衆議院 文部科学委員会議録

第171回 国会 第14号

 平成21年 6月10日(水曜日)

----------------------------------------------------------------
≪馳代議士 質疑事項抜粋≫

 

○岩屋委員長

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 馳浩君。

 

○馳委員

 おはようございます。自由民主党の馳です。よろしくお願いします。
 まず最初に、大臣にお伺いします。 きょうのこの私のファッションを見て、どう思いますか。

 

○塩谷国務大臣

 大変すばらしいお召し物で、馳さんによく似合っていると思います。 大いにファッションでもリードしていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 

○馳委員

 人は見た目も中身も大事だなということを言いたいのと、こういう格好でもし私がこれにサングラスでもしていたら、町で出会ったら、余りそばに近づいて友達になりたいなとは思わないかもしれませんが、ちょっと宣伝の意味もあって、きょう実は着てきたんですよ。

 このワイシャツなんですけれども、実はこれは和服の生地なんです。 石川県に伝統工芸品で能登上布という生地がございまして、能登半島の能登に上質の布というふうに書いて能登上布といいます。 ところが、伝統工芸品でありまして、和服の生地としてはなかなか売れません。 そこで、現代的なデザインも加えて、これはワイシャツに仕立てました。 非常に肌ざわりもよく、この季節、非常に風通しもよくて、涼しくてよいんです。 実はこういう宣伝もしたかったということであります。(発言する者あり) ちなみにこれはちょっとお高くて、3万円ほどして、やはりよいものにはそれなりの値段がかかるという意味もあります。 今、茂木先生から幾らするのと言われたら、どうしても値段を聞いて消費マインドがどうなるかというのも、皆さんの今の反応で私もわかりました。

 ただ、よりよいものは少しずつ万人にも受け入れられていくものだな、そういうことを思えば、昔ながらの伝統と文化でこういった商品もございます。 これはやはり、現代に合わせながら販路を拡大していくということも、経済論理からいって必要なことではないかなと。 私はきょうモデルになって、能登上布の生地、こういうふうに洋装にも合いますということをちょっと宣伝をさせていただきました。

 そして、ファッションの話でありますけれども、私のファッションセンスがよくないことはうちの女房の折り紙つきでありますが、ただ、形を整えて、同時に人間というのは内面も磨き上げていかなければいけない、この両方のことも言いたかったわけでありまして、冒頭から大臣にちょっと失礼な質問で、申しわけありませんでした。

 そこで、きょうは、教育基本法そしてその教育の内容について、ここに入っていきたいと思います。

 教育基本法の改正と教科書検定についてまず伺います。
 平成18年に教育基本法が全面改正をされました。 憲法に先立って、占領下につくられた法制から脱却したものとして評価できると思いますが、大臣の見解をまず伺います。

 

○塩谷国務大臣

 教育基本法につきましては、平成18年に改正をされたわけでございます。教育について以前からいろいろな議論があって、やはり改正をしなければならないという、我が党としても、自民党、あるいは与党、あるいは各政党の議論があって今回改正されたわけですが、時代の変化、例えば情報化とか高齢化社会とか少子化問題、さらには価値観の多様化、あるいは地域の連帯性の欠如、そういったことが社会的な大きな問題になり、そして、かつては、言わなくても、あるいは法律で書かれなくても、ある程度自然と行われてきたような家庭あるいは地域の教育力、こういったものがあえて必要だということを明言することが必要だったし、また、かつての教育基本法についてはどちらかというと義務教育を中心とした内容でありましたので、教育全般についてもう一度改めて、21世紀の新しい時代に向かってたくましく、また、心豊かな日本人の育成を目指すためには教育基本法の改正が必要だということで、今回改正されたわけです。

 そういう点では、新しい日本の教育ということで私は大変共感をして、これに基づいてしっかりと教育の実行をしていかなきゃならぬと思っているところでございます。

 

○馳委員

 改正教育基本法の第2条では、知徳体、公共の精神、職業倫理、自然や生命や環境を大切にする、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛するなど、教育目標が明記されました。 この目標に従って教育の内容も教科書の内容も大きく変わる必要があると思いますが、文部科学省としては、改善すべき最大のポイントは何だと考えていますか。

 

