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馳浩の快刀乱筆
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小渕首相がミレニアム(千年紀)プロジェクトの目玉として打ち出した2千円札の発行。景気対策としては(?)だけど、国民の気分を和らげる効果は期待される。
その図柄が10月21日までにほぼ決まり、閣議決定される見通しとなった。
表側は沖縄県の守礼門。この2千円札が沖縄サミットまでに発行されることを考えると、開催県に対しての小渕流の心配りと言えよう。
そして裏側、約千年前に紫式部によって書かれた「源氏物語」にちなんで、源氏物語絵巻(国宝)の19種類から選ぶことになっていた。
図柄を選ぶにあたって「男女の逢瀬の場面というケースか多く、ちょっと紙幣になじみにくい」(大蔵省幹部)などの理由から作業が難航。結局、主人公の光源氏と息子の冷泉院が会っている「鈴虫」の場面に加えて、作者の紫式部の肖像画(紫式部日記絵巻・国宝)という構図が検討されているという。
ふーん、なるほど。親子の対面に作者の肖像画ねぇ・・・
あれ!? ちょっと待てよ。本当にいいの!? と私は直感した。
というのも源氏物語の愛好家ならば私の感ずる違和感もご理解いただけよう。
だって光源氏と冷泉院は親子といえども世間に知られてはいけない間柄のはず。義母である藤壷に恋心を募らせる光源氏が、無理に言い寄って関係を持ち、不義密通の果てに誕生したのが冷泉院。アンモラルな源氏物語のストーリーの中でもとりわけ刺激的な三角関係。こんな「不義密通」の象徴的な二人の関係を2千円札の図柄に決定してしまってもいいの!? と私は言いたい。
私は個人的には、楼を背景にして碁を打っている「竹河」の場面の方が派手できれいだからふさわしいと思っているのだが。ま、源氏物語は全編男女のラブストーリーにうめつくされているから、どの図柄も刺激的なんだけど。けど、いいのかなぁ、小渕首相・・・。
藤壷の心境を一句。
エッセイスト・小矢部市出身
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