|
|
馳浩の快刀乱筆
|
タレント売り出すのも戦略が必要なのね。たまたま4月2日大阪滞在だったのだが、一般朝刊5紙(読売、毎日、朝日、日経、産経)すべてに宇多田ヒカルライブの記事が掲載されていて目を奪われたのだ。産経なんて一面カラー。
たかが小娘タレントのライブごときに!とたかをくくるなかれ。彼女のCDはシングル2枚、アルバム1枚ですでに700万枚を超える売り上げなのだ。数百億円をかせぎだしそうな勢い。これこそ社会現象。16歳の女子高生タレントとあなどってはいけない。
お母さんは演歌歌手の藤圭子。お父さんは音楽プロデューサー。娘は「アーティスト」として売り出されている。お母さんの名曲「圭子の夢は夜ひらく」では、あの歌詞が有名。「15、16、17と 私の人生暗かった」。ところが娘は16歳ですでに音楽界のカリスマにまつりあげられて前途洋々。名前がヒカル、というのもあまりにもコントラストの妙。アメリカンスクールに通い、成績優秀。ニューヨーク生まれ。アメリカの大学へ進学希望のため芸能活動も土日のみ。作詞作曲もこなす才能を持つが素顔はあどけない女子高生。しかし人並みはずれた感性と歌唱力を持つー。
どう?ここまで書いてくると、「ホント?」とまゆつばに思いそうなものだ。ほめすぎ。
ところが彼女はブレイクした。なぜだろう?
こたえは簡単だ。戦略である。
出るぞ、出るぞともったいつけておいて実物を見せないやり方だ。救世主やヒーロー、ヒロインを待ち望んでいる若い世代にそのミステリアスさがウケたのである。だいたいバーチャル世代にはイメージをいかに売り込むかが優先される。つまり宇多田ヒカルは伝説の中に作りあげられていたからこそ「売れた」のだ。特筆すべきことは大手芸能プロダクションの手にかからず、お父さんのプロデュースによって売れたことと、ニューヨークのソウルを日本人の女の子が体現したこと。戦略とオリジナルの勝利。なんか日本経済回復のかぎになるかもね。
一句。
エッセイスト・小矢部市出身