衆議院 外務委員会 会議録

第177回国会 第11号
平成23年5月13日(金曜日)

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馳浩 質疑部分 抜粋

○小平委員長

 次に、馳浩君。

 

○馳委員

 自由民主党の馳浩です。
 きょうは、ハーグ条約の締結、そして国内担保法の問題に絞ってお聞きをしたいと思います。
 大臣、最近の報道によると、また大臣の記者会見によると、いよいよハーグ条約の締結に向けて決断をされる時期に来た、こういうふうに表明をしておられますが、いかがでしょうか。

 

○松本(剛)国務大臣

 記者会見では少し長くお話をいたしましたので、すべて申し上げる時間はないかもしれませんが、私自身も外務副大臣に就任をいたしまして、改めてハーグ条約に関する取り組みの担当ということになりました。その際に、私自身も、また私と一緒に行動しているというか一緒に仕事をしている政務三役の仲間とも手分けをして、いろいろな方の意見をお聞きいたしました。

 私自身がそのときに自分の中の考えをまとめたのは、幾つか、ハーグ条約を締結することによって、これまで行われてきた何らかの緊急避難的な行動が行えなくなるかもしれない、もしくはそういったものが規制をされることになるかもしれないという懸念がある、とすれば、それにはしっかりこたえなければいけないけれども、他方で、これだけ国際的に人が行き来をし、結婚をし、そして残念ながら場合によってはその婚姻が破綻をするというケース、これをどういうふうにでは法律的に対応するのかといったときに、この裁判管轄を決めるルールというのが既に国際的にルールがあるとすれば、やはりその国際的なルールに日本も参加をしておく必要があるのではないか、私の中ではそのように考えられる、こう思いましたので、そういった取り組みを進めてまいりました。

 政府全体としては、今、いろいろな意味で、今申し上げたような問題、それから実際に進めるに当たっての課題、先生からも根拠法というお話もありましたけれども、条約締結の場合には当然法律の制定も必要になってくる部分がありますので、そういったことについて議論をしていただいているというふうに承知をしておりますが、今具体的なスケジュールとか結論の時期とかいうのが確定をしているというふうにはまだ承知をいたしておりません。

○馳委員

 今月下旬にはフランスでサミットがございます。そのサミットの場において、菅総理は、日本もハーグ条約を締結し、国際的なルールを守るということを表明するのではないかと報道されております。 

 私は、政権交代の後、岡田外務大臣、前原外務大臣、そして松本外務大臣も副大臣として、この問題は、恐らく、海外の国々あるいは議会からも日本はどうなっているんだという指摘を受けて、早く国際社会のルールに入りなさいよと言われてきたと思います。こういう段階において、この五月下旬のフランスにおけるサミットで総理が明確に我が国としての意思表示をすることは重要だと私は思っているんですが、大臣としてのお考えをお聞かせください。

 

○松本(剛)国務大臣

 この点は委員と全く同じ考えではないかというふうに思っておるんですが、確かに、外務省の方にも外国からもいろいろな声が寄せられています。 

 申し上げたように、国際的なルールに参加をするということは非常に大事なことだと思いますが、先ほどもお話ししたように、最終的にはこれが我が国の国民にとって資するものであるのかどうかという判断が、当然、日本国の外務省、政府としては判断の基本的なポイントになってくるというふうに思っております。そのために必要な検討を今していただいている、詰めていただいているというふうに理解をしておりますので、まずそこがしっかり詰められる、確認されることが必要だろうというふうに思います。 

 その上で申し上げれば、今委員がおっしゃったように、この件については、今回のG8サミットの主催国であるフランスにおいても大変関心の高いテーマになっているということは私どもも認識をしているということは申し上げられると思います。

 

○馳委員

 国益を考えての判断をされるということは当然なんですよね。その上で懸念事項を払拭することを、国民全体や関係者の理解を求めるという政府としての姿勢も必要だと思います。 