○清水政府参考人

 御指摘の改正教育基本法第2条では、第1条の教育の目的を実現するために、教育の目標として重要と考えられる具体的な事柄が、委員御指摘のように規定されているわけでございます。

 この教育の目標については、初等中等教育のみならず、高等教育など学校教育、あるいは社会教育、家庭教育と、あらゆる教育活動を通じて実現を目指すべきものであるというふうに解されております。

 とりわけ小中高等学校におきましては、基本法改正で明確になった教育の理念を踏まえ、学習指導要領が改正され、本年度から小学校で一部先行実施されているところでございます。

 さらに、教育振興基本計画の着実な実施を図るため、「新しい日本の教育 今こそ実行のとき! 〜元気あふれる教育によって日本の底力を回復する〜」として、生きる基本の徹底など、重点的に取り組むべき7つの事項、さらには、「「心を育む」ための5つの提案 〜日本の良さを見直そう!〜」ということで、去る2月、大臣より明らかにしたところでございます。

 文部科学省としては、これらを通じて改正基本法の理念の実現に努めてまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 文部科学省は、平成20年度に中学校の教科書の検定を受け付けました。 教科書会社各社は、改正された教育基本法を生かした教科書を検定に提出しましたか。

 

○金森政府参考人

 平成20年度は、現行の学習指導要領のもとで平成22年度から使用される中学校の教科書の検定を受け付けましたが、改正教育基本法を踏まえた新しい学習指導要領に基づく教科書検定が中学校では平成22年度に行われる予定でございますことから、多くの教科書出版社は、この新しい学習指導要領に基づく教科書の作成に力を注いでいたものと思われ、実際に平成20年度に申請がございましたのは、社会、歴史的分野についての一社のみでございました。

 

○馳委員

 せっかく教育の根本理念を指し示す法律が変わったのに、教科書会社が教科書をつくり直すことに慎重であることは、社会的な責任を負っている教科書会社として無責任であると思います。

 文部科学省は教科書会社に、新たなる教育基本法に基づいた教科書を検定に提出するようにと指導しなかったのでしょうか。

 

○金森政府参考人

 平成20年度の教科書検定は、平成10年に告示をされました現行の学習指導要領に基づく教科書の検定でございまして、それに対して新たな教科書を作成して検定の申請をするかどうかは、発行者の判断によるところでございます。

 改正教育基本法を踏まえた新しい学習指導要領に基づく教育が、小学校では平成23年度から、中学校では平成24年度から完全実施をされますことから、その際使用される教科書の検定は、小学校では平成21年度、中学校では平成22年度に行われる予定でございます。

 各教科書出版社は、それに向けて新たな教科書の著作、編集を現在行っているところでございます。

 

○馳委員

 理屈はわかりましたが、私が主張しているところは、平成18年に教育基本法が全面改正をされた、それに従って教育振興の基本計画がつくられ、学習指導要領の見直しに入っていったこの流れを、文部科学省も、全省的にやはり教科書会社にも協力を求めながら取り組むべき姿勢が必要ではないかという指摘であります。

 さて、唯一検定に申請した自由社の「新編新しい歴史教科書」については、改正教育基本法の理念が反映されているとお考えでしょうか。 塩谷大臣には、先週、市販されているこの教科書をお渡しをしてあります。 お答えください。

 

○塩谷国務大臣

 馳委員から自由社の教科書をいただきまして、目を通させていただきました。

 いずれにしましても、20年度の検定、この一社ということで、それなりに教育基本法の改正を踏まえて取り組んでいただいたと思っております。

 いずれにしましても、採択に向けてまた各教育委員会の調査等ありますので、個別の教科書がどうのこうのということのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、今回の教育基本法の改正に伴って、教育の目的とか方針に基づいて今回の教科書が作成されたということだと思っておりまして、教科書検定審議会の審査を経て実施されたものでございますので、教科書としては採択に値するものだと思っておりますし、特に、市販本ですから、特別寄稿の寛仁親王の文章とかほかのいろいろな方々の文章がああやって一緒に中に入っているということは、市販本としても非常に興味深く読ませていただきました。

 

