馳浩の快刀乱筆

 政治担当秘書の抜け道 

 政治不正の大安売り 

平成10年12月27日富山新聞掲載


 

 開いた口がふさがらない。

 衆議院議員(まだ在職している厚顔無恥も許しがたい)の中島洋次郎容疑者は、叩(たた)けば叩くほどホコリが出てくる。

 政党助成金の不正流用に始まり、政治資金規正法、公職選挙法の違反。富士重工からの受託収賄容疑に加えて、今度は政策担当秘書を雇った形にして国から給料をだまし取ったあげくにピンハネしていたのでは、との容疑に問われている。

 そもそも政策担当秘書とは、国会議員の立法、調査能力を向上させることを目的に平成5年から創設された。

 「国政の一隅を照らしたい」と希望に燃える若者が政策担当試験を受験し、採用されて大活躍するはず、だった。

 しかし制度に特例はつきもの。試験に合格して採用されている政策担当秘書は現実では衆参合わせて50余名。じゃ、その他はどうなっているかというと、本来の趣旨からはマユツバものの政策担当秘書。どういうことか? この制度には「原則として公設秘書を10年以上つとめていれば、その後研修を受ければ特例として政策担当秘書に格上げされる」という抜け道があり、この抜け道を通って採用されている者が政策担当秘書の9割を占めている事実があるわけだ。

 だから、中島容疑者のように、名前だけ借りて給料(もちろん税金から支払われている。それも他の公設秘書よりずいぶん高額)をピンハネするけしからん事態が起こり得るようになっている。まさしく政治家のお手盛り。

 政治改革を声高にいくら叫んでも、世の中には制度や法をスリ抜けるバカ者がいるという事。まして「政治は最高の道徳」と説く福田赳夫元総理の流れをくむ派閥に所属する中島議員の仕業に、まさしく開いた口がふさがらない。政治改革とは、まぎれもなく「政治家改革」である。カネに汚い人間に政治を語る資格はない。容疑の真相を厳しく追及すると共に、中島議員は自ら辞職すべきである。

 では一句。

 

 

もの言えば ふところ寒し まつりごと
 

エッセイスト・小矢部市出身

 

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