 私も、立法府にいる立場から、きょうはちょっと細かいことをお聞きしていくんですが、ただ、国際社会のルールをもう一度私は確認したいと思うんですね。ハーグ条約とは何ぞや。 

 国際結婚がふえてきました。そして、国際結婚の破綻も残念ながらふえてきています。実は、ここ五年間は、我が国の国際結婚は数が減りつつあります、にもかかわらず国際離婚はふえている、こういう現実があります。 

 そうしたときに、海外から十六歳未満の子供を、離婚した後、無断で日本に連れ帰るという事案もあれば、日本から海外へ十六歳未満の子供を一方に無断で連れ帰る、両方の事案があると考える必要があります。したがって、我が国の国益ということを考えた上で一定のルールに我々日本も参加すべきである、こういう論法が成り立つと思うんですが、いかがですか。

 

○松本(剛)国務大臣

 これも、まさに委員おっしゃったとおりだ、このように思っておりまして、男性、女性、また、子供を連れて帰る、連れていくというかいかれるというケース、我が国の場合、現実によく取り上げられるものというと、日本側が女性であって、日本に子供を連れてきたというケースが比較的多いというふうに私自身も理解をいたしておりますが、ルールとしては、まさに委員がおっしゃったように、双方全く対等の位置づけでありますし、男性であろうと女性であろうと同じことであろうと思いますし、こちらへ来たケース、こちらから向こうへ行ってしまったケースについても全く同じ扱いであるというふうに考えております。 

 まさに委員がおっしゃったように、これからいろいろなケースが考えられる中では、この条約そのものには、何らそういった不公平というんでしょうか、偏った部分はないというふうに私も理解をしております。

 

○馳委員

 では、事務方にお聞きしますけれども、国際結婚が破綻をして海外から日本へ子供を無断で連れ帰ってくる、十六歳未満というふうに条約上はなっております、逆に、日本から海外に無断で連れ去られてしまうという案件はどのぐらいありますか。事務方、わかりますか。

 

○甲斐政府参考人

 御指摘のような件数については、現在のところ把握はいたしておりません。

 

○馳委員

 委員の皆さん方、私は外務委員会で外務大臣に質問しておりますが、今、この基本的な数字を尋ねたら、法務省がお答えになりました。実は、やはり国際社会のルールとして日本もハーグ条約に入りましょう、そして大臣もおっしゃったように、いろいろ事情もありますからルールづくりが必要ですねということのハードルの一つになっているのが、法務省の姿勢ではないかと私は思っているんです。ここをほぐしていく必要があると思うんですね。 

 法務省の審議官の方、リエゾンジャッジという言葉を御存じですか。

 

○甲斐政府参考人

 承知をいたしておりません。

 

○馳委員

 これは基本的なことなので、大臣にもちょっと私お伝えしたいと思いますが、アメリカやカナダなどの西側諸国では、リエゾンジャッジというハーグ条約専門の裁判官を任命しており、裁判官同士で電話や電子メールで連絡をとり合って条約の解釈の均質化への努力がされていて、いわゆる情報交換がされることになっているんですよ。 

 大臣おわかりのように、海外の領事館で、こういう案件についていろいろ申し入れがあると思います。私が漏れ伝わって聞いておるところでは、我が国も二百件ぐらいの紛争というか申し入れ、勝手に連れ帰っちゃって困っているんだよ、どうしてくれるんだよという、抱えているそうです。 

 しかし、これはまさしく、離婚にはそれなりの事情があったでしょう。離婚をしてしまいました、子供を抱えていたら、養育費の問題とかあるいは親権の問題とかで、整理をしなければいけない問題というのはたくさんあるはずです。そんなことは外務省の領事館の職員の専門分野ではありません。したがって、話をつなぐのは領事館かもしれませんが、法的な担保あるいは条約上の解釈、これは外務省の仕事ですが、ここはお互いに、専門的な人物がいて、協力し合って、まずは相談できる体制をとっておくということは、これは法律をつくらなくてもできるんですよ、大臣。まず、私はこの基本的な認識を持っていただきたいし、法律がなくても、国内担保法がなくても、ここからでもできるんですよ。 

