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新連載 馳浩の快刀乱筆
平成10年8月2日富山新聞掲載 |
「臨時国会では自民党が大幅に過半数割れした参議院で大混乱が予想されます。これから自民党総裁、そして総理大臣になろうとする人に、どのような政権運営をして行くのか自民党員ばかりでなく、国民に明らかにしていただきたい。わかりやすく説明していただきたい。それを見て、聞いて、私たちは誰に投票するか決めたい。そのためにも、総裁選立候補者の受け付けから投票日まで数日間あけていただきたい」これは、私の自民党両院議員総会での発言である。密室、談合、順送りの自民党総裁選選びに対する怒りを込めて、オープンな形で国民世論を参考にして選ばれるように願って発言した。この主張は正論だと自負している。
結局、小渕恵三氏が選出され、臨時国会冒頭で総理大臣に指名された。そして小渕内閣の発足。この一連の流れを国民はどのような思いで見つめていたのだろうか。一国の総理大臣を選ぶのに一政党のルールだけが優先されてしまい民意が反映されていないという批判があろう。参院選大敗の反省が総裁選びや内閣人事に生かされていないという怒りの声も多い。野党は共闘して世論の声に乗って衆議院の解散、総裁選の大合唱である。
私は国会議員の一人としてこう思う。
不良債権処理の方策、制度(恒久)減税の財源論は、野党の意見を大きく採用して即決し、法案を衆参両院で成立させる努力を小渕内閣はすべきである。
野党はやみくもに解散を迫る国会戦術を使う前に、政策をまとめて政権構想を国民に打ち出すべきである。与野党共に批判合戦では、不況に苦しむ国民が追いてけぼりになってしまうだけ。
もはや日本の経済再生は、世界経済安定の中心課題。政治家の責任は、日本国内だけではなく世界的責任をも抱えている。世界や日本全体を見渡しての政治的判断が必要である。
選挙の一票を政策に反映してこその民主主義。主権在民を国民すべてが望んでいる。新政権に期待を込めて一句。
一票に 梅雨明け託す 日本人 エッセイスト・小矢部市出身
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