馳浩の快刀乱筆

 松坂大輔 

 もう本物、社会現象に 

平成11年4月11日富山新聞掲載


 

  ここまで来たらもう本物だろう。

 西武ライオンズの新人投手、松坂大輔(横浜高校出身)が初登板でいきなりスーパーデビューを果たした。新しい伝説のはじまり。

 4月7日の東京ドームにおける対日本ハム戦は間違いなく歴史に残る試合。8回に2ランホームランを打たれて降板したものの、試合は5対2で西武の勝利。当然松坂にプロ初勝利が。ただの勝ち星ではないところに松坂の非凡な才能を感じる。

 初回に155キロのストレートで三振を奪うや、次々と三振の山を築き上げ、計9個。5回まではあわやノーヒットノーランかと思わせる完璧なピッチング。とても高校出たての18歳とは思えないマウンド度胸。好調な日本ハム打線をもってしてもつかまえることはできなかったのであるから、その実力は本物とみて間違いなかろう。

 甲子園大会で春夏連覇をはたした高校生時代、といっても去年のことである。

 劇的なドラマのようなドラフトでの西武指名。プロ入団。そして松坂フィーバー。

 この半年ほどはマスコミに追いかけられない日はなかっただろう注目の的。加えてパ・リーグは予告先発。こんな周囲の過熱する期待の中では緊張しない方がおかしい。しかし期待を上回るピッチング内容。まさしくプロ。

 プロ野球界も松井、イチロー以来のスーパースターの出現。世の女性たちは「笑顔がステキ可愛いい」とアイドル視。男性ファンは「凄い本物だ」と感嘆。少年ファンはあこがれの目。もう社会現象だ。

 どうだろう。老若男女、あらゆるファン層に訴えることのできる魅力こそがスーパースターの必須条件。そう考えると松坂大輔は真の実力とスター性を兼ね備えたヒーローになれるだろう。西武もいい買い物をしたものだ。

 でも一言言いたい。いくらファッショナブルとは言えあの茶髪ならぬ赤髪は野暮ったい。ヤンキー丸出し。でもそんなとこがまた、現代っ子なのかな?でも、初心を忘れないでね 一句。

 

白球を 胸はやりつつ 握りしめ
 

エッセイスト・小矢部市出身

 
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