衆議院 文部科学委員会議録

第171回 国会 第6号

 平成21年 4月 8日(水曜日)

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≪馳代議士 質疑事項抜粋≫

 

○岩屋委員長

質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 馳浩君。

 

○馳委員

 おはようございます。
 大臣、おはようございます。ちょっと、義務教育費国庫補助負担金が全額使われないで国庫に返納されているといううわさを小耳に挟みまして、実態はどうなのかなということで、昨年度、平成20年度、もし万が一そういう実態があるのであるならば、調査をして資料をつくってほしいと文部科学省に要請をいたしました。 それが、きょう委員の皆さんにもお示しをしております資料であります。

 まず、この資料についての説明を局長の方にお願いしたいと思います。

 

○金森政府参考人

 平成20年度におきまして、教職員を含む職員の給与削減を実施しているのは35道府県でございます。このうち、教職員給与費の実支出額が義務教育費国庫負担金の限度額を下回っているのは16道府県となっております。

 しかしながら、義務教育費国庫負担金につきましては、平成16年度から総額裁量制を導入いたしまして、国庫負担の最高限度額の範囲内で各都道府県が給与水準や教職員配置を弾力的に決定できるようにしたところでございまして、給与削減をしている場合でございましても、鳥取県や京都府などのように、この制度を活用して教職員配置の充実を図っている状況も見受けられるところでございます。

 なお、近年の厳しい地方財政の影響もございまして、大多数の地方自治体で給与削減を実施いたしておりますことから、実支出額が限度額に達しないのは、平成16年度は6県でございましたが、平成20年度は16県と増加する傾向にございます。

 

○馳委員

 基本的に各都道府県とも財政が厳しい中で、公務員の給与を一律削減している。 それに倣って教育公務員の給与も下がっている。 したがって全額使い切れていないというのも、これまた一つのむべなるかなとも思いますが、局長、義務教育費国庫補助負担金という制度を改めて考えると、三分の一が国庫負担、三分の二は地方交付税によっての地方負担、いわゆる一般財源化されているということだと思いますが、改めて、私のその認識でよろしいですね。

 

○金森政府参考人

 御指摘のとおりだと存じます。

 

○馳委員

 そうすると、国庫補助の部分が全部使い切れないで、使われないで国庫に返納されている。 では、地方負担の3分の2の部分、これは地方交付税措置になって一般財源化されていることになるわけですね。 今、局長が私の改めて言うまでもないことにお答えいただいたとおりです。 この3分の2の部分はどうなっているんですか。

 使われないで国庫に返納されている16の道府県があるわけですよね。 同じようにその3分の2の部分も国庫に返納されているんです。 そこはどうなっているんですか。

 

○金森政府参考人

 国庫負担以外の部分につきましては、一般財源でございますので、返納はされておりません。

 

○馳委員

 私はこの実態はちょっとおかしいなと。 率直に言って、義務教育費国庫補助負担金、これは、教員給与一人当たり、あるいは義務標準法等いろいろ掛け合わせた上で基準があって、各都道府県にお配りしているわけですよね。 使われていない。 国庫補助負担の分が国庫に返納されている。 ところが、残り3分の2は、地方交付税として渡っているにもかかわらず、返納されていないんですよ。 いやあ、もったいないな。 どうせお渡ししているんだから、全部使い切ってほしいな。 ましてや、平成16年から総額裁量制にして、各都道府県で頑張って工夫をして、少人数学級とかあるいは習熟度別の学習とか、いろいろな教員配置を頑張って工夫してやっているにもかかわらず、この残り3分の2の分は一般財源化になって、大臣、返ってきていないんですよ。

 一般財源化になって教育のために使っているんですか。 局長、一般財源になって、教育のひもつきになって、ちゃんと教育のために使われているんでしょうか。 どう思います。

 

○金森政府参考人

 一般財源化された部分につきましては、どのように使われているか、必ずしもつまびらかでないところでございます。

 

○馳委員

 例えば、この数字からいろいろなことを私は読み取ることができるなと思うんですよ。 資料をもう一度ごらんください。

 一番差額のあるのは、黒三角を見ていただければいいんですが、大阪府の35億300万円ですよ。 多分これは3分の1の部分ですから。 つまり、その裏負担の3分の2となると、倍掛けすれば70億600万円は、大阪においては教育の目的以外に使われている可能性がある。 というよりも、教育の目的以外に使われていると指摘をすることができるんですよ。 大臣、できるんですよ。

 そうすると、大阪府の橋下知事は、私から言わせればずるい男だなという評価もできるし、なかなか大した知事だな、本来ならば義務教育の人件費に使わなければならないのに、うまくやりくりをして、ほかの財政の補てんなんでしょうか、うまく使っているなという評価もできます。

