新連載 馳浩の快刀乱筆
芸能人の“売名会見”嫌い

他人のふんどし

平成10年7月26日富山新聞掲載


 サッカー日本代表の中田選手がイタリアのペルージャに入団したそうな。ほう、めでたしめでたしとテレビに見入っていたら、神田うのが出てきた。なんで?

 またJリーガーと芸能人のイチャイチャか?

 下世話なネタが嫌いではない女房と共にワイドショーをはしごしていて、二人同時に急に眉がつりあがってきた。以下うのの語録。

 「中田選手がプライベートでかけている黄色のメガネは、うのがプレゼントしてあげたの、うふっ」てな感じ。「うのってー、プレゼントするの好きなのー。だからヒデ君(中田選手のこと)だけじゃなくってケンちゃん(美川憲一さんのこと)ももってるのよー。皆さんが期待するような、そんな関係じゃないってばー。キャッキャッ」とまぁ、はしゃぐはしゃぐ。

 だいたいが、この会見は、うのちゃんがミュージカルに出演するとかで、その売り込みのための会見。その数日前にはブライダルファッションショーに出演して「私、石井君(ヤクルトスワローズのピッチャー)と別れてから本気で人を好きになれないの」とコメントしていた。

 一体、仕事の会見とプライベートなこととどうつながりがあるの? それも必ず有名人の名前を引き合いに出すのは、その人に失礼じゃない? まるで自分に才能はないけど有名人と知り合いだから私ってスゴイでしょーと言っているようなものだ。もっと言えば、他人のフンドシで相撲とってるだけ。何でも話題にして自分のマスコミに対する露出を増やし、それで名を売り、次の仕事を引っ張ってくるこすからいやり方だ。

 こういうのを悪名は無名に勝る、というのだ。マスコミもこんなスキ間を埋めることしかできないタレントをよいしょするのはいい加減にしてもらいたい。マスコミ雀がちやほやするから、神田うのも勘違いしてブラウン管でバカ騒ぎしまくるのだ。

 怒りの一句をささげる。

売名に すがるしかない 仮の花

 エッセイスト・小矢部市出身

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