馳浩の快刀乱筆

 デヴィ夫人の負け 

 『勘違い行動』に怒り

平成11年11月7日富山新聞掲載


 

 タレントたる者、番組収録中にヤケを起こしてその場を立ち去るなんて、それってタレント失格じゃない

 11月1日放送の「愛する二人、別れる二人」(フジテレビ系)を女房とハラハラしながら見ていたら、デヴィ夫人のいきなりの勘違い行動を目の当たりにして怒りを覚えてしまった。私と同じ感想を持った視聴者も多いと思うので、ここに書き記しておきたい。

 この番組は、まさしく「愛し合っていた二人」が「別れる二人になるかならないのか」の瀬戸際を演出するバラエティー。一部にはヤラセ疑惑を指摘する声もあるが、私はそんな事はどうでもいいと思って割り切って毎週女房と二人で見ている。「あんなに仲良かった男女がここまでにくしみ合えるものか?」「ヒトの振り見て我が振り直せ、だな」などとまさしく我が身を振り返りながら人生模様をながめている。「人の不幸はミツの味」って言うじゃない!

 この11月1日放送分では、相談に乗ってあげていたはずのタレントのデヴィ夫人が、「せっかく私が二人をまとめようと努力しているのに、周りからごちゃごちゃ言わないでよ」と急にブチ切れ。「もう私やめます。今までありがとうございました!」とタンカを切って、スタスタとスタジオから立ち去ったのである。ア然、ボー然とするスタジオ内。

 おいおい! そんなのありか? と私は思った。だって自分の思い通りに進行しないからと言ってヤケ起こすなんて、子どもじゃあるまいし、あまりにも大人気ない。

 番組内では司会のみのもんたと美川憲一がデヴィ夫人を無視して、相談者のまさに別れようとしている若夫婦にスポットライトを当て直して流れを修正していたからまだ良かったものの、私と女房なんて口をとんがらせてテレビに向かって叫んでしまった。「デヴィ夫人の負け! 美川憲一の勝ち! ちゃんと番組を成立させるのが出演者のつとめじゃないか!」

 一人よがりの自己チューって、本当に手に負えない。デヴィ夫人に一句。

 

怒っても 心の糸は 切らないで
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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