 でも私は、文教族の誇りを持って言うならば、ずるいよ、人件費なら人件費として渡しているんだから、ちゃんと使ってよ、ましてや、総額裁量制というやり方があるんだから、教育の人件費で使ってよと私は率直に思います。

 まず、この総額裁量制というのは、これは、ある意味では政治的な落としどころとして、各自治体で教員給与を有効に使っていただきたいということで平成16年から始まりました。 この制度を使えば、大臣、国庫に返納なんてしなくてももっと有効に使おうと思えば使えるし、これは数字を見ましょうか。 定数超過の部分、鳥取県、6.2%も上増ししているし、京都府は4.86%上増し、福島県は4.5%上増し、香川県は3.24%、佐賀県が3.15%と、定数以上にうまく教員の配置を、恐らくこれは非常勤の講師なども使いながらやっているんでしょう。 こういう数字を読み取ることができるんですよ。

 この総額裁量制を有効に使うべきである、そして、私が今指摘したように、国庫補助負担金、返納なんかしないで、お渡ししたんだからちゃんとお使いくださいというこの指摘に対して、大臣の所見、感想、思いを伺いたいと思います。

 

○塩谷国務大臣

 今、馳委員御指摘の点は、全く私も気持ちの上では同感でございます。

 ある面では、先ほど御説明がありましたように、橋下知事の話がありましたが、うまくやっている。 国庫へ返納しても一般財源化が確保できるという方法を選択しているんだと思いますが、教育の面で総額裁量制という制度を入れて、その地方においてそれをうまく使って教育を充実させてほしいというのが私どもの思いでございまして、三位一体のあの議論のときは大分その議論をやって、結果、その裁量制を採用したわけでございますので、ぜひ私どもとしては、教育の充実のためにこの国庫の負担金を十分に使っていただくことをこれからも指導してまいりたいと思っております。

 

○馳委員

 もう一度改めて数字を見ますよ。118億8600万円が、本来ならば国庫補助負担として都道府県に行っているものが返納されているんです。 118億8600万円です。 教員給与、いろいろありましょうが、一人500万円と計算したって、これだけで少なくとも2400人は現場で何とかなるんですよ。 この2400人という数字、これは、単純な積み上げの計算だけですからそうはいかないかもしれませんが、少なくとも、国庫補助負担の返納されている分だけでも2400人は現場の教員の配置ができるんですよ、やろうと思えば。 やっていないんですよ。 やっていないどころか、返納しないでもいい地方交付税で渡っている3分の2を使って、教育以外の目的にやっているんですよ。

 そうすると、今度は私は大臣にあえて問わなければいけないのが、このままでよいのかなと。 3分の1と3分の2に切り分けられたのが平成18年ですから、以来3年間たちました。 それで、下の方の数字を見てください。 「実額負担県数の推移」とあって、16年度、これは総額裁量制が始まったころからですけれども、6、7、6、11、16と右肩上がりに伸びてきているんですよ。 恐らく、都道府県の知事もわかってきたんでしょうね。 これはしめしめ、国庫補助負担金を使い切らなくて返納したとしても、3分の2は我らで使えるぞ、これを一般財源として厳しい財政の中でほかのことに使ってやろう、しめしめという思いがこの数字に出てきているんですよ。 これは極めて憂慮すべき、私はもうけしからぬなあと思います。

 ただ、ここで私も先ほど橋下知事のことを評価したように、このやろう、ずるい男だなと言える部分と、なかなかうまくやっているじゃないか、うまく工夫しているじゃないかという二つの評価をしようと思えばできるんです。 全額一般財源化をすると、まさしく地方の実情によって、教員給与といえども、お住まいの地域によっては物価も違ったり事情もありますから、自治体が条例で決めればいいことであって、一々国に全部基準を決めて配ってもらうものではない。 一定の水準の計算式に基づいて渡してくれれば、自由に教員給与水準を決めた上で有効に使う。 だから、一般財源化してくれという知事の裁量に基づく判断で一般財源化を求める。 こういう言い方もあるでしょうが、実際には、まさしくきょう文科省が示していただいた数字のように、本来の趣旨どおりに使われていないということなんです。 税金が本来の趣旨どおりに、目的どおりに使われていない現状をこの一枚の表から読み取ることができるわけですよ。

 こういう意味では、義務教育費国庫補助負担制度の根幹に、税金の使い道の根幹にかかわる問題ではないのかなと私は思います。

 大臣、今の私の説明をお聞きになって、主張をお聞きになっての感想をお伺いしたいと思います。

 