 法務省にお伺いします。 

 こういう問題について、相談を受けて、外務省と協議をしたことは今までありますか。

 

○甲斐政府参考人

 申しわけありません、私、刑事担当で参っておりますので、所管外のことでございますので、ちょっとお答えをいたしかねます。

 

○馳委員

 では、帰って、この問題についてのこれまでの外務省との協議、そしてどのぐらいの案件があったのかということぐらいは調べておいていただきたいと思います。 

 大臣、では、改めてお聞きしたいと思います。 

 私も、なぜこのハーグ条約にここまでこだわっているか。実は私、参議院議員の時代から、児童虐待の問題、そして親権の問題にずっと取り組んできて、我が国は単独親権なんですよ。そして諸外国においては、共同親権であったり、選択的な共同親権であったりというふうな形がありますね。私は、我が国も、離婚をするのは親の事情があるかもしれないけれども、子供に責任を負わせるわけにはいかないので、離婚をした後も、共同親権あるいは共同養育計画、当然、養育費の支払いについての取り決め、一定のルールというのは必要じゃないかということで、親権問題にずっと取り組んでまいりました。 

 そして、実は、この国会で、法務委員会では民法改正案がようやく通って、ただ、これは、親権の問題とはいっても、児童虐待にかかわる親権の一時停止の問題、あるいは未成年後見人制度を法人にも与えましょうという問題です。これは、御党の小宮山洋子さんと私ども、公明党の富田先生初め、十年間言い続けてきて、最高裁判所と法務省がようやくそれを実現してくれた案件なんですよ。そして、その問題に取り組んでいると、どうしてもぶち当たってしまったのは、このハーグ条約の問題なんですよ。 

 私、ちょっとこれまでの経緯を申し上げましたが、改めて申し上げたいと思います。 

 国内担保法は必要だと私は思っています。そして、これはハーグ条約にも、実際には条約上にもこういうふうに書かれているんですね。例外規定、返還拒否をすることができる規定というのはあるんですよ。それを私は国内担保法にも明確に書くべきだと思っていますし、きょうは正式な外務委員会の場ですから、私は主張したいと思います。 

 条約にはこういうふうに書いてあるんです。次に掲げる事由のいずれかがあること、これは条約の第十三条1のbです。子に対する暴力等、相手方に対する暴力等、相手方が子とともに帰国することができない事情、兄弟姉妹との離別、そして包括条項。包括条項というのは、その他、子を常居所地国に返還することが、子に対して身体的または精神的な害を及ぼし、または子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険があること、こういうおそれがあるときには返さなくてもいいですよと。 

 国内の心配しておられる方々、特にDVの関係ですよ。私も、参議院議員の時代からDV防止法に取り組んでまいりました。国内法をつくるときに、やはり明確に例外規定を書くべきだと私は思っています。そして、まさしく国益を守るためにも、その上で国際社会のルールに入るべきではないかと思って、きょう申し上げているんです。 

 ここまでお聞きになって、大臣の所見を伺いたいと思います。

 

○松本(剛)国務大臣

 私自身も、いかにして御懸念を払拭をした上で前へ進めるかという意味で、今委員からお話をいただいたように、国内で制定をする法律のあり方によってできるだけ懸念を払拭するような準備を整えよという御指摘については、御提言としてぜひ私も受けとめて、そのことはしっかりと頭の中に入れておきたい、このように思っております。

 

○馳委員

 その際、きょうは法務省の方も来ておられますので、改めて私なりの問題意識を申し上げておきたいと思います。 

 まず、今回の民法の改正でも、今から言う考え方、理念というものが据えられました。子供の最善の利益を考えること、それから子供の意向、まさしく子供の意見表明権というのが権利条約にもありますけれども、子供の意見表明をしっかりと担保した上でその意向を酌み取ってあげるということと同時に、先ほどから申し上げている、離婚をした後の親子関係にどう取り組むかという問題、これはやはり正面から取り組まざるを得ないと思うんですよ。 

