馳浩の快刀乱筆

 芸能人なら計算高く 

 鬼女に徹すればいいじゃない

平成12年1月30日富山新聞掲載


 

 人の不幸は蜜の味!? 

 小柳ルミ子さんと大澄賢也くんの離婚ドタバタ劇場をテレビで見ていると、改めてそう思えてくる。まさに人の振り見て我が振り直せ、の典型? 私も参考としたい?

 そもそも、賢也くんの浮気告白から始まった一連の騒動。まず男(夫)の立場からすれば、告白した時点で離婚の覚悟はしていて、どんな条件も甘受する強い決意であったろうことは想像に難くない。その覚悟の上で自宅を出て別居にふみ切ったのだろうし。

 ここで女(妻)の立場としてどう(反撃に)出るか、が焦点となる。

 (1)浮気を含めてすべてを容認するからと、元のサヤに収まる努力をする。

 (2)絶対に離婚しない、と宣言して男(夫)にボールを投げ返す。

 (3)裁判に持ち込んで徹底的に争う。

 (4)当事者同士の話し合いで協議離婚。

 と、ざっと列挙すればこうなる。小柳さんは(2)を選んだが、最終的には(4)が結論となる。

 ただ二人とも芸能人であり、スキャンダルが人気に結びつき、仕事に直結もするため、ワイドショー=世論に訴えて、その反応を見るという戦略も利用してしまった。その最終段階で小柳さんは大きなミスを犯してしまった。

 彼女は記者会見で賢也くんは元のバックダンサーに戻る、慰謝料を払う、との離婚条件を提示したら後者を選んだ、と発表した。これで、若い夫に詰め腹を切らせて離婚させた鬼女、とマスコミから叩かれる。

 そしたら、今度は自分が司会の番組『思い出ボロボロ』の生収録で前言を撤回。離婚条件の二つとも賢也くんの方から申し出たことで、私はそんな薄情な鬼女と言われる筋合いはない、と大泣きして世間の同情を買い、視聴率をかせぐ作戦に出た。

 これは、失敗だ。夫婦の微妙なやりとりまでオープンにしては人間としての信頼度まで疑われる。鬼女なら鬼女のイメージのままの方が仕事上有利のはず。往生際が悪い!! 芸能人ならもっと計算高く!!

 

結婚も 離婚も商売 芸能人
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
INDEX