新連載 馳浩の快刀乱筆
船田さん困惑、泰然の畑さん

政界失楽園?

平成10年6月28日富山新聞掲載


 民法によると、裁判上の離婚の要因の筆頭が「不貞」、つまり不倫である。いつの時代も男と女が絡み合う以上、結婚していようがいまいが、ついつい隣の芝生が青く見えてしまうもののようである。それが芸能界や市井の話題であるならば、ワイドショーの格好のネタとなり、井戸端会議には欠かせないテーマ。だって人の不幸はミツの味。秘め事であればあるほど野次馬根性が頭をもたげる。

 そこで、船田元衆議院議員と畑恵参議院議員の登場である。マスコミの詮索(せんさく)がかまびすしい。私は2人とも親交があるので、ナマの情報をもとに分析してウワサの真偽を確かめてみたい。

 私の女房は、時々こども(6ヶ月の赤ちゃん)を連れて国会にある私の事務所に遊びにやってくる。毎日子どもと二人っきりで自宅にいるとストレスがたまるのでそのウサ晴らし。畑さんが「馳さんの子ども見せて」と言うので呼んであげると、嬉々(きき)としてやってくる。しげしげと見つめ、抱っこしてあやしたあと、ぽつりと一言「私、トシだから早くこどもほしいのよ。赤ちゃんかわいいわぁ」。そのつぶやく瞳がうるんでいた。心に何か期するところがあるような思いつめた表情。

 そして船田さん。私に直接電話が入ってきた。「馳さんいろいろ騒がせてすいません。時期が来ましたらちゃんと説明いたしますので。ところでCS教育(衛星放送を活用した教育)システムの検討委員会のメンバーになって下さい」。いやいや、仕事のことだけでいいですよ。そんなに思いつめないで、と思わず私は船田さんの言葉に、フォローしてしまった。

 このことで党幹部にも説明に行き、船田さんは逆に「マスコミは気にするな」と諭されてもいる。

 今じゃ船田さんは地元に戻るのに新幹線にも乗れず、秘書が遠路クルマで送り迎えしている。船田事務所は困惑の様子。畑さんは泰然自若。

 どうやら”政界失楽園”は水面下で進行中だ。船田さんの奥様の心中を推量して一句。

 

移り気は ハタめいわくよ 梅雨の花

エッセイスト・小矢部市出身

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