衆議院 法務委員会 会議録

第177回国会 第5号 

平成23年4月13日(水曜日)

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 【馳浩 質疑部分 抜粋

○奥田委員長

 以上で平沢勝栄君の質疑を終了いたします。
 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 お疲れさまでございます。
 江田大臣、よろしくお願いいたします。私も、参議院議員時代から江田大臣のことはよく存じ上げているつもりではありましたが、改めて、法務大臣として、法の番人としての冷徹な判断と、同時に、関係者に対する温かい、説得力を持って職務を遂行していただきますように激励を申し上げたいと思います。

 私は、実は法務委員会は門外漢でございます。 いつもは教育畑でやっておりますが、法務委員会に来るときには大体三つのテーマなんですよ。 一つがきょうやりますハーグ条約に関係すること。 もう一つが民法の親権問題、これは児童虐待に関係することですね。 もう一つがオウム真理教に絡む団体規制法の問題。 大体これを私は政策のテーマにしておるものですから、私が来たら大体そういう話だなと思って、前向きに対応いただきたいと思います。

 では、きょうはハーグ条約の批准と国内担保法問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、ハーグ条約に関係して関係副大臣会議が数回開かれていると思いますが、どんな話し合いをしているのか。 そして、この副大臣会議では、批准するか否かまで含めて議論をしているのか、そして結論を出すおつもりなのか、この方向性について、これは小川副大臣にお伺いした方がいいと思いますので、お伺いしたいと思います。

 

○小川(敏)副大臣

 まず、ハーグ条約の締結についての結論を出すという意味での会合ではございません。 ハーグ条約に関しまして、これを締結すべしという声と、あるいは消極的な声と、いろいろありますが、しかし、ハーグ条約をもし仮に締結した場合には、国内法としてどのような整備が必要なのか、そうしたことについて議論をしておる、こんなようなところでございます。

 

○馳委員

 結論を出す会議ではない、もしハーグ条約を批准したらという、どちらかというとあいまいな気もいたしますが、そうすると、何のためにこの副大臣会議を開いているのか、国際問題化しておりますこの問題への見せかけのポーズなのかという厳しい指摘もせざるを得ません。
 そして、大事なことは、批准をするためにはどのような論点、ハードルがあるのか、このことについてお示しいただきたいと思います。

 

○小川(敏)副大臣

 ハーグ条約を締結いたしますと、主なものとしましては、まず、外国から国内に子供を連れ去ってきた者に対して、外国の方の親がそれを返還するということの申し立てをする。 条約上は司法と限定されているわけではありませんが、いずれにしても、司法かあるいは司法的な手続、これを設けなくてはいけない。 これが一つの、どのような手続にするかというのが論点でございます。

 それからもう一つは、条約におきましては、政府が、中央当局と言っておりますが、中央当局を設けて、そのような手続を行うために具体的な支援をしろということが大きな義務となっております。 そうした場合に、どの役所がどのような支援を具体的にどういうふうに行うのかということ、これも定めなくてはならない。
 また一方で、我が国におきましては、国内の夫婦間でもやはり、子供をどちらが監護するかとかいうことで争いがある場合がございます。 そうした場合の取り扱い方と違う取り扱い方ができるのかどうかとか、今行っているところは、そういうことを踏まえて、ハーグ条約を締結した場合にどのような仕組みが考えられるのかなと。
 ハーグ条約を締結しても、国内法的にそれを履行する制度を構築するのが不可能だったら、これは締結できないわけでございますが、しかし、可能なら、可能という上において、このハーグ条約を締結するかどうかの判断を政府が行う、このようなことでございます。

 

○馳委員

 関係副大臣会議が開かれるようになったのには、私は二つの要因があると思っているんですよ。
 一つが、これは岡田外務大臣以来、アメリカの議会あるいはクリントン国務長官などから直接、この問題について日本としても対応を検討し、そして一つの方向性を出してほしいという外交的な、圧力と言うとあれですけれども、要望があったということ、これが一つ。 もう一つは、やはり国内要因。今、小川副大臣もおっしゃったように、国内においても似たような事例が頻発する中で、我が日本という国家の離婚を取り巻く事情が、昭和の、今から30年、40年、50年前の時代と今とではやはり社会的な状況が違うという、この二つのこともあって、やはりこれは副大臣会議を開いて、連携しながら対応しなければいけなくなったというふうに私は認識をしているんです。

