馳浩の快刀乱筆

 阪神6年ぶり首位 

 サッチーもびっくり 

平成11年6月13日富山新聞掲載


 

 巨人が中日を叩いたおかげで、阪神が6年ぶりにセ・リーグ首位に躍り出た。昭和60年を最後に15年間も優勝から遠ざかっているチーム事情、阪神ファンの心中を思う時、巨人ファンである私も心から祝福してあげたい(一応)。それも巨人のおかげで阪神が単独首位になれたのであるから、野村監督も長嶋監督に足を向けては寝られないはずだ。

 単独首位に立った阪神と、その阪神の援護射撃をすることになった巨人の週末対戦は、伝統の一戦ということもあり、異常に盛り上がっている。やっぱり巨人と阪神のライバル対決が注目されるペナントレースの展開でないと、ビールもうまくない。

 さて、その阪神快進撃のエネルギーは何か?

 今までは監督と選手の不協和音、フロント陣と現場の意思不統一などによっていつも内部崩壊を起こしていたチームとは思えない結束ぶりは、やはり野村監督を抜きにしては考えられない。私はここに大胆に推理したい。

 阪神単独首位はサッチーのおかげだー?と。

 連日ワイドショーの話題を独占しているサッチーについて、国民の評価は分かれよう。しかし、この妻にしてこの夫あり、と言えるのではないか。

 家庭の中にサッチーのような一員がいると夫はどういう立場となるか。性格が激しく、外で物議をかもしだすような妻をコントロールするためにあらゆる手練手管を取ることになろう。ある時は下手に出てなだめ、またある時はグチを聞いてあげてガス抜きの役割をしなければなるまい。有名人であり、ストレスのたまる妻のために居心地のよい家庭内のポジションを確保してやることも必要だろう。

 この気配り。絶妙のポジショニング。相手の気持ちの先手を読む心理術。まさしくはれものにさわるような家庭内のさい配は、個性豊かなプロ野球選手をまとめる監督業に通ずる部分が多々あるはずだ。

 悪妻こそ、夫を鍛え、夫の潜在能力を引き出すエネルギー源である。ちなみに皆さんの夫は能力を発揮している? 

 

梅雨空を なだめすかして セ界一
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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