○馳委員

 ちなみに、まだお読みのない委員の皆さん方もいらっしゃるので一言つけ加えると、冒頭に、特別寄稿で「天皇と日本」、寛仁親王の特別寄稿があるんですね。 皇族の方としては極めて異例な寄稿文、文章ではないかな。 私も、こういう公的な場でありますからそれ以上の言及は避けたいと思いますが、読み物としてぜひ御一読をいただきたいということだけ申し上げます。

 さて、ことし4月9日、自由社の歴史教科書が検定に合格した際に、韓国政府が抗議声明を発表したと日本国内で報道されています。 文部科学省の検定合格発表は4月9日であり、その内容を韓国政府がどのようにして知ったのかは不思議な話であります。 日本政府が事前に伝え、お伺いを立てたのでしょうか。 お答えください。

 

○石川政府参考人

 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、4月の9日に、韓国政府は外交通商部のスポークスマンの声明というのを発表してございます。 日本と韓国との関係は非常に緊密でございますので、一応いろいろな連携をしております。 緊密に連絡をとり合っております。 逐一についてはここでは差し控えさせていただきます。

 事実関係で申し上げますと、文部科学省が検定合格発表をされたのが4月9日の午前中ということでございまして、韓国のこのスポークスマン声明というのは、同日の午後ということになってございます。

 

○馳委員

 報道によりますと、韓国外交通商省は、日本の青年がねじ曲げられた一部の歴史教科書を通じ誤った歴史観を持つ可能性を深く憂慮するとし、新しい歴史教科書をつくる会が主導した自由社の中学歴史教科書が検定に合格したことに強く抗議し、検定の抜本的な修正を求める報道官声明を発表したとのことであります。 この報道が事実であるとすれば、明らかな内政干渉だと思います。

 韓国政府から我が国の外務省あるいは文部科学省に対して、その後、具体的にどのような働きかけがありましたか。 お伝えください。

 

○石川政府参考人

 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、4月9日に今の御指摘のスポークスマンの声明が発表され、委員御紹介のような内容のことが記述をされておりました。 それからまた、同様に、同じ日でございますけれども、外交ルートを通じまして同じような内容の申し入れが韓国政府からあったというのが事実関係でございます。

 

○金森政府参考人

 御指摘の韓国政府の声明につきましては、私ども、外務省を通じて承知したところでございますが、文部科学省に対して直接の働きかけはございませんでした。

 

○馳委員

 そのような働きかけに対して、外務省あるいは文部科学省はどのような対応をしましたか。 具体的にお伝えください。

 

○石川政府参考人

 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、外交ルートを通じましてそのような申し入れがありました。 その際の日本側からの応答ぶりを御紹介をいたします。

 「我が国の教科書検定は、文部科学省によって、民間が著作、編集した図書について、学習指導要領や検定基準に基づき、教科書検定審議会の学術的、専門的な審議を経て、厳正に実施されるものであり、平成20年度の検定においても慎重な審査が行われたと承知しております。」こういう受け答えを主にしております。

 いずれにしましても、こういういろいろな形で外交ルート等を含め申し入れがございますけれども、今の申し上げたような立場を累次にわたり韓国側には返答しておりますけれども、今後ともそういう努力を続けていきたい、このように思っております。

 

○金森政府参考人

 御指摘の件につきましては、韓国政府から文部科学省に対して直接働きかけはございませんでしたので、私どもとして直接特段の対応はいたしておりません。

 

○馳委員

 韓国外交通商省からこのような声明が出される背景には、宮沢官房長官時代の近隣諸国条項が影響を与えていると思いますが、大臣の見解を伺います。

 

○塩谷国務大臣

 御指摘の規定につきましては、我が国と近隣アジア諸国との相互理解、そして相互協調を進める上で、教科書の記述が適切となるよう、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされるということとなっております。

 教科書検定につきましては、この規定も含めた検定基準全体を審査の基準として専門的、学術的な審査が行われてきたところでありまして、今回の規定が韓国に影響ということは、私の立場からは申し上げる立場にありません。

 

○馳委員

 麻生内閣としては、近隣諸国条項を見直すつもりはありませんか。

 

○塩谷国務大臣

 学校教育におきましては、国を愛する心や我が国の歴史に対する理解を育てるとともに、国際理解あるいは国際協調の精神を養うことが重要でありまして、例えば、中学校の学習指導要領の社会科、歴史分野においては、我が国と諸外国との歴史や文化が深くかかわっていることを考えさせることとともに、国際協調の精神を養うこととされております。