 そうすると、そうはいっても、この副大臣会議をいつまでにどういう方向性でまとめていくかということ、これは政治的な課題だと思うんですね。 どうでしょう。 当事者として、小川副大臣として、この通常国会、私は通常国会中に方向性を出すべきだと思っていましたが、東日本大震災も受けまして、ちょっと事情も違ってまいりました。 現状、副大臣としては、この副大臣会議に出席をされていて、どのあたりまでにどの程度の方向性を出すべきかなというふうに考えておられるか、ちょっと所感をお伺いしたいと思います。

 

○小川(敏)副大臣

 私どものこの副大臣の関係官庁の会議そのものの役割は、締結するかどうかを決めることではなくて、先ほども申し上げましたように、締結するとした場合にどのようなことが必要かという環境を考えることでございますが、ただ、会議を重ねる中におきまして、国内の手続法を設けることは可能である、それから、中央当局の支援ということも、これを具体的に定めれば定まる。 ですから、仮に条約を締結した場合に、これが国内法的には全く実施できないというような結論にはなっておりません。

 ただ、そういう構築の問題とはまた別にしまして、実際にこれを導入した場合の大きな問題としましては、例えば、配偶者が子供を連れてきた場合に、それが暴力があったりとか、仮に、さまざまな事情があってやっと帰ってきたのに、それがまたもとの国に戻されてしまう、それが果たして子供のためにいいのかどうか。 それをもっと丁寧に、子供の幸せのために考えた場合に、いいのかどうかということの中身において、より妥当な、より適正な対応をする必要があるのではないか。

 その点をめぐって、また反対論、賛成論があるわけでございますので、そうした点につきましても議論をしておるところでございますが、大分回を重ねておりますので、そうした意味で、条約を締結するかどうかという判断は私どものミッションではありませんが、条約を締結したとしても国内法的にはこれを進めることは可能であるなというぐらいのところに来ておりますので、あとは、これを踏まえて政府がどのように検討していくか、このようなことになると思います。
 ですから、政府次第では、それは早くということも可能ではありますが、結論を早く出すかどうかは私からは申し上げることは、申し上げる立場ではありませんので、御容赦ください。

 

○馳委員

 今お話を伺っておりましたら、いわゆる例外規定についてのとらえ方、それから、子の福祉に関して、そこをやはり最大限に考えていくべきだという方向性、私は、それは間違っていないと思いますし、その方向性は必要だと思います。
 同時に、さあ、では締結するとして、もちろん締結する方向が必要だ、私はそういう認識で質問しているんですが、国内法の整備をどういうふうに持っていくかということは、これは極めて、省庁がまたがりますので、やはり政治力が必要になってくる問題だと思います。 まずは私は、小川副大臣のそういう意味でのリーダーシップを大いに期待しながら、ちょっと細かいことを質問してまいります。

 ハーグ条約は、親権、いわゆる監護権を含みますが、その侵害を伴う16歳未満の子の国境を越えた移動に対して、原則、常居所地国に子を返還する条約ですが、この条約は、そもそも、何が子の利益、子の福祉になるかは、原則は、子がそれまで在住していた国、いわゆる常居所地国ですね、そこで決定することが望ましいという根幹的な価値判断があると思いますが、それでよろしいでしょうか。

 

○小川(敏)副大臣

 確かに、このハーグ条約は、実質的にどちらの親が子を監護するのがふさわしいかどうかということを判断する場ではなくて、そういう判断は、あくまでももとの居住していたところで判断しなさい、その判断をするためにはまずもとの場所に戻しなさいという規定でございますので、委員の御指摘のとおりだと思います。

 

○馳委員

 では、これは江田大臣にお伺いいたしますが、今私も指摘をし、小川副大臣にも御答弁いただきましたが、こういう根本的な価値判断自体について、江田大臣は共有することができるということでよろしいでしょうか。

 

