新連載 馳浩の快刀乱筆
闘いの本能研ぎすませ
W杯日本代表

平成10年8月2日富山新聞掲載


 サッカーのW杯フランス大会も決勝戦を残すばかり。本命のブラジルと、地元の利も味方につけたフランスの闘いとなった。決勝トーナメントに入り、さすが本気のプレーがにわかファンの我々日本人を魅(ひ)きつける。

 パスの正確さ。ボール回しの速さ。瞬時の判断力。美しいまでの個人プレー。まさしくサッカーは文化であり、世界の共通言語だ。

 そこで、予選リーグ3連敗で敗退した日本代表チームの総括をひとつ。

 アルゼンチン戦は、よくぞここまで粘ったというディフェンス力を見せた。クロアチア戦は「絶対勝つ」という意識に欠けていた。ジャマイカ戦は決定力不足。初出場にしては健闘したのだろうが、多くの弱点もさらけ出した。私の友人の釜本邦茂参議院議員のコメントを紹介しておきたい。

 「ディフェンスに戦術の重点を置いたのは合格。しかし攻撃のパターンを徹底しきれていなかった点が決定力不足を招いた。ポストプレーでの作戦や、中田選手を軸にした組み立てがチームに浸透していなかった」

 とのこと。非難が集中するフォワードの要、城選手に私は言いたい。「クチャクチャガムかみ」「ニヤニヤ笑い」をマスコミは非難するが、気にするな。勝てば官軍、負ければ賊軍が国際大会の常。結果を出すために必要ならば、これからも自分の思う通りにやれ。

 先入観。 固定観念。 決めつけ。 武道精神。

 日本人がスポーツに求める四大無責任だ。マスコミの論調も全てこれに帰結する。そんなマスコミに惑わされるな。サッカーはファッションではない。文化なのだから。

 私は望みたい。日常生活で包み隠している闘いの本能をさらけ出すための場がスポーツだ。それが、どんな形であっても良い。あるがままの能力に闘いの魂が上積みされてこその実力である。私たちサポーターが見たいのは、闘う日本人なのだ。2002年大会はすぐそこ。実力の向上を期待して日本代表チームに一句。

 魂を 込めて蹴とばせ 丸い球

(エッセイスト、小矢部市出身)

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