馳浩の快刀乱筆

 天声もカネ次第? 

 “最高”の問答いつまで

平成12年1月9日富山新聞掲載


 

 こんな都合の良い話ってあるだろうか? 宗教法人『法の華三法行』の福永法源代表が1月6日、静岡県富士市の教団本部で記者会見し『今月1日に代表を離れろ、という(福永代表だけが聞こえるとされる)天声が示された』と述べ、代表を辞任する意向を表明した。今後宗教法人法による手続きを進めるという。他の教団役員4人についても『世間に誤解を与えた』として解任し、教団幹部を一新することも明らかにした。

 これに対して、教団施設を詐欺容疑で捜索した警視庁は『世間の批判を一時的にかわすための辞意表明で、福永代表が事実上の教団トップの座にとどまり、教団の実態は何も変わらない』と見ている。

 福永代表は今後『人類を救済するために全国を行脚する。天の声を伝えるのが私の役目』などと話し、これまで通り教団の行事などには出席するという。代表自身が立件される可能性が強まっていることを問われると『すべてが容赦なく処理されることは世も末だ』と話している。

 おいおい、いい加減にしろよ!

 と言いたくなる。こんな宗教家がまかり通ってしまうと、まじめに活動している他の宗教人までもが色メガネで見られてしまうから、厳しく対処してほしいものだ。一連の福永代表の行動は、言いのがれ、責任回避に他ならないことは、誰の目にも明らか。

 そもそも、宗教法人というのは『公益性』が社会に対して認められてるからこそ、税別優遇などの特典があるのだ。天声だか何だか知らないが、カリスマ性を勝手に演出しているとしか思えない一人の指導者によって、詐欺的な行為が行われ、多くの迷える大衆をより窮地に追い込んでいるとしたら、それこそ世も末だ。人の弱みにつけ込んでいる!

 福永代表は、信者に対して『最高ですかー?』と叫び、盲信的な信者は『最高でーす!』と応じている。まるでマンガだ。司直の手によって天罰が下る日も『最高ですかー?』と叫ぶのだろうか?

 

初春や 我が身を守る 天の声
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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