 大臣は離婚したことはないですよね、離婚を考えたことはあるかもしれないけれども。選挙をしていると奥さんからいろいろ言われることもあると思いますけれども。(発言する者あり) 

 つまり、私がここで問題にしておきたいのは監護権の問題なんですよ。私は、先ほどから申し上げているように、日本は今現在、離婚をした後は単独親権です、日本も共同親権が必要ではないかと。一歩手前に来て、選択的な共同親権、さらに一歩手前に来れば、共同養育計画、そして養育費の支払い、この約束をきちんと取り交わさないとあなたは離婚できませんよ、それこそ子供の最善の利益を考える必要があるんですよと。やはりそういう準備をしておくことが離婚に臨む夫婦の礼儀だと私は思いますし、責任だと思うんですね。 

 親権というとどうしても親の権利義務というふうな関係になりますけれども、親としての果たすべき責任があるんじゃないんですか、その責任を果たした上で親権というものを議論しましょうよ、私はそういうふうになってほしいと思っています。 

 同時に、前回の児童虐待防止法の改正のときに、第四条に親責任という理念を盛り込むことができました。これは、ドイツやイギリスでもそういう考え方のもとに法の規定がされておりますけれども、親としての果たすべき責任というものを、我が国の家族文化の歴史というのはありますけれども、果たすべき責任はあるのではないかと私は思っています。 

 ちなみに、私ばかりしゃべっていてもあれですが、未成年の子供を抱えた離婚というのは、正直ふえているんです。国際結婚、国際離婚もふえているし、我が国内でもふえています。最近では、毎年二十五万人と言われておりますよ、親が離婚した未成年の子供。これは本当に大問題ですよね。 

 離婚をした後、離婚をして一緒に暮らしている親とそうではない一方の親、つまり、ハーグ条約といいながらも、国内においても、無断で子供を連れ去られて、会いたくても会えない事案というのはごまんとあるわけですよね。 

 離婚後のこういう監護のあり方について、大臣の考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。

 

○松本(剛)国務大臣

 やはり、今お話がありましたように、残念ながら親の婚姻が破綻をした、離婚をしたケースの子供のあり方をどう考えるかということを考えると、おのずとハーグ条約の問題にも突き当たり、また、親権の問題、養育費の問題にも突き当たるというのは、そのとおりではないかというふうに思います。 

 今、ハーグ条約についての検討を推進している外務大臣の立場だけで申し上げれば、大変近い関係にはあると思いますけれども、ハーグ条約はハーグ条約の検討、また親権は親権の担当をすべきということをまず申し上げた上で、私自身がどう考えているかということをお聞きであるとすれば、私自身の周りにも、残念ながら未成年の子供を抱えたまま婚姻が破綻をした、離婚したケースというのがありますし、その多くの場合は、やはり女性、母親の側に子供がいるケースが、実態としては、私の周りの実感としては多いなというふうに思っておりますし、今度はそういった場合には、そういった母子家庭の雇用、経済的な自立の問題というのもありますし、そうなると養育費の問題。 

 それから、今先生がおっしゃったように、他方では、子供を持っていない親はどうなるんだろうと。私は男でありますので、そういったことを見ると、個人的には考えたことがあるかないかというようなお話について今ここで答えるのがいいのかどうか、議事録に残るところでお答えをするような話なのかどうかという話もさっき理事からお話がありました。私自身は少なくとも考えたことはありませんけれども、実際に親として考えてみたときには、やはり子供と会えなくなるということがもしあるとすれば、それは自分の気持ちの中にも大変大きな穴があいたような気持ちになるだろうなということは、離婚した家庭を見ていて想像をしたことはあります。 

 そうすると、それに対して何ができるのかということで、先生が共同親権の御議論をされている、私どもの同僚の議員もしてきているというのは、私自身が直接参画をすることは今まで機会がなかったというかあれだったんですけれども、どういう御議論をされているかということは拝見をさせていただいてきたつもりでございます。

