的批判、非難というのが以前はあったと思いますが、もう最近はそんなことはないと思います。 そういうように家族のあり方は変わってきていますので、私は、ここは、家族法についても、やはり、委員がいら立ちを覚えるような、その思いは私も共有をしていきたいと思います。

 

○馳委員

 たまたま私、ずっと議員立法を非常に使命感を持ってやってきたつもりなんですが、例えば、平成13年か14年に性同一性障害特別措置法、これも議員立法でやったんですね。 資料を集めたり、いろいろな社会の声を聞いたりするときに結構力になってくださるのは、やはりマスコミの皆さんであったり、取材の一線にいる皆さんであったり、また、個別にいろいろな研究をしておられる大学の先生であったり、あるいはお医者さんであったり、内科医とか精神科医とか外科医の皆さんであったり、そういうのがそういう立法のときに非常にブレーンとなってくださったんですね。

 したがって、私は、家族に関するあるいは個人に関するような法律は後追いでもいいと思っているんですよ。 ただやはり、その根拠となるような社会的な動静を把握できるような、まさしく家裁の調査官というのはそういう意味では非常に役割があるのではないかなと思っているんです。 したがって、その家裁の調査官も、どんどん研究論文を書いて世の中に発表し、そういう活動もされればいいと私は思うんですよ。 改めて、そういう意思を私自身持っておりまして、また、大臣にも御理解いただきたいなと思って申し上げました。

 さて、司法統計上は、面会交流について、月一回以上の統計しかありません。 月一回以上の、つまり月二回とか月三回というさらなる内訳は、立法政策上不可欠です。 最高裁にはもっと細かな統計資料を今後出すように強く強く要望をいたしますが、いかがですか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 委員御指摘のとおり、現在の司法統計の上では、月1回以上、これは、1カ月に複数回、あるいは月1回にプラスして長期休暇中にさらに面会を認める、こういったものを含んだもの、あるいはそれ以外の2、3カ月に一度だとか、そういったふうな刻み目で統計をとっておりまして、1カ月以上というものの具体的な内訳については、それ以上細かく詳細に把握するような仕組みにはなっておりません。

 最高裁判所といたしましても、事件処理の実情の把握という観点から、委員からいただきました御指摘も踏まえて、可能な対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
 以上です。

 

○馳委員

 これは、豊澤さん、意外と自分のことに置きかえて考えると、月1回、例えば離婚をした子供に会いたい、会わせたくない、会いたいな。こういうふうな中で、月2回というのは2週間に大体1回ですよね、月1回でおれは我慢できるかな、毎日でも会いたいという親も、もしかしたら、これはほとんどかもしれません。

 ただ、我が国は単独親権でありますから、かなわないという中での監護権を持たない親の心情を踏まえて考えると、統計数字を見ると、月1回以上、平成22年で53.2%ですね。 半分以上が月1回以上。ということは、さらに月2回、3回、4回と面会交流できているわけですよね。 やはりその辺の分析というものはもうちょっと丁寧にされた方がいいと思うんですが、先ほど前向きな答弁をいただいたので、これ以上は言いません。

 では、次の質問に移りたいと思います。
 さて、親権を停止された親へのフォロー、再教育が非常に大切です。 親権が復活した後の親子再統合に非常に気を使っていく必要があると思いますが、そのためにどんな施策を用意しておりますか。 これは厚生労働省に伺った方がいいんですね。 お願いします。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 虐待により親権を停止された親に対する指導や支援、そして親子再統合への取り組みを適切に行っていく、これは極めて重要であると認識いたしております。

 そのため、保護者への援助に関する基本的ルールを定めた、児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン、これは平成20年3月に策定をし、その中におきまして、児童福祉司等による面接や、あるいは家庭訪問での指導、支援、関係機関が実施する親子の再統合に向けたプログラムへの参加の促進などをお示ししているところであります。

 また、予算面では、家族再統合のための保護者指導支援員、これは児童福祉司などと同等程度の知識を有する者でございますが、そういう方々や、あるいは精神科医などを児童相談所等で活用するための経費を補助いたしているところでございます。 そして、家族再統合を目指して、ファミリーグループによるカンファレンスの実施や、親子による宿泊型プログラム等の実施によって要する費用も補助をいたしておりまして、そうしたことで児童相談所の体制強化にも努めているところでございます。

