「大阪新聞」  平成11年4月28日掲載
近く磯村市長ら招き国会論議
五輪
招致委公益法人に
IOC疑惑むしろ有利だ

 「2008年オリンピック開催をめざす大阪市の招致委員会を、ぜひとも公益法人にすべきだ・・・」。プロレス界から政界入りした異色の自民党参院議員、馳浩(はせ・ひろし)氏(石川選挙区)が、いま国会内外で大阪招致委員会の「公益法人化」を声高に訴えている。近く参院文教科学委員会に、磯村隆文大阪市長や日本オリンピック委員会(JOC)の八木祐四郎会長ら関係者を参考人として招き、意見を聴取することも検討中だ。法人化が実現するかどうか、成り行きが注目される。

(政治ジャーナリスト・宮田 修)

 

 「日本は、もっともっと積極的にIOC(国際オリンピック委員会)の改革を提言していくべきではないか。現実にアメリカなどは、IOC改革をどんどん提言している。日本も負けずに、フェアな五輪をアピールすべきだ。一連のIOC委員への過剰接待疑惑問題は、むしろ大阪誘致に有利な展開になるとの見方もある。ぜひ大阪を、クリーンなオリンピックのシンボルにしたい・・・」
 と、大阪招致委の法人化の必要性を説く馳氏。

 このほど開かれた文教科学委員会でも、自民党理事としてこの問題をあえて取り上げ、政府の見解をただしたばかりだ。

 さて、任意の団体である長野冬季五輪招致委の接待問題については、IOCの指示を受けたJOCが独自に調査。”疑惑”があると指摘されたのは9人の委員だったが、会計簿が焼却されたりして、招待費約20億円の使い道は不明のままになっている。調査報告書のくわしい中身も公表されていない。

 馳氏は、「どうして結果が公表されないのか。いわゆる”身内”であるJOCの調査でなく、本来は、第三者による公正な調査を行うべきだ。国も、補助金を出している以上は、明確な対応をすることが求められる・・・」などと、文部省当局を追及。しかし、「招致委は監督官庁を必要としない任意の団体であり、行政(文部省)としては踏み込めない。こんごの調査の推移を見守った上でアドバイスをしたい」と、文部省側はノラリクラリの答弁に終始した。

 このため馳氏は、「せめて大阪市の招致委は、長野の二の舞にならないように・・・」と、訴えている。

 ところで、東京、札幌、名古屋、長野の各五輪招致委は、すべて任意団体だった。

 活動費には、多額の公金が投入されたが、財務状況を報告する義務はなかった。仮に、こんご大阪招致委が法人化されれば、会計帳簿などは、最低10年間は保存しなければならない。また事業報告書、収支報告書、会計帳簿などを基準に沿って作成して、文部大臣に報告することが義務付けられる。「透明性」が増すわけだ。

 ところで、馳氏といえば、「国会議員」のほかに、「現役プロレスラー」(全日本プロレス所属)、「文筆家」、「客員教授」などの多くの肩書きを持ち、まさに分刻みに超多忙な生活を送っている。

 そんな中で、移動する飛行機や新幹線の中で筆を走らすのが唯一の”オアシス時間帯”だ。元石川県の星稜高校国語科教師だっただけに、モノ書きは手慣れたもの。政治活動の寸暇を惜しんで、スポーツジムで体力維持の基礎トレーニングをしたり、「富山新聞」に週一回の連載もの「快刀乱筆」の原稿を書くなど、”スーパーマン”ぶりを発揮している。

 そんな馳氏にとって、古巣のレスリングのことで気になることがある。それは、最近のオリンピックで日本レスリング界がなかなか金メダルが取れなくなったことだ。

 「レスリングだけでなく、世の風潮かもしれないが、”八田イズム”と”根性”がなくなったからだ。政治家として、この二つを復活するように、提唱していきたい・・・」

 馳氏の超多忙な生活は、当分続きそうだ。

馳浩・自民党参院議員


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