週刊社会保障 2003年2月24日
インタビュー この人に聞く

働き盛り世代離職者の早期再就職促進が重要
−馳浩 自民党厚生労働部会労働専任部会長−


 通常国会は現在、平成15年度政府予算案等の審議が進められているが、厚生労働省は今国会に、予算関連法案として雇用保険法等一部改正案を提出し、早期の成立を目指している。そこで、昨年10月に自民党厚生労働部会の労働専任部会長に就任した馳浩氏(衆議院議員)に、同改正案の評価や当面の雇用・失業対策への取り組み等を聞いた。
雇用問題の荒波に飛び込む

 本誌  自民党厚生労働部会の労働専任部会長に就任されてのご感想等をお聞きします。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 労働専任部会長に就任したのは昨年の臨時国会召集前の10月であったが、就任早々に問題となったのが14年度の補正予算の取扱いであった。党の長勢甚遠政調副会長を通じて、連合の幹部の方々と意見交換をしたほか、地元の石川県に帰ると、商工会議所等の幹部の方々から、雇用対策のための補正予算編成の要請が強くあり、こうしたことにしっかりと対応していかなければならないと感じ、訴えてきた。今回の役をいただいた瞬間から、そういう意味での圧力をさまざまに受けながら、まさに責任の重さを痛感した。

 補正予算のほかには、雇用保険法や労働基準法の見直し、さらには、いわゆる国家公務員の労働権の制約問題に関するILO勧告が出されたなかで、自治労等からも強く要望が出されるなど、いきなり雇用問題の荒波のなかにダイビングしたという感じであった。

 本誌  これまでの政治活動における厚生労働行政との関わりをご紹介ください。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 実は国会議員に当選するまで、学童保育の実態をまったく知らなかった。当選後、もともと教員であったことから自民党のなかでは文教族として活動をしていたが、地元から、学童保育のより一層の拡充と支援が陳情されたことをきっかけに、このことが一つの少子化対策でもあり、働く母親のバックアップ体制の整備につながるということを考えさせられた。教育の観点から考えた場合、放課後は地域社会における子どもの教育として、学校や家庭と同列として考えるべきであり、お互いの役割分担の必要性を感じた。このため、学童保育に対する支援の一層の拡充を目指して活動を行い、最終的に児童福祉法の改正で放課後児童自立支援センターの実現に至った。

 この間には、子どもたちの教育の一環として学童保育を捉えていくため、例えば小学校の空き教室を学童保育に使用できるように、国会質問で当時の文部省に対して前向きな答弁を引き出すことも行った。子どもの健全な育成や働く母親を支える意味での社会保障を推進する厚生労働分野と教育分野は、時には同列で論じ合わなければならないことを強く感じたきっかけが学童保育の問題であった。

 本誌  通常国会に提出されています雇用保険法等一部改正案に対する評価を伺います。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 法案については、厚生労働省もよく工夫をした内容になっていると思っている。本音を言えば、雇用保険財政を安定化させていくためには、保険料率の引き上げはやむを得ないし、雇用保険に基づく事業はより絞り込まなければならないと考えている。つまり、早期再就職を目指すような支援をより充実するような内容に特化するなど、雇用保険に基づく再就職・雇用対策事業はスクラップ・アンド・ビルドされるべきだと思っている。日本人ほ自助努力という精神は忘れてはいけないと思うので、そういう意味では、今回のいわゆる横だし方式のような形は、プロレス流に言えば、5カウント以内の反則に近いという印象を持っている。

 しかし、平成14年度の補正予算から15年度の本予算との連動性のなかで、厚生労働省としてもよく工夫をしたと思っているし、また、連立与党でもあるので、各党の意見も踏まえながら、いわゆる安易に保険料を引き上げるという精神的なストレスを回避したという意味での評価はせざるを得ない。望むべきは、35〜45歳の働き盛り世代の非自発的離職者に対する職業能力開発訓練を充実させ、早期の再就職を促していかなければならない等と感じている。

 当面は、今年5月1日の施行に向けて、3月末日までに成立を目指す予算関連の日切れ法案であるので、なるべく早い成立を期すべく、自民党国会対策委員会の副委員長としても汗を流したい。

 

雇用創出特別交付金を充実

 本誌  このほか、今国会には労働基準法一部改正案等の提出も予定されています。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 3月初旬に法案を提出できるよう、2月末から3月初めにかけて部会でも議論を深め、法案の了承を得たうえで党の総務会に諮りたいと思っている。

 本誌  当面の雇用・失業対策の取り組みに向けた課題等を伺います。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 早期再就職と雇用の流動化等への対応については、ある意味でスパンが違う問題である。今現在、仕事のない人に対していかに仕事を貼り付けていくかという早期再就職の話と、今後の雇用の流動化やワークシェアは中長期的な話であり、雇用の構造改革が必要となる。このため、短期的な仕事の貼り付けと中長期的な雇用の流動化等をうまくリンクさせながら、目標をもって進めていきたい。

 また、14年度補正予算でも増額された緊急地域雇用創出特別交付金制度については、より一層拡充していきたい。とりわけ、35〜45歳の当面の雇用をいかに創出し、最終的な常用雇用につなげていくための体制をバックアップすることができるのかが大切であると考えており、この制度の実態や動向について注目していきたい。

 本誌  最後にご趣味等をお聞きします。

 馳浩自民党厚生労働部会労働専任部会長
 最近、400メートルを何秒で走れるかということに凝っている。昨年の最高記録が1分14秒であったが、今年の元旦には1分12秒、2月に入り1分9秒となった。今年は1分を切ることが目標であり、小さな趣味になっている(笑)。また、本を書くことも好きで、昨年は4冊ほど出版した。今年の4、5月頃には 『馳浩の教育論』を出版する予定であり、今後もまめに本を出版していきたいと思っている。そして、自分の趣味よりも優先しているのは、子どもと遊ぶ時間を確保することであり、現在ほ朝の6時30分から1時間くらい、できるだけ5歳の子どもと遊ぶように努めている。


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