 このほか、これは何より人が行うものでございまして、その専門性、資質向上というのが何より肝要と考えておりまして、保護者指導、支援に関する研修を子どもの虹情報研修センターにおいて実施いたしております。 現在、多様なプログラムの実施状況やその効果等についての研究を行っておりまして、その中で、保護者指導に関する調査、検証を行っているところでございます。 そうした研究の成果を踏まえまして、またさらに全国の児童相談所が保護者指導、支援に適切に取り組めるように努めてまいりたいというふうに考えております。

 そして、親に対する指導、支援のあり方については、好事例をまとめてお示ししまして、これを地方自治体向けの各種会議あるいは研修などを通じて徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

 ○馳委員

 よろしくお願いします。
 親権停止の期間について伺います。
 最長の2年なのか、1年なのか、また半年なのか、この決定を現場の家裁に丸投げでは、家事事件が増加している現在、余りに家裁にとって酷であります。 期間の設定についてどのような対策をおとりになるのでしょうか。

 

○江田国務大臣

 これは、2年を超えないということで、確かに委員おっしゃるとおり、2年がいいのか、1年がいいのか、1年半がいいのか、これはなかなか、ぴたっと、これが一番よろしいというのを決めるのは大変困難で、その点では、確かに家庭裁判所に負担がかかるということはあると思います。

 しかし、だからといって、今度は全部一律2年としてしまうということがいいのかとなりますと、これまた個々の事案ごとにいろいろ違っているわけで、親権停止の原因や、あるいは態様や、程度や、それが消滅すると見込まれる時期とか、個々の事案ごとに、裁判所に事案に応じて一番適切な期間を決めてもらうということにしたわけで、負担については、法制審議会でもいろいろな議論がございましたが、ここは、家庭裁判所で調査官なども活用しながら適切なものを決めていただくという、家庭裁判所の努力にひとつ期待をしたいと思います。

 

○馳委員

 実は私、ここは大臣に答弁を求めるよりも厚労省に求めた方がいいなと思って、さっきからずっと石井さんのことを見ているんですけれどもね。

 つまり、これは、児童虐待という事案が発見されました、そして、一時保護、そして養護施設に保護をいたしましたと。そうすると、親子を引き離した職員と、同時に、今後再統合のために親と話をする職員と、私はやはり二つの系統があった方がいいなと思っているんですよ。 そして、後半の、親子の再統合をさせるために、児童相談所の、これは所長かもしれませんし、ベテランの児童福祉司かもしれません、子供を預かって、やはり親子をもとに戻す担当の人が家事審判の中で意見をお出しになって、一年相当ですね、二年相当ですねというふうな意見があれば、まさしく家裁もそんなに負担がかからなくていいんじゃないのかなと思うんですが、ちょっと私のこの提案を含めて、石井さん、いかがですか。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 突然の質問でちょっと戸惑っておりますけれども、まず非常にシンプルな事案として言えるのが医療ネグレクトなどの事案で、とにかく、宗教か何かの理由で輸血拒否をしている、その輸血をするために親権を停止するということであれば、これは一義的、かなり機械的に、医者との相談で大体どのくらいということで判断をして設定ができるのではないかと思います。

 そして、もっと一般的に、今先生がいみじくもおっしゃられました親子再統合の状況について、担当する人間の意見があれば家裁も判断がしやすいだろう、あるいは調査官の方が非常に参考になるだろうというのは、確かにそういうことはあるだろうなと思いまして、どこまでのことができるかわかりませんが、この辺は少し持ち帰って考えてみたいというふうに思います。

 

○馳委員

 その上で大臣に実は聞きたかったんですよ。
 まさしく、虐待の事案があった、一部始終、最初から事情というのをわかっているのは、やはり児童相談所であったりするわけですね。 その児童福祉司の皆さん、職員さんから適切なアドバイスを受けながら、そして家裁の方で最終的に判断をしていただくというふうにしないと、対応する親も、もしかしたら子供も、同じことを2回、3回繰り返し聞かれて、傷口にさらに塩を塗るようなことになったりするんですね。 特に性的虐待なんかというのは、本当にこれは親子再統合が難しい事案ですよ。

