馳浩の快刀乱筆

 闘え日本人

 米国には負けられぬ 

平成11年1月17日富山新聞掲載


 

 私は新年早々闘っている。もちろん永田町での権力闘争の渦中にいるわけではない。自自連立政権樹立のために党執行部が冷や汗を流しているのを横目に、私はプロレスラーとして全国を巡業中、玉の汗を流している。

 「企業団体献金廃止」論者の私は政治資金を足らざる部分を個人献金と副業でまかなっている。

 副業とはこうして原稿執筆をしたり、大学の客員教授をしたり、講演会をしたり、そして何より実入りの良い(?)プロレス稼業。私のギャラは一試合10万円。年間30試合前後をこなす。国会閉会中しかこうして巡業に出られないため、日程はきつい。
けれど文武両道を理想とする私にとって、自らの肉体を痛めつける闘いの場に身を置くことは、まさしく闘争心を養う修養の場。このエネルギーこそが自分の存在価値。闘いは私の原点。

 その巡業中の一日、映画「アルマゲドン」鑑賞。久しぶりに映画館に足を運ぶ。
「世紀末に人類滅亡の危機巨大いん石が地球めがけて突進中。回避するにはいん石に着陸して穴を掘り、核爆弾をぶち込んで爆発させるしかない。さて誰がその任務を遂行するのか」があらすじ。

 ブルース・ウィリスをボスとする採掘のプロ集団がアメリカ国家の、いや全人類の期待を一身に背負って巨大いん石と格闘する。

 意外なストーリー展開と、迫力ある映像に圧倒される。しかしこの映画のテーマはヒューマニズム(人間主義)にあるという観点に立つと、闘うアメリカ人の大国主義、覇権主義、そして世界国家のプライドに納得させられる。愛する家族のために。愛する国家や愛する地球のために。だからこそ自らを犠牲にできる。尊い犠牲ーをここまで見せつけられると、日本人のせせこましい個人主義や自由主義思想がなんと一人よがりのエゴイズムに満ちたものかと考えさせられる。

 やっぱり今年のテーマは「闘え日本人」だ。アメリカなんかにゃ負けられぬ。
気合を込めて一句。

 

 

猛吹雪 視界を開く 闘争心
 

エッセイスト・小矢部市出身

 

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