○塩谷国務大臣

 義務教育費国庫負担金については、やはり、教育水準の確保、そして格差がないようにということで国が保障する大事な制度でありますので、これはしっかりと堅持していく必要がありますし、3分の2が一般財源で措置をするということになって今回の調査の結果が出ているわけですが、大変私どもも憂慮すべき点が出ているなというふうに感じております。

 今後、どういうふうに教育費としてしっかり実効あるものに使っていただくような措置ができるか、いろいろな検討をしていかなければならないと思っておりますので、そういう実態の調査の結果が出ておりますので、ぜひ、御指摘の点を踏まえて、また今後しっかり検討してまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 大臣、私が一つ謝らなきゃいけないのは、私はさっきから国庫補助と言いましたよね。 でも大臣は、今、国庫負担金とおっしゃいましたよね。 これはまず最初に局長に確認した方がいいですね。 私が言った補助という考え方は文科省はとっていないんですよね。 文科省としては、国庫負担金という考え方でこの問題に取り組んでいる。 補助じゃないんだ、国庫負担金なんだ、大臣は今国庫負担金とおっしゃいましたから。 それでいいんですね。 金森局長、ちょっと。

 

○金森政府参考人

 御指摘のとおり、義務教育費国庫負担制度でございます。

 

○馳委員

 これはまさしく哲学ですよ。 補助じゃないんです、国庫負担金なんですよ。 教育公務員の給与については国庫負担金なんですよ。 それが3分の1と3分の2に切り分けられた。 あの三位一体の中でのこれは政治決着の苦渋の決断だったというふうに私は思っています。

 それから三年間たちました。 実態を見るとこうなっています。 3分の1の部分が使い切れなくてというか、いろいろ事情もあって国庫に返納されていますが、3分の2は、しめしめということで使い放題ですよ。

 私はあえて大臣に答弁を求めますが、この問題、実態を踏まえて中教審に諮問をすべきときではありませんか。

 

○塩谷国務大臣

 今回の調査でそういう結果が出ておりますので、中教審に諮問するかどうかは別として、今後その傾向が続いていく可能性もありますので、そういう点を踏まえて、大事な国庫負担金が返納されているということを、どう今後実効的に使えるかということを検討する必要があると感じております。

 

○馳委員

 中教審に諮問をするに値する問題だと思いませんか。 もう一度答弁を求めます。

 

○塩谷国務大臣

 もちろん、中教審に諮問する前に私どもでしっかりとまだ検討する必要があると思っておりますので、まずは私どもで検討させていただきたいと思います。

 

○馳委員

 中教審に諮問をするに値するという表明と私なりに解釈をいたしますが、確かに、諮問をする前に、きょうは一枚のペーパーだけで、私はこれをずっと眺めながら、何でこうなるのかな、結局は、教育は、もっとはっきり言いましょう、都道府県の教育長は都道府県知事に人事権も握られていて頭が上がらないんだなというのを、私はこの数字から読み取ることができると思いました。

 本来ならば、各都道府県においても教育の現場というものは、ある意味で言えば、政治とは一定の距離を置いて、中立で、子供たちの、特に義務教育についてやはり役割を果たしていかなければいけない。 政治とか政党とか、あるいは都道府県知事や市長もそうでしょうが、こういった圧力に負けないで、自立をして教育を行っていくという姿勢が必要なんだろうと私は思っています。

 ところが、見事に各都道府県によって、この数字を見てくると、総額裁量制を有効に使っている都道府県もあれば、そうではない都道府県もあれば、わざわざ国庫に返納してくる、それも118億8600万円、こんなに私はあるとは思いませんで、びっくりいたしました。

 今後、どのような検討、調査をして、その上で中教審に諮問をすべきだとお考えですか。 いいですか、今後、どのような調査や検討、分析をした上で最終的に中教審に諮問をすべきだとお考えですか。 お答えください。

 

○塩谷国務大臣

 御指摘の点については、私どもとしては、その調査をもとに、実際に現場でどのような形でそういう数字が出てきたかということを調査していかなければならないと思っております。 総額裁量制を十分に活用しながら、そしてまた教員の給与あるいは人数等、こういうものもしっかり配置していく上で、現在の地方財政の厳しい状況の中で、ある面では、地方財政の中でかなり苦労をしてそういう結果になっていることも考えられますし、そのために教育がおろそかにされるようなことがあってはならないわけですが、しかし、それぞれの各都道府県で、全体を見て判断してかなりうまくやっているという例もあるかもしれませんし、そういう例をしっかり踏まえて、今後どういうふうな形で検討できるかということを十分に調査をして、その上で中教審に諮問するかどうかを判断していきたいと思っております。

