馳浩の快刀乱筆

 首相をチェックせよ 

 党首選に論戦を期待 

平成11年9月12日富山新聞掲載


 

 自民党総裁選が9月9日告示された。

 立候補は小渕恵三、加藤紘一、山崎拓。現職総理大臣にそれぞれ党内政策集団のリーダーが挑戦。告示日はちょうど自治省が政治資金収支報告書を公表した日でもある。候補者それぞれに「政治とカネ」についての哲学を記者会見で語ってもらいたかったが、そこまで踏み込んだ質問のできる記者はいなかった。企業、団体とのゆ着を断ち切るところから最近の政治改革は出発しているのだから、政治資金の収支のあり方についての方針を明確にしておくのは基本姿勢だ。

 そして9月11日には民主党代表選が告示された。立候補者は菅直人、鳩山由紀夫、横路孝弘。

 同時期に、自民、民主の二大政党が国家のリーダーを選ぼうと大いに論戦することは国民も歓迎すべきことだろう。私の独断と偏見で六氏に寸評を差し上げ、激励しておきたい。

 小渕再選の大きな味方は4−6月期のGDPプラス成長の数字という実績だろう。海外の評判も良い。ただ、人事絡み発言は慎重に。

 加藤さんは自分が政権を握った時の連立の枠組みについて具体論を出すべきだろう。部分連合は時間もかかるし駆け引き中心になる。

 山崎さんの政治姿勢は旧来の自民党支持層のプライドをくすぐるだろう。県議から叩き上げの党人派。苦労人。隠れたファンは多い。

 菅さんは昨年の金融国会で「政局にしない」発言をしたのが求心力低下のはじまり。女性問題は致命的。面子(めんつ)を保つだけの立候補?

 鳩山さんは改憲論議で党内に波を立て過ぎると取り返しのつかないことになろう。民主党の切り札としてデーンと構えているべきだ。

 横路さんは旧社会党出身者の希望の星。決戦投票に持ち込めば勝ち目も。この人が勝てば自自公と政策的に明確に対立できよう。

 小判さんが一人抜けた一強五弱の首相レースのようだが、次の次を占う意味でも、それぞれの候補者を要チェック、だ。論戦に期待。 

 

この国の 行方占う 秋の陣
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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