 

○馳委員

 そうすると、離婚をした後の子の最善の利益を考えた場合に、一緒に生活をしていない一方の親との面接交流、面会交流という言い方をしますけれども、その必要性についてはお感じになりませんか。

 

○松本(剛)国務大臣

 これ自身についてさまざまな議論があるということを承知しておりますので、閣僚として今これについてコメントをさせていただくというのが、必ずしもまだ適切な段階に来ていないのではないかというふうに思っております。その点をぜひ御理解いただきたいと思っております。 

 個人的な感想という意味では、先ほど申し上げたように、親としては、もし子供と会えないとすれば、やはりそれは心の中に大きな穴があいたような気持ちになるであろうと思いますし、それは人としても、それを埋めることによって、それぞれがまた、やむを得ぬ離婚だったとはいえ、道を歩んでいくために必要であるということは、考えがあるのはもっともではないか、そう思っております。

 

○馳委員

 今回の民法改正でも、七百六十六条だったと思いますが、面接交流についての規定は盛られたんですね。その必要性というのが法学界で認められてきているということの理解の上でですね。 

 本来の問題に戻りますけれども、一番大きな問題は、これからは、では、ハーグ条約に加盟をするとして、中央当局をどこにするかという問題があります。私は選択肢を言いますよ。内閣府がいいのかな、海外との条約に基づく取り決めだから外務省がいいのかな、そうはいっても、離婚後の子供の監護のあり方も含めて、どこで生活をさせるかという問題も絡むから、これは裁判にも入る可能性があるので、司法当局である法務省がいいのかな、三つの選択肢があると思うんですよ。 

 大臣として、国内担保法の必要性についても言及されましたが、中央当局はどこがいいというふうにお考えになりますか。それぞれ一長一短あると思いますけれども、お答えください。

 

○松本(剛)国務大臣

 もう委員がよく御理解をいただいているように、まさに一長一短であるという状況であるということはまず申し上げなければいけないというふうに思っています。 

 その上で、一つは、ハーグ条約の趣旨に沿って、そして最終的には子供にとっての最善の利益になるためにはどういうふうにしたらいいのかということがあります。もう一つは、当然、必要なものはしっかりとやっていかなければいけませんが、昨今の状況の中で、行財政的な面でできるだけ負担を軽くした形で実現をしなければいけないということもあります。そういう意味では、全く新しいものをどこかにつくるということが適切かどうかということは行財政的な面から考えなければいけないというふうに思っております。 

 その上で申し上げれば、まさに先ほどリエゾンジャッジの話を先生がされておられましたけれども、私が理解をするところ、このハーグ条約においては、やはり各国の中央当局間の連携というのは一つ大きな、大変重要な役割ではないかというふうに思っております。そして、中央当局に求められるものは、当然、各国との間であれば、外国とのやりとりという意味では外国との窓口という面がありますけれども、やりとりをされる中身そのものは司法手続に関する情報交換といった側面が多いのではないか。そのようなことを考えれば、そのことに最も詳しいところということになれば、司法手続その他を所管していただいているところになるというのは一つの考え方としてあるのではないかなというふうに思っております。

 

○馳委員

 まだ国内担保法の具体的な議論に入っていないので、私の案を言いますね、私なりに。 

 私は、やはり窓口ですから、外務省がいいと思っているんです。ただし、先ほども申し上げたように、リエゾンジャッジという考え方は、これは法律でなくてもできます。したがって、法務省や最高裁判所、そして、これは実は、もといた国に戻すということになってきますので、強制執行の問題が絡んでくるんですよ。そうすると、やはり警察当局との人事交流をしながら、そういった部局を外務省に置く方が、海外にある領事館との情報交換も含めると妥当ではないのかなと思っております。しかしながら、実務的なことを言うと、法務省と最高裁の役割は極めて重要になると思われます。 