○江田国務大臣

 これは、国際結婚というのがもう非常に普通のことになってきて、国際結婚が普通のことになったということは国際離婚もまた普通のことになってきますよね。 そうすると、子供をどっちが育てるんだということが当然議論になるわけで、そういう議論になるときに、やはり国際的なルールというのが何かなきゃいけない。
 その場合に、今あるのはハーグ条約しかないので、ハーグ条約で、どちらが育てるのがいいかということは、その中身じゃなくて、どこで審判をするかというと、子供がもといたところ、常居所地国で裁判するのがいい、そういうルールです。 やはりルールというのはなきゃいけませんから、私は、これは一つのルールだろうということで、その判断は共有をしております。

 

○馳委員

 私も同様に、やはり一定のルールが必要であろうというふうに思っております。
 ちなみに、これは事務方で結構です。 今大臣もお示しいただきましたが、今、国際結婚や国際離婚はなるほど多くなってきた。 では、どのぐらいさかのぼろうかな、私はもう50歳になりますから、50年前、昭和36年、要は昭和30年代でいいんですよ、当時、国際結婚がどの程度の件数があって、国際離婚がどの程度の件数があったのか、そういう数字というのは把握しておられますか。
 私は、今急に思いつきで聞いているだけですから、つまり、国際結婚、離婚、これを取り巻く環境が我が国においてどの程度変わってきたのかなということについて、何か数値等がありましたらお示しいただきたいと思いますが、まず事務方から、どうぞ。

 

○宮島政府参考人

 先生御指摘でございますが、ちょっと恐縮でございますが、今の時点で数字を持ち合わせておりませんので、調べましてまた……(馳委員「では今度」と呼ぶ)はい。

 

○江田国務大臣

 昭和30年代ということをおっしゃいました。 私は、昭和35年に高校を卒業して、大学へ入った。 当時はやはり、私の周辺に国際結婚というのはそうなかったと思いますね。 今はもう国際結婚、ごろごろと言っちゃいけませんが、ごく普通のことになっているので、数字は後ほど事務方が調べてお答えできるかもしれませんが、感覚としてはもう全く違うと思います。

 

○馳委員

 国際結婚が当たり前になった時代という感覚は、私も共有しております。
 ただ、いろいろな問題をはらんでいますよね。 例えば、某宗教団体の国際結婚というのは非常にシステマチックに行われておりまして、もしかしたら我が日本国の中山間地域の結婚対策になっているような背景もあったりするじゃないですか。 これは別に悪いと言っているわけじゃなくて、しかし、国際結婚した後の家族のあり方について、法治国家である我が国もやはり一定のルールが必要だという、まさしく先ほど江田大臣がお示しになった対応をとっていかなければいけないのではないか。 先進国の中でも我が日本国が現状どうなのかということを考えたときに、小川副大臣、やはりちょっと急いだ方がいいんじゃないのかな、こういう観点から私は質問しているということを御理解ください。

 そこで、国際的な批判があるということを踏まえると、国内担保法の検討を政治主導で急がせていただきたいと思っております。 条約の締結がいつできるか、本当に早く早くと待っている方もたくさんおられます。 国内担保法の進捗状況にかかっておりまして、この辺の政治的な責任というものをどのようにお考えなのか、小川副大臣からもう一度お伺いいたします。

 

○小川(敏)副大臣

 確かに、実際に国際結婚が破綻して、別れて、しかし子供は一人しかいないわけです。 一人というのは、一人の子供は一つの存在ですから両方には存在できないということで、困難な問題がございます。
 国内におきましても、子供を連れて帰ってきた配偶者の場合には、そのままであってほしいとありますけれども、逆に、日本で生活していて子供を外国に連れて帰られてしまったという人からすれば、早くハーグ条約に日本も加入して何とか取り戻す道を開いてほしいということがありまして、これはまさにさまざまな状況があるわけでございます。

 ただ、私が法務副大臣を拝命したのが去年の9月ですか、欧米の法務関係の方が表敬に来られたりして何回もお話しすることがありましたが、ほとんどの方がすべて一様に、早くハーグ条約に加入しなさい、なぜ日本は加入しないのかということを言っていかれます。 それだけ、欧米から見て、日本もハーグ条約を締結してほしいという声が強いのかなということは実感しております。
 担保法的には、先ほども申し上げましたように、技術的な面は大体出尽くしたかな。 ただ、拒否事由の内容とか、それからそもそも締結するかどうかとか、そうしたことについての政治判断、これは、そうした海外からの状況とか、国内でそれを求めている人の声もありますので、政治的にはやはりしかるべく、そんなに遅くない時期に対応すべきだというふうには思っておりますが、しかし、反対する方にやはり十分納得できるような対応もしていかなくてはならないので、その点についてもしっかり検討していきたいと思っております。(発言する者あり)

