馳浩の快刀乱筆

 何のための連立離脱? 

 自由党よ、どこへ行く

平成12年4月2日富山新聞掲載


 

 もう何回目だろうか、小沢自由党の連立政権からの離脱騒動。こうたびたび火の手をあげちゃうと「オオカミ中年」の効力も失せてしまう。でも、どうやら今回は本気のようだ。

 「自民党は信用できない。約束した政策を実現しようとしない。だから離脱する。」

 との小沢さんの主張は、もっともらしく聞こえるが、実はそうではない。厳密に言えば自民党としても約束した政策を実行したくともできない状況にあるということ。それは参議院の議席数の問題に突き当たる。自民党と自由党が組んだだけでは過半数に達しない。そこで公明党とも組んで安定多数を得て、予算や法律案を可決、成立させていく必要がある。そうすると、公明党が主張する政策と自由党が主張する政策がぶつかると、いくら自民党であろうともなかなか調整できないということになるわけだ。

 そんなことは自自公を組んだ当初から百も承知の小沢さんが、なぜに今になってまたぞろ離脱を言い出したのか? こたえは簡単。本音のところは衆議院選挙対策だ。与党のまま選挙に突入すると、自民党、自由党、公明党の三党が公認候補者をぶつけ合うことになる。与党同士なんだからお互いにゆずり合って調整しようよ、となっていたのに、この選挙区調整が自由党有利に進まないから、離脱するのだ。野党として、自民党を攻撃した方が、保守層の有権者の受け皿になれるという目論見。つまり自分たちの選挙に有利か不利かだけで、判断して連立を離脱しようとしている。

 これって本末転倒! 大義名分なし!

 だって、政策実現のために、選挙目当てに与党に入ってきたのに、選挙目当てに与党離脱だなんて、どう考えても自分のことしか考えていない。

 結局、自由党内は、離脱派、与党残留派、中間派に三分裂。いったい小沢さんを中心とした分裂騒動はこれで何度目? そして、野党になって民主党、共産党、社民党と手を組んで与党攻撃するとでも言うの??? わからん。

 

壊しても また壊しても 小沢党

春なのに どこへ行くのか 自由党

 

エッセイスト・小矢部市出身

 
INDEX