馳浩の快刀乱筆

 いったい、何様? 

 スポーツ食い物にするな 

平成11年3月21日富山新聞掲載


 

 いったい、何様?

 サマランチ国際オリンピック委員会(IOC)会長が、臨時総会で圧倒的多数の信任投票を受け、今後も会長として続投することになった。少しは内部改革してくれるかと期待していたにもかかわらず、不正疑惑については六委員追放というトカゲのしっぽ切りで終わらせた。まったく頭にくる。これじゃオリンピックの舞台を夢みて努力しているスポーツ選手や関係者は猿回しの猿みたいなものだ。ずるがしこいサマランチ会長にいいようにあやつられているだけ。本当に腹が立つ。

 だいたい、3月15日に始まった臨時総会はソルトレークシティー五輪の招致疑惑を受けてのもの。その冒頭で会長の信任投票が行われてしまうとは・・・・。本来ならば不祥事の責任を感じて自ら辞任し、サマランチ体制を一新することがIOC改革、オリンピック招致活動改革になるという事を、このオッサンはちっとも理解できないらしい。外部から見ればまさしく裸の王様だ。

 IOC委員とはそもそもオリンピック精神やスポーツの持つフェアプレー精神を世界に伝える宣教師のような名誉ある地位のはず。

 それがこともあろうに五輪招致にからんでお金を受け取ったり過剰な接待を恒常的に受けているとは!まるでスポーツを食い物にするハイエナじゃないか。ファーストクラスでの旅行や豪華パーティー。果ては親族への利益供与。そんな特別待遇に慣れた委員が自らの権益と(屁(へ)にもならない)プライドを守るためにサマランチ会長を非難できないのはあたりまえのこと。だってみんなサマランチ会長が作った現行のシステムの中でぬくぬくといい思いをしてきたのだから。

 日本も長野五輪招致疑惑や大阪五輪招致を抱えているだけに、IOCに対して大胆な改革案を提示できないでいる。なさけない。これじゃスポーツに関与する良識ある人たちはバカを見るだけ。こんなオリンピックなら、いらない。スポーツを食い物にするな!サマランチ。怒りの一句。

 

ハイエナが 獲物求める 五つの輪
 

エッセイスト・小矢部市出身

 

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