馳浩の快刀乱筆

 「新生」の道筋示すべき 

 森の桜よ 満開はいつ 

平成12年4月9日富山新聞掲載


 

 先週の永田町の最大関心事は、自由党よどこへ行く、だった。この平幕の私でさえも、ある自由党代議士の自宅に深夜駆けつけて、政権離脱の大義名分が立たないことを確認したりしていた。結局、自由党を離党した26人が保守党を結成し、自公保政権を組むことになったのだが。

 そして同時並行のドラマが政変を演出した。4月2日未明に小渕前首相が病に倒れ、森喜朗新総理大臣が誕生したのだ。これこそ永田町の象徴。政界は一寸先は闇。晴天のへきれき。とりわけ青木官房長官の記者会見を通してしか公式発表がなされないため、国民にとっては何が何だかわからない、あれよあれよという間の首相交代劇となった。

 小渕さんの病状はどのくらい悪いのか、主治医の生の声を聞きたい。首相臨時代理は、そして後継総理大臣はどのようにして決まったのか?

 国民が知りたいかんじんのこの2点について、青木さんの会見唯一のよすが。これでは取材する記者ももどかしいし、間接的に伝えられる国民はもっともどかしい。

 後継に話し合いで指名された(とされる)森首相にしたって座り心地が良くないだろう。人事権の行使も一切許されず、いきなり最高権力者の座布団を用意されただけ。これではまるで小渕派のかいらい政権との印象。素直に喜んではいられないだろう。

 4月7日の所信表明演説で、森首相は「日本新生内閣」と位置づけた。心意気や良しとしよう。では、何を、どう新生するかの道筋を示すべきだ、と私は思う。小渕内閣の残務処理だけで事足れりとするのか?それとも森カラーの一端でも実現しようとするのか。私は思う。短期間で何かを成し遂げようとしない者は、長期間かかっても何もできない。そして最初から言い訳を考えて逃げ道を用意しているリーダーを、誰も信用しない。森さん、ここが司令塔としての腕の見せどころだ!

 

政策の 森の桜は 七分咲き
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
INDEX