馳浩の快刀乱筆

 世紀末にだんご3兄弟 

 家族の温かみ思い起こす 

平成11年3月14日富山新聞掲載


 

 やっぱりブレイクしたか、だんご3兄弟。うちの一人娘、りおんちゃんといつも見ている「おかあさんといっしょ」。いろんな幼児向けの歌をいっしょに楽しんでいる中でも、一度聞いたらそのメロディが耳の中でリフレインして忘れられなくなってしまったこの歌。女房と2人で「これは替え歌にもなりやすいね!それに兄弟の特質を歌詞の中に端的に表現しているよ!」と家庭内のマイブームになっていたのである。そう思っていたのは我が家だけではなかったことがまた嬉しい。

 で、その歌詞の内容。分析してみると、失われつつある日本の家族の温かみや季節の情趣を思い起こさせてくれる。

 とりわけ「間にはさまれた次男」「自分が一番次男」で次男の独立独歩ぶりを痛快に言い当てている。私も3人兄弟で、末っ子の3男なのだが、やはり次男は「間にはさまれている苦悩」と「家制度からはみ出して自立しよう」という気概に燃えていた。なるほど、だ。

 また、ケンカをしてスキ間があくのだけどすぐに仲直りするのも小さな男の子の現金なところ。それから、生まれ変わったらこしあんのたっぷりついたあんだんごになりたいという変身願望とちゃめっ気は男の子ならでは。

 さらに、「花見」「月見」で自然の景観をイメージさせながら思わずだんごを食べたい気持ちにさせるなんざぁ、作詞者はもしかして「日本だんご協会(あるのかな?)」のまわしものかと思ってしまうほどみごと。

 家族の暖かさ、兄弟の仲の良さ、日本人の花鳥風月を愛する心を刺激してくれるこの歌がヒットしたのは、混乱する世紀末だからかもしれない。

 ちなみに、だんご3兄弟のあこがれの人は、「さくらもちよ」さんであり、ともだちは「ゆのみ3兄弟」だって知ってた? となるとライバルは誰になるのでしょう? このクイズのこたえは、そう、近所のお子さんに聞いてみてください。

 では、だんご3兄弟に一句。

 

世紀末 だんごで語る 花見かな
 

エッセイスト・小矢部市出身

 

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