馳浩の快刀乱筆

 『寝耳に水』の結婚話 

 聖子ちゃんの危機管理 

平成10年12月13日富山新聞掲載


 

 知り合いの新聞記者から携帯電話に連絡が入った。ずいぶん焦っている。

『馳さん! 橋本聖子さん結婚するんだって?水くさいなぁ。ちょっとぐらい情報教えてくれたっていいじゃない。で、どこまで知ってるの?』
『えーっ。聖子ちゃん結婚するの? ほ、ほ、ほ、本当? ちっとも知らなかったよ、俺(おれ)。相手はどんなヒト?』
『えーっ。馳さんでさえ知らなかったの? それじゃ誰も知らないわけだ。だって国会議員の中じゃ馳さんが一番仲良しだもんね』

 そう。同じ参院選で当選。自民党。三塚派。スポーツ出身。若手、と共通項の多い聖子ちゃんと私の仲。その私でさえ寝耳に水の縁談。

 そう言えば聖子ちゃん。最近、髪の毛伸ばしたり、化粧が濃くなったり、スカートをはくようになったりして『女性らしさに磨きがかかってきたよなぁ。元々性格はバツグンに良くて誰からも好かれるヒトだけど、こうも色っぽくなったのはカレでも出来たのかねぇ』とウワサされていただけに、ウワサは本当だったってことね。

 私が感心するのは、結婚が決まるまで一切の情報が外部にもれなかったこと。

 だって男と女が恋愛していりゃ、いろんなことは、ある。まして天下の橋本聖子。子どもからお年寄りまで、その顔を知らない日本人はいない。まして国会議員。多忙を極める毎日で、一体どこにそんなエネルギーと時間があったのか?

 聞けばお相手は再婚、43歳、3人の子持ち、前の奥さんとは死別、警視庁。心配すればきりがない結婚だが、不思議と心配する声はどこからも聞こえてこない。これも彼女の人柄のなせるところ。

 つまり彼女は女性としても、国会議員としても、身近の危機管理は完璧(かんぺき)だったと言える。
『祝福される結婚って、いいよなぁ』と一人言ってると、本会議場でとなりの席の畑恵さんがジロリとにらんだ。おっと、言葉には気をつけよ。さて、聖子ちゃんにお祝いの一句。

 

 

寒空も 二人で行けば 金メダル
 

エッセイスト・小矢部市出身

 

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