馳浩の快刀乱筆

 へそ下ご用心!? 

 『自制』が効かなかった 

平成11年4月18日富山新聞掲載


 

 世の男性諸氏、どうご覧になりましたか?そう、法務省ナンバー2だった東京高検検事長、則定(のりさだ)衛スキャンダルのこと。

 元愛人女性がへその下スキャンダルを暴露しちゃったのである。お気の毒に……

 いや、何も私は則定さんをかばっているのではない。あまりにもこのストーリーが出来すぎなので、ちょっと公人のへその下事情について考えてみたくなっただけです、ハイ。

 うちの女房がよく「恋ってしてしまうものなのよねェ」と言う。そうその通り。いくら既婚者であろうと恋は「してしまう」もの。自然体で恋とつきあわなきゃならない宿命が人類にはあるのだ

 要は自制の問題だ。則定さんたら法の番人なのに、法を守る以前の「自制」が効かなかった。まず第1に愛人を妊娠させたこと。第2に十分彼女の相談に乗らずに中絶させたこと。第3にお金で清算しようとしたこと。第4にマスコミにペラペラと過去をしゃべるような女性にさせてしまった別れ方。第5にスキャンダルが発覚したらアッという間に辞任したということ。

 「潔い」ととるか「アッ気ない」ととるかは世の判断。

 私にすれば「世間を騒がせただけで辞めるな事実を明らかにして真実を追及するのか検事長の職責じゃないのかほっかむりをして人のウワサが通り過ぎるのを待つための辞任では公人と私人の区別がない。簡単に私事の責任で公職を放り出すな」と言いたい。検事長らしく裁判で事の経緯を詳(つまび)らかにしてみたらどう?モラルと恥はどうやって刑法(民法かな?)で裁くのかのお手本を示してもらいたいものだ。それこそ法務省ナンバー2の責任の取り方。

 でも、お相手の女性は元銀座のホステス。言わば「おつきあいのプロ」。口はかたいはずなのに。こんなに社会問題にされちゃうなんてよっぽど則定さんのフォローが悪かったのね。それとも中村正三郎前法相のしっペ返し?とにかくへそ下問題には首がちぢみます。則定さんに一句

 

桜花 散れば踏まれる 世の習い
 ・・・自業自得でした

エッセイスト・小矢部市出身

 
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