 私は一方的に申し上げたので、国内担保法については今後非常に紆余曲折あると思いますが、大臣、いかがですか。

 

○松本(剛)国務大臣

 まさに今いろいろ検討させていただいている状況であるというふうに思っております。委員のお考えは一つの考え方として、先ほど一長一短とまさにおっしゃったとおりでありますので、そのような考え方があるということは今お聞かせいただいたというふうに受けとめたいと思っております。 

 その上で申し上げれば、やはり中央当局というのは、ある意味では、ハーグ条約の中央当局でありますから、各省との情報交換をしていく、また情報をしっかりと束ねていくことも必要だろうと思いますけれども、また一つ責任を持って対応するということも必要であるというのもおっしゃった中には含まれているというふうに思いますが、その点は私もそのように理解をさせていただいております。

 

○馳委員

 さて、もう一つ関係者からよく言われるのが遡及措置なんですね。今現在でも紛争が継続しておる中で、早くルールをつくって、その適用を遡及適用してほしいというふうな議論があるんですよ。大臣、いかがお考えですか。

 

○松本(剛)国務大臣

 現在のところ、結局、政府間、外交ルートを通じてさまざまな個別の事案についての照会ないしは対応の要請なども来ておりますので、こういったものについては、基本的には、現段階では私ども外務省で関係の省庁ともよく連携をいたしまして対応をさせていただいてきております。 

 その上で、ただ、具体的に、法律も含めて遡及ということができるかどうかということは、今の段階ではなかなか難しいのではないかというふうに率直に申し上げたいというふうに思っていますが、そういった事案についての対応についてはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。 

 なお、念のため申し上げれば、関係省庁と連携をさせていただいてやっておりますし、引き続き、私どもとしては、このハーグ条約がもし締結をされたとしても、外国からの話についてはしっかり受けとめてやっていきたい、こう思っております。 

 ほかの国々でも、いわば非ハーグ案件という形で、そういったものはとりあえず外務省が扱う、他方で、中央当局は司法省なりが扱うというようなことで対応しているところもあるやに聞いておりますし、先ほど申し上げたことをつけ加えて申し上げれば、私どもが承知をしている限りは、各国全体としては、やはり司法担当をしている省庁が中央当局を務めるところが多い、そういう意味でも、情報等交換先としては、適切なところはそういうところではないかなということを申し上げましたが、他方で、外務省として、当然それをしっかりと、中央当局がうちの省じゃないから知りませんというような話にしていい話だとは全く思っておりませんし、決してそうはならないようにしなければいけないということだけは申し上げたいと思います。

 

○馳委員

 私があえてきょうリエゾンジャッジの話を申し上げたのは、法律がない、ハーグ条約に加盟していなくても、裁判官がハーグ条約の問題に詳しくて、もちろん、国際的なやりとりができて、電話やメール等で領事館を通じてやりとりをし、紛争になる一歩手前で解決しようと思えばできるやり方もあるんですよということを申し上げたかったんですね。 

 大臣、遡及が難しいというふうにおっしゃいましたよね。覚えておられますか。今から四年前、ねじれ国会のとき、一番最初に成立した法案が被災者生活再建支援法で、当時担当しておられたのが、民主党の政調会長だった松本さんだったんですね。あのとき、八項目から十項目ぐらい民主党の要求があった中で、最後にちゃんと金額の問題と遡及適用の問題をかち取ったのは松本大臣じゃないですか、当時。 

 あのとき、新潟の方の台風とか地震の問題だったかな、あと、能登半島の地震の問題ですよ。法律はやはり遡及適用できませんよというふうな形で、当時私は与党でしたけれども、ねじれ国会でした、やりとりをする中で、あのとき一番最初にねじれ国会で成立した法案が被災者生活再建支援法ですよ。担当されたのは松本政調会長、大臣でした。 

 あのとき、遡及適用をやったじゃないですか。やろうと思えば、検討の課題に挙げて工夫はできるんですよ。そう思いませんか、大臣。

 