 また、教科書検定におきましても、昭和57年に近隣諸国条項ということで、教科書の記述がより適切になるように、近隣諸国との国際理解、協調の見地に配慮する旨の新たな検定基準を設けているわけでございまして、文部科学省としては、今後とも、学習指導要領や検定基準に基づいて適切に教科書検定を行ってまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 適切にというのは、近隣諸国にとって適切なのか我が国の国民にとって適切なのか明確ではありませんので、もう一度お答えをいただきたいと思います。

 

○塩谷国務大臣

 我が国の学校教育におきましても、先ほど申し上げましたように、当然ながら、国を愛する心あるいは我が国の歴史に対する理解を育てるとともに、やはり国際理解と国際協調の精神を養うことが重要であると考えておりまして、そういう観点から適切にということでございます。

 

○馳委員

 もう一点、教科書の内容に関係の深いものとして、河野官房長官が出した、いわゆる従軍慰安婦に関する河野談話があります。

 当時の石原官房副長官の証言、これは、1997年、文芸春秋における櫻井よしこ氏のインタビューを引用しますが、これにより、この談話は政治的な談話であると指摘されています。

 日本政府として、河野談話をそのままにしておくおつもりでしょうか。 大臣の見解を伺います。

 

○塩谷国務大臣

 大臣の立場としてその問題にお答えする立場にありませんが、政府の基本的な立場としては、この平成5年の河野官房長官談話を継承するものであると考えております。

 総理も国会答弁においてそのように答弁しておりますので、今の段階では、そのまま継承していくということであると理解しております。

 

○馳委員

 後で大臣には文芸春秋のこのインタビュー記事をお届けしますので、改めてよくお読みいただきたいと思います。

 さて、ことしは中学校の教科書の採択が行われ、各地の教育委員会が選定資料を策定しています。 この選定資料は、教科書の評価に値し、教育委員会の採択の基礎資料となります。

 この選定資料の作成に当たっては、4年前の資料をそのまま流用することのないようにすべきと考えます。 なぜならば、新しい教育基本法が制定された以上は、その理念を踏まえた評価の尺度が必要であるからです。 大臣の見解を伺います。

 

○塩谷国務大臣

 教科書の採択につきましては、各採択権者の判断と責任で適切に行うべきものと考えております。

 教科書の内容については十分な調査研究が必要であるわけでございまして、本年度の採択対象となるのは、平成22年度使用中学校用教科書の「社会」は9点であり、そのうち、新たな検定を経たものは先ほどお話しのあった1点であるわけでございまして、この「社会」につきましては、各採択権者の責任により、採択手続を簡略化することなく、教科書の内容について調査研究を行うよう指導しているところでございます。

 

○馳委員

 新たに選定資料をつくる際に、4年前の資料に自由社の評価をつけ加えるというやり方は不公平だと思いませんか。

 

○金森政府参考人

 教科書の採択に当たりましては、それぞれの地域の児童生徒にとって最も適した教科書を採択することに資するよう適切な選定資料を作成するなど、採択権者である教育委員会などが綿密に調査研究を行う必要があると考えております。

 平成22年度より使用される本年度の中学校社会、歴史的分野の教科書採択に当たりましても、採択対象となる九点の教科書の内容について適切に調査研究を行うことが必要と考えております。

 

○馳委員

 もう一度お尋ねします。

 改正教育基本法の教育の目標に基づき、どの教科書がふさわしいかという評価のあり方が必要だとは思いませんか。 大臣の見解をお尋ねします。

 

○塩谷国務大臣

 教科書の改善につきましては、昨年12月の教科書検定審議会報告におきまして、教育基本法等で示す目標等を踏まえた教科書の提供や検定基準の改善など、教科書改善に当たっての基本的方向性が示されたわけでございまして、教科書の採択に当たっては、このような基本的方向性を参考にして十分な調査研究が行われ、適切な採択が行われることが必要だと考えております。

 こういった観点から、適切な採択が行われるよう、各委員会に対しても指導してまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 多くの市町村をあわせた共同採択制度については、単位教育委員会の意向が無視されるという問題点があります。 かといって、小さな市町村で単独で採択資料をつくるには限度があります。