 いろいろな事案がある中で、同じことを何回も何回も繰り返し言わなきゃいけないということにならないように、この親権停止の期間をどう定めるかという工夫というのをしていただきたいと思って伺っているんですが、大臣、いかがですか。

 

○江田国務大臣

 御指摘は示唆に富んでおると思います。
 これは、最高裁の方でお答えいただけるのかどうかわかりませんが、私の感じでは、児童相談所が家裁の手続に参加をしていただいてというのが今の委員の問題提起かと思いますけれども、それも可能かもしれませんが、家裁の調査官がいますから、調査官はいろいろなことを調べることができる能力もありますし、権限もありますし、その調査官が、これまでの児童虐待の経過などについてきっちりと児童相談所その他から調査をして報告書にまとめて、そして家裁の手続の中にそれを生かしていくということが十分考えられるのではないかと、ちょっと法務大臣としては言い過ぎなのでございますが、そんなような感じがしております。

 

○馳委員

 大臣がそんなような感じをおっしゃいましたが、豊澤さん、いかがですか。 多分これは大臣の経験からおっしゃったので、感じじゃないと私は思うんです。 そういう流れで審判がされる、そして家裁の調査官と児相の職員の方々と十分連携がとれておるから、同じことを根掘り葉掘り子供や親に何回も言わせたり聞いたりすることのないようにできるんじゃないですか。 いかがですか。

 

○豊澤最高裁判所長官代理者

 今のように、親子間の問題があるという比較的初期の段階から児童相談所の方がかかわりを持っていて、一時保護なりあるいは施設入所なり、そんなプロセスを踏んだ上で親権停止の審判の申し立てがなされる。 この場合、申し立て権者は、親族の場合もありましょうが、今のようなケースでございますれば、児童相談所長からの申し立てというふうなこともあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、児童相談所長からの申し立てがされるということでありますれば、それまでのかかわりの中で、児童相談所の方で蓄積されたさまざまな情報であるとか資料であるとか、そういったものを家庭裁判所の方に提出をしていただいて、それらを踏まえて、さらに必要な調査なりを加えて判断する、こういう流れになろうかというふうに思います。
 以上です。

 

○馳委員

 これは新しいシステム、制度ですよね。 親権停止の期間を設定される。 された方の親の立場になって考えるべきだと私は思っているんですよ。 もちろん、子供の立場に立って私たちはこのシステムをつくったんですが、親の立場に立ってみたら、半年なのか一年なのか、本当に半年か一年たってちゃんと親権を回復してくれるんだろうか、そのために自分は何をしなければいけないんだろうか、私はそこまでの配慮が家裁にも必要なんだろうなと思うんです。 そのときの必要な情報を集める努力をしていただければ結構なんですよ。 以上です。

 次に、親権停止期間が経過すると、新たな停止の申し立てがなければ自動的に親権は復活しますが、どうして更新制度としなかったのですか。お伺いします。

 

○江田国務大臣

 停止期間満了して、何もなければ復活するということになりますが、復活が必ずしも妥当でない場合もあって、その場合には更新ということも制度としてはあり得ることでございます。

 ただ、更新の場合に、どういう更新がいいのかというのがいろいろと場合があって、それよりもむしろ、ちゃんとそこで一度チェックをするには再度の申し立てをしていただく。 やはり自動更新というわけにもいきませんし、そうすると、どこかでだれかがアクションを起こすということになれば、更新というよりも、やはり再度の申し立てでもう一度ちゃんと調査をしてみる、その上で審判をするということの方がいいのではないかという判断から、更新制度ではなくて、ただ、これは、二年たったらもう後はできませんということじゃないですから、さらに申し立てをしていただくという制度にしたわけでございます。

 

○馳委員

 はい、わかりました。 これはスタートした運用も含めて、やはり今後の課題だと思いますので、大臣の御説明でよくわかりました。

 次に参りますが、再度の親権停止の申し立てがあって、いまだ親権者の行状に変化がないときには、基本的には親権停止となるんですか、喪失という形になるんでしょうか。 いかがでしょうか。

 

○江田国務大臣

 これは個々の事案ごとにさまざまだと思いますけれども、最初の停止のときと同じ事情であれば、それは喪失というところまではいかないということですから、しかし同じ事情でやはり停止が必要だという場合ですから、その場合は同じように停止になるということだと思います。
 ただ、あくまで個別の事案によるので、そこは個々の判断が必要だと思います。

