馳浩の快刀乱筆

 現在進行形の姿が魅力 

 出しきってる?

平成12年2月13日富山新聞掲載


 

 私がひとりっきりになれるのは国会へ行き帰りする車の中。ここ数日、カセットから流れてくるのはモーニング娘。の『恋のダンスサイト』。こむずかしい理屈で野党と交渉している毎日だから、冷え切った心をこの曲があたためてくれる。「恋をする度 胸 Bon Bo Ba Bon」だなんて可愛い声が流れてくると、おじさん(だと自分では思っている)の胸も躍る! で、改めてモーニング娘。の魅力を考えたりしている。

 この曲の前の『LOVE マシーン』で一気に爆発した感のある彼女たち。子どもから大人まで口ずさめる歌詞やリズム感の良さもあろうが、彼女たちのキャラクターにこそ、ブレイクしている秘密が隠されているように思う。

 クラスに必ずいそうな女の子たち、がひとつのコンセプトであろうか。

 お母さんっぽい子。ちょっと背の高くていじわるっぽい子。おきゃんな子。声の大きな子。おねぇさんっぽい子。妙に色っぽい子。背の低くて笑顔のはじけている子。ちょっといじけてひねくれてる子。幼いけど艶っぽい子。

 などなど、身のまわりにいそうな子が、同世代の代弁者としてテレビの中で主張している、というテーマを感じる。そういえば、昔クラスにあんな女がいたようなー、と、私のようなおじさんのノスタルジアを刺激する。

 でも、一番の魅力は『出し切ってる』ところじゃないだろうか。

 自分ってなんだろう? 社会に役立つことって何だろう? 自分の役割って何だろう? やりたいことって何だろう・・・。

 子どもに限らず、誰だってそんな自己実現のプロセスに悩んでいる。悩みながら、もがきながら、努力しながら、日々暮らしている。

 モーニング娘。の一人ひとりは、まさしくそういう自問自答を続けている私たちのひとつの『答え』となっていると思う。悩みながらも、何かをつかみ、得ようとして自分を出し切っている現在進行形の姿こそが、彼女たちの魅力なのだろう。

 

この一瞬 モーニング娘。春らんまん
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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