 

○馳委員

 担保法とおっしゃいますが、私は、まず第一段階は手続法だというふうに思っているんですよ。 そして、その手続の運用に当たるときにやはり配慮が必要だという法務省なりの配慮がなされているんだろうなというふうに私は思っているんですね。 今、遅いというふうな声も牧野先輩からありましたが、これはやはり作業を早くしてほしいというのが正直なところでありまして、さらに、ちょっと細かく質問をさせていただきます。
 条約の適用対象事案は、監護権の侵害を伴う事例だと思いますが、親権の侵害を伴う事例との説明もあります。 監護権の侵害か、親権の侵害なのか、これを我が国の法制でどう考えたらよいのか。

 私のつたない知識ではありますが、親権というと、養育監護権、居所指定権、懲戒権、職業選定権でしたか、そして財産権、こういうふうに言われていたと思います。 ハーグ条約が対象とするのは監護権だけなのか、それとも親権というふうに含むのか、これはどういうふうに考えたらよいのか、そして法務省としてはどう考えておられるのか、お示しください。

 

○宮島政府参考人

 ハーグ条約に基づく子供の返還について対象になりますのは、まさに先生御指摘のとおり、監護権の侵害を伴う事案でございます。
 親権の定義とかについてもいろいろと議論はあると承知しておりますけれども、ハーグ条約の第五条におきましては、監護権には、子の監護に関する権利、特に子の居所を決定する権利を含むというふうに規定されておりますので、言葉に若干混乱もあったかもしれませんけれども、本条約の適用に当たっては、同規定に従って監護権の侵害の有無を判断するということになっております。

 

○馳委員

 わかりました。
 これはちょっと蛇足になるかもしれませんが、親権ということに関しては、多分この後、民法の改正案のお経読みをして審議が始まるんだと思います。これもやはり、時代とともに家族観が変わり、家族を取り巻く社会的環境が変わってきた。 懲戒権というのはどうなんだろうかな。 その以前に、単独親権であるけれども、諸外国のように共同親権という考え方の方がふさわしいのではないか。 つまり、夫婦は別れたら他人、子供にとって親は親、この辺はやはり一つのルールとしてこれも考えていくべきなのではないかなと思います。
 ただ、この問題は民法の今回の改正案に付随する考え方でもありますので、きょうは深くは追及していきませんが、ただ、私もこれは10年間、児童虐待防止法の企画立案とかに取り組んできた者として、一面から見ると、無理無理親と子供が引き離された状態が継続するということも子供にとっての児童虐待なんじゃないんですかという指摘もできるんですね。 そういう意味で、今回、民法改正というのは大きな改正ですから、簡単に3年や5年でできるものではありません。 したがって、こういった議論も私はぜひ深めていただきたいとお願いを申し上げておきます。

 次の質問に入ります。

 条約では、監護権の侵害を伴う16歳未満の子の国境移動事案に対して、現所在国の裁判所が常居所地国に子を返還する内容ですが、返還を拒否できる例外事由も規定されております。 その内容はどんなものですか。

 

○宮島政府参考人

 ハーグ条約に基づく子の返還を拒否できる場合として条約に掲げてありますのは、以下のことでございます。
 まず一番目は、連れ去りから一年以上を経過し、子が新たな環境になじんでいる場合、これは第十二条に書いてございます。
 二番目が、申立人が監護権を現実に行使していなかった場合、これは十三条の第一項のa。
 それから三番目が、申立人が事前に同意または事後に黙認していた場合、これも第十三条の一項のaに書いてございます。
 それから四番目が、子の返還が身体的もしくは精神的な害を及ぼし、または子を耐えがたい状態に置くこととなる重大な危険がある場合、第十三条第一項b。
 五番目が、子が返還を拒否しており、当該子が意見を考慮するに十分な年齢、成熟度に達している場合、第十三条第二項。
 それから最後に、六番目でございますが、要請を受けた国の人権及び基本的人権の保護に関する基本原則により認められない場合、これは第二十条でございます。