 

○馳委員

 医療ネグレクトの場合に、緊急を要することがほとんどですが、どういう迅速な手続をとって親権停止まで進めていかれますか。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 現行法の扱いをまず申し上げますと、議員御案内のとおり、親権喪失の宣告を本案事案とした審判前の保全処分として、家庭裁判所が親権者の職務執行を停止した上で職務代行者を選任し、そして職務代行者が治療に同意する、こういう運用がなされている、大変込み入っているわけでございます。

 今回、児童福祉法の改正の中で、ある規定を設けております。 その規定におきましては、児童相談所長は、一時保護を加えた児童の生命または身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権者等の意に反しても、当該児童の福祉のため必要な措置をとることができるとしているところでございます。
 したがいまして、緊急に手術等の治療の必要があるような場合におきましては、これは家庭裁判所での手続を経ることなく、児童相談所長が一時保護を加えた上で治療に同意することができるようになると考えております。
 一方で、こうした行政的対応が難しい事案もあるわけでございまして、あるいは、そのほかにも、緊急性がない、じわじわきいてくる、そういうふうなケースもございまして、それでその親権者の同意が必要な場合に、そこにおきましては親権の停止制度、これを用いていくことになるものだと考えております。

 

○馳委員

 ちょっと意地悪な質問をしますね。 30分、1時間でできるんですか、こういった手続は。
 答弁を考えている間に先にしゃべっていますからね。
 つまり、緊急とおっしゃいましたね。 まさしく、輸血が必要だ、手術をしなければならない、事故に遭ったときなんかそうじゃないですか、しかし、親権者に、親に尋ねてもだめだめの一点張りと。 本当に緊急を要する場合に、先ほど石井さんがおっしゃったような手続は、30分、1時間でもできるということでいいんですねという確認です。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 まさにその緊急時で、瞬時の判断が必要な場合にこの規定が生きてくると思っております。
 例えば、親権者は反対しないとしても、なかなか連絡がとれない、だけれども、その場合に早く手術をしなきゃいけない、こういう場合にもこういう規定は威力を持ってくるというふうに考えております。

 

○馳委員

 それで、後から親から訴えを起こされても対応できますね。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 今回、明文規定が設けられることになれば、これは十分できるというふうに思っております。

 

○馳委員

 私は、大変重要な答弁だったと思います。
 親権停止の申し立ては、子供本人も申し立てできるようになりますが、その後の親子再統合のことを考えると、子供本人と親権者とを仲介したり子供の相談相手になったりする公的な支援体制は不可欠と思いますが、いかがでしょうか。

 

○石井政府参考人

 今回の改正案におきましては、親権の停止申し立ての請求権者に子供は加えられておりますけれども、基本的には、子供がそういったような状態に追い込まれることがないように、子の親族や児童相談所長等が親権停止の申し立てを行うべきとの考えで法制審議会の考えも一致していたところでございます。
 ただ、実際に子供がどうしてもそういうことが必要なケースがあるというのも事実でございまして、そのためにこういう規定を設けようということでございますので、結局、可能な限り児童相談所がかかわるべきでありますけれども、仮に今回の法律が成立した場合には、改めて児童相談所がサポートをするんだということについて周知を図りまして、適切に子供のサポートあるいは親子関係の調整など対応していく必要があると思っております。

 

○馳委員

 これは石井さん、私は児童相談所の司法的なバックアップ体制を十分とっておいた方がいいと思うんですよ。
 今現在、児童相談所は顧問弁護士とか顧問司法書士とか、いますか。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 まさにこうした場面が必要だということもありまして、弁護士などを雇い上げができるような補助制度というのを設けているところでございます。

 

○馳委員

 顧問弁護士というのはそんなにお金がかかるんですか。 児童相談所に司法上のバックアップ体制をとっておくためにも、全国の児童相談所は、全部で幾つあるか私は存じておりませんが、こういう法的なバックアップ体制は公的な支援も含めてとっておく必要があると、大臣、思いませんか。

 