 こういう点も含めて、採択制度にどういう問題点があると認識をしておられますか。

 

○金森政府参考人

 教科書の共同採択制度につきましては、採択権限を有する市町村教育委員会の意向が適切に反映されにくいなどの課題が指摘されているところでございますが、一方で、教科書採択について、小規模自治体では十分な調査研究が困難であるとの指摘もございます。

 文部科学省といたしましては、これまでも各都道府県教育委員会に対しまして、各市町村教育委員会の意向などを的確に踏まえた採択地区の適正規模化に努めること、また、市町村教育委員会に対する指導助言のために都道府県教育委員会が作成する選定資料の一層の工夫、充実に努めること、各採択地区において採択手続を明確にしておくとともに、市町村教育委員会間の協議が調わない場合には都道府県教育委員会が適切な指導助言を行うことなどを、通知により指導しているところでございます。

 今後とも、各採択権者の権限と責任のもと、公正かつ適切な採択がなされるよう指導してまいりたいと存じます。

 

○馳委員

 次に、教育公務員特例法第18条に規定する、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限について質問をいたします。

 まず、昭和29年の改正当時、衆議院の修正によって、第一項に「当分の間」が入りました。 その趣旨は何でしょうか。

 

○金森政府参考人

 教育公務員特例法第18条第一項におきましては、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限について、当分の間、国家公務員の例によることとされております。

 この「当分の間」につきましては、昭和29年に行われた、公立学校の教員の政治的行為の制限を国立学校の教育公務員と同様の取り扱いとすることを内容とする教育公務員特例法の改正案の国会審議の過程で、衆議院において追加された文言でございます。

 その際、修正案を提案した委員からは、その趣旨として、教育公務員の政治的行為の制限を国立学校の教育公務員と同様にする法案の賛否について世論が分かれていることから、世論の動向も考慮して、暫定的な規定である趣旨を明らかにしたものという説明が行われていると承知いたしております。

 

○馳委員

 18条に違反した者の処罰についても、参議院、当時、緑風会が中心でありましたが、その修正によって刑罰規定の適用がなくなりました。

 直近十年間の違反状況、懲戒処分も含めてこれはどうなっているのでしょうか  一般職の国家公務員、地方公務員と比較していかがでしょうか。 お知らせください。

 

○金森政府参考人

 政治的行為の制限違反により懲戒処分を受けた教育公務員の人数は、平成10年度から平成19年度までの過去10年間で21名でございます。

 また、総務省や人事院によりますと、同じ期間に政治的行為の制限違反により懲戒処分を受けた人数は、地方公務員20名、国家公務員9名であると承知をいたしております。

 

○馳委員

 あれ、地方公務員の中に地方教育公務員は入っているんですか、入っていないんですか。

 

○金森政府参考人

 ただいま申し上げました人数につきましては、総務省や人事院の発表資料に基づいてお答え申し上げたところでございまして、その内訳につきましては、必ずしもはっきりしないところでございます。

 

○馳委員

 ちょっとおかしいんですよね。 というのは、教育公務員は地方公務員じゃないんですか。これが21人なんですよ。 そして、それ以外の地方公務員、以外なのか含むのかというのは大きい意味があるんですね。 総務省が把握しているのは20名なんです。

 いいですか、教育公務員の分母は何十万人ですか。 70万人ですね。 地方公務員の分母は何万人ぐらいですか。 270万人ぐらいかな。 そんなものか。 分母からして三倍ぐらいの教育公務員の多さだというのは、これは数字的にはわかるんですが、総務省が出しているこの地方公務員の中に、教育公務員、学校の先生、教職員は含まれているんですか、いないんですか。

 そもそも、この懲戒処分の数字のとり方が文部科学省と総務省で連携がとれていないことの証明です。 もう一度お答えください。

 

○金森政府参考人

 御指摘のように、公立学校に勤務いたします教育公務員は地方公務員に含まれるわけでございますけれども、政治的行為の制限違反により懲戒処分を受けた人数につきましては、その内訳が御指摘のような問題があると。私どもの方も、このような数字に双方がなっているのがどうしてなのかなというようなところは思っているところでございます。