 

○馳委員

 この例外事由、五つ申されました。 これは、条約を締結した場合には、国内担保法でも当然制定されるべきものと考えてよろしいですね、小川副大臣。

 

○小川(敏)副大臣

 これは条約の中に認められている拒否事由ですから、それは絶対的に拒否しなくちゃいけないというものではありませんが、やはり当然、拒否事由として認めていくものだと思います。

 ただ問題は、端的にこのケースには当たらないけれども、しかしやはり困るんだというケースもございます。 特に、今一番反対の声が多いのは、配偶者暴力、つまり、子に対する暴力じゃなくて、配偶者からの暴力があるので子供を連れて逃げてきたという場合に、子供が取り返されて向こうに戻ってしまえば、やはり親の立場として子供と一緒に行って監護権を争いたい、しかし、配偶者から暴力を受ける可能性があるというようなときにどうするのかとか、さまざまな声がありますので、むしろ、条約に定めたこの拒否事由が入るんですねというのは当然でして、あとはこれをいかに実情に合うように、この条約の趣旨に反しない範囲で拒否事由をきちんとまとめられるかというところだというふうに思っております。

 

○馳委員

 そこで、問題の例外事由条項の十三条一項b号でありますけれども、改めて、どんな規定であり、具体的な典型例をお示しいただきたいと思います。

 

○宮島政府参考人

 ハーグ条約の第十三条第一項bは、子の返還が子に対して身体的もしくは精神的な害を及ぼし、または子を耐えがたい状態に置くこととなる重大な危険がある場合には、子を返還する義務を負わないと規定しております。
 典型的な例としては、例えば、子の返還を要求する親から子が身体に対する暴力を受けたことがあり、その子を返還した場合にさらなる暴力を受けるおそれがあるようなケースはこれに該当するものと考えております。

 

○馳委員

 DV防止法については、これも私のつたない知識でありますけれども、保護命令がかかりますよね。そして、この保護命令がかかるのは大体一週間ぐらいじゃなかったでしょうか。 とすると、我が国内法で、DV法の保護命令の規定を準用すれば十分例外規定として対応できるんじゃないかな、そういうふうに私は実は認識をしているんです。
 それで、質問をいたしますよ。
 同b号の、子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険がある場合の解釈そして運用が問題だと思っています。国内担保法で同様な規定を置かざるを得ないと考えますが、その場合でも、限定列挙規定にするか、あるいは厳格な解釈そして運用とすべき、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
 同時に、関連して、海外でのいわゆる国内担保法の適用というのはどういうふうになっているでしょうか。 お伺いいたします。

 

○小川(敏)副大

臣 やはり、さまざまな具体的なケースとして、さまざまなケースがありますので、限定的にというよりも例示的にして、なお包括的な規定を置いて、いろいろなケースに柔軟に対応できるということが好ましいかと思っております。

 

○宮島政府参考人

 海外のケースについてでございますけれども、特例として、私ども調べましたところ、スイスが例外的に、具体的に国内法で条約第十三条第一項bを規定している国でございます。 スイスは、第十三条第一項bに定める、子を耐えがたい状態に置くこととなる場合というのを具体的に国内法で定めております。
 それ以外の幾つかの国を調べましたが、米、英、豪、ニュージーランド等の担保法について調べましたが、これらの国々では、条約の定める文言をそのまま引用する形で返還拒否事由というのを定めております。

 

○馳委員

 小川副大臣、実は私もこのスイスの事例というのも調べていたんですよ。 やはり我が国としても、先ほどから気になりますが、これに反対する方々もいらっしゃる。 その事情も、私もわかっています、小川副大臣もよくわかっているはずです。 したがって、この国内担保法をつくるときには、このスイスの事例というのをよくよく吟味された上で、日本的な対応をすべきではないかというふうに私は思っているんですよ。 非常にここはセンシティブな問題だと私は思うんですね。
 小川副大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思いますが、いかがですか。

 