○江田国務大臣

 資格のある法律家が、すなわちこの場合は弁護士でございますが、顧問弁護士としてついて、日常的に法的サービスをいつでも提供するという体制を整えるというのはいろいろな場面で大切で、例えば企業など顧問弁護士を雇っている企業はたくさんございますし、また自治体でもございます。 児童相談所の場合にも、今政府参考人の説明のとおり、そうしたことができるということになって、私はこれは大切なことだと思っております。

 その費用というのは、これはその弁護士と児相との顧問契約で決まっていくことでございまして、私も幾らがいいのかというのはよくわかりませんが、適切な費用でお雇いになったらいかがかと思います。

 

○馳委員

 お雇いになったらいいかと思いますという答弁はだめなんですよ。
 私は、これは今後、この親権の一時・一部停止制度を民法に、何十年ぶりかの改正で、親権の概念まで広げていくというふうな話でありますから、児童相談所に対する司法的なバックアップ体制、支援体制というのは本当に重要になってくると思っているんですが、石井さん、それから続いて大臣、改めてもう一回御答弁をお願いします。

 

○石井政府参考人

 お答え申し上げます。
 今回、新たに親権の停止といったような請求ができる権限を児童相談所長が得ることになれば、それを必要な場面で適切に使っていくということが可能な体制をつくる、当然だと思っております。
 ただ、現時点におきましても、児童福祉法に基づきます強制入所措置の二十八条の申し立てなどは、これはまさに裁判手続が必要となるものでございまして、現在、これを児童相談所は弁護士などの協力も得ながらやっているところでございますので、これをもっと深めていくということだろうと思います。
 いずれにしましても、今回、新しい手段がつけ加わりますれば、これが適切に行使できるようにバックアップをしっかり整えていきたいと思っております。

 

○江田国務大臣

 私の方は法務省でございまして、厚労省所管のところに差し出がましいことは言いたくないという意味で先ほど申し上げたので、ぎりぎりのところを申し上げておると御理解ください。

 

○馳委員

 これは前回の児童虐待防止法の改正のときにも、つきまといとか徘回とかを制限しましたよね。 ところが、やはり児相の職員さんにとっては、どこから親がやってくるかわからないような不安の中で、何かあったときに、まさしく警察の援助であったり司法的な援助というものが常に与えられて、連絡する場所があって、そしてその顧問契約について、それは適正な価格だともちろん思うんですけれども、やはり法的なバックアップがちゃんとあるんですよということの安心感というのは違うと私は思うんですね。

 ここについて、これはやはり予算化もありますから、予算化になるとこれは政治の話かもしれませんが、その必要性についての理解、これは厚労省も法務省としてもぜひ御理解をいただきたいと思いますし、弁護士さんのお仕事がちょっとふえるかもしれませんが、これはやはり頑張ってやっていただきたいなというのが私の本音なんですよ。

 もう時間になりましたので最後の質問とさせていただきますが、平成十九年の児童虐待防止法の改正において、当時、毎日新聞の一面でも紹介をいただきましたが、親責任という概念、規定を私は盛り込みをいたしました。 紹介します。第四条第六項「児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。」
 今回の改正案では、この親責任規定を踏まえて民法八百二十条は改正され、「子の利益のために」という文言が追加規定されたのでしょうか。お伺いをいたします。

 

○江田国務大臣

 親権というものを子の利益のために行使しなければならない、これは現行法でもそれが理念だと考えております。 しかし、民法にこれを明確に示す規定がない、そのことが国民に誤解を与えて、親権というのは親の子に対する支配権であるような誤解というものがあって児童虐待を助長する結果となっている、そういう指摘もございました。
 それで、児童虐待防止等の観点から、身上監護に関する総則的な規定と言われる八百二十条に、子の監護、教育は子の利益のために行われるということを、これは確認的ですが、しかし、やはり書くということは意味が大変大きいわけで、書くことが適当だ、こう考えてこの規定を導入したわけでございます。

 馳委員が御努力をくださって、児童虐待防止法に今お読みになったような規定が入ったことなども、民法のこの規定を明文化するということの一助になっているものと思っております。

 

○馳委員

 本当に長きにわたり、ありがとうございました。 まだ積み残した質問もございますが、あしたもやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

  ※詳しくは衆議院 会議録議事情報 会議の一覧 をご覧ください。
(常任委員会 → 法務委員会 →4月19日 第7号 )

 



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