 

○馳委員

 どうしてなのかなというのは、私が聞きたいんですよ。

 今、この場で数字のやりとりをしようとは思いませんが、ここはやはり明確に総務省とも数字の突き合わせをすべきだということを私は申し上げます。 つまり、地方公務員の中に当然教育公務員も含まれているという中で、やはりこれは統計のとり方になると思いますから、総務省と内訳も含めて数字を明確にするように、これは大臣からもお伝えいただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 人事院規則一四―七第八項に、「違反行為の防止又は矯正のために適切な措置をとらなければならない。」とあります。 確かにこれは教育公務員には適用されませんが、その趣旨は生かされるべきであります。

 これまでどのような「適切な措置」をとってきたのか。 お答えください。

 

○金森政府参考人

 文部科学省におきましては、衆議院や参議院の選挙、また統一地方選挙の前に、全国の教育委員会に対しまして、教職員などの選挙運動の禁止等に係る通知を送付いたしまして、政治的中立性の観点から、服務規律の確保を図るよう指導をいたしているところでございます。 この通知におきましては、教職員の十分な理解に資するよう、政治的行為の制限に係る違反行為の具体例を約30項目にわたって列挙をいたしているところでございます。

 また、教員の服務規律の確保を図る観点から、都道府県や指定都市の教育委員会に対しまして、会議の場や情報交換などの機会を通じて逐次指導を重ねてきたところでございますが、今後とも、服務規律の確保が図られるよう、こうした指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 学校現場で教職員が、ほかの教職員、非常勤も含めてですが、これに投票依頼をしたり政策討議資料を配ったり、支持者カードに署名を要請することは許されるのでしょうか。

 

○金森政府参考人

 教育公務員が、公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持する目的あるいは特定の政党その他の政治団体を支持する目的を持って選挙の投票において投票するように勧誘運動を行う行為は、人事院規則により禁止されており、人事院規則の運用方針において、この規定における勧誘活動とは、組織的、計画的または継続的に勧誘をすることとされております。

 また、同様の目的を持って特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように勧誘運動をする行為、また、政治的目的のために署名運動を企画し、主宰しまたは指導しその他これに積極的に参与する行為は、人事院規則により禁止をされております。

 個々の事案がこれらの行為に該当するか否かは、具体的な事実関係に基づいて任命権者が判断すべきことだと考えております。

 

○馳委員

 では、教員が保護者や同窓生に投票依頼をしたり紹介者カードに署名を要請するのはよいのでしょうか。

 

○金森政府参考人

 教員が保護者や同窓生に投票依頼をしたり紹介者カードに署名を要請することにつきましては、先ほど、教員が他の教職員に投票依頼などをすることについて申し上げたような制限がございますのに加えて、公職選挙法におきまして、「教育者は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。」とされておりまして、教員が児童生徒に対する教育者としての地位を利用して特定候補者に投票するよう保護者に依頼する行為は、違法行為となると考えております。

 

○馳委員

 赤信号みんなで渡れば怖くない的に放置しておくのはよくありません。

 文部科学省として「教職員等の選挙運動の禁止等について」の通知を出しておりますが、具体的な違反事項を示したパンフレットなどを作成して、現場の教職員に行き渡るように配付すべきではありませんか。

 また、罰則規定が削除された、これは参議院の修正で当時なされたわけではありますが、この罰則規定がないということが、現場の教職員団体、教職員にとって極めて大きな影響を持っていると、私は現状を見て考えさせられております。

 その点も踏まえて答弁を求めて、私の質問を終わります。

 

○金森政府参考人

 私どもでは、先ほど御答弁申し上げましたように、衆参両議院の選挙や統一地方選挙の前に、全国の教育委員会に対して教育委員、教職員などの選挙運動の禁止等に係る通知を送付し、政治的中立性の観点から、服務規律の確保を図るよう指導しているところでございますが、今後とも、各教職員にこうした通知の趣旨が徹底されるよう工夫を行ってまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 終わります。

 

○岩屋委員長 

 以上で馳君の質疑は終了いたしました。


詳しくは衆議院 文部科学委員会議録をご覧ください
(常任委員会 → 文部科学委員会)

 

 


メールをどうぞ


ホームページへ