○小川(敏)副大臣

 いわゆる配偶者間暴力とか、あるいは条約には具体的に書いておりませんが、兄弟がばらばらになってしまうとか、さまざまなことがございますので、やはりここは具体的ケースに柔軟に対応できるようにしていくことが大事かなというふうに思っております。

 

○馳委員

 ここでも、蛇足ではありますが、非常に家族の問題、敏感でありまして、離婚となるともっと敏感でありまして、そうなると当事者同士での解決はなかなか難しいと考えるのが普通ですよね。
 小川さんは女房と離婚の話をしたことがありますか。 ないですよね。 つまり、これは、私も一応離婚経験者なので、あえて聞いているんですよ。 本当に神経をすり減らす。 そうすると、これはどう考えても、国際的な問題というのが絡んでまいりますと、法的に加えて、カウンセリングも含めて、措置をした後の問題も含めて実は対応してあげなければいけない。 つまり、法がしっかりしていても、運用の段階で携わる第三者、代理人、この信頼がなければ動いていかないという問題なんですね。 私はあえてちょっと今言いづらいことを言ってしまったんですけれども、ここに対応できる人の教育というか研修というか、さまざまなケーススタディーができる方、この人がやはり我が国内において必要なのではないかなということをあえて申し添えておきます。

 次の質問に移りますが、DVが真実起きていての連れ去りであるならば、これも返還拒否事例となるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 あわせて、その場合、条約のどの返還拒否事由となるのでしょうか。

 

○宮島政府参考人

 常居所地国において、子供を連れ去った親が申立人から配偶者暴力を実際に受けていた事例につきましては、返還手続において、子を連れ去った親がその旨申し立て、かつ、先ほどいろいろと御議論がありましたが、条約の第十三条第一項bの定める返還拒否事由に該当すると証明されれば子の返還が拒否されるというのが条約の趣旨でございます。
 また、実際、ハーグ条約の締約国の事例を調べましたが、配偶者暴力があったとされる事案において返還が拒否されたという判例もございます。 その場合は、この条約第十三条第一項bがその根拠になっていると承知しております。

 

○馳委員

 私、さっきから話を聞いていて、宮島さんは法務省の人かと思ったら、外務省の人なんですね。 とてもこの問題に詳しいと思いますが、間違いありませんね。

 

○宮島政府参考人

 外務省の人間で、目下勉強させていただいているところでございます。

 

○馳委員

 江田大臣、こういう優秀な人が外務省にいるんだったら、法務省にちょっとスカウトしてきてトレードして、これは、要は外務省と法務省とやはり歩速を合わせなければいけない話じゃないですか。 そういう意味での人事の連携というものも必要なんじゃないかなと思って。 私は宮島さんは法務省の人かと思ったら、外務省なんですね。 改めて、よろしくお願いしたいと存じます。

 さて、次の質問ですが、主要締結国の司法判断において、返還命令と返還拒否の割合は、大体、返還が7拒否が3と聞いておりますが、フランスは拒否が5割弱あると聞いております。 どうしてフランスは拒否の割合が高いんでしょうか。

 

○宮島政府参考人

 我が方におきましてフランスから聴取いたしましたところ、2008年の返還拒否の割合は約5割であったと承知しております。
 他方、返還拒否の割合につきましては、個々の事案ごとに判断が行われたというふうに理解しておりますので、その理由について一概に明確にお答えするのは困難なので、その点は御容赦いただければと思います。

 

○馳委員

 宮島さんらしくないですね。 これはむしろ、フランスの国内担保法、あるいはフランスの国民性なのか。 私は、どうしてなのかなということは、我が国外務省も法務省としてもちょっと把握しておいた方がいいんじゃないんですかという趣旨で今質問したんです。

 次の質問を伺います。
 難問の一つに、強制執行の可否がございます。 締結国でばらつきがあると思いますけれども、主要国の状況はどうなっているでしょうか。

 

○宮島政府参考人

 条約自体には、返還命令の執行方法についての規定はございません。 ハーグ条約に基づく命令の執行につきましては、各締約国がおのおのの国内法に基づいて実施しているのが現状でございます。
 主要国に対して、今の命令の執行状況について確認をいたしました。 基本的な答えは、当事者が任意で命令を履行しているという回答でございました。
 他方、当事者の協力が得られない場合がありますが、米国では、裁判所が法廷侮辱罪による罰金、拘禁を含む幅広い措置を命じることがある、フランスでは、検察官が命令の執行を伴う場合もある、それから英国では、物理的強制力の行使を伴わない形での執行が行われることがあるという答えを得ております。

