馳浩の快刀乱筆
働く女性の増加策を

公的年金 大丈夫?

平成10年10月4日富山新聞掲載


 老後の不安て何? 孤独な一人暮らし、病気、介護と挙げられるけど、やっぱり一番の心配は生活費。老後の経済的負担を解決するのが年金。とりわけ公的年金に頼らざるを得ない国民は多い。ちなみに私は毎月、国民年金13,300円と、議員互助年金103,000円を払っている。(議員互助年金は、議員として10年以上在職しなければ、将来、年金としてもらえない。だから議員さんたちはみんな在職10年にこだわるのでしょうかね)

 さて、その大切な公的年金問題。厚生年金を軸に来年度の抜本改定を目指す10月1日の年金審議会は、意見書をまとめられずに流会した。

 何故か? 答えは簡単だ。このままだと、年金支給額を抑制されてしまうことに反対する労働界代表の委員がとりまとめに難色を示して抵抗したからだ。でも、この委員だけを責められまい。

 この公的年金制度の抜本改定は、世代間の対立でもある。どういうことかというと、公的年金は保険料と利子ではまかなえない物価スライドと賃銀スライドなどの資金を、現役世代が負担しなければならないのである。ここで少子高齢化の現実問題が出てくる。働く若い世代は「負担ばかり重くて、本当に自分たちが将来、高齢者になったら年金を受け取ることができるの? 保険料の払い損じゃないのか!」との不安を持っている。受け取る側からすれば「今まで通りの額をもらってあたりまえ」と思っている。完全に世代間利害対立だ。

要は財源論なのだ。年金財政を安定化させるための方策を年金審議会や厚生省も提示しなければならないということ。公的年金を受け取る人がこれから毎年百万人ずつ増えるのだそうだ。財源をまかなうには年金保険料を払う労働者を増やすことも解決策の1つ。それは働く女性を増加させるための施策を充実させることに尽きる。

若い女性が結婚、出産、子育てに魅力を持つ社会。働くお母さんを社会全体が支えるというコンセンサス。男性の家事、育児協力などが必要。年金問題は明日は我が身の国民全員の問題だ。

秋深し 小銭かぞえる 老女かな

               エッセイスト・小矢部市出身

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