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著名人たちの『心を励ました1曲』
 
 にとって印象深い曲はいくつかあります。まず最初に思い出すのはバルティモラの『ターザンボーイ』。この曲が流行った85年頃、私はプロレスの世界に入ったばかりで新弟子として半年間プエルトリコに遠征していました。この先プロレスラーとしてやっていけるかどうか不安を抱えていた時期ですし、事実まだお金を稼げるレベルではなく、言葉の通じない異国で1人きりという心細さがありました。そんな時に耳に飛び込んできたのが『ターザンボーイ』でした。陽気なラテンのリズムに元気をもらって、いろいろな不安と闘うことができましたね。

 プエルトリコの後、今後はカナダへ行き、各地で転戦する日々が始まりました。その時ヒットしていたのがボンジョビの『リビン・オン・ア・プレーヤー』です。毎日のように試合をして、しかも移動は自分で運転。広い国ですから時には24時間運転しっぱなし、ということもありました。ですから音楽を聴く場所も車の中でラジオを通じてという場合がほとんどでした。ラジオからはさまざまなスタイルのヒット曲が流れてくるんですが、この『リビン・オン・ア・プレーヤー』はストレートに力がわいてくるような曲で、当時の私を勇気づけてくれましたね。

 人間生きていると、たくさんの思い出と一緒に当時好きだった曲も甦ってきます。私の場合なら、中学時代にバンドをやっていた思い出にはディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』が、高校時代アマレスで海外遠征した思い出にはビリー・ジョエルの『オネスティ』がテーマソングのように流れてきます。そして、プロレスラーとして再出発した時期、不安と闘っていた思い出には『ターザンボーイ』や『リビン・オン・ア・プレーヤー』が登場するわけです。

 どの時代も確実にその曲から元気をもらっていたんですよね。だから、今になっても特別な曲として好きでいられる。最近アメリカのTVシリーズ『アリー・マイ・ラブ』が好きでよく見るのですが、あのドラマの登場人物ジョンがそうであるように、その時の自分のテーマソングのようなものが頭の中に流れると本当に不思議なくらい力がわいてきます。

 仕事でも恋愛でもスポーツでも何でも、真剣に追求していくと修羅場を体験することになります。辛いことも多いですから音楽が持っている力に頼ることが増えるわけですが、逆にそれだけ感性が磨かれているといえなくもない。そして、テーマソングに支えられながら修羅場をくぐることで人はチャンネルを増やしていくことができるんだと思います。キャリアアップも大切ですが、どんな仕事をするにしても最終的に問われるのは人としての度量、チャンネルの多さ。それを得るには修羅場に自ら立ち向かっていくことが必要です。そうすればテーマソングも自然と見つけられるはずだと思います。

 

修羅場をすすんで体験していけば
自分のテーマソングも見えてくるはず

馳浩 in Mediaメニューへ戻る



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