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馳浩の快刀乱筆
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いよいよ自自連立政権による通常国会が開会。「単なる数合わせ」とのいつもながらの野党の批判も今回ばかりは的外れ。いくら自自が力と数を合わせても参議院においてはまだ過半数に10議席足りない。ということはまだまだ国政の安定は暗中模索。今回の連立政権も将来に向けての一里塚にすぎない。
小渕首相の所信表明演説に対して各党の代表質問が行われている国会に、宇宙飛行士の向井千秋さんが表敬訪問。久しぶりに国民に明るい話題と夢を提供してくれた。
その向井さんはもうひとつの話題を運んできた。短歌である。宇宙で詠んだ上の句「宙がえり何度もできる無重力」の下の句応募に14万余が寄せられ、向井さん訪日に合わせて選考が行われた。
「水のまりつきできたらいいな」「湯舟でくるりわが子の宇宙」
など入選作品は豊かな発想と大きな夢に包まれたものが多く、日本人の歌心を刺激することになった。
向井さんを迎える国会でもやはり懇談の中心は下の句。
自民党の森幹事長は政界の動きを絡めてこう詠んだ。
「ぼくのからだは自自の重さよ」「着地してみりゃ自自の連立」「重力ばかりの永田町かな」
・・・どれも生臭いものばかりで、感想を求められた向井さんは返答に困っていた。そりゃそうだろう。向井さんも宇宙開発事業団所属の5人の宇宙飛行士の1人。政治的な発言が許されない立場にあることは百も承知。「そうですね・・・」と苦笑いするのが精一杯。
それにしてもこの上の句と下の句のやり取り面白さを再認識させてくれたことに、科学者である向井さんの教養の幅広さを感じる。
短歌、俳句、川柳、狂歌。私たち日本人は簡潔なことばで社会を風刺し、人心を掌握する術(すべ)を持っている。私が作った下の句はいかがだろう。
何度もできない 小渕内閣
エッセイスト・小矢部市出身