 

○馳委員

 ここは大臣か副大臣に私はちょっと聞いた方がいいと思うんです。 強制執行ですよ、子供に対して強制執行ですよ。
 今アメリカの事例を聞いたら、何か別件逮捕みたいな感じの印象も受けましたね。 そうすると、ここは、確かに任意で行っている、法律に基づいてやっている。 しかし、子供が判断できるのか。 連れ去ってきた親ががばっと抱えてしまったりすると、なかなか強制執行となると、これは警察権が介入することになるんでしょうか。 ということを考えると、ここの考え方というのは極めて重要になってくると思うんですよ。
 私は、悪い表現をすれば、強制執行は絶対嫌だ、対応しない、返還しないと突っ張ったら突っ張った者勝ちになっちゃうようでは、国際ルールにかなうことにはなりません。 この辺の考え方というのはやはり大事だと思うんですが、いかがでしょうか。

 

○小川(敏)副大臣

 引き渡し命令の司法手続か準司法手続か、それを設けるわけでございますが、そこで子供を返還するという決定が出た場合に、それを全く任意にしたのではやはり実効力がないので、何らかの強制力を持たせなければならないというふうには考えておりますが、では、どのように強制したらいいのか。 執行官が来ていきなり引っ張っていっちゃう、しかし、引っ張っていっちゃうといっても外国までというわけにはいきませんし、なかなか難しいところがある。
 ただ、我が国の今の民事訴訟法の中では間接強制という強制執行もありまして、実行しなければ一日当たり制裁金がつくという、経済的な制裁を科してそれを執行することになりますが、これも一つの強制執行でございますので、そういう方法もあるのかなと。
 ですから、これは技術的にいろいろな方法がありまして、それぞれ長短がありますので、やはり検討して解決すべき問題だと思っております。 ただ、あくまでも、司法手続あるいは準司法手続で出した命令に対して、全く強制力がない、全くの任意というのは、やはり制度の趣旨にはそぐわないかなという考えでおります。

 

○馳委員

 そうですよね。
 私は、これはまだもうちょっと時間がかかりそうな案件ではありますが、小川副大臣、大臣も、社会に対する周知徹底というものがやはりまず必要だと思いますよ。 こういう問題がありますよ、国際的な子の連れ去りの問題がありますよ、ハーグ条約がありますよ、我が国としても締結をしましょう、国内的にも法的なルールをつくりましょう、しかし、そこにはまさしく、法律ができた以上は全く法律に従わないというわけにはいかない。 そうすると、間接的な強制執行もあり得るということについての社会の理解というものは絶対に私は必要だと思うんですよ。 そんなことは聞いてないよと、よく、乱暴な言葉ですけれどもありますけれども、そういうことがないようにするのも、私は政府としての責任ではないかなと思いますので、この点はやはり丁寧に慎重にやっていただきたいと思います。

 さて、次の質問ですが、返還命令が出た事例で、実際に常居所地国に子供が返還された事例の割合はどのくらいでしょうか。 また、強制執行ができる国とそうでない国とで差はあるのでしょうか。 教えてください。

 

○宮島政府参考人

 各国において実際に常居所地国に子供が返還された事例の割合については、実は承知しておりません。 実態をなかなか把握するのが困難でございます。 したがいまして、強制執行があるかないかによってその割合が変わるかどうかについても、同様な理由で把握することは困難でございます。

 

○馳委員

 何か外務省は、随分このハーグ条約締結に前のめりの割には実態をよく調べていませんね。 そんなことではいけませんよ。 これは本当に、ただルールをつくればいいというものじゃなくて、ルールが動いていかなきゃいけないわけでありますから、諸外国の対応状況というものの情報収集をお願いしたいと思います。
 その他、執行方法として、返還に係る費用負担等の問題があります。 費用負担の問題についての主要国の状況を教えていただきたいと思います。

 