○松本(剛)国務大臣

 被災者生活再建支援法の場合は、その時点で幾つか起こっていたものに対してどのようにして被災者の方々を救援することができるのかという視点から、最終的には法律としての遡及という形ではなかったというふうに思っておりますが、実質的な効果が及ぶような工夫を皆さんの知恵を出していただいてできたというふうに思っています。 

 このハーグ条約の問題についても、さまざまな形で御支援をしなければいけないということで、私どもも取り扱いをさせていただいております。 

 ただ、被災者生活再建支援法と今回の場合と、私の中では少し違うのではないかと思っているのは、被災者生活再建支援法の方は、公的な機関から被災者を支援するというこの二者の関係でありましたが、今回の場合は、それぞれがいわば私人の立場でいらっしゃる。そうすると、今の段階と、何らかの形でこれをさかのぼるといった場合に、双方の権利関係もあろうかというふうに思いますし、今の状況というのが、それによって有利、不利も出てくると、どこまで及ぼすことが可能なのかということも考えると、やはり被災者生活再建支援法の場合とは少し違って慎重にならざるを得ないということも私の中にありまして、そのように御答弁をさせていただきました。

 

○馳委員

 大臣、さすがに私の誘導尋問にはひっかからなかったですね。そうなんです。あのときは、遡及適用じゃなくて、その年に起きた災害の被災者を公的に救済し、再建支援のために支援金をお渡しするというふうな仕組みとしてまとめたんですよね。 

 ただ、大臣、そうは言いますけれども、一方、連れ去られた側の立場とすれば、国境を挟んでいる、十六歳未満の子供ですよ、無断で連れ去られている、会いたくても会えない。そして、二〇〇九年九月二十八日、福岡で起きた事案のように、親がとって、取り返すような、子供を挟んだ本当に痛ましい事案もあって、この問題に関しては、きのうおとといの報道によると、アメリカの裁判所では、四億九千万円をお母さんに払いなさいという裁判結果まで出ているんですよね。テネシー州ですね。 

 判決について、男性は、子供たちと再び会える環境をつくれるよう、元妻に考え直してもらうのが訴訟の目的だ、こういうふうに語っていて、お金を取ることが目的ではなくて、やはり子供に会いたい、離婚をした後も子供に会いたい、監護権はないけれども子供に会いたい、どうしたらいいだろうと本当に引き裂かれるような思いで悩んでいる方々がたくさんおられるということを考えると、遡及という法的なことは難しいのは私もわかっていてきょう申し上げておりますが、この問題については、今まで起きた事案も含めて、国家として責任を持って取り組む体制をつくる、その姿勢が必要だと私は思って、きょう質問させていただきました。 

 最後に大臣の所見を伺って、終わります。

 

○松本(剛)国務大臣

 今おっしゃった案件については、私どももまだ判決等を詳しく入手できておりませんが、報道などでは承知をしておりますし、損害賠償六百十万ドルまでのうちの四百万ドルについて、元妻が子供の不当な拘束を続ける場合に、その日数に応じて追加的支払いを命ずるという形で、ある意味では、拘束に対して一定の判断を裁判所が下したとも評価をできるものだろうというふうに思っておりますが、まさに委員がおっしゃったように、他方では、これは実は、御承知のとおり、日本から子供を連れて帰ろうとして元夫が逮捕されるということもあった事案でありまして、結果として子供の最善の利益が図られているかといえば、とてもそうとは言えないという事態が発生をしているというふうには私も考えるところであります。 

 そのためにも、委員がお話しいただいたように、未来に向けてどう解決をするかということと、今起こっているものについてどう取り組むかという二つの問題提起をいただいたというふうに理解させていただき、どちらも取り組まねばいけない課題だということについては、私もそのように思って真剣に取り組みたい、このように思います。

 

○馳委員

 終わります。どうもありがとうございました。

  ※詳しくは衆議院 会議録議事情報 会議の一覧 をご覧ください。
(常任委員会 → 外務委員会の会議録 → 5月13日 第11号 ) 


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