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馳浩の快刀乱筆
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東海村の臨界事故で、作業中に大量被ばくし、東大病院で治療を受けていた核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」の社員が、12月21日、放射線被ばくによる多臓器不全のため、死亡した。ごめいふくをお祈りしたい。わが国の原子力施設の被ばく事故で犠牲者が出たのは初めて。臨界事故は最悪の事態を迎えた、と言えよう。このニュースが流れた日に、参議院経済産業委員会の与党筆頭理事である私のところに、野党筆頭理事である円より子さん(民主党)から連絡が入った。
「被ばくされた社員の死は、衝撃的な事件です。日本の原子力政策にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。原子力政策を取り扱う私たちの委員会でも、早急に閉会中審議をした方がよいのじゃないかしら?」
おっしゃることに一理あろう。安全神話を築きあげてきた原子力政策の足もとをおびやかすような初歩的人為ミスによる、国内初の臨界事故であり、作業員の死は、この事故の重大性を際立たせるに十分象徴的である。
委員会運営については、与党筆頭理事の決断が大きく作用するだけに、私は迷った。考えた。
そして、円さんの申し出をやんわりとお断りした。そうせざるを得なかった。何故か。
死亡した社員は被ばくし、亡くなった。被害者である。
しかし「ジェー・シー・オー」の社員であり、臨界事故を起こした作業員でもある。ということは、加害者でもあるわけだ。ただし、臨界という現象すら十分に教育されずに、与えられた裏マニュアル通りに作業していたのであるから、加害者としての責任の重さについては、事故原因の調査の最終結果を待たなけれはならない。
被害者なのか、加害者なのか?その判断もつかないうちに国会の場であれこれと審議することは避けねばならない。何よりも死者をムチ打つことはしたくない。遺族への配慮も必要だろう。臨界事故の評価はこれからだ・・・
エッセイスト・小矢部市出身
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