新連載 馳浩の快刀乱筆
「ビビビッ」と自己演出

電撃的な再婚

平成10年6月7日富山新聞掲載


 まったくお騒がせな女性である。自分の私生活を切り売りして話題提供して商売に結びつけているのであるから相当したたかでもある。

 松田聖子さんの衝撃的な再婚に、ワイドショー大好きな主婦の皆さんをはじめ、日ごろはテレビを観ない人たちもあらゆるメディアを通じて情報を知りびっくりしたのでは。

 相手は30歳。つまり聖子さんにとっては6歳も年下。歯科医。娘さんが通っていた歯科医院の勤務医。聖子さん自身も治療を受けていたそうな。お互いバツイチなわけだから、2度目の結婚には慎重になりそうなものだが、出逢いから2ヶ月で結婚とは大した度胸。

 聖子さんなどは、一目見て「ビビビッ」ときたとか。またしても流行語を提供したようなもの。私の妻など口を開くたびに「ビビビッ」とのたまって悦に入っている。聖子さんは自身の売り込み、演出の仕方が並外れてうまい。今回の再婚にしても、ファクスでマスコミに通知、いきなり結婚式、単独会見、カメラの放列の前を手を握って新しい夫と待たせた車に乗り込む、と一体どちらが夫かわからないほどリード。松田聖子のジコチュー(自己中心的)で仕切られていた。100万円程度の経費のジミ婚と言いながら、3.1カラット、2000万円相当の結婚指輪を堂々と披露。ミスマッチの極致でありながらも、クスッと笑って受け入れられてしまうのは、彼女ならではのキャラクターなのだろう。発表翌日のマスコミではさっそく「何年持つのやら」と外野のうるさい声がかまびすしい。でも、このハチャメチャさ。私生活で堂々と商売するイヤ味のなさ。たとえ悪口を言われても言い訳しない我慢強さ。自分で自分をプロデュースできるスマートさ。ここに私は彼女を支持する大きな理由がある。

 ジコチューもここまで徹底してれば立派な芸。おそらく彼女は次の一手をすでに企画しているであろう。妊娠、出産か。あるいは郷ひろみと不倫か? とにかく松田聖子の存在自体がブランド化している。敬意を表して一首捧げたい。

悪評も 無名に勝る 有名人 

何はなくとも 私生活

エッセイスト・小矢部市出身

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