馳浩の快刀乱筆

 プロは“本業”に専念を 

 オリンピックはアマだけだ

平成12年2月6日富山新聞掲載


 

 プロ野球選手のオリンピック派遣問題で、プロ野球側の協力態勢が固まった。

 私は反対だ。あまりにも関係者はメダルとかメンツにこだわり過ぎていないか? アマチュア選手のレベルアップと、野球競技の底辺拡大を考えるならば、プロはペナントレースにこそ専念すべきである。

 まず、協力に積極的な西武オーナーの堤さんの声。『私は野球も大事だが、五輪も大事にしている』と明言。メダルの期待が高まること、人気プロ選手の知名度を利用した話題作りで国民の目がオリンピックに向かう、という目論見だ。

 確かに昨年のアジア予選を見ていても、プロの松坂(西武)や古田(ヤクルト)や松中(ダイエー)の活躍がなければ、プロの一線級をそろえた韓国や台湾には勝てなかったかも知れない。素人目にもアマとの差は歴然だった。

 でも、それはあくまでも予選の話だ。本大会への出場権を獲得したのだから、その原動力となったプロ側に感謝すべきだろう。

 でも、本戦のシドニー五輪は別だ。プロは出場をあえて控えるべきだ。

 理由の一つ目。オリンピックは新たなヒーロー出現の場である。毎日がオリンピックのプロ野球選手を出したところで、それはプロ選手の人気が目立つだけである。力がありながら世に出るきっかけのない、アマチュア界の埋もれた人材の芽を摘んでしまうことになる。プロのワクによって、代表の選にもれてしまうアマチュア界に失望を与えてしまう。せっかくのスポットライトを浴びる場を奪うべきではない。

 理由の二つ目。時期だ。ペナントレース終盤のプロ野球の緊張感を奪ってほしくないからだ。一軍半の選手であろうとも、ダメだ。プロ球団は一軍、二軍が一体となって勝利に向かっているからこそプロ。二兎を追う者は一兎をも得ず、だ。12球団一丸となって、日本一に向かって全力投球する時期に、五輪は無用

 

プロとアマ 役割分担 スポーツ界
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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