馳浩の快刀乱筆

 芸能人は反面教師 

 ドラマよりおもしろい 

平成11年5月2日富山新聞掲載


 

 またまた盛り上がってきました、サッチーとミッチーの毒舌対決。

 ミッチーこと浅香光代さんが口火を切ったこの闘い。やれあいさつもロクにしないだの礼儀知らずだのとサッチーこと野村監督夫人の沙知代さんをワイドショーを通じて猛攻撃。この機に乗じてか、まぁ出るわ出るわ、サッチーの悪評。講演会をすっぽかされたとか、「あなたみにくいわね」と面と向かって言われたとか、まるでマグマの噴火よろしくあちこちから火の手が。

 サッチーはと言えば「金持ちケンカせずよ」とのたまって全く相手にせず、マスコミに対してはシカト作戦。

 騒動も下火になり、ミッチーから「終結宣言」まで出されて「何だ、もう終わるのか」と思っていたらさにあらず。サッチーが自分の講演会でネタにし出したものだから、さぁ大変(と思っているのはワイドショー)。

 これはもう、社会ネタにまでなってしまった。

 私は思う。

 永遠にやりあってくれと。

 なぜなら、芸能人は反面教師だからだ。

 朝やお昼のワイドショーなんて視聴率かせぎだけが目的の下世話な番組。日本人総白痴化の元凶。愚にもつかないネタで業界人の右往左往、へそ下話を扱って「我こそは世論の代表」とふんぞり返っている日本の恥部。

 でも、でも言いたい。

 おもしろいんだ、これが。なぜこんなにおもしろいのか、よーく考えてみれば良い。

 他人には言えない本音がいっぱいつまっているからだ。サッチーへの悪口にしたって、ふつーの生活してたら絶対言えない問題。でもミッチーだからこそ言える。ワイドショーだからこそ取材もし、大きな話題にしてくれる。それを見ている私たちは、自分自身をあの騒動の中に投影させているのではないだろうか。現代人のストレス発散のハケ口がワイドショー。その主人公がサッチー。下手なドラマよりおもしろい

 では、一句。

 

 

口ゲンカ ののしるほどに 仲が良く・・・
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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