 

○馳委員

 大臣、私は今、人件費の話でちょっと突っ込んでお伺いいたしました。 これは金森局長も、ぜひ、この返納されているという、私は、本当に小耳に挟んだ情報から、数字を見て深くいろいろなことに思いが及んだわけでありまして、私以上に賢明な局長として、もっといろいろな数字から読み取れる都道府県の実情、そして、教育委員会がやはり知事に何か遠慮しているのかなというふうな部分を踏まえた実態調査をしていただきたいと思っております。 いかがですか、局長。

 

○金森政府参考人

 私どもといたしましては、先ほど来御指摘ございましたように、各都道府県においてこの総額裁量制を活用した一層の教育条件整備が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 何度も言いますが、金額の大きいところを言いますよ。 北海道16億1400万円、大阪府35億300万円、広島県18億400万円、沖縄県12億8000万円、どうでしょう、財政的に厳しい自治体の叫び声がこの数字からもやはり見えてくるんですよ。 広島県が財政的に厳しいのかどうかはどうでしょう。 これはちょっと首をかしげたくなるところでありますから、これはやはり、恐らく知事の采配というものがこういったところに出てきているんだろうなと私は思います。

 したがって、各都道府県によって実情が違う、それから、公務員の給与水準を数%ぐらい条例で下げているところもありますから、そういった実情もあるでしょうし、そこら辺がやはり知事さん方の腕の見せどころなわけじゃないですか。 そんなときに、教育長が大きな声を出してこれは守らなければいけない、義務教育の重要な人件費なんです。

 さらに、総額裁量制を使えば、少人数学級とか、習熟度別とか、特別支援教育への支援とか、あるいは小学校の体育の授業を充実させようとか、何だってやろうと思えばできるんですよ。 やっているところだってあるんですよ。 そういう指導、そういう関与を文部科学省としてすべきではないんですかと私は思うんです。 局長、どう思いますか。

 

○金森政府参考人

 この義務教育費国庫負担金は、義務教育水準の維持向上のために、各都道府県に対して、都道府県ごとの給与単価と、標準となる教職員定数に基づく限度額まで国庫負担することを可能としているものでございます。

 確かに、一部の都道府県におきましては、財政上の理由などから、教職員を含むすべての職種について給与削減を行っており、やむを得ない面もございますけれども、文部科学省といたしましては、各都道府県においてこの総額裁量制を活用した一層の条件整備が図れるよう、今後とも必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

 

○馳委員

 最後に大臣に、今までのやりとりで私は、人件費について一応自分なりに心配をし、憂慮をし、文部科学省として、都道府県、また、小中学校の場合は設置者は市区町村ですから、市区町村に対して一定のやはり影響力を持って指導できるようにすべきではないんですかということを申し上げました。 私なりの問題意識についての最終的な感想を一つ。

 もう一つ、まだ表に出てきていませんが、追加経済対策として、人件費とともに必要な施設設備の対策、これは追加経済対策として出てきておりますが、こういう状況であることを考えれば、学校施設設備の高度化、エコ化、ICT化、あるいは耐震化というものは、言葉は悪いかな、チャンス、でも、本当にやはり老朽化した施設、あるいは、エコ化をすればもっとよくなる学校、地域によってとてもやはり助かるわけですよ。 これは、私はぜひ追加経済対策で大臣の責任のもとに進めていただきたいと思っております。

 これは人件費の問題ではありませんが、この人件費の問題についてと、追加経済対策で文部科学省としてどのような前向きな学校施設設備の整備について取り組もうとしているのかというお考えをお聞きして、私の質問を終わります。

 

○塩谷国務大臣

 きょう、馳委員の御指摘の点につきましては、今後、実態をしっかり調査して、教育環境をしっかり整えるべく努力をしてまいりたいと思っているところでございます。

 また、現下の経済状況において、党としても、提案をいただいた、特にスクール・ニューディールと言われる学校施設整備については、やはり子供たちの教育環境というのは、もっと新しく、また、将来を見据えた環境をするべきだろうということで、そういう意味では絶好のチャンスだととらえて、耐震、あるいはエコ化、あるいは芝生化等、いろいろな面で今回しっかりと整備を進めてまいりたいと思っておりまして、私どもとしても今その点で要求をしているところでございますので、また今後とも御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 

○馳委員

 終わります。

 

○岩屋委員長

 以上で馳君の質疑は終わりました。


詳しくは衆議院 文部科学委員会議録をご覧ください
(常任委員会 → 文部科学委員会)

 

 


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