○宮島政府参考人

 返還に係る費用負担の問題についての御質問でございます。
 条約上の規定は、二十六条の第四項に、適当な場合には、司法当局または行政当局が、子を連れ去った者に対し、申立人が支払った子の返還に要する費用を支払うよう命じることができるというふうな規定がございます。

 ちょっと古いのでございますが、2004年にハーグ国際私法会議事務局が、子の返還に要する費用をだれが負担しているかというのを条約締約国について調査いたしました。 その結果によりますと、英、ニュージーランド、オランダは、親がその費用を負担すると回答しておりますが、どちらの親が支払うのかについては明らかにしておりません。 一方、アメリカは、明らかに不当な場合を除き、子を連れ去った親にすべての費用を課す旨、国内法に規定していると回答しております。

 

○馳委員

 小川副大臣、ここもやはり大事な問題ですね。
 つまり、連れ去ってきた方は、子供はとられる、金も取られるという気持ちに恐らくなるでしょう。 逆に、子供を奪われた方は、子供を奪い返した、僕の責任じゃないのに何で金を払わなきゃいけないのかというふうな気持ちになるでしょう。 そうすると、経済的な負担ができる御家庭とそうでない御家庭というのが当然ありますね。 そうなったときに、知らぬ存ぜぬと政府が言っていいものかどうか。 本当にちゃんと払わせるまた強制的な執行もするのだろうか。 お金の費用負担の問題についても十分議論をしておいてほしいと私は思います。

 最後の質問になると思います。
 条約締結のためにも、実務をつかさどる中央当局を創設しなければなりませんが、条約上、中央当局に求められる機能は何でしょうか。 そして、日本ではどこの省庁が適当と考えるべきなのか、お伺いしたいと思います。

 

○宮島政府参考人

 ハーグ条約の第七条におきまして、中央当局の役割につきまして五つ書いております。 一つ目が、子の所在の発見、それから、子に対するさらなる害の防止、さらに、任意の返還または当事者間での解決の促進、それから、司法上の手続のための便宜の供与、五番目が、子の安全な返還の確保でございます。
 諸外国の中央当局についてでございますが、米国においては国務省、英、仏等におきましては法務省、司法省が中央当局に指定されておりますが、いずれにせよ、我が国がハーグ条約を締結することとなった場合には、当然、中央当局をどこに置くかについて確定する必要があるというふうに考えております。

 

○馳委員

 今答えたのは外務省なんですよ。 私は、法務省はどう考えているかということも聞いておきたいんです。
 ちなみに、私なりにいろいろ勉強もさせていただきましたが、外務省に、法務省に、あるいは厚生労働省に、文部科学省もそうですね、総務省もそうですね、警察もそうです、それぞれいろいろなかかわりがある中で、私は、内閣府にこの問題についての担当部局があった方がよいのかなというふうにも考えております。 ただ、専門性ということを踏まえて対処しなければいけないので、確かに難しい問題だなとは思っているんですよ。
 外務省は先ほどああいうふうに条約上の判断としておっしゃいましたが、法務省としてはこの中央当局についてどうお考えかお伺いして、私の質問を終わります。

 

○江田国務大臣

 先ほどちょっと申し上げましたが、国境を越えた子の移動についてのルールというのはハーグ条約しかない。ハーグ条約でも、中身というのはそれぞれの国によっていろいろで、中には、日本の子や親の立場からするとうれしくない、そういう扱いもある。しかし、こういうルールしかないから、やはりそのルールの中に入って、日本が国際的な子の移動についての、よりいい、チルドレンファースト、子の福祉に沿ったそういうルールをつくっていくプロセスの中に当事者として入っていく必要があるんだ。 それを、日本で中央当局はどこだかわからないので前へ進まないというのでは困ると思っております。

 しかし、その中央当局をどこにするかというのは、これは、今委員おっしゃった、外務省も法務省も、あるいは厚生労働省も、いろいろなところがかかわりますから、こういうところで政治家の議論で決めていきたいと思っております。

 

○馳委員

 終わります。 ありがとうございました。

 

○奥田委員長

 以上で馳浩君の質疑を終了いたします。

  ※詳しくは衆議院 会議録議事情報 会議の一覧 をご覧ください。
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